学戦都市アスタリスク 黒白の剣と凛姫   作:Aike

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前話の前書きでも書いていますが、しばらく平穏とシリアスのカオス展開が続きます。ただ、今回の話はまた「双月悠という人間」の掘り下げになりました。






第19話 六花動乱編ー2

 

 

 

 午後4時過ぎ。まだまだ明るい空の下、再開発エリアから戻ってきた悠とシルヴィアは、揃ってアスタリスク中央区の代表的建造物である星舞祭(フェスタ)総合メインステージーーー通称を「シリウスドーム」というーーーへと来ていた。周りには観光客らしい人々も多くおり、記念写真を撮ったりしている。

 

 「こうやって実際に来るのは久し振りだけど、予想以上に大規模だなぁ・・・。」

 

 「まぁ、そうだろうねー。私は一昨年の鳳凰星舞祭(フェニクス)と今年度の王竜星舞祭(リンドブルス)の下見で何回も来た事あるけど。」

 

 そう言うと、慣れた様子でステージへと入っていく。その後を悠も追って、ステージへと入っていった。自動ドアを潜ると、広いエントランスホールとその奥に設置されていた入場受付がある。シルヴィアと悠は入場受付へと向かうと、書類とデータ上で手続きを済ませ、身分証明を済ませてから彼女に促されるようにして観客席がある2階の入り口からステージ内部へと入場する。

 

 「・・・うわぁ・・・。」

 

 目の前に広がる光景に、悠は感嘆の声を漏らした。シルヴィアはそんな悠の様子が見ていて面白いのか、くすくすと笑っている。

 ステージを取り巻く観客席だけで相当な人数を収容できるのが容易に分かる。観客席は3階、4階と続き、最上階ではステージに立つ選手が人形くらいにしか見えないだろう程だ。ステージも相当広く、シルヴィア曰く星舞祭(フェスタ)出場者が全員揃ってもまだ余裕があるくらいには広いらしい。実質星舞祭(フェスタ)初参戦の悠は、その場所が持つ独特の雰囲気に圧倒されていた。

 

 「おや・・・ミス・リューネハイム。君も来ていたのか。」

 

 と、不意に背後から声がかけられる。シルヴィアと揃って振り替えると、白を基調としたガラードワースの制服を着た二人の男女が観客席へとやってきた所だった。

 

 「聖騎士(ペンドラゴン)様も来てたんだ。それに光翼の魔女(グロリアーラ)も。」

 

 シルヴィアが発した言葉に、悠は耳を疑った。聖騎士(ペンドラゴン)こと、ガラードワース学園・生徒会長にして序列1位のアーネスト・フェアクロフ。光翼の魔女(グロリアーラ)こと、ガラードワース学園・生徒会副会長にして序列2位のレティシア・ブランシャール。どちらも壮々たる顔ぶれだ。

 

 「それに、君に会うのは初めてだったよね。ガラードワース学園で生徒会長をしているアーネストだ。良ければ覚えておいてくれよ、双月君。」

 

 差し出された手を反射的に握り返し、握手を交わす。そこで、悠はある事に気づいた。

 

 「・・・あれ?何で俺の名前知ってるんです?」

 

 悠のそんな言葉に、アーネストは苦笑し、後ろでレティシアは呆れた顔をする。その様子を見かねてか、シルヴィアが横から教えてくれた。

 

 「あのね、悠君が思ってる以上に君の名前、他の学園の上位生に知れ渡ってるんだよ。」

 

 それを聞いて、何故なのかと不思議そうな顔をする悠にシルヴィアは深々と溜め息をついた。

 

 「当たり前じゃない。序列1位が自ら自慢してる弟で、しかもその序列1位とほぼ互角にやり合う程の実力者だなんて分かったら目をつけもするよ。」

 

 そう言うと、シルヴィアは携帯端末で動画ファイルを開くと悠に見せてきた。その動画ファイルは撮影者がアスタリスクの学生であれば誰でも見る事が可能な動画サイトにアップロードしたものらしい。そこに映っていたのは、悠と光の決闘だった。

 それは悠が中等部2年の時だったから、まだユリスが転入してくる前だった。実戦鍛練と腕試しを兼ねて姉と決闘をする羽目になり、やむなく受けた時のものだ。

 結局、決闘中に悠が足元の水溜まりに足をとられた所を姉に校章を斬られて悠が敗北したのだが。決闘の内容自体は悠本人は満足していなかったものの、姉に絶賛された程度には良かったらしい。早い話、その時点での悠の実力が星導館のみならず他学園の上位生にも「強い」と思われるくらいのレベルにあったという事だろう。

 

 「何か、複雑な気分だなぁ・・・。」

 

 悠がそう呟きながら溜め息をつくと、「人目に晒されるの、馴れてないからねぇ」と言いながらシルヴィアは小さく笑う。

 

