みかん少女とヨーソローな幼馴染が部屋にいる生活 作:すいーと
年末恐ろしい。小説を書く暇を与えてくれない。
そんなわけでだいぶ開いてしまいましたが今日からまた、がんばって更新していこうとおもします。
今年もよろしくお願いします。
「お大事にー」
受付のおばさんの営業トーンのセリフを背に、処方された薬をもって病院出る。フラフラな曜を支えるように肩を貸し、倒れないように少し強めに抱き寄せる。
服の上からでもわかる熱と汗。身体の日からがほぼ入らないのか足取りもかなり重めだ。
「ほらな、熱上がってきただろ?」
「うん、……、早く帰りたい」
俺の予想通り待ち時間の間に上がり始めた熱は診察の時にピークを迎えて、曜は今、風邪の猛威を受けていた。
声はだいぶ弱弱しく、顔もかなり赤い。
不幸なことに電話して呼んだタクシーはまだ到着しておらず、限界寸前の曜を待たせることになってしまう。
病院の中で待つことも考えたが、かなり混雑しているなか診察が終わった俺たちがいては迷惑になると思い外に出たのだ。
「もう少しでタクシー来るからそれまで我慢な」
「ううぅー。寒い」
まだ五月のはじめといってもこれでも17度ほどある。遠くに見える緑が暖かさをさらに引き立たせてくれている。
俺からすれば快適なぐらいため今日は薄いパーカーしか来ていない。
「仕方ないな。これ着とけ」
俺はパーカーを脱いで曜に被せた。なんだかテレビによく映る容疑者みたいだ。
「ありがとう」
「少しはましになったろ」
曜は素直にパーカーに袖を通すと、ファスナーを上まで閉める。サイズがあっていないのでぶかぶか。なんだか子供みたいだなんて思いながら見ていると、曜がパーカーのフードを被った。
「これ少しだけ真樹君の匂いがするね」
サイズがあっていないのでフードは完全に曜の顔を覆ってしまっている。きっと夜道で歩いていたら不審者あつかいされるだろう。
ここ最近曜にドキッとさせられることがなかったので完全な不意打ちを食らった。
「ちゃんと洗濯してるから変な匂いはしないと思うが」
顔が赤くなるのがわかる。幸い曜の顔はパーカーに隠れているから赤くなっていることがばれることはない。しかしそれは表情が見えないぶん素直になれると事でもある。
「ううん、ちゃんとするよ真樹君のやさしい匂いが」
弱ると人間素直になるという話はよく聞くけどこの破壊力はやばい。具体的には俺の精神が持たない。数々ラブホテルや風呂、添い寝とイベントを乗り越えて来た俺だが、 こういうナチュラルにと言われるが弱いのだ。雰囲気があれば平気なのだが。
その後お互い恥ずかしなり、タクシーが車で無言だった。
タクシーに乗り行き先を告げる。
問題なく走り出すタクシーの窓をなんとなく眺める。曜を見るのが恥ずかしいわけではけしてない。
「…………」
「……すぅーっ」
走り出して5分ほどして曜の寝息が聞こえて来た。運転手さんの反応を見るが、特に気にしている様子はない。
よくわからないラジオが無言の車内に流れること10分ほど。
「到着しましたよ」
「ありがとうございます」
料金を払うと曜を運ぶ。おぶることができないのでお姫様抱っこをするはめになった。心臓がいつもより激しく動いているのはきっと運動不足のせいだけではないと思う。
曜をベッドに寝かせると一旦先ほどから来ていたドキドキを静めるために、部屋の外へと出た。腕にはまだ曜の太ももの感触が残っている。
「よし、落ち着くには深呼吸が一番だろう。すぅー、はぁーーーっ」
「真樹君何してるの?」
「ぶっ、げほっごふっ。なんだ千歌か脅かすなよ」
「ん?」
深呼吸の息を吐いているときに声をかけられ盛大にむせると、千歌が不思議そうな顔をした。まぁ理由をわざわざ説明するのも恥ずかしいし、めんどくさいのでスルーしておく。
「ところで千歌は何でここに?」
「それなんだけど、真樹君に提案というか手伝ってほしいことがあって」
「なんだ?」
どうやらまだまだゴールデンウイークは波乱が続きそうだ。