ラブライブ!サンシャイン!! ~平凡な高校生に訪れた奇跡~ 作:syogo
まずは言わせて下さい。
本当にすみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
…はい。言い訳はございません。単純に書く暇と構想が全くなかっただけです。
この空白の3ヶ月、いろんなことがありました…。
2ndライブツアーも全公演行きましたし、アニメももちろん見ていますし、T-SPOOK、上映会(今日行きます)、さらにファンミももろもろ行く予定です。
この3ヶ月で、サンシャインのことをさらに深く知れたと思うので、これを糧に執筆していきたいと思ってます…。
相変わらずお待たせしてしまうかもしれませんが、お待ちいただけると幸いです。
それでは本編をどうぞ。
第29話 ~芽生えた感情。気づいた感情。~
___合宿が終了してから、3週間が経った。
部活のことで忙しく、全く触れていなかったが、合宿終了後すぐにあった中間テストもなんとか乗り切る事も成功。来るべき今月末、というか今週末にあるライブに向けて、メンバー一丸となって練習を重ねている。
「ワン、ツー、スリー、フォー…。……はい、ストップ!花丸ちゃん、ちょっと遅れ気味だね。梨子ちゃん、ステップが小さい!もっと自信持って!善子ちゃんは、逆にちょっと早いよ!」
「ヨハネよ!」
…と、西日に照らされて輝く海の水面を背中に、今日も砂浜で練習。本当は学院内で手ごろな場所があればよかったのだが、正式に部活に認められていない俺たちに、割り当てられている場所は無い。
という訳で、毎日放課後になるやすぐにバスに飛び乗り、十千万の前の砂浜でダンス、発声、筋トレ等を日が落ちるまで。…ここが有名な観光地で真夏のシーズン中、とかなら恐らくここも使えなかったのだろうが、ここは超田舎の、さらにシーズンオフ中。人などいるわけもないため、遠慮することなく毎日ここを使用している。
「うん、良い感じだよ!ルビィちゃん。そう、その感じ!いいね、花丸ちゃん。リズムが戻ってきてる!」
今はダンスのステップ確認中。曜がほかのみんなの振りを確認し、各々に修正を促す__という状況で、曜の隣に立ちみんなのステップを一緒に眺めながら、俺はその中心である彼女を横目でちら、とみる。
…この3週間、俺は彼女に驚きっぱなしだった。
天才肌__というのはこういう事なのだろう。ダンスの振り付けを誰よりも早く…、というか2~3回やっただけで覚え、踊りも素人ではないだろ!?と言いたくなるほどのキレ。さらに歌唱の方も才能があったようで、ダンスと合わせながらでも全く声がブレることなく、安定した綺麗な歌声。……おまけに、ライブの時の衣装も「あ、私裁縫できるから、作っちゃうよ~。」とのこと。とどめに、衣装のスケッチをその翌日には大量に描きあげ、「どれがいい?」とか言い出す始末。
ダンス、歌の時までは「運動できるって、いいなぁ」くらいの軽い気持ちだった(軽い、と言っても大分驚いてはいたのだが)のだが、「衣装を作る」発言から、翌日にスケッチの紙束をバサバサと広げてきたときは、流石に開いた口が塞がらなかった。…ちなみに、その衣装は既に完成済みらしい。仕事出来過ぎだろ…。
そんな俺の眼差しには全く気付かないまま、曜は横一列の中心で踊っている__千歌に声を掛けていた。
「千歌ちゃん!全体的に細かいミスが多いよ!一モーション一モーション、丁寧にね!」
「う…、うん!」
その人物の名前を聞いた瞬間___ドキリと胸の鼓動が一瞬加速する。
…もう3週間。流石に過敏な反応はしまいと思っていたんだけどな…と軽く頭を掻きながら、目の前で踊っている彼女の方に視線を移す。
その俺の視線に気づくことも無く、真剣な表情でステップを踏む千歌。頭のてっぺんにあるアホ毛を揺らしながらのその様子は、まるで俺との事など一ミリも悩んでいないような、そんな印象に見える。
「少し…、考えさせてくれないか。」
合宿の最終日。涙ながらの千歌の告白をそうやって受け流してから、もう3週間。
