みかん少女とヨーソローな幼馴染が部屋にいる生活   作:すいーと

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今回はわりと早めの更新です。



黒タイツと俺の欲望と思い

落ちつけ、落ち着くんだ。

ピンク色のどこか怪しげな照明に照らされたベッドに腰かけた俺は気持ちを落ち着けるために足を忙しなくゆすっていた。

心を乱しているのは先ほどから床を叩き続けている水音。千歌がシャワーを浴びている音だ。

 

さかのぼること数十分ほど前。

 

「ここラブホテルじゃないかーーーーっ!!」

 

俺の叫びは幸か不幸かカラオケマシンに演奏にかき消されていて二人とも反応しない。

 

「真樹君何言った?」

 

「いや……なんでもない」

 

 間奏中に聞き返してくる千歌に何とかごまかしの返答を告げると、ここが何をする場所かごまかそうと心に決めた。しかしこの天然みかん娘は俺の予想を遥かに超えて来る。

演奏が終了すると、数秒の沈黙が場を支配する。

 

「なんか歌ったら汗掻いちゃった」

 

「入り口すぐに風呂あるぞ」

 

馬鹿。俺の馬鹿。何言っちゃてんだよ。自分から地雷踏み抜き行ってどうすんだよ。

 

「そうなの? このカラオケボックス気が利いてるね。じゃあちょっと入ってこようかな?」

 

「ああ、そうだな……いいんじゃないか」

 

冷静を装ってできるだけ自然に返答をすると千歌が脱衣所に移動する。

 

「んしょ。う~ん汗で張り付いて脱げないーーっ」

 

 脱衣所から絶えず聞こえるスーツ格闘する千歌の声。そういえば大学からここまでノンストップで走って来たもんな。汗で張り付きうまく脱げないのか苛立ち交じりのうなり声まで聞こえてくる。

 

「曜ちゃん脱がすの手伝ってー。曜ちゃん?」

 

「これもかわいいっ。あっ、これもっ!! ここは天国なの?」

 

目を輝かせてレンタルコスプレ衣装のカタログに集中していて周りが全く聞こえていないようだ。

 

「真樹君~ちょっと来てー」

 

「はいはい」

 

千歌に呼ばれた俺はできるだけ軽い感じで風呂場のほうに向かった。

 

「これ脱がせて」

 

 脱衣所にはブラウスにスカート姿の千歌。上着を脱いでいて汗で少し透けていてオレンジ色の下着がうっすらと見える。平均より大きいそれに思わず見とれてしまう。ベッドのようなピンクの照明はないはずなのにどことなく艶めかしい雰囲気が漂ってくる。

 

「真樹君? どこ見てるの?」

 

「あっ、いやこれ脱がすだよな」

 

 自分の胸の前で腕を隠すように組み少し警戒するような目で俺を見る千歌。俺は慌ててタイツに手を伸ばした。

 

「きゃっ。座るからちょっと待って」

 

「あっわりい」

 

体育座りなったのを確認してから改めてタイツを剥がしにろうとする。

 

「真樹君? どうしたの早くしてよ」

 

「千歌スカート脱げ」

 

「いきなり何言い出すの変態!!」

 

「スカートが邪魔で脱がせないんだよ」

 

「あっ忘れてた」

 

 立ち上がると何のためらいもなくスカートに手をかける。数秒してストンっと軽い音を立てて床にスカートが落ちる。ところどころ色が濃くなっている黒いタイツ越しにブラと同じオレンジ色の下着がうっすら見える。色の濃い部分から見える下着は直接見るよりいけないものを見てしまっている背徳感をより強く感じてしまう。千歌の顔をまともに見ることができない。これが黒タイツの魔性の力なのか。

 

「じゃあ脱がすぞ」

 

「優しくお願いね」

 

 この部分だけ聞いた人がいたら誤解されそうだなとかとにかくどうでもいいことを考えながら任務と遂行していく。

 腰のあたりにあるタイツのゴムを引っ張り、指を入れる隙間を作ると千歌の肌を爪で傷つけないように注意をしながらゆっくりと脱がしていく。徐々にタイツから素肌切り替わっていく感じがたまらなくいい。完全に脱がせしまうと少し名残惜しさを感じながら退散していく。

無言でベッドに腰かけ今に至る。

 

しばらくすると曜が俺の隣に腰かける。

 

「真樹君。もしかして我慢してる?」

 

「なんのことだかさっぱり」

 

「誤魔化さなくていいよ見てればわかるよ。ここがどういうことする場所かわかるでしょ?」

 

 そっと俺の手を握る曜。耳まで赤くなってだいぶ勇気を振りぼったセリフだとわかる。だからこそ俺もしっかり返答しなければならない。

 

「曜。今はまだそういうことをする気はないよ。こういうことは大切にしたいからさ」

 

「そっか」

 

少しだけ残念そうな表情を浮かべると一呼吸おいて続ける。

 

「真樹君変わったね」

 

「え?」

 

「ほら、きっと中学までの真樹君なら今ので絶対堕ちてたじゃん」

 

「どうだろな」

 

「いやー絶対堕ちてた。だって中学の時の真樹君押しにすごい弱いもん」

 

「そんなことはないだろ」

 

「ううん。知ってるんだから。果南ちゃんによく頼まれて家の手伝いさせられてたの」

 

「懐かしいな」

 

 その後も千歌が戻ってくるまで昔話を続けて、何もないままホテルを出た。明日からの大学生活に不安を抱きながら。

 

 


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