「ごめん優鬼‥ちょっとこの辺りで待ってて欲しいんだけど‥」
顔を少し赤く染め紫は優鬼に問いかけていた
何かあったのだろうか‥
「別に構わないが‥何かあったのか?」
「いや別に!ただちょっと家に戻って色々としなきゃいけないことがあって‥」(早く私の部屋お掃除しないと!優鬼には私と同じ布団で寝てもらうんだから!それであの大きな腕で私を優しく包み込んでもらって‥‥ふへへへへ‥)
「紫?大丈夫か?よだれが出てるぞあと顔を真っ赤だ」
「おっとよだれが‥大丈夫!優鬼は心配しないでいいわ!すぐ戻ってくるから待ってて!」
紫は顔を隠しながらその場から姿を消した
「どうするか‥」
紫は家に戻ってしまったし幻想郷の事はまだ何もわからない
下手に動けば迷惑になってしまう可能性もある
どうするか‥
考え込んでいる優鬼にカメラを持った鳥天狗がこちらを覗いていた
「いましたね〜にしてもおっきな妖怪ですね〜紫さんとも結構仲良く話していましたし‥何者でしょうか‥とりあえず一枚撮っときましょうか‥」
「‥あの‥」
「あやや!?何でいきなり背後に!」
一瞬に目を離したすきに優鬼は木の陰に隠れていた鳥天狗の背後を取っていた
鳥天狗後悔した
いま目の前にいる妖怪は鬼という残虐非道の妖怪だと
(あやや‥私殺されるんですかね‥)
鳥天狗の足は震えが止まらず目からは涙が出そうだった
しまった‥怖がらせてしまったか‥
背後に立った瞬間目の前の女の子は涙を流していた
(またやってしまった‥俺って本当にダメなやつ‥)
怖がらせないようにしようと幻想郷に入る前に決めたのにもかかわらず女の子を怖がらせてしまった
一体どうすればいいんだ‥
優鬼も泣きそうだ
(どうしましょう‥私はここで死んでしまうのでしょうか)
目の前の鬼が口を開けている
(私食べられちゃうんですね‥あやや‥意外とあっけない終わりですね)
目を瞑る
だがいつまでたっても痛みはこない
(‥あや?)
恐る恐る目を開けるとそこには
頭を下げている鬼がいた
(え?何故この鬼は頭を下げているんですか?)
何が何だかよくわからなくなっている鳥天狗に鬼は一言
「すまない」
*
「そうだったんですか!全く!殺されるかと思いましたよ!」
「いや‥本当にすまない」
「別にいいんですよ!終わったことですし!」
なんだかんだで話したら理解してくれた
「そういえばまだ名前を言ってませんでしたよね!私の名前は射命丸文です!あそこにある妖怪の山で新聞を作っています!貴方は‥」
「俺は優鬼‥この度は本当すまなかった」
「もう謝らないでくださいよ!それに私も優鬼さんのこと鬼だからって怖がってしまってすいません」
文は優鬼に深々と頭を下げていた
「謝らなくてもいい‥俺みたいなのがいたら誰だって怖がる」
「確かに‥見た目は怖いですけど‥話してみたらとっても優しい鬼だなって思いましたよ!」
文は笑顔で優鬼の顔を見つめていた
「そう言ってくれるというとても嬉しいよ」
優鬼は笑顔で答えた
(この人‥こんな顔をできるんだ‥見た目は怖いけど中身はとっても優しいんですね‥)
優鬼の優しさを知ったものがいた
「そうだ!優鬼さん妖怪の山に来ませんか?まだ来たばっかで右も左も分からないでしょう!行きましょう妖怪の山!」
「しかし、俺が行ったら皆を怖がらせて‥」
「大丈夫です!私に任してください!行きましょう!」
「しかしだな‥」
「善は急げです!行きますよ!」
文は優鬼の手を取るとものすごいスピードで妖怪の山に向かった
まぁなんとかなるか‥
「お待たせ優鬼!行くわよ!私のマイホームに!それでそれでたっぷりと私と一緒にって‥優鬼?どこ‥」
一足遅かったゆかりであった‥