ラブライブ!サンシャイン!! ~平凡な高校生に訪れた奇跡~   作:syogo

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最近、いきなり寒くなってきて風邪ひいちゃいました…。
みなさんも、お気をつけて。


第19話 ~お年頃の名前事情と鈍感高校生~

 

 

 

「あんたはバカなの!?」ボソッ

「す、スマン…。」ボソボソ

 

照りつける太陽の下、顔を近づけてボソボソと話す俺と善子。その後ろには、いつにも増して目が輝いている千歌ちゃんと曜ちゃん。

…え?なんで怒られてるのかって?

それは数分前。

 

「おーい!千歌ちゃん!曜ちゃん!新入部員が入ったぞ~!」

 

ガラり。

勢いよく教室のドアを開いた俺は、いきなりそう叫んだ。

__そう、『叫んだ』。

何事か、とざわめきと同時に視線が俺と善子に一斉に集まる。…そう、一斉に。

 

「あっ…、やべ。」

 

気付いた時には時すでに遅し。俺の隣にいる善子を見て、「誰?あの子。」「…え?超可愛くない?」「え?榮倉君…、まさか?」「まさかもう4人目!?」

などという声が教室内から一斉に漏れ始める。…というかおい、なんだ4人目って。

怒りなのか、羞恥心なのか、隣の善子がわなわなと震え始める。…や、ヤバい。一刻も早くここから脱出しなければ…!!

 

「あーーっ!!堕天使ちゃんだぁ!!」

「えーーっ!?新入部員!?」

 

とどめの追い打ち。…と言わんばかりの2人組が、俺たちの元へ大声でそう言いながらやってきた。

とどめの2人の登場により、我慢の限界を迎えた善子。俺の手をとるや否や、無言のままクルリとターン&屋上へダッシュ。

 

「あっ!?」

「待ってよ~!」

 

追いかけてくる2人の声を背中に浴びながら、意外と足が速い善子に手をひかれ続け、今の状況になる___というわけで。

戻ってきた屋上で、俺は今善子に睨まれている。

…いや、テンションが上がってしまったんですよ。

ついに人数揃ったし、まさか流れとはいえ本当に入ってくれるとは思ってなかったし。興奮しちゃうのも分かるでしょ?

 

「…言い訳無用よ。」

 

え、まだ何も言ってないんですけど。

エスパーかよ、俺そんなに分かりやすい思考回路してんのかな、と思いつつ。

 

「ま、まぁ!どーせすぐにスクールアイドルとして知れ渡るんだからだいじょ…はいすいませんごめんなさい反省してます。」

 

苦し紛れにポジティブシンキングを促すものの、冷徹な視線で一閃。

…まぁ、俺も悪かったですよ。いや、全面的に俺が悪いんですけども。

数分前に、『目立たないように!』と言われたばかりなのに、一瞬で無視しちゃったからな…。というか、目立ちたくないのに、人気者にはなりたいとか、この子よくわかんないなまったく。ぶっちゃけちょっとめんどくs「聞こえてるわよ。」はいすいません。

心の声がクリアに聞こえているらしい善子に、まさか本当に堕天使なんじゃ…、と若干あせっているところに、後ろからの声。

 

「ねぇねぇ翔くん!早く紹介してよぉ。もう待てないよぉ。」

 

振り向くと、いつもより鼻息が荒い千歌ちゃん。その隣には、見た目いつもと変わらない様子の曜ちゃん…だが、小さく小刻みにその場で足踏みをしている。…お、おう、相当楽しみなんだな。

俺は睨み続けている善子の視線から外れるため、もとい、待たせている2人に応えるため、とりあえず善子を紹介する。

 

「えーっと…。この子が新しくスクールアイドル部に入ってくれた、堕天使ヨハ…ゃなかった、津島善子。」

 

相変わらず、目が輝いている2人。太陽の光で瞳がキラキラと輝いて…、まったく、なんでこう一つ一つ可愛いのかね。…おっとしまった、また見とれてしまった。

次に、軽く視線を善子に向けて、2人のことを紹介する。…ふう、とりあえず睨まれタイムは終わったようだ。

 

「えーっと、善子。この2人が、今スクールアイドル部を作ろうとしてる千歌ちゃんと曜ちゃ「「善子ぉ!?!?」」おわぁ!?なんだ一体!?」

 

いきなり善子の名前を叫ぶ2人。…なんだ!?俺変なこと言った!?

