ラブライブ!サンシャイン!! ~平凡な高校生に訪れた奇跡~ 作:syogo
ここから、何話かに分けて入学式編をお送りします。
………い、痛いぃぃ。
4月7日、午前7時。
今日は浦の星女学院の入学式だ。新学期、しかも、新しい学校。大体、漫画とかドラマとかだと、「期待と不安を胸に抱きながら…」とかいう心情なところなのだが…。
それどころじゃない。
現在、俺はベッドの上でぐったりとしている。…そう、筋肉痛だ。しかも、全身。
昨日、俺は自分の不注意により今まで走った事のないレベルの距離を、自分が出せるだけの早さで走った。
俺は小、中と卓球部だった。…そんな奴がそんな事したらどうなるか?…そう、こうなる。
しかも、走っただけなのになぜか上半身まで筋肉痛というおまけ付き。
「や、ヤバい…。冗談抜きで動けねぇ…。」
昨日、寝る前から覚悟はしていたのだが。…まさか、こんなレベルの痛みだとは思わなかった。今までの中で1、2を争うレベルだ。
「せ、せめて、カーテンを……ぐふっ。」
1歩も動けない中、美渡さんが起こしに来るまで何もできない俺なのであった…。
………
「……だ、だいじょうぶ?翔くん。」
…なんとかバスに乗ることができた俺と千歌ちゃん。一番後ろにだら~っと座る俺に、隣に座っている千歌ちゃんが声を掛けてくる。
「お、おう…、なんとか…。」
バスの中には俺たち以外誰もいない。…さすが、田舎といったところか。バスで座れなくなる、ということはこの先もなさそうだな。
傍から見ると、俺の座り方はすげぇ態度がデカイ奴に見えるかもしれないが、…どうせ誰もいないのだ、今のうちに体力を戻しとこう。
ちなみに、さっきまで全く動けなかった俺がどーやって車内までこれたのかというと……。「美渡流 筋肉回復ストレッチ」とかいうやつをやってもらったからである。 ……思い出すだけで怖い。
…確かに、動けるようにはなったが。一つ一つのストレッチ毎に、俺の悲鳴が近所に響き渡っていたのは言うまでもない。(ちなみに、その悲鳴で千歌ちゃんが起きた、というのは別のお話)
…と、俺は新たな環境に思いを馳せる余裕もなく、バスは浦女に向けて海岸通りを走って行くのだった。
「………つ、ついた…。」
ヨロヨロと坂を登り切る俺。道中で拾った木の棒を杖代わりに突きながら、「私立 浦の星女学院」の正門をくぐる。時刻は…、あぶねぇ、ギリギリだ。
ちなみに、千歌ちゃんはいない。俺に合わせていると遅刻してしまうかもしれないし、俺はまず理事長室に行くことになっていたので、千歌ちゃんを先に行かせたのだ。 …正解だ、ナイス判断。俺。
玄関で靴をスリッパに履き替える。…ん?なんで上履きじゃないかって?
それは、昨日の夜に遡る。
「……そういえば、俺、明日どーすりゃいいんだ!?学校の場所しか分かってねぇぞ!?制服は!?上履きは!?体操着はぁぁ!?」
…と、前日に気づいた俺。 ……が。
まるでそれを見透かしたかのようなタイミングで電話が。…鞠莉さんだった。
「Good evening! 1週間ぶりね♡元気にしてた?」
「鞠莉さん!ちょうど良かった!!」
「そろそろお困りかと思って♡色々あるんじゃない?」
ぐあ、先読みされてた。
「俺、制服とか、色々ないんですよ。…大体、何着て行けばいいんですか?男子用の制服、ないでしょう?」
「Oh~!それはノープロブレムよ! …翔クンには、セーラー服を着てもらうもの♡」
「は!?嘘ですよね!?」
「うん、嘘よ♡」
………この人、俺で遊んでるな。
「まあ、冗談はこのくらいにして…。明日は学校に来たら、まず理事長室に来て? そこであなたの制服とか、色々渡すわ♡」
「は、はい。解りました。」
「じゃあ、明日会いましょう♡オヤスミ~」
…ということなのだ。
だから、俺は今手ぶら+私服。傍から見たらただの不審者だ。…だからだろうか、坂を上ってるあたりから周りの視線が痛いのは。
「まぁ、男がいるってだけで珍しいもんな…。 …早く理事長室行こ。」
そそくさと、理事長室に向かうのであった…。
理事長室は案外すぐに見つかった。
恐る恐るノックをしてみる。 …返事がない。
「し、失礼しまーす…。」
ガチャ。 中に入った。
…おお、The 理事長室って感じだ。
下には高そうなカーペットが敷かれ、左右には本棚がずらっと。正面には窓が一面で、高そうな机と椅子。
その椅子に、鞠莉さんが座っていた。
「チャオ!1週間ぶりね♡翔クン?」
1シュウカンブリデスネ
次回、お楽しみに。