笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》   作:バスクランサー

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某ブルーベリー色の化物のゲームにハマってしまった今日この頃。

それと最近更新遅れ気味ですみません…m(_ _)m
今回少し短めですが、本編どうぞです。

※この章もクロスオーバーになります。


大井と北上の章
想いは生死を超え


「…え?」

 私のこと見えるなんて…って?

「ふふふ、驚いてるみたいだね。」

 …そう言うってことは…北上…まさか…

「北上、君はまさか…その、俗に言う幽霊、なのか?」

「…ふふ、せいかーい」

 そう言われても、恐怖感は不思議と感じなかった。その代わり、頭の中になんとも形容し難い疑問が次々と生まれた。

「お?提督、戸惑ってるね〜。まあ当たり前だよね〜。」

「…そりゃ、まあな。」

「うーん…そうだ、私幽霊だけどさ、個人部屋用意してくれない?」

「個人部屋?」

「うん。多分そうしないと…大井っちがなんて言うかわかんないし…」

「…そうか、分かった。」

「ありがとう、提督。それとさ、個人部屋が用意できたら、1回みんな連れてさ、一緒に来て欲しいんだよねー。色々話したいことあるしさー。」

「ああ。分かった。」

「おお、ありがとうー。気が利くねぇ提督。じゃあまたねー。」

 そう言うと北上は、廊下の奥へと消えるようにいなくなってしまった。

「…なんだったんだろう…」

 …とりあえず、響と大淀を交えて、少し話し合いをしようーーー

 

 ーーー同日 フタマルサンマル

「…と、いうわけなんだ。」

 ここまでの事情を話すと、大淀は納得したようだ。だが、響はあまり実感がわかないようだった。少し彼女の足が震えていたのは…見なかったことにしよう。するとその響が、

「で、でもさ、僕は北上さんなんて…全く見えなかったよ?だから、その…少し不思議だなあって…」

 と。…今の声の震えもなかったことにしよう。

「でもそうなると矛盾ですね…私には見えたんです。執務室に来る前に、私の所に大井さんが来た時、その隣に北上さんが…」

「多分、素質とかそういうこと、じゃないか?ほら、よく霊感とか、見えるヤツ、とかいうじゃないか。」

「じゃあ、私や提督にはそういうものがあって…響ちゃんには…」

「い、いいんだよ?そういうのなんてなくて。ていうか、見えたら前見えなくて邪魔じゃん?」

 …一気に震え声と動揺した表情、早口のコンボの響。…見なかったことに、というのもさすがに無理がくるかもしれないくらいだ。

「とにかく大淀、艦娘寮の大井の隣は空き部屋だから、そこを北上の部屋、ということにしよう。それととりあえず明日、俺たち3人で北上と大井で話し合ってみようか」

「僕は…遠慮しておくよ」

「…いいのか?響」

「どうせ見えないし」

 言葉だけ聞けばふてくされている人の言葉だが、彼女の様子から見るに…心の底から安心している。

「…ああ、分かった」

 それだけ返しておいたーーー

 

 ーーー翌日 ヒトロクマルマル 大井個人部屋

「失礼するぞ。大井…それから北上、いるか?」

「はい、いますよ。なんでしょうか提督。」

 昨日あのあと、大淀が大井に話を通してくれていたらしく、許可もとれたそうだ。ドアを開けるとそこには、大井…それと北上。霊体にありがちという半透明の体ではなく、むしろこれが幽霊?と聞いてしまいたいほど肌色もよかった。

「お、揃ったねー。じゃあ大井っち、お菓子用意してよ。あたしお茶もってくるから、ね」

「はい、北上さん!」

 やはりというか…大井は北上が絡むと途端に元気になるようだ。というか…

「北上、お前って物持てたりするんだな…」

「え?…ああ、これねー。すっごいよね、私も驚いちゃった。」

「もう提督、何を聞いてるんですか?北上さんは今ここに存在しているじゃないですか。」

 …あ、これって病んでる?病んでるパターン…?

「まあまあ、大井っち。とりあえず、こうなった経緯を北上様が説明するよー。」

 と言って、北上は俺と大淀にお茶を出して、そして過去を語り始めたーーー

 

 ーーーかつて第32鎮守府に在籍していた大井と北上は、とても仲の良い姉妹艦だった。2人とも同時期に、軽巡洋艦から重雷装巡洋艦に改装され、そこには当時まだ他の球磨型軽巡洋艦がいなかったこともあって、2人の絆はより一層深まっていった。

 が、しかしそんな温かな日々は突如として崩れ去った。

 その日、とある海域に出撃していた大井と北上。中破者がでるなど、手こずりながらも敵の艦隊一つを撃破したのだが、その際、近くに潜んでいた敵の潜水艦から、大井に向けて数発の魚雷が放たれた。それに気づいた北上。

「!?大井っち、魚雷!!」

 そう言った時、北上は既に動き出していた。そして、突然の事態に動くことが出来ない大井を、思い切り突き飛ばした。

 吹っ飛ぶ大井。北上に命中する魚雷。炎上する彼女の艤装。

 北上は…轟沈した。

 

 大井は、自らその親友の命を奪ってしまったと、深い悲しみに暮れた。

 北上が沈んで1週間は、彼女は部屋から一歩も出てこなかったという。

 そして。大井がようやく出るようになってから、彼女は奇妙なことを言うようになった。

「北上さんが見える」

 もちろん、第32鎮守府で北上がこの1週間の間建造されてはいない。外に出てくるようになったことは嬉しいが、これはただことではない。そこの提督や仲間の艦娘達は、大井が嘘を言っていると思い、説得を試みた。しかし、

「何を言っているんですか?北上さんはここに現にいるじゃないですか!」

 と、聞く耳を持ってくれなかった。そのように見えた。

 しかしある日、その状況は一気に覆された。

「北上が見える」

 という艦娘がチラホラといることが分かったのだ。混乱に包まれる鎮守府。やがてこのことで、北上が沈んでから一ヶ月、ここ第35鎮守府への異動が決定したーーー

 

 ーーー「なるほど…」

「でも北上さんは戻ってきてくれたんです!私の想いに応えてくれたんですよ!」

「お、おう、そうか…」

 熱弁する大井に少し戸惑いつつ、少しお互いの親睦を深めるべく他愛もないことを話し合った後、部屋を出た。

 廊下を歩きつつ大淀と話す。

「提督…どうします?」

「そうだな…うまく大井に、北上の…死を受け入れさせないとだな…」

「うんうん、頼んだよ提督」

「おお。…って北上!?」

 なんとそこには、先程話し合いを終えて別れたはずの北上がいた。

「ごめんねー。実はさ、あそこだと少し話しづらいことが色々あってさー、うん。」

「そうなのか?」

「そうなの。だからさ、少し執務室に通させてくれないかな?」

「ああ…構わんが」

 俺は大淀、そして北上を連れて執務室へ向かったーーー

 

 ーーー執務室

「おかえり提督。その…話はどうだった?」

 若干オドオドしながら聞いてくる響。

「特に何も問題は起きなかったよ。ただ…まだ続くかな」

「?」

 キョトンとする響。俺は事実を伝える。

「…今ここに、北上がいる。」

 一瞬固まる響。そして空いている俺の隣をビクビクしながらじーっと見つめる。

「その…俺じゃなくて大淀の隣にいるんだがな。」

 ガクッとうなだれる響であった。

 その後なんとかして響をなだめ、執務室にて、俺、響、大淀、そして北上の4人で改めて話し合いが始まったーーー

 




今回も読んでくれてありがとうございました!m(_ _)m
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また次回です!

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