笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》   作:バスクランサー

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やばいです。
筆者の学級でインフルエンザの犠牲者(死んではいない)が続出してます。

皆さんもお気を付けて…

本編どうぞ。


人と艦娘と光と希望 後編

 アーストロンは、いきなり3人へとマグマ光線を撃った。だが、金剛と比叡は山中へ、ジャックは上空へと移動してそれを回避する。

「ジュワッ!」

 ジャックは攻撃直後のアーストロンの隙をつき、伸ばした右腕に左手を添え、右手先から光線ーーーウルトラショットを放つ。アーストロンのすぐ前の地面に光線が直撃、アーストロンは衝撃波と爆発に怯む。

「今度は私たちの出番ネー!ヒエー、follow me!」

「はい、お姉様!」

 山中から再び舗装された山道へと降り、更にガードレールが崩れたところから、急傾斜の山肌を地面へと滑り降りつつ、照準を定める。

「fire!」

 金剛と比叡、その艤装から次々と放たれる砲弾が、アーストロンへダメージを少しずつ、しかし確実に与えていくーーー

 

 ーーー山道の途中から避難所までは、早急な避難のために用意しておいたジオマスケッティにジオアトスを合体、スカイマスケッティで一気に子供たちを送り届けた。

「先生ー!」

「怖かったよぉー!」

 泣きじゃくり、先生と抱き合う2人の児童。俺は響に、今まさに山で、ウルトラマンジャック、金剛、比叡が力を合わせ、アーストロンと戦っていることを伝えた。

「そうか…金剛さんと、比叡さんが」

「ああ。」

 するとその話に、近くの住民たちが反応した。

「おい提督さん、金剛と比叡のねーちゃんが、あそこでウルトラマンと一緒に戦っているって、本当かい!?」

「えっ、マジ!?」

 驚いた顔で詰め寄ってくる住民たち。俺は彼らに事実を伝えることにした。

「はい。本当です。」

 すると、住民たちが口々に言った。

「頼む提督さん!避難所の外にワシらを出させて、戦いを見守らせてくれ!」

「私たちのために戦っているあの方たちを、応援してあげたいんです!」

「俺達があいつらに出来ることなんて、ちっぽけかもしれないけど…それでも、気持ちだけでも届けたいんだよ!」

 避難所のあちこちから、お願いします、頼みますの声が飛ぶ。彼らのその気持ちを、俺も届けたいと思って、そして決断した。

「わかりました。避難所の玄関前で、皆さんで一緒に応援しましょう!響たちも一緒にだ!」

「ハラショー!!」

 そして結局、避難してきた全員が避難所の玄関前に集まった。

 救助した児童を含む、小学校の一行も。

 商店街で働く、店員さんたちも。

 先程撃墜された、空軍の戦闘機パイロットまで。

「金剛さん!比叡さん!頑張れー!!」

「ウルトラマンジャック!負けるなー!!」そして彼らの気持ちはーーー

 

 ーーー戦いの最中の金剛たちに、しっかりと届いていた。

「…Why?なんだか、すごく力が湧いてくるデース…!」

「私もです、お姉様…!これは一体…」

 その問に、ジャックが答える。

「きっとこれは、街の人たちが、我々を見守って、そして励ましてくれている証拠だ。これもまた、人間の美しさの1つなのだよ、金剛、比叡。」

「そ、そうなのデスカ…!」

「だったら私たちも、その気持ちに!

 気合い、入れて!答えなきゃですね!」

「ああ、もちろんだ!」

「私たちの力、見せつけるネー!」

「よし!」

 突進してくるアーストロンをジャックはジャンプで飛び越え、後ろに回り込む。そしてそのまま、アーストロンを羽交い締めにした。

「来い!金剛、比叡!」

 ジャックは羽交い締めしている手の先端から、向かってくる金剛と比叡に向けて、ハンドビームを放つ。

「そういうことネー!ヒエー!」

「はい、お姉様!」

「「1、2の、3!!」」

 声とタイミングを合わせて、跳び上がる2人。そしてその直後の地面にハンドビームが命中する。そして、その爆風が、一気に2人を空中で加速させた。

「撃つネー!」

「撃ちます!」

 そしてその勢いのまま、至近距離となったアーストロンめがけて力いっぱい砲撃する。金剛の放ったものは、その口内へと吸い込まれるように命中し、マグマ光線を封じさせる。そして比叡の放ったものは、その角へと命中。荒い亀裂が角を駆け巡った。

