ラブライブ!サンシャイン!! ~平凡な高校生に訪れた奇跡~   作:syogo

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さてさて、鞠莉さんと1週間ぶりの再会です。

それではどうぞ。


第9話 1時間目 ~平凡な高校生の入学式~

 

「…おはようございます、理事長。」

 

 

 

うやうやしくお辞儀する俺。…というか、中にいたなら返事してくれよ!!結構、中に入る時ビクビクしてたんだぞ!!

そんな俺の心情を悟っているのか、ニヤニヤしている鞠莉さん。…チクショウ、俺、めっちゃ遊ばれてるじゃんかこの人に。 …俺って、そんなに分かりやすい奴なのだろうか。

そんな、なんともいえないモヤモヤを抱きながら、これまたなんともいえない顔をしていると、

 

「だ~か~らぁ、マリーでいいって♡ …それに私、この学校の3年生でもあるんだから。『理事長』なんて呼ぶのは変でしょう?」

「………解りました、鞠莉さん。」

「もぉ~、つれないわねぇ。」

 

…つ、疲れる。

 

「…で?鞠莉さん。俺の制服とか、色々用意してもらえるって話ですけど…。」

「あぁ!すっかり忘れてたわ♡ ……はいっ!制服はこれを着てね!翔クン専用に作った特注品よ♡」

 

そう言って机から紙袋を出し、俺に渡してくる鞠莉さん。

 

「おお!ありがとうございます! …正直、不安でしたよ。鞠莉さんの事だから、「制服?ごめ~ん、忘れちゃった♡」とか、言い出すかと………!?!?」

 

紙袋から出てきたのは、グレーのスカート。……ま、まさか。

急いで残りも取り出す……って、おい!!思いっきりセーラー服じゃねぇか!!

 

「思いっきりセーラー服じゃねぇすかぁぁぁぁ!!!」

「うん、やっぱり、翔クンもセーラー服でもいいんじゃないかと思って♡」

「え!?!?だって、昨日はセーラー服は嘘だって…!!」

「うん。嘘よ♡  ………はい、本物はこっち。」

 

…………なんなんだこの人はぁぁぁぁぁ!!!!!

 

「も、もうマジでやめてくださいよ…、本気でセーラー服着ないといけないと思ったじゃないですか…。」

「あら?別にいいのよ?セーラー服着ても。きっと似合うわよ♡」

「いえご遠慮しておきます早く制服くださいお願いします。」

 

鞠莉さんが机から取り出したもう一つの紙袋を震える手で受け取る俺。…も、もう大丈夫だよな?ちゃんとした男用のやつだよな?

祈るような気持ちで紙袋から制服を取り出す。

 

…良かった、ちゃんとしてた。

安堵の息をふかぁく吐き、制服をまじまじと見る。

見た目は普通な感じだ。ズボンは灰色で、Yシャツに、赤いネクタイ。紺色のブレザー。…おぉ、俺、中、高(以前の高校)と、学ランだったから、新鮮な感じだ。

 

「ありがとうございます、鞠莉さん!良かった、ホントに良かった…。」

「気に入ってくれてなによりだわ♡後は、ジャージとか、体操着とか、色々この中に入ってるから! はい、どーぞ♡」

 

そう言って、これまた大きい紙袋を俺に手渡す鞠莉さん。 ずしん、と重みが腕に加わる。…お、重い。

また変なの入ってませんように、と祈りつつ、鞠莉さんにお礼を言う。

 

「それじゃ、それに着替えたら、早速2年のクラスに行って!あなたのクラスは、1組よ♡ といっても、1組しかないんだけど…。」

 

そ、そうだったのか。道理で静かなわけだ…。ここに来るまでにも、空き教室っぽい所、何箇所かあったもんなぁ…。

 

「わ、解りました。 …それじゃあ、着替えてから向かいますね。鞠莉さん、色々ありがとうございました。」

「それじゃ、また会いましょ?グッバ~イ♡」

 

最後まで、独自のノリをしている鞠莉さんの元(理事長室)を離れ、ひとまず着替えるためのトイレを探す。

……だが、その時俺は気付いた。下手したら1番の問題点に。

 

「ここって、女子高だよな。 ……男子トイレ、あんの?」

 

ぽかーん、とする俺。だって、そうだろ?基本的に女子しかいないんなら、男子トイレの意味ないじゃん。

 

「こ、これは…。もしかして、最悪の場合は……、女子トイレを使うしかないのか…?」

 

自分で言って顔が赤くなる。…ヤバい、男子トイレを見つけないと。

そう言って、一人歩きだす俺。頼む、あってくれ男子トイレ。俺はお前がいないとダメなんだ。

若干ヤバめの独り言をつぶやきながら、一人学校探検が始まるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ここが、2年1組で合ってる…よな?」

 

俺は、扉の上にかけ下がっている『2-1』のプレートを見上げながら呟く。

…ちなみに。俺が理事長室を出た後、女生徒の視線を浴び続けながら学校中を歩き回った結果、  …男子トイレ、ありませんでした。

ヤバいだろこれ、どーすんだよ…。と思っていたものの、歩き回っている時にすでにチャイムが鳴ってしまっていたため、これ以上遅刻するわけにもいかず。 …廊下の隅っこでとりあえず制服に着替たのだ。

 

「後で鞠莉さんにトイレの事は言うとして…。これ、入ってもいいんかな…?」

 

目の前には、ぴっちりと閉められたドア。

俺は、さっきから入るべきか、いや先生が出てきたりするまで待つべきか、ドアの前でうろうろしていた。

いや、俺が普通にこの学校に前から居て、全員顔見知りだったら、「おっはよーございまーす。すいませーん、遅刻しましたぁ。」なんて、軽いノリで入ることはできるさ。

でも、今の俺の立場は別の学校から来た転入生。…そんなこと、できるわけがない。

 

…でもなぁ、遅刻したのは俺の責任だし、ここは自分から、いやいやでも…、とかうんうん唸っていると。

キセキダヨ!! 声が教室から聞こえてきた。 …ん?千歌ちゃんの声?

なにが奇跡なのかは分からないが、その声で謎の勇気が少し出た俺は、

 

「ええい、ままよっ!」

 

勢いでガラっ、とドアを開ける…

 

 

 

 

 

 

 

 

……なんだこの光景は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に広がっていたのは、東京に帰ったハズの桜内 梨子と、なぜか立ちあがって「おお、ジュリエットよ。」みたいなポーズをしている千歌ちゃんと、いきなり入ってきた俺に向けるクラスのみんなの奇妙な視線+顔だった……。

 

 

 

 

 

 




はい、勇気を出して教室に入った翔クンに待っていたのはカオスな光景でした。

ちなみに、男子トイレの件がどうなるかは、また後のお話で。
次回もお楽しみに。

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