Fate/cross silent   作:ファルクラム

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第20話「飛び立つ時」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~ 参ったよ、ほんとに」

 

 一同に重苦しい空気が垂れこめる中、

 

 軽い調子で「あははー」と笑っているのは、英雄王ギルガメッシュ事、ギル君だった。

 

 突然のエインズワースの奇襲。

 

 敵首魁の登場。

 

 圧倒的なまでの敗北。

 

 そして、美遊の投降。

 

 一同にとってあまりにも衝撃的な事が一度に起きる中、この少年は暢気に昼飯を食いに行っていたというのだから呆れかえる。

 

「本人はあれで捻っているつもりなんだろうけど、まさか本当にチャーハンに麻婆が乗って出てきた時には笑っちゃったよ」

 

 能天気に昼飯の解説をするギルに、冷ややかな目を向ける一同。

 

 だが、そんな事はお構いなしにギルは続ける。

 

「次は餃子を頼んでみようと思うんだけど、中身が何か賭けてみない?」

「読みなさい、空気!!」

 

 ドKYを発揮するギルに、とうとうクロがツッコミを入れる。

 

 流石に、状況的に無神経すぎたようだ。

 

 とは言え、

 

 ギル自身、その事は自覚していたらしい。おちゃらけた態度は、彼なりの盛り上げ方だったのかもしれない。

 

 見事に失敗していたが。

 

「読みたくない空気が垂れ流されていたからね」

 

 そう言って肩を竦めた時、既にギルの眼差しには真剣な光がともっていた。

 

 どうやら彼自身、尋常ならざる事態が起こっていたであろうことは感じていたようだ。

 

「何があったんだい?」

 

 尋ねるギルに、事情を語り始めた。

 

 話を進めるうちに、流石のギルも驚いたのか、目を細めて嘆息した。

 

「・・・・・・いきなり大ボスの登場とはね。そんな事したら、それこそ物語が破綻しかねないだろうに」

「物語?」

 

 余り状況に似つかわしくない言葉を聞き、クロは首をかしげる。

 

 対して、ギルも肩を竦めて続けた。

 

「どうにも意味は判らないんだけど、エインズワースは『物語』とか『台本』にこだわっていて、そこから逸脱するのをひどく嫌うんだ」

「何それ、舞台でもやってるつもり?」

 

 不快そうに呟くクロ。

 

 何やら、自分たちまでエインズワースの手の中で踊らされているかのような物言いは癪だった。

 

「けど、その『台本』を一時的に破綻させてまで美遊ちゃんを取り戻しに来た辺り、エインズワース(向こう)も相当、焦り始めているみたいだね」

 

 確かに、一理ある話ではある。

 

 ダリウスが自ら称した通り、彼を「大ボス」と規定するならば、ダリウス自身の登場はもっと先になったはず。

 

 となるとギルが言ったように、エインズワースが焦りを見せ始めているのは、あながち間違いではないのかもしれない。

 

 言ってから、ギルは付け加える。

 

「わざわざ人の物を使ってまで、って話だから猶更だろうね」

「人の物って何よ?」

 

 首をかしげるクロに、ギルは肩を竦めて説明する。

 

「『ハデスの守り兜』さ。あれを使えば姿が消える上、結界もすり抜けられるからね。前回城に潜入した時に、美遊ちゃん達が落としてそのまま置いてきちゃったんだけど、どうやら、敵はそれを拾って使ったんだと思う」

 

 「ハデスの守り兜」とは、先のエインズワース城潜入の際に使った「身隠しの布」の事である。あの時は4人同時に潜入する為に布状にして使用したが、本来は頭にかぶって使う対人宝具である。

 

 成程、あの布を使って、バゼットの結界をすり抜けたのだとしたら、奇襲を許した事への説明もつくと言う物だった。

 

 まあ、今更分かったところで、完全に「後の祭り」なのだが。

 

「それより・・・・・・」

 

