みかん少女とヨーソローな幼馴染が部屋にいる生活 作:すいーと
ここ数日のUAの爆発はこれが原因だったみたいです。見たときは目を疑いましたが三回確認したのでたぶん夢ではないはずです。
皆様のおかげで一瞬の奇跡を見ることができましたありがとうございます。
これかもゆるーくのんびりやっていくつもりですのでよろしくお願いします。
曜に引っ張られるまま、ホテルに連れ込まれしまった俺は流れに流されるまま、曜に背中を流されていた。
「なぁ、曜? ここがラブホテルだからたぶんこれは正解なんだと思うんだけどさ、なにこの状況。おかしくないですか?」
「ここ1週間、ずーうぅぅぅぅっと千歌ちゃんとこそこそしてたよね? 仲良さそうに」
曜の不機嫌そうな声が後ろから聞こえてくる。
「それはさっき言ったろ、誕生日のためで――」
「わかってるよ。それでも、なんかムカつくのっ」
そういうと曜はボディスポンジを動かすスピードを速めた。強すぎず弱すぎず、汚れどころか疲れまで飛んでいきそうだ。時々揺れてあたる胸の感触が疲れをより飛ばしてくれる。本人いえばきっと殴り殺されるだろうが。俺は何とか入る前に、前を隠すを入手することができたので問題ないが、なぜか曜はタオルを巻いてこなかった。そのおかげで表面上は冷静に会話して言るが内心は気が気ではない。先ほどから壁に少しだけ反射した曜の体が、映ったり映らなかなったり。普段風呂場にある鏡など、何であるんだ? 邪魔だなんて言って全く見ないが、今ほど鏡がなくて恨めしことはない。
曜が動くたびに規則的に揺れる白く艶めかしそれを見ずにはいられない。むしろ全部見えないからこそ変な想像が膨らむ。3年で成長したなーとか。
拷問ような時間が過ぎ、背中にお湯がかかる。終わった。耐えきった。妙な達成感が俺を襲う。
「これで終わりか?」
「うーん。仕方ない今はこれくらいにしておくね。じゃあごゆっくりって後で私も入るんだけどね」
曜が去ったあと己荒ぶる精神を静めるために冷水シャワーを浴び、まだ洗っていないほかの部分を洗う。俺は基本風呂は長いほうではないので20分ほどで上がる。
置いてあったバスローブに着替え、曜と入れ替わるようにしてベッドに腰かけ、千歌に連絡をする。
「もしもし、千歌?」
『真樹君? 今どこ? よーちゃんもいないし』
「詳しいことは帰ってから話すが、ちょっと色々あって今日は家には帰れなくなった。曜もいる」
『えー。サプライズパーティーはどうなるの?』
「それは予定どおり頼む。たぶん10時には帰れる」
『わかった、帰ってきたらちゃんと説明してよっ』
「約束する」
千歌との通話を終えた俺は暇になり探検するようにホテルの設備を漁り出した。という風呂から聞こえる音が気になって落ち着いていられない。カラオケでもしてやろうかと考えたが、曜に変な奴だと思われても困る。テレビ、電話などのホテルではよく見る設備をさらっと流し見して冷蔵庫を開ける。
「うわっなんだこれ」
中身は自販機のように仕切られおり缶とペットボトルの飲み物が寝かせて入れてある。下にカップ焼きそば入っていた。
珍しい光景に少し驚いた声を上げた俺だが、固まったのも一瞬こと。
「風呂入ってのど乾いたしなんか買うか」
すぐにお茶を買い喉を潤した。渇いた体に染み渡るお茶。冷えていったこともあって、喉を通って行ったことがわかる。
「ペットボトルのお茶ってこんなにうまいんだな」
「真樹君なにしてるの」
お茶のうまさに感動していると、後ろから曜が声をかけ来た。
「喉渇いたからお茶飲んでたんだよ。風呂あがりだしな」
「私も飲みたい」
「何にするんだ? コーラ? オレンジジュース? ほかにもあるぞ?」
「じゃあこれ」
曜はそういうと俺の手からお茶を奪い取り容赦なく口をつけた。曜の喉が鳴るのを呆然と立ち尽くして見送った。
「今のって」
「間接キスだね」
さっきまで静かだった心臓が徐々に存在感を増す。何でこんなにドキドキしてんだ俺、曜は彼女だぞ? 自分の顔が赤くなっていくのがわかる。恥ずかしさで後ろを向いた
「だよな」
「真樹君もしかして照れてる? 日久しぶりに照れてるの見た。ちょっとだけこっち向いてみて?」
「断る。なんか恥ずかしいだろ」
「うーん。ならこうすればいいんだ」
そういうと曜は正面に回り込んだ。視界に曜の足が映りこむ。反射的に逆を向く。
「曜。今はマジ勘弁してくれ」
「1週間もさみしい思いさせられたし無理かな?」
顔をのぞき込む曜と俺の攻防はこの後5回ほど続き、ついに終わりを迎える。
「真樹君しょうがないから今回は諦めてあげる」
そういうと曜は俺の後ろに立った。これなら赤い顔を見られる心配はない。後ろに立っているのが気になるが諦めてくれるなら立ち位置など気にしない。
「そうか。助かった」
俺が油断したその時、曜は俺の肩を掴むと勢いよく俺を回転させた。
「あっ、おい――」
回転した先にあったのは曜の顔、しかも至近距離で。俺が言おうとした文句は最後まで音のなることはなかった。
――ちゅ。
数秒の短いキス。唇と唇が触れ合うだけの軽いキスだが、状況を理解した俺の顔は文字どうり火が出そうなほど赤くなっているだろう。
「これで1週間分はチャラにしてあげる。でも次はないよっ」
「照れるなら最初からやらなきゃいいのに」
「だって真樹君付き合って2週間立つのに私とはキスしてくれないんだもん」
「千歌とのあれは付き合う前だし、千歌酔ってたしノーカンだろ」
「したのは事実でしょ?」
「あーもう疲れた寝よう」
誤魔化すように俺はベットに潜りこんだ。
「ほら寝る前に歯磨かないと虫歯なるよ」
「そうだな」
話題がそれたことでベッドからはい出て歯を磨く。そしてようやく寝る準備が整うとベッドにダイブした。枕に頭をつけて横を向く。こうして寝た方が疲れが取れやすいんだとか。
「ところで何で曜までここでねてるんだ?」
「だってベッド一つしかないしそもそもここそういうホテルだし」
「そうだったな。うーっ寒い」
4月も半で暖かくなってきてはいるが、それでも夜は冷える。それにバスローブ1枚だ。
「ちょっと、布団持って来すぎだよっ。私も寒いだから。あっ、こうすればあったかいんじゃない?」
曜は俺の背中に張り付くぐらい密着した。曜の体温で確かに寒くはなくなったが、背中にあたる柔らかい2つの感触。贅肉のないお腹に太もも。色々な箇所が俺の体にあたって睡眠どころではない。
「確かに寒くはなくなったが寝づらくないか?」
「むしろ久しぶりに安心して眠れそうかも」
そんなことを言われてしまっては離れろと言えなくなる。心配かけた罪悪感ものこっている。
「そうか、それはよかった」
結局俺は朝が来るまで一睡もできなかった。ここからが曜の誕生日の本番だ。