ラブライブ!サンシャイン!! ~平凡な高校生に訪れた奇跡~ 作:syogo
残り2人の部員、集められるのか…。
それではどうぞ。(お待たせしました…。)
「……くん!……けるくん!」
意識の外から、千歌ちゃんの声が聞こえてくる。…おいおい、なんだよ千歌ちゃん。まだ起きるにははやいだろっ、、、、
「しまった!!!!ま、またやっちまったか俺!?」
二日連続でトビウオのように跳ね起きる俺。
「うわっ!!…び、びっくりした。翔くん、いっつもそうやって起きてんの…?」
跳ね起きた俺の横に、昨日と同じ位置にいる千歌ちゃん。…ただひとつ違うのは、いつもの制服ではなく、いまだにパジャマのままだということだ。
不思議に思った俺は、枕元の目覚まし時計を確認。時刻は5時。…5時ぃ!?
「ど、どうした千歌ちゃん!?!?なにかあったのか!?び、病気にでもなったのか!?」
そう言って千歌ちゃんのおでこに手をあてる。
「ふぇっ!?か、かけるくん!?」
瞬間的に顔が赤くなる千歌ちゃん。おでこに触れている手が、どんどん熱くなってきて…。
「や、やっぱり熱が…。どんどん熱くなってるぞ!?」
本気で心配しだす俺。…千歌ちゃんが早く起きる。しかも2時間も。これはもう病気しかありえん、、、!!
「こ、こうしちゃおれん。俺の布団使っていいから、ゆっくり休ん…「ちがうよっ!!!」 」
「チカ元気だもん!熱なんてない!」
「いや、でもさっきおでk「ないったらないの!」はいすいませんした。」
え、なんで俺謝ってんの。
「今日も勧誘行こうと思ったから…こうやって早く起きたのっ!!」
むくれ顔になり、顔が赤いまま怒ったように言う千歌ちゃん。…心なしか涙目っぽい感じなのは気のせいだろうか。
「お、おう…。わかった、わかったから。」
迫られ、たじろぐ俺。…そ、そんな怒んなくてもいいじゃないすか。
「で、でも。…顔赤いのは、大丈夫なのか?もしホントに調子悪いなら、あまり無理しない方が…。」
「………鈍感すぎるよ。」ボソッ
「ん?なんか言ったか…?」
「んーん!なんでもない!…ほら、そうゆうことだから翔くんも早く準備してね!じゃ!」
そう言って部屋から急いで退出していく千歌ちゃん。
やっぱり、顔は赤いままなのであった…。
_____
「…も~。翔くんのばかっ///」
いまだ直らない赤い顔を両手で包みながら、顔をブンブンと振る。
「た、確かに私がこんな早く起きるのは自分でも珍しいとは思うけどさぁ…。で、でも病気扱いするのはひどくない!?…き、急に翔くん私のおでこ触ってくるし…///」
つい先日、『一緒にお風呂入る?』なんて言ってたのは誰だったのか。その反応は、完全に翔を意識してるようで……。
怒りたいのか、触られたのがうれしいのか。どっちともいえない微妙な表情で一人悶絶するのであった…。
_____
いつもより早い起床で、まだ完全に目覚めていない重い瞼と頭をどうにか気合で回し、始発レベルのバスに乗り込む。
普段、一人も乗っていない(というか、乗ってるの見たことない)バスには、意外な人物が先に乗っていた。
「おっはヨーソロー!翔くん、千歌ちゃん!!」
「い!?よ、曜ちゃん!?」
いつもの一番後ろの席には、昨日一緒にスクールアイドル部として署名した曜ちゃん。寝ぼけ気味の俺の顔とは違い、爽やかな顔をしている。
「私が呼んでおいたんだぁ!」
後ろから、千歌ちゃんの声。…それ、ちゃんと昨日に言ったんだよな?