自分でも、この返事が最低なものだったというのは、重々理解している。『悩む』というのは、決めかねている、という事と同意義で、言い方を変えると『好きという感情はないが、付き合ってもいいかな』というような、いわばキープ。上から目線な、それでいて最低な事だと思われても可笑しくない事だからだ。
本来、返事を待たせるなんてことはあってはならない事だと個人的には思っている。返事を「考える」時点で、それはもう「好きではない」事と、一緒だと思うから。
しかし、俺はその行為をしてしまった。相手を待たせる事、キープ行為と言っても違わないだろう。それも3週間も。
…だが、その最低な事をしていると解っていて尚、俺は答えを出せないでいるのだ。
先程の通り、『悩んでいる』時点で、『好きではない』のだと、心の中では思っている。…しかし、「本当にそうなのか?」と言うもう一人の自分が、そう結論付けるのを妨げている。
現に、この3週間の間、俺は千歌の事ばかりを見ていた気がする。…それは、告白されたから意識しだした、という後付けの思いなのかもしれないが。……いや。思い返すと…、そうじゃない。
あの告白を境に、彼女への見方が変わっただけで。十千万に居候になり始めた時から、俺は彼女の事を見続けていたのだ……。
「だとすると。…結局、俺は。千歌の事を……。」
「よーしっ!それじゃあ今日はこのくらいにしておこっか!」
そんな俺の考えを遮るかのごとく、曜の声が砂浜に響き渡る。その言葉が言い終わるや否や「疲れたずらぁ。」「も、もう動けないぃ…。」「こ、この程度で私の冥界の門は閉ざされない…。」と1年生'sが口々に疲労を嘆きながら俺の方へとやって来る。1度思考を中断した俺はみんなにタオルと飲み物を渡しながら、「お疲れさん。」と労いの言葉を送る。
「はぁぁぁ…。今日もはーどだったずら…。」
「でも、中々いい感じに動けるようになってきたんじゃないか?最初の頃からは、見違えるようだぞ。」
「そうよ。花丸ちゃんは頑張ってるから、自信もって大丈夫よ。」
そんな花丸ちゃんの肩にぽん、と手を置き、柔らかい表情で現れた梨子。俺はすかさず梨子にもタオルと飲み物を渡す。
「……なんか、まだ怖がってない?」
「気のせいに決まってるじゃないですか桜内先輩。」
「………。」
流れる沈黙。ちら、と梨子を見ると、案の定ジト目で俺の方を見ている。…何度も言っていると思うが、別に怖がってる訳じゃない。何となく、梨子から溢れてるオーラのようなものが俺をこの様にしているのだ。多分。
「なーに?また梨子ちゃんのこと怒らせたの翔くん?」
そんな俺たちの間にぴょこん、と入ってきたみかん色の少女。その瞬間、またドキリと胸が高鳴るが、それを表情に出さないように気をつけながら、いつも通りの自分を振舞う。
「…いや、そんな事ないない。俺と梨子は仲良し。はははは。」
「すっごく不自然なんですけど…」
俺の精一杯の「いつも通りの対応」は、簡単に梨子に不自然がられる。
俳優には絶対なれないな…、と内心思いつつ、しかし何とか表情だけはこわばらずになっていたらしく、千歌は特に気にしてはいないようだった。
…しかし、何故千歌はこんなにもいつも通りでいられるのだろうか。
あの告白の次の日から、今までも全く変わりようのない様子に不思議がりながら、しかしそのいつも通りの振る舞いをしてくれているおかげで若干の気まずさを感じながらもやってこれているのでそこは本当に感謝しかないのだ…。
だが、気のせいかもしれないが…、あの告白の瞬間から、千歌の俺を見る表情が違って見える時がある。
「…じゃあ、今日はこれで解散ってことで!さっ、梨子ちゃん、翔くん、かえろかえろ!」
そう、今の千歌の表情のように。
「………。」
………
「翔君…。ちょっといいかな。」
帰路に着く直前の、十千万の敷地の少し手前。梨子とのいつもの分かれ道で、彼女は唐突に俺を呼び止めた。
「ん?なんだ梨子?」
「どしたの梨子ちゃん?」
その声で足を止める俺と千歌。梨子を見ると、特に別段変わったこともなさそうな様子なのだが…。
「ごめんね、ちょっと翔君にだけお話があるの。千歌ちゃんは先に帰っててもらえる?」
「『俺だけ』に…?」
というイレギュラーな言葉が出た。思わず顔を見合わせる俺たち。千歌に話すことのできない内容なのだろうか。「俺だけ」に話すことの用件などあっただろうか…?