 

「よし……呼びすて…」

「私たち……ちゃ……付け……のに。」

 

なにやらブツブツとつぶやき始める2人。…なんだ?よく聞こえな__

 

「「翔くん!!」」

「!?な、なんだよ急に。」

 

いきなり俺の元へと急接近してきた2人。かなり深刻そうなのか、真面目な顔でツカツカとこちらへやってくる。え!?なに!?なんかやった!?!?

 

「「翔くん!!!」」

「は、はい!!すいませ 「「私も名前で呼んで!!!」」 」

 

……はい?

まったく想定していない状況に、思わず目をパチクリさせる俺。は?名前?

困惑している俺。…大体、要望の意味がわからない。え?だって…

 

「呼んでるじゃん。」

「「呼んでない!!」」

 

え!?呼んでるよね!?

 

「呼んでんじゃん!千歌ちゃん、曜ちゃんって!」

 

俺のその言葉に、2人が思いっっっ切り深いため息をつく。

 

「「なんでわかんないかなぁ…。」」

 

いや、こっちのセリフだよ。呼んでんじゃん。…はっ!?実は、二人の名前が、実は本当の名前じゃないとk「「違うからね?」」はいすいません。

ねぇ、なんでこの子たちはみんな俺の心が読めるの?てかなんで俺謝ってんの?

 

「そうじゃなくてさぁ…///」

 

手を後ろに組み、もじもじとしながらそう言う曜ちゃん。心なしか、頬が桜色になっている。…あれ、千歌ちゃんもだ。何?なんなの?

 

「あの…、私の『ちゃん』付け、無くしてくれると嬉しいなぁって…///」

「ち、チカも!…そーしてほしいなぁっ///」

 

「……え???」

 

そんなこと?とぽかん、とする俺に、2人からのジト目。…あれ、いつにも増してジトジトしてない(何言ってんだ俺)?

 

「どーせ、『そんなこと?』とか思ってるんだろーなぁ…。ハァ…。」

「ほんと、どんかんだよねー…。」

 

相変わらず俺の心を読む2人。…え?どこが鈍感なの?

 

「「そーいうところだよ…。」」

 

怖いよ。俺、まだ「え?」しか言ってないよ?俺もそのスキル欲しい。どうやったら手に入るんだ?

 

「…まぁ、わかったよ。じゃあ…、『千歌』、『曜』。」

「うん!」

「なに?翔くん♪」

 

俺が『ちゃん』抜きで名前を呼ぶと、いきなりぱあっ、と表情が明るくなる2人。曜ちゃ…、おっと、曜にいたっては「えへ、えへへへ…。」と不敵な笑みをこぼしている。わ、訳がわからん…。

 

「アンタ…。ほんとに鈍感なのね…。」

 

横から、マリアナ海溝レベルのため息の善子。…だから、どこが鈍感なんだ?

 

「この2人も大変ね…。もうちょっと翔の感覚が鋭けりゃいいのに…。」

 

呆れた表情で俺を見てくる善子。え?なんなの?もしかして、理解してないの俺だけ?

 

呆れる善子と、不敵に笑う2人を見ながら、昼休みは過ぎていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「花丸ちゃん…。ちょっと、話があるんだけど…。」

 

時は同じく昼休み。善子が翔に連れて行かれたのを見て、何かを決心したらしい赤毛の少女は、自分の一番の親友を呼ぶ。

 

「なあに?ルビィちゃん。」

 

自分の前の席で本を読んでいた少女は、呼んでいた本にしおりを挟みながら振り向いて、笑顔で応える。

 

「ここじゃちょっと…。図書室、行こう?」

「?? いいよ?」

 

少し不思議がる親友。

…しかし、二人きりで話したいことなのだ。花丸ちゃんには悪いかもしれないが、図書室に本を借りにくる人を見たことがない。話し合いにはうってつけの場所なのだ。

 

「ありがとっ。じゃあ、行こっ。」

 

そう言って席から立ち上がると、図書室に向かって歩きだす。そのエメラルドの瞳には、小さいけれど、しかし確かに決意の炎が燃えているのであった。

 




翔クンの鈍感さには、書いててイラッと来る時があります。←自分で書いてるのに笑

次回、ルビィと花丸の決断です。
スクールアイドル部に加入するのか?

お楽しみに。

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