「タァッ!」

 金剛と比叡が着地したのを確認し、ジャックはアーストロンを羽交い締めしたまま跳び上がる。そして空中で、自分の背後へと、頭の上から一気に放り投げる。強敵・ナックル星人にとどめを刺した技ーーーウルトラ投げだ。放り投げられたアーストロンは頭から地面に落下、先ほどの砲撃で弱体化していた角が砕け散る。しかし、アーストロンも必死に抵抗する。その長い尻尾を思い切り振り、金剛と比叡へ攻撃を仕掛けるが…

「ショアッ!」

 そうはさせるかと、ジャックはすかさず左腕のウルトラブレスレットを、小型の刃ーーーウルトラスパークに変形させ、素早く投げる。空中を舞ったウルトラスパークは、その尻尾を根元から切り落とした。攻撃が失敗し、おまけに自身の武器をすべて失ったことで、アーストロンはもう戦意喪失だ。

「今だ、金剛!比叡!一気にとどめを刺すぞ!」

「分かりマシター!」

「はい!」

 ジャックはアーストロンに駆け寄ると、その巨体を担ぎあげた。

「ウルトラハリケーン!!」

 両腕で回転を加えて、アーストロンを一気に上空へと投げ飛ばす。

「ジュワッ!!」

 ジャックは自身の両腕を、十字に組む。そして、狙った敵には必殺技ーーースペシウム光線の贈り物だ。さらに今ならーーー

「とどめデース!!fire!!!」

「気合い!入れて!!撃ちます!!!」

 戦艦である金剛と比叡の、強力な砲撃のおまけ付きである。さすがのアーストロンも、3人の合体技をくらってはひとたまりもない。たちまちその身は、空中で爆発四散したのであったーーー

 

「やったぁぁぁ!」

「ウルトラマンジャックが!金剛さんと比叡さんが!勝ったぁぁ!」

「いよっしゃあ!!」

「ハラショー!」

「これはすごいっぽい…!」

 避難所でその戦いを見守っていた全ての人、そして艦娘たちも、その喜びを分かち合ったのであったーーー

 

 ーーー数時間後

 避難所から人が解散し、街の上には夕焼け空。

 そして、提督、響、金剛に比叡、そして坂田自動車修理工場の人たちは、郷秀樹を見送るべく、砂浜に赴いていた。

「二郎、敬三、そして詩織さん。工場のことを頼んだぞ」

「ええ、任せてください!」

 彼らと固く握手を交わした郷は、金剛の元へとやって来た。

「さて、金剛」

「はい、郷サン」

「…君は本当によく頑張ってくれた。過去を乗り越え、そして人間を守るという、とても勇気ある決断をしてくれたな。」

「そ、そんな…私ハ…」

「謙遜することは無いさ。これからも、人間の美しさを守るために、頑張って欲しい。できるな?」

 そう聞かれた金剛は、郷に近寄って言った。

「…Of course!頑張りマース!!」

「よし!」

 郷は金剛の強い瞳を見て、大丈夫だと確信した。そして、海の方へと向き直り、その手を高々とあげる。その身が光に包まれ、郷はウルトラマンジャックへと変身した。

「さらばだ、みんな。我々はいつでも、あのウルトラの星から、見守っている!」

 ジャックはそうみんなに伝え、夕焼け空の彼方へと、飛び立って行った。

「郷サーン!see you again!!」

 彼方に輝くジャック、そしてウルトラの星へと、金剛たちはいつまでも、手を振り続けたーーー

 

 ーーー数日後 執務室

「テートク!ただいまデース!今日も茶葉を貰ってきたネー!」

 すっかり元気になった金剛。出撃のない日はよく街の喫茶店などに行って、そしてたまにお土産にこうして茶葉を持ってきてくれるようになった。

「ありがとう、金剛。せっかくだし、書類もキリがいいから、みんなを誘ってティータイム、しようか。」

「任せて下サーイ!」

 テキパキとティータイムの準備が整い、そして金剛は、比叡、そして同じく金剛型戦艦であり、その四番艦の霧島を連れてきた。

「こんにちは、司令」

「おお、霧島。君もティータイムに来てくれるとは」

「金剛お姉様のティーは、絶品ですからね」

「確かにな。

 …それで、やっぱりまだ、だめか?」

 霧島は顔を少し俯かせて言った。

「ええ…まだ、榛名は恐怖心が消えてないようなんです」ーーー




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今回も読んでくれてありがとうございました!
次からは榛名ちゃん…
また次回です!

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