 バゼットは、話を建設的な方向に向けるべく、話題を変えてきた。

 

 悔やんでいても仕方がない。それよりも、今後の対策こそが重要だった。

 

「不可解なのはダリウスの異様な・・・・・・不可解なまでの強さです。三〇一秒の永久氷宮(アプレイック・ビューティ)や、黒玉皇に顔は無し(オーソリテリアン・パーソナリズム)と言う、正体不明の宝具に加え、こちらの攻撃を素手で弾くほどの実力。不気味としか言いようがありません」

 

 確かに。

 

 ダリウスはエインズワースの首魁と言うだけあって、圧倒的なまでの戦闘力と存在感だった。

 

 更に、

 

 彼の使う宝具もまた、強力だった。

 

 カラドボルグでも撃ち抜けない強力な氷結界である三〇一秒の永久氷宮(アプレイック・ビューティ)に、こちらの概念ごと地に叩き伏せる黒玉皇に顔は無し(オーソリテリアン・パーソナリズム)

 

 響、クロ、バゼットが3人で掛かっても傷一つ付けられなかったことからも、その存在が異様である事がうかがえる。

 

 だが、

 

 説明を聞いて、ギルは怪訝な面持ちになった。

 

三〇一秒の永久氷宮(アプレイック・ビューティ)? 黒玉皇に顔は無し(オーソリテリアン・パーソナリズム)? 何それ? そんな宝具、僕は知らないんだけど?」

「そりゃ、あんただって知らない宝具くらいあるでしょ」

 

 ギルの言葉を聞いて、呆れたように肩を竦めたのはクロだった。

 

 世に星の数ほど英霊がおり、1人1人に由来する宝具があるのだ。中にはギルが知らない宝具があっても不思議ではないと思う。

 

 だが、

 

「木っ端な宝具ならね」

 

 さもありなんと、ギルは肩を竦める。

 

「けど、僕は殆ど全ての宝具の原点を持っている。黄金の都にある宝物庫にね。あらゆる宝具は原点から流れてなった物なんだ。自慢じゃないけど、現代に伝わるほど名のある宝具は全て、元を正せば僕の物なんだよ」

 

 「世界最古の英雄王」の異名は伊達ではない、と言う事だろう。

 

 ギルの宝具である「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」は、そうした宝具で溢れているのだ。

 

「その僕が『知らない』と言っている。それが本当に宝具なら、いったいどこの出典なんだい?」

「こっちが聞きたいわよ・・・・・・それを打ち破った、田中の事も含めてね」

 

 クロは言いながら、ベッドの方へと目を向けた。

 

 保健室のベッドの上には今、田中が幸せそうな顔で寝息を立てていた。

 

 謎の力でダリウスの宝具を打ち破った田中は、その直後に倒れて、そのまま寝入ってしまった。

 

 呼吸は安定しているので命に別状等は無いと思われるが、状況が状況だけに心配でもある。

 

 ところで、

 

「ねえ、この部屋熱くない? ストーブ強すぎだよ」

 

 抗議するように言いながら、ギルは胸元をパタパタとはたく。

 

 確かに、ただ話をしているだけで、ムッとするような熱気を感じるほど、室内の温度は高くなっていた。

 

 いくら冬でも、これは無いだろう、とギルは思うのだが。

 

「・・・・・・ストーブは、点けてないわ」

 

 嘆息交じりに言いながら、クロは再び田中の方へ目をやった。

 

「熱いのは、田中の身体よ。まるで焼けた石のようだわ」

 

 クロの言うとおりだった。

 

 戦いが終わって倒れた田中をこの保健室まで運んだのだが、直後から田中の体温は急激に上昇していった。

 

 今では迂闊に障る事も出来ないくらいである。

 

 なぜ、このような事になっているのか?