 「君のお姉さんーーーミス・双月とは以前に鷲獅子星舞祭(グリプス)で剣を交えた事があってね。素晴らしい剣だった。まるで彼女自身が剣になったようだったよ。」

 

 アーネストはそう言うと、バトルステージの方を見やる。

 

 「出来ればもう一度彼女と刃を交えてみたかったのだけどね。今年は出場しないらしい。」

 

 その目つきは、悠もよく知っているものだった。純粋に、強い者と戦いたいという思いを持った剣士の目だ。

 その横でレティシアは腕時計を確認しながら、「そろそろ時間ですわよ」と声をかけてくれる。

 

 「あぁ、もう集まっていたのか。待たせてしまって申し訳ないね。システムの微調整が思いの外時間がかかってしまったんだ。」

 

 不意に、横からそんな声がかかってきて、悠達4人はそちらへ顔を向けた。観客席の通路を、壮年の男性が4人の方へ歩いてくる。星舞祭(フェスタ)運営委員長、マディアス・メサだった。

 

 「まずは、王竜星舞祭(リンドブルス)にエントリーしてくれた事に感謝するよ。それに、双月悠君。君も星導館学園が大変な時に、わざわざ来てもらってすまないね。」

 

 「あー・・・いやまぁ、別に謝らないでいいですよ。運営委員長のせいじゃないですし、復興に全力を上げるってうちの生徒会長も言ってましたから。」

 

 悠がそう言うと、マディアスは安心したように笑う。そして、思い出したように4人を促した。

 

 「ここで立ち話も何だし、早速だけど試験稼働の様子を見てもらおうかな。一旦移動するから、ついてきてくれ。」

 

 そう言うマディアスの後について、4人は観客席を出ると1階エントランスホールへ戻り、そこから彼の案内で1階バトルステージへと向かう。

 

 「そう言えば、悠君はバトルステージに実際に入るの初めてだよね。入ったら、きっと周りの見え方の違いに驚くよー。」

 

 そう言いながら、シルヴィアがいたずらっぽく笑う。

 

 「何の脅しだよ・・・。」

 

 と、悠がそんな呟きを漏らす内に、先行するマディアスの足が止まる。目の前には、頑丈な鉄の扉があった。

 

 「さて、それじゃあ入ろうか。」

 

 彼がそう言うと、背後にある鉄の扉が機械音と共に開く。目映い光が漏れてくる中、悠は一歩を踏み出した。

 

 

 

 「ここがバトルステージ・・・。」

 

 入った途端、悠の口から漏れたのはそんな声だった。周りを観客席でぐるりと囲まれたバトルステージは、立っているだけで観客席とはまた違う感覚がある。

 

 「緊張するかい?」

 

 と、マディアスが背中ごしにそう声をかけてくる。それに曖昧な顔をすると、彼は「そんなに気負うものでもないよ」と言う。

 

 「この場所に上がってくる学生達は誰であれ、何かしら叶えたい願いがあってやってくる。星舞祭(フェスタ)は我々運営側から見れば世界最高のアミューズメントであり、無二の興奮と感動を生み出すステージ、至高のエンターテインメントではあるけど、君達アスタリスクの学生にとっては自らの願いを叶える手段のようなものだ。だから、余り気負うものでもないよ。いざこの場に上がったら、後は勝利する事を考えていればそんなに緊張する事もないんじゃないかな。」

 

 そんなマディアスの言葉に、悠は納得したように頷く。実際、彼の言葉は事実だからだ。「祭」などと銘打ってはいるが、結局のところマディアスの言う通り、アスタリスクの学生にとって星舞祭(フェスタ)は優勝者になる事で願いを叶えてもらうための手段に過ぎない。このステージに上がってくる学生達は皆が勝利を目指して来ているわけだから、いざステージに上がったら勝利だけを考えていればいい、というのも道理ではあるのだろう。

 

 「じゃあ、そろそろ実際に見てもらおうかな。始めてくれ。」

 

 マディアスが携帯端末を取りだし、どこかへと呼び掛ける。すると、ステージの両方の入り口から赤と青に塗装された擬形体(パペット)が現れた。それはステージの中心で向き合うと、煌式武装(ルークス)を構える。

 そして、アスタリスクの学生達が行う決闘と同様に頭上へホロウィンドウが展開され、カウントダウンが始まる。それがゼロになった瞬間、2体の擬形体(パペット)が走り出した。同時に、ステージの床に異変が生じる。

 

 「床が・・・動いた!?」

 

 目の前で起きた現象に、悠とシルヴィアは揃って声を上げ、アーネストとレティシアも少なからず驚いた表情をする。

 床が変動したのだ。移動式と嵌め込み式のパズルが一体化したように、一部は床がせり上がり、また一部は床が浅くではあるが陥没し、また一部は床がずれる。そんな中を、擬形体(パペット)達は何とか動き、斬り結ぶ。

