ラブライブ!サンシャイン!! ~平凡な高校生に訪れた奇跡~ 作:syogo
それでは、20話の最後で告知した「もうひとつの20話」をどうぞ。
「あのね、おねえちゃん。私、『スクールアイドル』やりたいの。」
決断の言葉。同時に、姉を傷つけてしまう言葉。
赤毛の少女は、小さい声ながら、しかし、しっかりと姉に伝わる大きさで、そう告げた。
空気が、変わった。
目の前で微笑みを崩さなかった姉。その表情は、今まで見たことが無かった。
悲しみ…、しかし、表情にはまだ余裕があるようにも見える。…そう、まるで、『そろそろ来ると思っていた』と言わんばかりの様に。
沈黙が流れる。
…これから一体何を言われるのか。全く想像ができなかった。てっきり、一瞬の内に却下され、頭ごなしに怒られるのでは、と予想をしていたのだが…。
困惑していると、目の前で沈黙を続けていた姉の、唇が、動いた。
「………いいですわよ。『スクールアイドル』、やっても。」
「…………え。」
完全に予想していた展開と違いすぎて、思わず声が漏れる。
ありえない。あんなに、『スクールアイドル』を毛嫌いしていたのに。
一人困惑していると、ひとり言のように姉が小さく口を開く。
「私…、賭けてみようと思いますの。あの男に。」
…賭ける?
一体何に?
恐らく無意識だったのだろう姉の言葉の真意を追求すべく口を開こうとすると、
「ほら、話はそれだけですの?それならもう寝なさいな。明日も学校ですわよ。」
いつも通りの優しい口調と微笑みに戻った姉に促される。
「では、おやすみなさい。ルビィ。」
結局そのまま聞くことができないまま、部屋から出る。…やっぱり今のことを聞いてみるべきか、と部屋のドアをもう一度叩こうとしたが、確かに、そろそろ寝ないと本当に明日がキツくなってしまう。
少し心に引っかかりを感じながらも、赤毛の少女は静かに自室へと戻っていくのだった。
………
「あのね…。スクールアイドル部についてのことなんだけど…。」
目の前の親友に向かって、語りだす。
「あのね、私…、スクールアイドル部、入ろうと思うの。」
「…へ?で、でも、お姉さんが、何て言うか…。」
入る、という言葉を聞いた瞬間、周りの本に向かっていた意識がすべてこちらに来たかのように、真剣な眼差しになる薄茶色の髪の少女。
「あ、それはね…、おねえちゃんに聞いてみたら、すぐに「いいよ」って言ってくれて…。」
「……ええええ!?ホントに!?そ、それ、だいじょうぶずら!?」
あ、やっぱりおんなじこと思うんだな、と内心苦笑する。
「…うん。たぶん。」
目をまんまるにして驚いていた少女は、その言葉にキラキラと目を輝かせて、
「うわぁ~!じゃあ、本当にスクールアイドル部に入れるんだね!おめでとう、ルビィちゃん!」
と、まるで自分のことのように喜んでいる。他人のことなのに、そんなに喜んでくれるなんて…。他人思いの親友に感動する。
「ルビィちゃんなら絶対人気でるよ!マル、応援するからね!がんばってね!」
「…ちょっと待って。」
応援すると言う。…つまり、自分はスクールアイドルとは関係ない、と思っている薄茶色の髪の少女は、その言葉にぽかんとする。
自分の第一の目標は達成した。…しかし、まだ完璧ではないのだ。
「…あのね、花丸ちゃん。わたし…、花丸ちゃんと一緒に!スクールアイドル、やりたいの!」
そう、あなたがいないと。
この話の前半は、18話の序盤のその後。後半は、20話の図書室での内容になっております。これで、どのような経緯で入部を決めたのかが解るかと…。
さて、次回からは本編に戻ります。予定では、会長様との決戦が…。
お楽しみに。(ホントに早く上げられるようにします。)