 

 何にしても、田中について、また一つ謎が増えた形だった。

 

「ところで、さっきから気になってたんだけど・・・・・・・・・・・・」

 

 ギルは周囲を見回しながら言った。

 

 今更ながら、ある事に気が付いたのだ。

 

「響はどうしたの? さっきから姿が見えないんだけど」

 

 言われて、バゼットとクロも周囲を見回す。

 

 しかし、少年の姿はどこにもない。

 

「おかしいですね。さっきまでは確かにいたはずなのですが」

 

 そう言って首をかしげるバゼット。

 

 いったい、響はどこに行ったのか?

 

 そこで、

 

「・・・・・・・・・・・・ちょっと待って」

 

 更に、クロは気付いた。

 

 本来、この場にいるはずの者がもう1人、姿が見えない事に。

 

 そこから導かれる答え。

 

 何しろ彼、

 

 否、2人そろって立派な「前科」がある訳で・・・・・・

 

「まさかッ!?」

 

 驚愕と共に、クロは叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部屋の外から見える景色は温かく、どこか春の陽気を感じさせる。

 

 ここが、敵地だと言う事を忘れてしまいそうになるほど、平和な光景だった。

 

 しかし、

 

「それでも・・・・・・・・・・・・」

 

 ガラスに手をやりながら、イリヤは嘆息する。

 

 いかに平和そうに見えていても、ここが敵地であり、自分は籠の鳥である事を自覚せざるを得なかった。

 

 ここに閉じ込められて既に何日が経過した事か。

 

 ある程度の自由は認められているとはいえ、敵に捕らわれてるという事実に変わりはない。

 

 イリヤの精神は、日に日に削り取られて行っているのだ。

 

 更に、それだけではない。

 

「・・・・・・結局、何も見つけられなかった」

 

 ベッドの上に体育座りしながら、ここ数日の徒労を思い、イリヤは深々とため息をつく。

 

 城の中をさ迷う事数日。行ける範囲であらゆる場所を調べつくしたが結局、脱出に繋がるような物は、何一つとして見つける事が出来なかった。

 

 エインズワース側もバカではない。わざわざ監禁している人物を、自由に野放しにしておいたりはしないだろう。重要な部分に関しては、イリヤが触れられないように隔離してあるのだ。

 

「何だか、これじゃあ本当に私が馬鹿みたいだよ」

 

 もう一度、ため息を吐く。

 

 打つ手が完全になくなって来たイリヤ。このままでは本格的に、誰かが助けに来てくれるのを待つしかない事になりかねない。

 

 いや、そもそも、

 

「ひょっとして・・・・・・・・・・・・」

 

 イリヤは、今まで努めて考えないようにしていた可能性が脳裏をよぎった。

 

 すなわち、このまま誰も助けに来ず、この城で一生幽閉されたまま過ごす、という未来。

 

 そんな事になったら、本当に絶望的である。

 

「うう~ 美遊・・・・・・クロ・・・・・・ヒビキ・・・・・・」

 

 悲し気な声が漏れ出た。

 

 もう、ここから出られないのか?

 

 みんなにはもう、会えないのか?

 

 膝の間に顔をうずめるイリヤ。

 

 思考がどんどん、ネガティブな方向に落ちていくのを止められない。

 

 もう、だめかもしれない。

 

 そう思った。

 

 その時、

 

 ガタガタッ ガタガタッ

 

「え?」

 

 突然の物音に、顔を上げるイリヤ。

 

 音は尚も続き、さらに大きくなっていく。

 

「な、何ッ!?」

 

 いったい、何が起こっているのか?

 

 まさか、いよいよエインズワースが自分の命を狙ってやってきたのだろうか?