 

 「この動作は完全なランダムでね。いつ、どの床が動くのかはシステムが自身の判断で決定する。そこに人の手が加わる事はない。」

 

 それを見ながら、マディアスが説明をしてくれる。システムが自身の判断で決定、という事は、AIが制御しているのだろう。

 

 「・・・あぁ、なるほど。手間を省いて動作をパターン化してしまうと、解析されて対戦相手が不利になる可能性がある。それを防ぐためにって事ね。」

 

 「このギミック、見た目以上に面倒だな・・・下手をすると一瞬で盤面がひっくり返る。」

 

 シルヴィアと悠は、口々にそう呟きながらステージ上で戦う2体の擬形体(パペット)を注視する。擬形体(パペット)達はしばらく斬り結んでいたが、その決着はまさにこのギミックが引き起こし得るどんでん返しを体現していた。

 赤の擬形体(パペット)による突きが直線的に、青の擬形体(パペット)の胸についたバッジへと迫る。青の擬形体(パペット)は剣を左下段から逆袈裟に斬り上げた体勢であり、このまま行けば間違いなくその突きはバッジを破壊する。

 その矢先、床がまたしても変動した。赤の擬形体(パペット)の足下が陥没し、突然の衝撃に赤の擬形体(パペット)はその体をふらつかせる。その隙をついて、青の擬形体(パペット)が刃を返して右下段から逆袈裟に赤の擬形体(パペット)の胸についたバッジを斬り壊した。同時に、戦闘終了を告げるブザーが鳴る。

 

 「・・・とまぁ、こんな感じだよ。我ながら、今回の王竜星舞祭(リンドブルス)を盛り上げるのに中々役立ちそうなギミックだと思うんだが。」

 

 マディアスが満足そうな顔をしながらそう言う。確かに、ただ実力を競いあうだけでなく反応速度も要求されるだろうこのギミックならば、さっきのようなどんでん返しがあるのも含めて盛り上がりとしては良いスパイスになるだろう。

 

 「さて・・一応試験稼働自体はこれで終わりだ。選手側の君達から見た感じはどうだったかな。」

 

 問いかけるようにマディアスがそう言ってくる。アーネストやレティシアはこのギミックのデメリット・・・具体的には、「床の変動で動きを制限、あるいは無理矢理変えざるを得なくなる事や、床の変動がいつくるか分からない分注意を払うことで集中が削がれ、本来の実力を発揮できなくなる」事を重要視した感想を述べたものの、悠は違った。

 

 「案外悪くないギミックだと思いますよ、これ。ああいうどんでん返しが起こる以上、下位の実力者にも下剋上のチャンスが与えられるし、何より単純な戦闘技能の戦いじゃなくなりますから。ただ戦闘勘がいいだけじゃなく、状況対処能力なんかも含めての『個々の強さ』を選手同士で高めあう事が出来る。」

 

 それを聞いたアーネストは、剣士として思う部分があるのか感心した顔で悠を見ている。その隣でレティシアは引っ掛かる物があるのか、悠の言葉に反対意見を唱えた。

 

 「状況対処能力でしたら、鳳凰星舞祭(フェニクス)鷲獅子星舞祭(グリプス)の連携の中でも高められると思いますけど。味方が気付いていない攻撃にいち早く気づいて防いだり、即興での連携攻撃はその典型では?」

 

 そんなレティシアの意見に、悠は首を横に振った。

 

 「確かにレティシアさんの意見も確かに間違いではないと思いますけど、その場合はあくまで『味方との連携がある』上での物ですし、高まるのは連携の練度くらいですよ。

 俺が言ってるのは、連携とかそう言うものを除いた、完全な1人1人の個人における状況対処能力の話です。」

 

 そう言うと、悠は一区切り合間をおいてから言葉を続ける。

 

 「ただ戦闘の腕がいいだけじゃ、強いとは言えないんじゃないかって思うんですよ、俺。星舞祭(フェスタ)って結局はルールを設けた上での戦闘じゃないですか。

 でも、実際のところ現実の戦闘にはルールなんて無い。仮に、星舞祭(フェスタ)がルール無法の戦闘だったとしたらどうします?あるいは、純粋な殺し合いを前提とした戦いで、周りに頼れる人間がいない状況があったら?奇襲、物量戦、暗器、なんでもありの戦闘だとしたら?

