みかん少女とヨーソローな幼馴染が部屋にいる生活   作:すいーと

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ネタ切れダメ絶対。
書き溜めていたストックが切れてしまい、1週間ほどネタ探しに奔走しており遅くなりました。
すいませんでした。

放置している間にUA40000、お気に入り350突破しました。ありがとうございます。



ゴールデンウイーク話その7

看病をすると意気込んで見たものの、千歌は残っている課題を片付けるために自室に戻ってしまい曜もかなり辛い状態なのか先ほどから一言もしゃべることなく、ただ静かに寝ている。つまりやることがないという状態だ。しんとした部屋に曜の寝息が淡々と聞こえてくる。まだ起きる気配はないし今のうちにしておくことを考えているとふと、とんでもないことを思い出した。

「そういえば徹夜してシャワーすら浴びてないよな」

 

 基本風呂やシャワーは寝る前に入るのが俺の生活スタイルなのでしばしば徹夜をすると忘れそうになる。普段と違う行動を取るとつい抜けてしまうことぐらいあるだろう。

 思い立ったら即行動の理念に従って、曜を起こさないようにシャワーを浴びることにした。自室戻り、タオルと着替えを手に持ち脱衣所に入るとかごに着替えを放り込む。それからタオル片手に風呂場に足を向ける。それから体温より少し熱いくらいシャワーを頭から浴びて、上から順番に洗っていく。運動不足によって少しだけ太った気がしなくもないが気のせいということにしよう。

シャワーから上がると曜の部屋に向かう。

 

「真樹君おはよーそろー」

 

「何とかギャグいえるぐらいには回復したのか?」

 

「ギャグじゃないんだけど……。それに少し楽になった程度だし」

 

「それなら病院行くぞ」

 

「え~病院? ヤダよ」

 

「子どもかっ」

 

「だってそんなにつらくないんだよ?」

 

 確かに寝たおかげか曜は少しだけ体調がよくなったように感じる。先ほどの会話すらつらい感じではない。だが風邪の厄介ところは何度かに分けて猛威を振るうところだ。昼に大丈夫で薬を飲まなかったりすると夜中高熱地獄を見せてくれやがるし、熱下がってきて明日から学校行けるって時にぶり返したりと風邪の性格の悪さはうちのおふくろといい勝負だ。

 

「つらくないのはいまだ気かもしれないだろ? これから熱が上がるかもしれない」

 

そんな地獄の苦しみから曜を救うためにもここは少しきつめに言ってでも病院行かせなければならない。

 

「うーん、そこまでいうなら仕方ないから病院ってあげるよ」

 

「なんだか偉そうだけどまぁいいや、行くならそれで」

 

「あっ……。でも外に出るならシャワー浴びたいな」

 

さすが女子だな。こんな時でも清潔を保とうするなんて。病気でも身だしなみを整える余裕があるのかと少し驚きはしたが、すぐに答えを返す。

 

「一人で何とかなるか?」

 

「うん、大丈夫。心配しすぎだよ」

 

よろよろ危ない足取りでタオルを手に風呂場へと消えていく曜を初めてのお使いに行かせる親のような気持ちで見送り、何かしていないと落ち着かないので、千歌の部屋を訪ねた。

 

「課題どうだ?」

 

「あとは送信するだけだよ」

 

「そうかじゃあ送信確認したら風呂場にいる曜の様子見てきてくれないか?」

 

「何でシャワー?」

 

「病院行く前にどうしても浴びたいって」

 

「えー、風邪の時のシャワーってよくないんじゃあ……」

 

「えっ? そうなのか?」

 

「どうだったっけ?」

 

「なんだよそれ」

 

 頭を使い疲れいつもよりあほになった千歌の言動にかき回されること数分して聞こえていたシャワーの音が止まって、扉が開く音が聞こえる。

 

「曜が上がったみたいだな」

 

「そうみたいだね」

 

「あっそういえば曜のやつ着替え持っていってないぞ」

 

「わかった、私が渡してくるから真樹君絶対覗いちゃだめだよ」

 

「ああ」

 

「いい絶対だからね」(フリ)

 

 よほど信用ないのか、高校時代覗かれた経験でもあるのかしつこいぐらいに念を押す千歌に黙ってうなずき、その背中を見送る。

ここで、どしようもない変態さんなら覗きに行くのかもしれないが、俺は誓ったことは守る主義の男なので動くことはない。

いやちょっとだけ覗きたい気持ちがないわけではいが、相手は病人なわけだし。あれ、今なら反撃ないんじゃね? 無駄なところで葛藤してるうちに着替えた曜とその手助けに行っていた千歌が戻ってきて、病院に行くことになった。

 

免許などもって持っていない俺たちは電車以外の移動手段といえば歩きしかない。

 

「さすがに歩きはちょっと辛いかな」

 

「真樹君免許持ってないの?」

 

「都会に住むんだからいらないと思って取らなかったんだよ」

 

「じゃあタクシー代は真樹君もちで」

 

「なんでだよっ!?」

 

千歌の横暴ともいえる発言に反射的にツッコミを入れてしまう。

「何となく?」

 

「あーもそれでいいや」

 

彼女のための出費だしこれぐらい安いものだと思い込み、やけくそ気味に叫んでタクシーを呼ぶ。今はスマホで簡単呼べてしまう。しばらくして来たタクシーの乗り込んだ。ダイエットも兼ねてバイトでも始めようかな。


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