みかん少女とヨーソローな幼馴染が部屋にいる生活 作:すいーと
キャンパス内をでたらめに走り、何とか外へと逃げ出すことが俺たち。だが熱狂的なファンというのは恐ろしいもんで外まで追ってきている。というか派手に逃げたおかげでさらにキャンパス内は大騒ぎになってしまい。某、逃げったら賞金がもらえるテレビ番組がたまにやるハンター100人放出状態になってしまっている。
何とか三人建物の隙間に身を隠してやり過ごそうと身を寄せ合いっている。
「真樹君どうしよう?」
「どうもこうもこのまま隠れるしかないだろ」
「今はそれでもいいけど明日からの大学生活の話だよっ」
狭いところで身を寄せ合っているのだから仕方ないとはいえ、吐息のかかる距離での会話はとてもこそばゆい。さらに小声で話しているから当然耳を近づけて会話しているから恥ずかしさも追加だ。かなり走って汗をかいてるはずなのに香ってくる匂いはそれを感じさせない。むしろみかんのようないい匂いが千歌の頭から絶えず発生している。シャンプーだけでこうも変わるものなのか。
「残念ながら対策は思いつかないな。というか何があったらあんな蜂の巣を刺激した人見たくなれるんだよ」
「えーとね、あの後ねトイレにいって手を洗ってるときに声をかけられてAquasの高海千歌さんですよね? って言われてうれしくてついそうですって答えたら声をかけてくれ子が大声で叫んで……」
「大丈夫だよ千歌ちゃん。真樹君が何とかしてくれるよ」
反省しているのかうつむく千歌を慰める曜。おい。ちょっと待て、人任せかよ。そうツッコミを入れようとしたところに人が通る。
「いたぞ! 高海千歌さんだ」
運悪くファンの人に見つかってしまい脱兎如く逃げ出していく。狭い路地を駆使して何とかビルとビルの隙間を縫うように進む。
「真樹君あそこの中に隠れよう」
「お、おう」
曜の指をさしたのは駐車場付きのビル。二人が先に入り、俺が最後に入る。中はフロントのようなところとエレベーターがあるだけで特に店や事務所的なものはないみたいだ。フロントの50は過ぎているであろうおばさんが営業スマイルのようなどこか優しい笑顔で俺たちを見ている。
ここは一体何だろうか? 俺が思考の海に潜ろうとしていると、フロントのばあさんと話していた千歌たちが振り返る。
「えー、どうしようか?」
「真樹君ちょっとー来てー」
「ん? なんだ」
「ここね、休憩できるんだって。それでどうかな? っと思って」
「いいんじゃないかべつに」
この時の俺を無性に殴りたくなるのはこの少しあとの事だった。
何も気づかなかった俺たちは係りのおばさんに促され、エレーベーターに乗り2階を押す。そして割り当てられた部屋の鍵を開けて中に入る。
開けてすぐなぜか洗面所と自動精算機なるものが配置されていた。奥に進むとやたら照明が配置されたベッド。どうしてあるのかわからないカラオケがあったりと謎は深まるばかりだ。というか何で部屋の中に自動精算機があるんだよまったくもって謎だ。
「わーっ広ーい。しかもベッド大きいし、カラオケもあるじゃん」
「制服がこんなにたくさんっ! これ頼んだらもってきてくれるのかなぁ」
「ここってまさか……」
千歌はベッドにダイブして曜は部屋に置いてある冊子を見て制服がどうとか言ってテンション上がりまくっている様子。カラオケ、コスプレ衣装、そして今まで誰ともすれ違わなかったこれだけヒントがあれば健全な少年ならここがどこだかわかってしまう。人生で一度ぐらいは彼女と入りたいと妄想をする。そうここは――。
「ここラブホテルじゃないかーーーーっ!!」
18歳の少年の絶叫が響き渡った。
皆様のおかげでとうとうお気に入り100を突破しました。目標としていたところに届いてしまいもう悔いはありません(嘘)。
思ったより早く行ってしまったのは事実で、記念話も考えておらずネタ探しに奔走しております。
なにはともあれこれからもギャグとネタとノリで構成しているこんなどうしようもない作品ですが楽しんでいただければ幸いです。