 

 そんな事を考えながら、そっと音の出所を探る。

 

「・・・・・・・・・・・・上?」

 

 そう呟いて天井を見上げた。

 

 次の瞬間、

 

 突如、天井方向から飛んできた何かが、イリヤの眼前に飛び込んで来た。

 

「んなッ!?」

 

 驚くイリヤ。

 

 そのまま避ける間もなく、飛んできた何かに顔面を直撃され、ベッドのにひっくり返っってしまった。

 

「~~~~~~~~~~~~ッッッ!?」

 

 あまりと言えば、あまりな事態。

 

 しばし、鼻っ面を押さえて悶絶するイリヤ。

 

「うう~ 何なの~?」

 

 ようやく落ち着いたところで、顔を上げるイリヤ。

 

 いったい、何が起きたというのか?

 

 と、

 

《まさか、このような場所に出てしまうとは。いったい、この城の構造はどうなっているのでしょう・・・・・・》

 

 不意に聞こえてくる声。

 

 懐かしさすら感じるその声に、視線を向けるイリヤ。

 

 果たしてそこには、

 

 見覚えのある六芒星が、フヨフヨと空中に浮かんでいるのが見えた。

 

「《・・・・・・あ》」

 

 2人同時に声を上げる。

 

 次の瞬間、

 

「サ、サファイア!?」

《イリヤ様!?》

 

 ルビーの妹であり、親友の相方でもある魔法のステッキが、視界の中でフヨフヨと浮かんでいた。

 

 その姿に、

 

「ッ ・・・・・・・・・・・・」

 

 思わずイリヤは、落涙を禁じえなかった。

 

 異世界に飛ばされ、敵の手に落ち、監禁される毎日。

 

 日々、脱出を目指す中で徒労を繰り返し、疲弊しつくしたイリヤ。

 

 そんな中で、サファイアは初めてイリヤの前に現れた「味方」だった。

 

《ああ、イリヤ様、泣かないでください。私が来たからには、もう大丈夫ですから》

 

 泣き崩れるイリヤに、サファイアはオロオロとした調子でなだめる。

 

 その魔術礼装の声に、イリヤは久しく味わっていなかった温もりを覚えるのだった。

 

 

 

 

 

 その後、

 

 どうにか落ち着きを取り戻したイリヤは、ようやくサファイアから事情を聞く事が出来た。

 

 それによるとサファイアは、この世界に来た当初に美遊とはぐれてしまい、暫くは凛やルヴィアと行動を共にしていたらしい。

 

 しかしエインズワース側の襲撃を受け、凛とルヴィアが捕まってしまった後、それに密かに便乗して城の中に潜入を果たしたのだという。

 

 しかし、潜入したまでは良かったものの、敵が敷いた迷宮区に迷い込んでしまい、そのまま出られなくなってしまったらしい。

 

 ここ数日は、迷宮区からの脱出に費やされていたらしい。

 

「いやー まさかこんな所でサファイアと再会できるとは思っていなかったよ」

《それは私も同じです。敵の会話から、この塔に誰かが囚われているのは知っていましたが、それがまさかイリヤ様だったとは》

 

 ささやかながら、再会を喜び合う2人。

 

 まさにお互い、地獄に仏と言ったところだろうか。

 

 ともかく、ここで合流できたのは本当に僥倖だった。

 

「それで、凛さんとルヴィアさんはどうしたのか判る?」

 

 気になる所はそこだった。

 

 凛やルヴィアが捕まっているなら、どうにかして合流して救出したい所だった。

 

 しかし、返って来たサファイアの答えは、言うまでもなく芳しい物ではなかった。

 

《残念ながら》

 

 サファイアは嘆息交じりに告げた。

 

 2人が敵に捕らわれ、今はまるで操り人形のようにされている事。

 

 そして、エインズワース側にメイドとしてこき使われている事などを説明した。

 

《しかし、全くと言って良いほど用を成しておらず、その有様はあまりにも無様で情けなく見るに忍びないほど。まさしく『役立たず』としか言いようがありませんでした》

「そ、そうなんだ」

 

 凛とルヴィアをぼろくそに言うサファイアに、イリヤは乾いた笑いを返すしかない。

 