 ・・・そんな状況を切り抜けるのには、間違いなく1人でもあらゆる状況に対処できるだけの能力が必要になる。

 何て言うのかな・・・俺にとっての『強さ』の定義って、1人でも戦えるだけの戦闘の腕は勿論だけど、状況判断能力とか、とっさの対処能力とか、あとはまぁ、意志力とか。そういうのも全部引っ括めてのものなんですよ。」

 

 「長ったらしくなりましたけど、結局言いたいのはこのギミックが選手同士の実戦鍛練にちょうどいいって話です。・・・人間、いつどんな目に遭うか誰も分からないんだし、お互いにそういうのは高めあっておいて損ないでしょ。」

 

 この場で唯一、彼の言葉の重さを理解していたのはシルヴィアだけだろう。悠の視点は、彼が経験した過去あってのもの。

 基本的に、アスタリスクの学生にとって戦闘らしい戦闘と呼べるのは決闘や星舞祭(フェスタ)くらいであるため、悠のように命の取り合いを前提とした戦闘などほぼ経験した事も、まして見た事もないだろうし。それに、アスタリスクの学生にとっての『強さ』とは、即ち戦闘の腕が良いかどうかに尽きるだからだ。

 悠のように、意志力や実戦レベルの対処能力まで自分に課し、またそれを有しているような学生は早々いない。

 

 一方のアーネストはと言えば、悠と自分との視点の違いに驚き、またそんな視点を持つ悠に感服していた。

 悠の視点は、どこまでも実戦的なものだ。決闘や星舞祭(フェスタ)に代表されるようなルール上の戦闘(縛り戦闘)ではなく、命の取り合いである「本来的意味においての実戦」を想定した思考と視点を持ち、その場で生き残れるレベルを前提に自身を鍛えている。それは、「アスタリスク最高の剣士」と謳われ、尊敬の目を集めるアーネストすら至っていない境地だった。

 

 悠自身気付いてはいないが、彼の「強さ」は過去に起因している。かつて両親を失った時、彼は弱かった。弱かったから、一人では何も出来なかった。目の前で大切なものが消えていくなか、何も出来ずに縮こまって震えていた。

 だから、彼は強くなると決めたのだ。2度と大切なものを失なわないで済むように。1人でも大事なものを守れるように。

 そんな悠だったから、鍛練の成果が通常以上に出たのも当然と言えば当然だったのかもしれない。「大切なものを守る」という目的があったからこそ、彼の求める「強さ」にはゴールが設けられる事がなかった。限界のない「強さ」を求めて鍛練する事は即ち、いくら結果が出ても満足する事はなく、また鍛練を続ければ続ける程に際限なく「強く」なっていく事と同義。

 悠が至った視点、彼が至った境地は、環境が変わってもなおそういった在り方を貫き続けた末にようやく辿り着けるものだ。

 

 「・・・運営委員長。頼みがあるのですが、聞き入れてくれますか。」

 

 不意に、アーネストがそんな事を呟く。何事かと悠が視線を向けると、彼は真面目な顔で悠を見ながらこう言った。

 

 「この場で、彼と決闘をさせて欲しいのです。彼は一度、自身の実力をあの動画で公的に見せている。僕だけが実力を見せていないというのは、騎士道的には公平ではないと考えます。それに、運営委員長としては今年の王竜星舞祭(リンドブルス)トップ候補者の実力が生で見られて損はないでしょう。ついでに録画もしておけば、他の参加者達にとってもプラスになり得る。」

 

 

 

ー■■■ー

 

 

 

 「はぁ・・・どうしてこんな事に・・・。」

 

 バトルステージを見下ろせる2階観客席に座り、レティシアは深く溜め息をついた。それを見ながら、隣に座るシルヴィアは「あはは・・・」と曖昧に笑うしかない。そこから少し離れた席では、マディアスが真剣な表情で眼下のバトルステージに立つ二人を見ており、その隣でカメラマンがビデオカメラを手に二人の戦闘を僅かも逃すまいと構えている。

 眼下では、悠とアーネストが互いの純星煌式武装(オーガルクス)を構え、向き合っている。さらにその上にはカウントダウンのホログラフ数字と、マディアスが設定したタイムリミットである7:00の表示。

 

 「何が『自分だけ手の内を見せていないのは、公平じゃないだろう?それに、この決闘を運営部が録画しておけば、他の参加者としては対策を立てたりするのに役立てられるしね。』ですか!下手をすれば白濾の魔剣(レイ=グラムス)に見放される所でしたのに!」

 

 レティシアとしては、そこが一番心配だったようだ、確かに、「アスタリスク最高の剣士」が聖剣を失ったとなればガラードワースとしてはかなりの痛手だろう。だが、アーネスト・フェアクロフは聖剣との付き合い方がかなり上手く、自分の行動にある程度だが折り合いを利かせられる。ある意味、その心配は杞憂と言えた。

 

 「まぁ、でも結果的に見放されなかったんだから良かったじゃない。それに、そっちとしては対戦相手の実力を測るチャンスでしょ?」

 

 「まぁ、確かにそうですけれど・・・。」

 

