みかん少女とヨーソローな幼馴染が部屋にいる生活 作:すいーと
混乱した方がいたら申し訳ありません。
楽しい食事が終わると、何となくまったりとした気分になってくる。人間の三大欲求の一つが満たされるだけでここまで、リラックスするものなのかと思うが、身体から力が抜けきってかなりだらしなくリビングでくつろいでいた。先ほどまで冷たくて嫌だったフローリングが適温になって心地よい。
俺はスマホで明日行く店の下調べ、千歌はだれかとメッセージのやり取りをしていて時々クスクスと笑い声が聞こえてくる。
「お風呂沸いたよー」
そんなセリフと共に曜がリビングに現れる。さっきからいないと思ったら風呂の用意をしていたのか。
「誰から入る?」
スマホを置いて二人に俺は問いかける。これは確かに困った問題だ。二人が入った後だとたぶん落ち着かないし、俺が先に入るのは二人が嫌だろう。少しだけ全国のお父さんたちの気持ちがわかる気がした。
「うーん私は熱いの苦手だし千歌ちゃんか真樹君先どうぞ」
「じゃあどっち先入る?」
「俺はどっちでもいいが……」
日本人の厄介なところが出た。お互い気を遣い譲りあってなかなか決まらない現象。しばらく風呂の順番を押しつけあっていると千歌は何かを閃いたように口を開いた。曜は食後用に買ったみかんを堪能していて会話には参加していない。さすがに言い争いをして喉が渇いたので買ってきたオレンジジュース(千歌チョイス)を飲もうとコップを口へと運ぶ。
「もういっそのこと一緒に入っちゃおっか?」
「ぶーーーっ」
千歌の提案に漫画のようにオレンジジュースを吹きだしってしまった。喉に残ったのが刺激となり数回咳が出る。オレンジジュースが染みる。
「真樹君汚いよ」
「何言いだすんだよあほ」
「別にーっ。昔一緒に入ってたんだしいいかなーって」
わざとやっているのか手を頭の後ろに回してストレッチをするように伸ばしながらしてそんなことを言い出した。自然と目が行くのは成長した証の胸部だ。ストレッチもどきによって強調され、邪な感情が脳を駆け巡り、心臓の動きを加速させていく。
「全然よくない。シャツにジュースこぼれちまったし入るわ」
言うが早いか俺はさっと後ろを向いて自分の部屋へと逃げるように移動する。千歌にドキドキさせられる日が来ようとは俺一生の不覚。部屋から着替えをもって来ると、風のようにリビングを駆け抜ける。脱衣所で一気に服を脱ぎ、洗濯かごがないのでたたんで着替えの横に置く。
うるさく跳ねる心臓を落ち着かせるために少し熱めのシャワーを頭から被る。暑さで一旦思考をリセットしようという試みだ。昔から勉強合間にシャワーを浴びる時はこうしているのだ。いつも通り思考がクリアになっていく。機械的に身体と頭を洗いながら、千歌も曜も幼馴染でただのルームメイトだ。ドキドキしてはいけない。自分にそう言い聞かせてる。再びシャワーを浴びる。泡と共に邪念も洗い流されることを願って。湯船につかる。少しぬるめのお湯だったが、疲れをきちんと落としてくれた。
風呂から上がると今度は千歌と交代。頭も心も身体もすっきりしたおかげか昔のように接することができた。
その後全員風呂を終え、あとは寝るだけになったのだが、なぜか二人とも俺の部屋にやってきていた。風呂上がりの少し火照ってピンク色に染まる頬。下ろした髪は少し色気があって危険。二人ともショートパンツで足を大胆に出している。危機感ないのかねこの子達?
「お二人さん。俺もう寝るんですけど?」
「うん知ってるよ」
「だから帰れよ」
「千歌たちもここで寝るのっ」
「なんでや?」
「真樹君と違って私たちの部屋狭くて寝るスペースがないの」
「リビングがあるだろ」
「女の子に床で寝ろなんてひどいこと言わないよね?」
「好きにしてくれ」
諦めてそういうと二人は俺をはさんで川の字を作ると目をとじてしまった。寝ようと格闘していると、両方から漂う女の子の匂いに包まれる。が幸せ気分で眠りに落ちていけるわけもなく、寝返りを打つと曜の顔が目の前にある。急いで反対を向くと千歌の顔が間近に。しかも着ているものが露出が高く谷間が見えてしまう。何でこいつノーブラなんだよ。
心の中でツッコミを入れて起き上がろうと状態を起こそうとするがうまく起き上がれない。見ると二人がシャツをしっかりつかんでいる。蛇の生殺し状態で夜明けを迎えたのは言うまでもない。
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