ラブライブ!サンシャイン!! ~平凡な高校生に訪れた奇跡~ 作:syogo
翔クン達の反応やいかに。
「……で?本気でやろうと思ってるのか?」
時刻は午後6時半。曜ちゃんは、終バスが来るから、とついさっき帰って行った。…さすが田舎だな、終バスが超早い。
「うん! こんな偶然、もう神様が「やれ」って言ってるようなもんだよ!! 明日、すぐに部活を立ち上げる!!」
「ま、まじ…?」
いつもながらに思うが、千歌ちゃんの行動力には驚くものがあるねまったく。…いきなり明日からって、すげぇな。
「ち、ちなみに…。もう部員のアテがあったりは?」
「……へ?」
ぽかーん、とする千歌ちゃん。…あぁ、なんも考えてなかったんだな。
「ま、まあまあ!明日から勧誘していけばいいよ!!なんとかなるなんとかなるっ!」
…ホントに大丈夫なんだろうか。
「翔くんも手伝ってね! …なんてったって、男の子の転校生だし?目立つ事間違いなしだもんねぇ。」
「ま、マジすか…。」
ぐへへ、と笑う千歌ちゃん。…もしかして、最初から俺を使う気満々だったんじゃ。
「じゃ、明日は早く起きてね! あっ、曜ちゃんにもメールしとかなきゃ!」
そういってスマホに向かい、メールを打ちこんでいく。
「ホントにやるのか…。」
不安な気持ちでいっぱいになるのであった…。
………
ピピピピッ、ピピピピッ……。カチッ。
眠気で重い瞼をこすりながら、いつもより一時間早い起床になんとか成功する俺。カーテンを思いっきり空ける。 …うん、今日もいい天気だ。
「さて…。いいだしっぺは起きてるといいんだけどな…。」
そういって、パジャマ姿のまま隣の千歌ちゃんの部屋へ。 ガチャ。
…まぁ、予想はしてたけどさ。
相変わらず、起きる様子もなくベッドで安らかな寝息を立てている千歌ちゃん。
「ったくもう…。しょうがねぇな。」
そう言って、今朝も眠れるアホ毛との格闘戦が始まるのであった…。
「まったく…。自分で言い出した日くらいは起きようぜ?」
「えへへ…。」
いつもより約45分早いバスになんとか間に合い、息をつく俺と千歌ちゃん。千歌ちゃんの小脇には、『輝け! スクールアイドル部(仮)大募集!!』と書かれたチラシ。
…これを昨日、いきなり作り出すとか言い出すからなぁ。結局、日をまたぐまでかかってしまったため、いつもよりか眠い。
「だって、早い方がいいでしょ? あぁ…、楽しみだなぁ~!」
「そうだな…、はぁ…。」
果たしてうまくいくのだろうか。不安で仕方ないまま、バスは今日も浦女へ向かう。
………
「スクールアイドル部でーすっ!!」
校門の前、絶好のポジションをとった俺と千歌ちゃんと、途中から合流した曜ちゃん。
「お願いしまーすっ!」
「お願いしまーす…。」
なぜかノリノリでチラシを配る曜ちゃんを尻目に、俺も登校してくる生徒たちにチラシを配る。
その俺たちの後ろで、どっからか持ってきたみかんの段ボールに乗り、これまたどっからか持ってきたメガホンで、千歌ちゃんが声掛けをしている。おでこには、『スクールアイドル愛』と書かれたハチマキをしている。
「あなたも、あなたもっ!スクールアイドル、やってみませんか?」
「輝けるアイドル!!」
「スクールアイドル~~!!!」
ぴゅおおおぉぉ……。
「全然、受け取ってもらえなかったよ…。」
「俺もだ…。」
がっくしうなだれる俺たち三人に、少し冷たい風が吹き込む。
「……おっ?」
何かに気づいた千歌ちゃんが、顔を上げる。
つられて見上げた先には、赤色の髪のツインテールの子と、薄い茶色の髪の女の子。
「「美少女…?」」
思わず声が漏れる俺と曜ちゃん。…ってあれ、千歌ちゃんがいな…!?
