やはり猫が可愛いのは間違っていない。   作:如月の夢

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なんかなぁ


猫の歌は心に

幕は上がる、前川の表情は、さすがアイドル。

すごく自然な笑みを浮かべている。

周りの席は、可愛いと口々にする。

俺も、同じく目を奪われる。

そして、

「みんなー、見に来てくれてありがとう!」

「「「「「おぉおお」」」」」

湧き上がる体育館。

「今日のこのライブは特別!」

?と会場の人々は疑問を浮かべる。

「すぅーはー」

突然、深呼吸をする前川。そして

「ひーくん!!!」

ビクッと体が跳ね上がる。

何やってるんだあいつ…

「この歌を、この気持ちを受け取るんだにゃ!!!」

「え?……」

戸惑う俺を他所に、カッカッとリズムが取られる。

そして、歌が始まった。

 

 

 

「今、瞬間を生きる君に、この唄を贈ろう

下ばっかり向いてる今の君に…」

 

 

その歌は心に響く。

歌詞が、気持ちが伝わってくる。

 

曲が終盤に入る頃、俺は泣いていた。

 

「いつも頑張る君だから 本当頑張りすぎる君だから

もう頑張らなくていい たまにはズルだってすればいい

不器用にしか生きれない君の生き方が好きさ

笑った時のその瞳が 僕は本当に好きだよ」

 

 

それは、心が救われていくようだった。

 

 

「だから君よ 独りで苦しまないで。」

 

 

歌い上げた前川は、満足そうにこっちを向き、ウインクをしてきた。

 

「彼女の気持ちに、答えないのか?」

「まだだ、ダメなんだよ」

「そうかな、ただしかし、気持ちは受け止めるべきだよ。」

 

お前に言われなくてもわかる……

「うっせ。」

もう気持ちは抑えきれない…

「前川ぁあ!」

ステージから、退散しようとしていた動きが止まる。

「お前がいるなら、俺は笑って居られる。だから隣にいさせてくれ!」

前川は振り返るが、顔がうまく見えない。

そのまま、ステージから降り、目の前にやってくる。

「ま、前川?」

「よ…」

「ん?」

「よがっだぁぁあ」

突然、泣きながら抱きついてくる。

「うぉっ、」

「ごわがっだよぉ、振られるかと思ったよ…」

「ありがとうな、唄、凄かったぞ。」

「うん」

「お前の隣を歩けるように、色々頑張ったんだ。」

「うん」

「本当は、またまだのつもりなんだ。

けど、抑えきれなかった。」

「うん」

「前川みくさん、俺と付き合ってください。」

「喜んで!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日談だが、文化祭が終わってからというもの、平塚先生が泣きながら、成長に感動したと言ってきた。

葉山や戸部から祝福され。

戸塚が跳ねて喜んだ、眼福…

他の生徒からも、羨まし、リア充は死ね。などと、口々に言われた。

人の悪口はいうもんじゃねぇ、そう学習した日だった。

 

 

 

そんなことを思い出しながら、アルバムを閉じる。

あれから15年は経った。

「お父さん、何してるの?」

と娘がやってきた、アホ毛は当然のごとく遺伝した。

比企谷家の血筋よ、それで良いのか。

「ん?あぁ、俺が高校生の時のアルバムを見つけてな。」

「本当?お母さんどれ!」

「これだな」

「眼鏡かけてるの?」

「そうだな、学校では、変装なんだにゃ!とか言ってたっけな。」

「変装?」

「そっか、お前には言ってなかったな。」

「どういうこと?」

「お前のお母さんは、昔アイドルだったんだよ」

「えぇ!?」

「ひーくんの隣にいるためには、アイドルなんて邪魔だー、なんて言い出してな?大変だったんだぞ。」

「どんだけ、お父さんのことが好きなんだ……」

「まぁ結局、大学出るまでは続けたんだがな。」

「なんでお母さんを好きになったの?」

「あいつのおかげで、生き方が変わったんだよ。」

「生き方?」

「あぁ、高2までの俺からしたら、未だに葉山や戸部達と関わってるなんて、考えられないだろうな。」

「すごく仲いいのに、信じられない…」

「まぁ、そんなもんさ。」

「じゃあお母さんは、お父さんの救世主なのかな。」

「救世主ねぇ。」

と過去に思いふけってると

「ご飯できたよー」

「じゃあ、お母さんが呼んでいるから、行くか」

「うん。私にも、そんな人生を変えてくれる人が、現れるかな?」

「候補がいたら、名前を教えろ、お父さんシメに行かなきゃ。」

「過保護過ぎる……」

「当然だ」

そんなやり取りをしながら、リビングのドアを開ける。

そこには、ニコニコした妻の顔。

あぁ

やはり猫が可愛いのは間違っていない。




なんか、滑り込みみたいな終りになってしまいました。
まぁでも、頑張ったつもりです。


作品中の曲ですが。

アーティスト ひいらぎ
曲名 今、このとき


です。夏目友人帳 肆 のOPに使われた曲ですね。
歌詞を全部使う訳には行かなかったので、省きまくりましたが、結構いい曲なので、是非聴いてみてください。


それでは、
やはり猫が可愛いのは間違っていない。
ここまで、稚拙な文に付き合っていただき、ありがとうございました!

次、何を書こう……

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