 とレティシアが言い淀む中、ついに決闘のカウントダウンが始まった。同時に、二人が構えを取る。

 アーネストは白濾の魔剣(レイ=グラムス)を両手で正眼に構え、ゆったりと立っているように見えるがその実全く隙が見えない。

 対する悠は、正面に立つアーネストを見据えたまま腰を屈め、右手の絶煌の魔剣(ヴォルグ=ドラス)と左の聖閃の魔剣(グロリア=フラム)を水平に構える。

 時間はほんの数秒。されど、永遠にも感じられるような数秒の後、決闘開始のアナウンスが鳴り響き、ホログラフで表示された数字が弾け飛んだ。

 

 

 同時にアーネストと悠が地を蹴り、あっという間に距離が詰まったかと思いきや、早速アーネストは左上段からの袈裟斬りを放つ。ガラードワース流の剣術故に剣速こそ然程ではないが、鍛え上げられた技術により鋭く、懐に入り込むように撃ち込まれてくるそれを、悠が両手の剣でしっかりと受け止め、弾き返す。

 同時に右手首を返し、右上段から袈裟掛けに絶煌の魔剣(ヴォルグ=ドラス)を振り下ろす。アーネストはそれを白濾の魔剣(レイ=グラムス)で受け流し、白濾の魔剣(レイ=グラムス)の刃を走らせるようにして斬り上げてきた。だが・・・悠は目の前に迫る刃を見ても動じない。

 軽いバックステップと同時に、逆手に持ち替えていた聖閃の魔剣(グロリア=フラム)を振るい、その刃を白濾の魔剣(レイ=グラムス)にぶつけた反動でさらに後退。すかさずアーネストがさらに鋭い突きを放ってきたが、着地で踏ん張りながら聖閃の魔剣(グロリア=フラム)を正手に持ち直し、強横薙ぎで打ち払う。剣を払われて体勢を少し崩した瞬間、今度は悠が瞬間的に身体強化をかけての鋭い反撃をアーネストへと振るう。

 

 「双月流烈技ーーー"風雷・閃"!!」

 

 「くっ・・・!?」

 

 猛スピードで振るわれる10連撃の刃がアーネストを襲う。それを何とか直撃せずに済んだアーネストだが、その制服のあちこちが破れていた。それだけでも、悠の剣速が他者の追随を許さない域にある事が容易に分かる。

 

 (ここまでとはね・・・流石、彼女の弟にして剣の弟子といった所か・・・!)

 

 内心、アーネストはそう毒づきながら距離をとった。双月流二刀術の上級技にあたる烈技、"風雷・閃"。双月一刀流の技である"風雷"を双月二刀流の技にアレンジし、手数を増やした技だ。

 右の剣で中段突き、下段突き、上段突きを放ち、間を置かず左の剣で上段から袈裟斬り、右の剣で中段横薙ぎから手を返して再度中段横薙ぎ、左上段から中段へ袈裟斬り、手を返して中段横薙ぎ、再度手を返して今度は下段から中段への逆袈裟の後、止めに右の剣で強烈な中段突きを叩き込む10連撃。

 動きの特性上、動きの合間に隙が生まれるため、それを防ぐための剣速は勿論だが体幹がしっかりしていなければ剣の動きに振り回される。

 

 無論それだけでは終わらず、悠は体勢を立て直すが早いか上段、中段、下段と縦横無尽の斬撃を放つ。アーネストが一刀、かつ鍛え上げられた正剣の技術を基盤としているのに対し、悠が二刀、かつゴールの見えぬ鍛練で鍛えてきた我流の戦闘技能に加え、彼の有する圧倒的な剣速と反応速度がそれを支えているのもあるのだろう。

 悠の猛攻の合間を突くようにアーネストも攻撃を放つが、悠は思いもよらぬ動きや最小限の移動で回避し、あるいは打ち払って反撃してくる。

 

 「これは、予想以上だな・・・っ!」

 

 アーネストの顔に、嬉々とした表情が浮かぶ。それは、さながら自分が求めていたものが目の前にあるのを見た者の表情だった。アーネストの目に映る、目の前の少年ーーー双月悠。その内にあるものを、彼は気質と鍛練と意志力だけで制している。決してそれに振り回されるでもなく、自身が思うままに闘っている。

 ーー羨ましい。

 どうしても、そう思ってしまう。レティシアの手前、白濾の魔剣(レイ=グラムス)に見放される訳にもいかず、今は本来の自分を出せないが・・・自分の実力を彼や、撮影されているだろうこの戦闘を見るだろう他の参加者に知ってもらう意味も兼ねて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 同時に、アーネストの剣撃が変化したーーー具体的に言うならば、少しばかり苛烈さを増した。それに呼応するように、悠の剣もその剣閃をより速く、より鋭いものにしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 「アーネストが・・・攻めきれていない・・・!?」