 丁寧な物腰でも、ここら辺はやっぱり「ルビーの妹」だろう。口調が丁寧な分、より辛らつに聞こえる。

 

 その時だった。

 

 階下で扉が開く音が聞こえ、同時に石造りの階段を上がってくる音が聞こえてきた。

 

 その足音から、イリヤは誰が来たか悟る。

 

「やばッ アンジェリカさんだ!?」

 

 この城でイリヤの世話係を務めているアンジェリカは、日に何度か食事を運ぶためにやってくる。

 

 どうやら、話し込んでいる内に、昼食の時間が近づいていたらしかった。

 

「ま、まずいよ、サファイア、いったんどこかに隠れて!!」

 

 そう言いながら、周囲を見回すイリヤ。

 

 サファイアは小さい。その気になれば、どこにでも隠れる事ができるだろう。

 

 だが、

 

《いいえ、イリヤ様》

 

 きっぱりとした口調で告げるとサファイアは、柄の部分を展開しステッキモードになる。

 

「サファイア、何を?」

《私を手に取ってくださいイリヤ様。このまま脱出しましょう》

 

 その言葉に、イリヤはハッとする。

 

 今、自分が置かれている現状。

 

 今までは確かに、脱出手段は無かった。

 

 だが今は?

 

 今ならば、サファイアがいる。戦う手段がある。

 

 脱出する事も、不可能ではない。

 

《私もイリヤさんも、1人では戦えません。しかし、2人なら》

「・・・・・・・・・・・・うん」

 

 促されるまま、手を伸ばすイリヤ。

 

 その手が、サファイアの柄をはっきりと掴んだ。

 

 次の瞬間、

 

 眩い光が、少女の姿を包み込んだ。

 

 あふれ出る輝き。

 

 懐かしさすら感じるぬくもり。

 

 その中で、イリヤの姿は変化していく。

 

 エインズワースから渡されたドレス衣装から、可憐な魔法少女姿へと。

 

 青く裾の長い、ピッタリとしたレオタードに、白いミニスカート。お腹の部分は大胆に開き、可愛らしいおへそが露出している。

 

 蝶の髪留めが長い髪をポニーテールに纏め、背中には白いマントが覆う。

 

 まさに、可憐な妖精と言った感じの姿。

 

 全体的に露出は高めだが、魔法少女(カレイド・サファイア)姿の美遊の特徴が、そのまま受け継がれている。

 

「ありがとう、サファイア」

 

 イリヤは自身の手の中にあるステッキに語り掛ける。

 

「おかげで、私も戦える」

《お礼を言うのはこちらの方です、イリヤ様。私も1人では、どうしようもありませんでしたから》

 

 少女とステッキが揃ってこその魔法少女。

 

 囚われの身に過ぎなかった少女は今、ようやく戦う力を持つに至った。

 

《それからイリヤ様、これを》

「え、これって・・・・・・・・・・・・」

 

 サファイアが差し出した物を、受け取るイリヤ。

 

 それはイリヤにとっても、見慣れた代物。

 

 だが、同時に初めて見るタイプの物でもあった。

 

《城の中をさ迷っている時に見つけ、何かの役に立つと思い拾っておきました。どうぞ、お役立てください》

「うん、わかった、ありがとう」

 

 イリヤが頷いた時だった。

 

「イリヤスフィール様、どうかされましたか? 先程の光はいったい・・・・・・・・・・・・」

 

 階段を上がって来たアンジェリカと、視線が合った。

 

 同時に、女性の目が見開かれる。

 

「その姿はッ!?」

 

 対して、

 

「ごめんなさい、アンジェリカさん」

 

 イリヤも、真っすぐに見据えて言った。

 

「あなた達にも、何か事情があるんだろうけど、私も譲る訳にはいかないから」

 

 そう言い放つと、手にしたサファイアを振り翳した。

 

 

 

 

 

第20話「飛び立つ時」      終わり

 


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