「も~。びっくりしたよ千歌ちゃん。4時半くらいにいきなりメール来て、何かと思ったら千歌ちゃんなんだもん。」
笑いながらそう言う曜ちゃん。…や、やっぱりか。というか曜ちゃん、それは怒っていいと思うぞ。
立っていても危ないので、とりあえず曜ちゃんの隣に座る。…ん?なんか曜ちゃんの顔が心なしか赤くなった気が…。気のせいか。
「えへへ~。ごめんね曜ちゃん。今日も勧誘しようと思ってさー、はりきっちゃった。」
そう言って俺の隣に座る千歌ちゃん。これで俺は美少女2人に挟まれる形に。やったね。
「まったく…。するならするで昨日から言っとけって。曜ちゃんもなんか言ってやった方がいいぞ?」
「ううん。私が自分の意思で記名したんだもん。私もスクールアイドル部結成のために頑張らないとね!」
そう言ってえへへ、と笑う曜ちゃん。良い子すぎだろ。
「それで千歌ちゃん。今日はこんなに早くから何をする気なのでありますかっ!」
急にキリっ、とした表情になる曜ちゃん。右手で敬礼のポーズをしながら千歌ちゃんに聞く。
「あ、そうだそれ俺も気になってた。…こんな早くから学校行っても、誰も登校してないだろ?どうする気なんだ?」
「……あ。」
しまった、という表情の千歌ちゃん。…こ、こいつまさか。
「…ご、ごめ~ん。なーんにも考えてなかったぁ…。」
「千歌ちゃ~ん……。」
「よしアホ毛。そこに正座。」
「ごめんってばぁ~!」
俺の朝の時間を返せ。
やる気十分から一転、千歌ちゃんに対するイライラを抱きながら、早朝の誰もいない道路を走って行くバスなのだった…。
………
「……で、一応着いたわけだが。」
場所は変わって2年1組。時刻は6時。校門前でずっと張っているのもあれだからと、とりあえず教室に来てみたものの…。誰もいない。
まあ当り前だろう。6時台に学校に来る人なんて教師でも中々いないだろう。俺も、こんな時間に来たのは人生初だ。
「どーするんだ?来るのが早い生徒でもあと1時間ちょっとは掛かるだろ…。」
と、俺たちをこんな早く学校に来させた張本人の方を向くと、のんきにあくびをしている。このやろう。
「まあまあ、1時間くらい、すぐ過ぎるよ!…あ、そうだ。翔くんの昔話とか、聞きたいなぁ~。」
すかさず曜ちゃんがフォローに入る。…ああ、この子マジで良い子。
って……ん?昔の話だと!?
「あっ!それ、私も聞きたい!」
さっきまであくびをして眠そうにしていた千歌ちゃんも、目を輝かせながら俺の方を向く。
……さて困った。俺はここに来る前なんぞ、マジで平凡な奴だかんな…。(第1話参照)ほ、本当に話すことがない。むしろ、ここに来てからの方が衝撃的な経験ばっかだよ、うん。
ちら、と二人を見ると、輝かしい目線を俺に送ってくる。…や、やめてくれ。
キラキラと輝く視線の二人に迫られ、とりあえず自分の席に座り、なにかないかと思考を駆け巡らせる。…が、本当になにもない。
し、しょうがない。
「俺、ここに来る前の学校で、小、中、高1と卓球部に入っててさ…。」
俺の数少ない特徴、卓球。ゲームとも迷ったが…、二人には解らないだろう。
すると突然、
「えっ!?翔くん、卓球できるの!?私も!!」
千歌ちゃんが反応。…た、助かった。この話題が通じないなら、マジで話すことないぜ…。
「そーいえば、十千万に卓球台あるもんな。千歌ちゃんもできるんだ。」
「うん!…私、結構強いよ?」
「お、言ったな?地味に数年間部活を続けてた実力見せたろうか?」
「望むところだよ!」
じーっ…。
はっ!!千歌ちゃんと談笑していると、横から曜ちゃんの「私解らないんだけど」オーラ全開のジト目が。…ま、まずい。
「ぶ、部活と言えば曜ちゃん。水泳凄いんだろ?」
話を振ると、途端に目を輝かせて…
「ま、まあね!ちっちゃい頃からやってたし!…自分でこう言うのもなんだけど、全国レベルなんだよ?」
「すげぇな。そーいえば、初めて会ったときに見た飛び込み、凄いきれいだったもんな。」
「そ、そんなこと///」
「いやいや、俺なんてあんまり水泳得意じゃないしさ…。」
「じゃ、じゃあ夏になったら教えてあげるね!」
「おっ、マジ?ありがてぇ!」
じとーっ…。
はっ!今度は千歌ちゃん!?