「あの!!」
「ずら!?」 「ピギッ!?」
「スクールアイドル、始めませんか!?」
瞬間的にその子たちの前に立ち、チラシを見せる千歌ちゃん。は、早い。そして距離が近い。
鼻がくっついてしまうんでは、という距離までずずっ、と接近する千歌ちゃん。…おいおい、二人がめっちゃ驚いてんじゃねぇか。
「だいじょーぶ!悪いようにはしないから!あなたたち、きっと人気が出る!」
「で、でもマルは…。」
困っている薄い茶色の髪の子。ちらっ、と後ろを見る。そこには、チラシをガン見している赤い髪の子が。
「興味あるの!?」
嬉しそうに、その子の手を取ろうとする千歌ちゃん。…指先が軽く手に触れたその時。
「………ぴ、ピギャァァァァ!!!!」
みるみる顔が赤くなり、いきなり叫びだした赤髪の子。…うおっ!?なんだ!?
「ルビィちゃんは、究極の人見知りずら…。」
茶色の髪の子が、ボソッ、と呟いた瞬間。
ガサガサっ!!
…ん?なんだ?頭上の木から音がしたような……って!?
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
すたっ。木の上から落ちてきたのは、これまた大層な美少女。…親方、空から女の子が。
「うぅぅぅ…足……。 …ぐえっ!!」
さらに、その子の頭上から、飛○石ではなく、バッグが。見事その子の首筋に直撃。…だ、大丈夫か?
「い、色々大丈夫…?」
心配そうに恐る恐る近寄る千歌ちゃん。その瞬間。
ギランッ!
いきなり、目がキリッとなったその女の子。青と紺の間のような髪の上に鞄を乗せながら、「ふ、フフフフフ…」といきなり笑いだす。 …変な所でも打ったんじゃ?
「ここはもしかして…、地上?」
「「「「「うえっ!」」」」」
「「「「「だ、だいじょぶじゃ…ない…。」」」」」
ヤバい奴だ。全員がそう感じたに違いない。
「ということは、あなたたちは下劣で下等な人間ということですか…?」
「うわっ!」
思いっきり引く曜ちゃん。
「それより足…。大丈夫?」
つん、と足をつつく千歌ちゃん。びくっと足が反応する。…絶対痛がってるな。
「痛っ…!たい訳ないでしょう?この体は単なる器なのですから。」
おお、まだ突き通すか。
「ヨハネにとっては、この姿はあくまで仮の姿…。 …おおっと!名前を言ってしまいましたね…私は、堕天使ヨハ「善子ちゃん!?」 」
…ん?
「やっぱり善子ちゃんだぁ~!花丸だよ!幼稚園以来だねぇ~!」
「は…な…ま…るぅ!? に、人間風情が、何を言って…「じゃ~んけ~ん、」」
「ぽんっ!」
唐突に始まるジャンケン。花丸…?ちゃんがグー。善子?ヨハネ?ちゃんが出したのは…。
なんだこりゃ。
今まで見たこともない、指がぐにゃぐにゃしている手。…こりゃなんだ?チョキ?
「そのチョキ…!やっぱり善子ちゃん!!」
「善子ゆーなぁ!!」
「いい?私はヨハネ。…ヨハネなんだからねぇ~~!!」
そう言い残すと、脱兎のごとく逃げていくヨハネ(善子?)ちゃん。
「あっ!善子ちゃーん!」 「マルちゃーん!!」
「善子ゆーなぁ~!!」
それを追いかける二人。…あっという間にいなくなってしまった。
「「「あの子達…。」」」
「後でスカウトに行こう!」 「「何者なの(なんだ)?」」
ええ……。
そっちかよ、と二人で千歌ちゃんを苦笑いしながら眺めつつ、さて、とりあえず教室に行こうか、と歩きだそうとすると。
「あなたたちですの?このチラシを配っていたのは。」
不意に、後ろからの声。
「いつ何時、スクールアイドル部なるものがこの浦の星女学院にできたのです?」
振り返ると、そこには黒髪ストレート、前髪ぱっつんの美人さん。
ん?…ちょっと待て、タイが緑色、ってことは…。
「あなたも一年生?」
のんきなトーンで問いかける千歌ちゃん。おい、違うぞ、その人は多分…。
「千歌ちゃん!違うよ、その人は新入生じゃなくて、三年生。しかも……。」
コショコショ、と耳打ちする曜ちゃん。…やっぱり三年生だったか。だが、なんだ?最後の部分がよく聞き取れ……
「嘘っ…!? ……生徒会長!?」
…終わった。
まだ設立もしてないのに。
さて、今回の話は原作1話に沿って書きました。(とりあえず、1年生組+ダイヤ様を出したかったのです。)
※どこか、変な箇所などありましたら、コメントでお伝えください。
スクフェス感謝祭、行きたかったなぁ…。
次回もお楽しみに。