 

 一方の観客席で、レティシアは驚きの声を上げた。ガラードワースの学生たちにとっては、アーネストこそが最高の剣士だという共通認識がある。それを覆しかねない所か、現状目の前で覆されているのだから無理もない。一方のシルヴィアは、両手の剣でアーネストの剣撃を打ち返し、鋭く反撃する悠の姿を静かに見守っている。

 

 「おー、やってるやってる。凄いなぁ。」

 

 と、不意にそんなのんびりした声がする。レティシアとシルヴィアが振り返ると、何時の間に来ていたのか、観客席入り口の壁に寄りかかるようにして悠とアーネストの決闘を見守る光がいた。

 

 「って、双月光!?どうしてここに居ますの!?」

 

 「いやぁ、うちの生徒会長から連絡があってねー。何かまた悠が決闘するらしいとか言うから来ちゃった。」

 

 そう言うと、今度はシルヴィアに顔を向ける。

 

 「こうやって会うのは初めてだよね、シルヴィアさん。双月悠の姉の光です。弟が大分お世話になってるみたいだけど、迷惑とかかけてない?」

 

 「あ、いえ、そんな事ないです!悠君には私の方がお世話になってますし、迷惑なんて・・・!」

 

 シルヴィアがアワアワと返事をすると、光は「そっか。ならいいんだ。」と言うと、シルヴィアの隣へやって来た。そして席につくと、眼下でアーネスト相手に善戦している悠を見る。

 

 「やっぱりかー・・・うん、これじゃ私もアーネストも攻めきれないわけだ。」

 

 そんな光の言葉に、シルヴィアとレティシアは揃って首をかしげる。それを見た光は、苦笑しながら語り出した。

 

 「あの子の過去を知ってるシルヴィアさんなら分かるかもしれないけど、悠って昔から身内や心を許せる相手には色々と甘いのよ。それは剣の道にしてもおんなじでねー・・・ずっと父さんに『身内相手に甘すぎる』って叱られてたなぁ。その癖、自分に対してだけは必要以上に厳しくって。」

 

 光の言葉に、シルヴィアは思い当たる節があった。自分や実里が突拍子もない提案をしたり、やらかした時も、呆れた顔をしながらも何だかんだ悠はそれに付き合ってくれたのだ。先生に言われて手合わせをしていた時も、どこか手加減しているように見えた事は少なくない。

 

 「悠の場合、そんな性格だから相手によっては本気の実力が出せないんだよね。私自身、それに確信が持てたのはこの前の決闘でなんだけど。

 中等部2年の時で私と互角に戦えるなら次は私を打ち負かすんじゃないかって思ってたのに、結果はそうならなかったから。」

 

 「えっと、つまり・・・悠君、身内や心を許せる人に対しては無意識的に実力をセーブしちゃってるって事ですか?」

 

 「そういう事。でもって、過去が過去でしょう?だから、尚更余計に無意識下に刷り込まれちゃってるんだと思う。・・・あの子は、身内や心を許せる人が居なくなったり、二度と会えなくなる痛みを知ってしまってるから。無意識に、そういう人が相手だと怪我をさせるのが恐くて手を抜いちゃうんだと思う。」

 

 そう言いながら弟を見る光の顔には、僅かに影が差していた。

 

 「・・・ちょっと待ってくださいませ。じゃあ、今の双月悠は?」

 

 レティシアが思い至ったようにそう言うと、光は小さく笑い、顔をあげる。その表情は、弟の成長を見守る姉のそれだ。

 

 「あれが、あの子の・・・双月悠の、真の実力だよ。実力をセーブしてしまうって言っても、その実力を支える根本は戦闘の時点で発揮されているからね。あの子で言うなら、剣速と反応速度と、あとは際限のない鍛練で鍛えられてた身体能力と戦闘技能かな。

 そういったものまではセーブのしようがないのよ。だから、いくら悠が無意識に手を抜いていたとしても私は悠を攻めきれなかったし、アーネストも今見てる通り。」

 

 光達がそんな会話をしながら、悠達二人の決闘を見守る。そしてついに、タイムリミットが残り1分を切った。

 

 

 

 

 

 

 三度絶煌の魔剣(ヴォルグ=ドラス)白濾の魔剣(レイ=グラムス)の刃がぶつかり合い、激しく火花を散らした。互いに一度距離を取り、呼吸を整える。

 

 「・・・素晴らしい腕前だ。君とこの場で会えたのは堯幸だと言う他無いな。」

 

 「それはどうも。『剣聖』にそう言ってもらえると、此方としても自信になりますね。」

 

 感服した表情でそう言うアーネストに対し、悠はあくまで飄々と振る舞う。それを見たアーネストは「フッ」と小さく笑ってから、白濾の魔剣(レイ=グラムス)を構え直した。

 