しかし、梨子の表情には千歌仲間はずれにしようだとか、そういう気持ちはまるでないであろう真剣な表情。それを見取ったのだろう千歌は、「後で教えてよっ」と言い残して敷地の中へと消えていった。
「…さて。」
「千歌ちゃんと、何があったの?」
それは、何を言われるのか全くわからなかった俺の疑問を一瞬で払拭するとともに、俺を驚愕させる一言でもあった。
「…はい。粗茶ですが、どうぞ。」
「…ありがとう。」
またしても訪れることになった梨子の部屋。女の子の部屋ということで、これは何度入っても胸が落ち着くことはないのだろうが、今の俺はそんな場合ではないくらい、緊張をしていた。
「…いつから何かあるんだって、わかってたんだ?」
一口お茶をすすり、先程の話題を切り出す俺。
「ということは、やっぱり何かあったのね。正直、分かりやす過ぎるよ…。特に翔君。」
「うぐっ…。やっぱり俺か…。」
いつも通りを振舞ってたんだけどな…。どうやらばれていたらしい。
「合宿が終わった辺りからかな…?なんか妙によそよそしさを感じたのよね。…喧嘩でもした?」
日時まで完璧である。ますます落ち込むとともに、この場をどのようにして乗り切るか俺は考えていた。
「たぶん私しか気づいてないと思うから…。いいにくいことだったら内緒にするし、大丈夫だよ?」
…本当は相談したい。気持ちを固めたい。千歌の『違う』表情を見たくない。しかし、それをしてしまうと、彼女のまっすぐな気持ちから逃げているようで。それで出した答えは本心じゃないような気がして。
「実は、千歌のみかんを勝手に食べちゃってさ。ちょっと怒ってて。若干気まずい雰囲気が…さ。」
当初のとおり、俺は誤魔化すことにした。
その後、千歌と喧嘩をしたという体をなんとか貫いた俺は、少し梨子と雑談を交え、帰ることを切り出した。
「じゃあ…、そろそろ帰るよ。」
「うん…。気をつけてね。」
「気をつけるような距離じゃないだろ…?」
「ふふっ。それもそうだね。」
そうして玄関先まで送ってくれた梨子に別れの挨拶をし、十千万へと向きなおすその背中に、
「自分の思ってること…、ちゃんと伝えてあげてね。」
そんな、梨子の声が聞こえた。
「……本当に、俺は俳優にはなれないみたいだな。」
その一言で、腹が据わった気がした。
つたなくてもいい、それで気持ちがうまく伝わらないとしても、千歌に話そう。
そうして、俺は千歌の待つ十千万へと駆け出した____
………
「…予想はしてたけど、やっぱりそうみたいだね。」
自室に戻り、飲みかけの湯飲みを持ち上げながら、そう呟いた。
やっぱり、不自然すぎるよ…?翔君。
思い返して、クスリと笑う。
この3週間、千歌ちゃんの翔君への表情でほぼ確信してた。
「千歌ちゃんは、本当にすごいよ…。」
「私は、そんなに積極的にいける度胸もない。」
さらにそう呟きながら、自室の出口へと向かい、ドアを開く。
「でもね…、千歌ちゃん。」
私も、今日で気づいてしまったから。
合宿のあの時から、いや、もっと前から…。もしかしたら、出会ったときからかもしれない。
____扉の閉まる、音がした。
「私だって…。負けないよ。」
翔君の事が、好きだから。
次回はついに千歌に想いを伝えに行きます。果たして想いは一つになるのでしょうか。
さらに、梨子の心情変化にも注目していただければと思います。
次回をお楽しみに…。
久しぶりに書いて、表現がかなり拙くなっている感じ(最初から大してないんですけど…
)がしました。読みにくかったら申し訳ないです…。
これからもよろしくお願いします。