「よ、曜ちゃんも凄いけど、千歌ちゃんも結構凄かったりするんじゃ…」
「え~っ?わ、私は別に…」
じとーっ…。
じーっ…。
片方と話すと片方からのジト目。冷や汗をかきながら、精神が削られていく時間が小一時間過ぎるのであった…。
………
「しっつれいしまーす!」
ガラっ。
勢いよく教室のドアを開けた千歌ちゃんは、教室中を見まわし、お目当ての生徒を見つける。
「あっ…!いたいた、おーい!ふたりとも~!」
「ずらっ!?」 「ピギッ!?」
…ん?なんだ今の鳴き声みたいなの…?
時は過ぎて昼休み。俺と曜ちゃんと千歌ちゃんは1年生の教室に来ていた。お目当ては…そう、昨日見つけた3人組である。
……え?朝の勧誘はどうなったのかって?
昨日と同じスタイルでやろうとしたら、学校に一番に来た会長様に一睨みされて、それで終了。…まさか、一番早く来るとはなぁ。
千歌ちゃんが呼んでしばらくすると、教室から昨日の2人が出てきた。…ん?2人?3人目のあの堕天使はどうした?
「ねぇねぇ。あの堕天使ちゃんはどうしたの?」
さすがは曜ちゃん。気になった事をすぐ聞いてくれる。
「ああ、善子ちゃんずら?善子ちゃん、今日はお休みずら。」
薄茶色の髪の子がそう答える。…って、さっき『ずら』って聞こえたような気が。
「あ~、そうなんだ。残念…。 …あっ!ごめんね。私は高海千歌!スクールアイドル部を作ろうとしてるんだよ!」
あ、そうか。なんか警戒心強めな感じだな、と思っていたら、まだ名前も言ってなかったのか。…そりゃ怪しまれる訳だ。
「私は渡辺曜だよ!よろしくね!」
「俺は榮倉翔。ついこの間、ここら辺に越してきたばかりなんだ。ここら辺、ここ以外に学校がないから、理事長の力で入れてもらえたんだ。よろしくな。」
自然な感じで自己紹介成功。…よし、今度はちゃんとこの学校に居る理由を忘れなかったぜ。えらい。
俺たちの自己紹介により警戒心が弱まったのか、1年生たちも名前を言ってくれた。
「おら…いえ、私は、国木田 花丸って言うずら…いえ、言います。」
必死に標準語で話そうとしているが、しっかり言えていない。…やっぱり、『ずら』って言ってたのはこの子か。まぁ、かわいいからいいけど。
その花丸ちゃんの後ろにくっついて、ひょっこり顔をのぞかせている赤髪ツインテールの子も、小さい声ながら名前を言う。
「あ、あの…。く、黒澤 ルビィって言います…。よ、よろしくお願いしますぅ…。」
…この子は、警戒というか怯えている感じだな。なんか…小動物みたいだ。うん、そんな感じがする。
「う~ん、やっぱり二人ともかわいいっ!!…ね、スクールアイドル、やってみないかな?大丈夫、損はさせないからさっ!」
目を輝かせながら、千歌ちゃんは二人に半歩近ずく。…おお、学習したな。いきなり近づいても、逃げられるだけだもんな。…特にルビィちゃんに。
「で、でもルビィは…。」
「だいじょーぶだって!ルビィちゃん、とっても人気出ると思うなぁ。…ね!やってみようよ!」
「だ、だけど…。おねえちゃんが何て言うか…。」
「「「へ?」」」
お、お姉さん?
俺たちが困惑していると、ルビィちゃんの次の一言が俺たちをさらにピンチへと陥れるのであった。
「私のおねえちゃん…。 黒澤 ダイヤ …生徒会長です。」
久しぶりの1年生登場です。(善k…ヨハネはもうしばらくお待ちを。)
さて、生徒会長の妹を無事に加入させることはできるのか?
残り6日
次回もお楽しみに。