 「だが・・・これはどうかな?」

 

 と、アーネストはそう言いながら、再度距離を詰めてきた。高速で振るわれた横薙ぎの一撃をバックステップで回避するが、そこへ今度はアーネストの()()()()()()()()

 

 「!?、ちぃっ・・・!」

 

 予想していなかった攻撃だが、咄嗟の反応で体を左へ捻り何とか回避。同時に前転しながら左手一本で体を支え、勢いにのせて振り上げた右足でアーネストの腹を抉り、捻りの要領で回転しつつ今度は右手一本に入れ替えて左回し蹴りを叩き込む。双月流体術、「蹴嵐」。

 アーネストも白濾の魔剣(レイ=グラムス)の刃で防いできたが、それでもなお彼の体は後方へと押し返される。

 だが、アーネストは体勢を立て直すが早いか、再び斬り込んできた。即座に体勢を立て直しつつ高速の剣閃を回避し、あるいは打ち払いながら、悠は同時にアーネストの狙いを悟る。

 

 (休みなしの連撃で潰すつもりか・・・!)

 

 そう悟ると、悠はさらに集中を研ぎ澄ます。アーネストの一挙手一投足、呼吸の全てを見極める。それは、昔からの悠の得意分野だ。

 アーネストの絶え間ない斬撃を、一歩も引くことなく悠は真正面から叩き落とす。幾度目かも分からない斬撃を弾き返した直後、悠は勝負をつけるべく動いた。

 アーネストの刃が動くより速く彼の背後へ回り、中段横薙ぎを放つ。背後への回転斬りでアーネストはそれを防いだが、悠はそれに構わず彼の斬撃を回避しながら、アーネストを全方位から斬るように動く。

 双月流においては「方天無双」と呼称される、双月流剣術の戦い方の完成形の1つだ。全方位から斬りかかる動きにより、相手を翻弄すると同時に自身に有利な状況を作り出す。が、絶えず動き回るためにスタミナの消耗が激しい戦い方でもある。これは本来1対多の状況でこそ真価を発揮するのだが、1対1でも強敵相手に使えばかなり有効なのである。

 

 そうして再び斬り合い、もはや刃を打ち合わせた回数が尋常ではない桁を数えた頃にはアーネストの制服のあちこちは裂け、一部は皮膚すら切れて出血していた。一方の悠は、無傷。制服にも体にも、傷らしい傷は全く見られない。

 アーネストが鋭く振ってきた垂直斬りを弾き返すと、アーネストは流石にこのままでは攻めきれないと踏んだのか一旦距離をとろうとする。その瞬間を、今の悠が見逃すはずは無かった。

 

 「双月流奥技ーーー"双・弦月"!!」

 

 「っ・・・!!」

 

 深く踏み込んだ悠が、右の絶煌の魔剣(ヴォルグ=ドラス)を振り抜いた。間一髪それをアーネストはバックステップで回避するが、悠がその懐へさらに飛び込み、引き付けた左手をさらに薙ぐ。直後、タイムリミットのアラームが鳴り響き・・・同時に金属が割れる音がして、二つに割れたガラードワースの校章が地面へと落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『校章破壊(バッジブロークン)。勝者、双月悠。』

 

 無機質な機械音声が、そう告げる。瞬間、シルヴィア達が座っている観客席から拍手が起きた。

 少し息を上げつつもしっかりと二本の足で立っているアーネストと、対称的に、思い出したように荒い息を吐きながら右の剣で何とか体を支えて膝立ち状態の悠が顔を上げると、悠の図上に「Winner」の文字が並んでいる。

 それを眺めていると、わざわざ観客席から出て通路を通るのももどかしくなったのか、直に飛び降りてきたシルヴィアが駆け寄るが早いか抱きついてきた。

 

 「凄いよ、悠君!勝ったんだよ!!」

 

 興奮した声が耳に入ってくるが、何故か高揚感は無かった。というか、脳が麻痺したようにぼーっとしている。

 

 「何を呆けた顔してるのよ。勝ったんだから素直に喜んだらいいじゃない。」

 

 と、そう声がして顔だけを横に向けてみれば、何時の間に来ていた姉が呆れ半分、喜び半分という感じの表情で立っていた。

 

 「・・・あぁ、うん。いや、嬉しいんだけどさ・・・。」

 

 と、そこまで言った所で、強烈な疲労が襲ってくる。そのまま、抗いようもない流れに押されるようにして、悠の意識が落ちた。

 

 

 

ー■■■ー

 

 

 

 「・・・それじゃあ、僕達は此方だから。双月君には、後で伝えておいてくれ。」

 

 そう言うと、アーネストはレティシアと共に迎えの車に乗って去っていった。それをシルヴィアと光は見送ると、自分達も帰路につくべく歩きだす。

 

 「・・・今日も今日で、色々あったなぁ・・・。」

 

 と、シルヴィアが思い出したようにそう呟いた。それに曖昧な笑みを返しながら、光は自分の背中におんぶされて熟睡している弟ーーー悠の顔を見やる。

 

 ーーーあの後。

 決闘直後に気を失うようにして眠りに落ちた悠は光が背負って星導館の学生用宿泊先になっているホテルへ連れ帰る事になり、シルヴィアもそのホテル前まで一緒に行く事になった。

 昔からそうだが、悠は本気の勝負をした後に暫く寝込む事が多かったのだ。1度、両親が本気で心配して病院に連れていったくらいである。

 

 「まぁ、悠だし仕方ないよ。それより、シルヴィアさんは本当にいいの?学校の方は忙しいんじゃない?」

 

 「大丈夫ですよ。少し仕事量は増えましたけど、実里にも頑張ってもらってますし。」

 

 曰く、最近は色々な事情が重なって生徒会長の仕事に専念できているから多少仕事が増えた所で気にならないらしい。

 

 「それに、間接的とはいえ悠君に恩返しが出来ると思えば全然気になりませんから。」

 

 そう言って、光の背中で眠る悠を見る。その視線はとても温かく、優しいものだ。それを見ていると、不意にどうしても聞きたくなった。

 

 「・・・ねぇ、シルヴィアさん。悠の事、どう思ってる?」

 

 それはある意味、直球過ぎたかもしれない。だが、シルヴィアは少し考えるようにしてから、はっきりと答えた。

 

 「好きですよ。勿論、異性として。出来るなら結婚したいし、ずっと一緒にいたいと思ってます。今だって、私が支えたいから支えてるんですし。」

 

 その言葉で、光は不思議な安堵感が自分の胸の内に広がっていくのを感じた。それは弟をこれだけ大切に想ってくれている人がいる事への安堵か、はたまた弟が自分以外に心から大切だと思える人を見つけた事への安堵か。

 どちらにせよ、この安堵感が彼女にとってプラスなものである事は明白だった。

 

 「・・・そっか。なら、私が居なくても、もう大丈夫かな。」

 

 誰に聞かせるでもなく、そう呟く光の顔はどことなく嬉しそうで・・・しかしどこか、寂しそうで。

 夕暮れの中、照らされる道路に二人分の影が伸びていた。

 

 

 




皆様、おはこんばんにちは。悠です。
さてと、まず今回の話の振り返りなのですが・・・「動乱編」とか銘打っておきながら、またしても悠の掘り下げになりました。
てか、我ながら悠の強さ設定を間違えたかもしれない。本来の実力を出してない+途中から本来の実力の一端を少し出したとはいえ、アーネスト相手に無傷ってのはやり過ぎた・・・でもこの強さを前提に大まかなシナリオをもう作ってしまってるので今更設定変えられないんですよねぇ・・・。
悠の場合、「ひたすら強くあり続けなければ自分が死ぬ、大切な人が危険に晒される」という強迫観念の元に動いてる状態ですので、強さは結構なレベルにしてあるんですが。

まぁ、とりあえず悠の強さについて詳しく書いておきます。

比較対象として、本家主人公・天霧綾斗の強さを数値化。

第1拘束解除時:10
第2拘束解除時:25
第3拘束解除時:100

としまして、本家中では「綾斗・第3拘束解除=本来の実力を出したアーネスト・フェアクロフ」なのは確定。つまり「100=本来の実力のアーネスト」と。
んで、悠はというと、一応設定の上では200くらい。つまり「第3拘束を解除した本来の天霧綾斗」×2が本来の双月悠の実力です。
綾斗と違って前々から明確な目標が2度に渡って定まっている上、明確に自分が鍛えるべきものを示してくれる師匠が約3名いて、その上半端ない意志力と精神でゴールの無い鍛練を繰り返してるわけですから強くなるのも当たり前と言えば当たり前ですわな。
そりゃ、中途半端に本来の実力の一部を出したアーネストじゃ傷を負わされないわけだよ・・・。
なので、数値上は「(本来の綾斗=本来のアーネスト)<本来の双月悠」が強さ的には順当です。

ただ、剣の技は鍛えていれば自然と上がるものらしいので、ぶっちゃけ実力といっても微妙な誤差になります。まぁそれは悠にも言えますが。
てなわけで、それを加味すると、一番最適な強さ設定は「(本来の綾斗=本来のアーネスト)≦本来の双月悠」という図式になるかと。
・・・まぁ、対して変わってないのには目をつぶってください。

今回の話に関して長々と言い訳みたいな事を書きましたが、とりあえずはここまで読んでいただいてありがとうございます。
次の話はまた、ゆっくり待っていていただければ。

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