笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》   作:バスクランサー

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筆者、今日は行事で一日中山歩きしてきました。
今めっちゃくちゃ足が痛いです。

なんとか続きかけましたのでどうぞどうぞ。


雨の中の奇跡 前編

「なんだって!?」

 俺は思わず大声をあげてしまった。しかしそんな一瞬でも無駄にしている場合ではない。まずは事情を聞くことが先決だ。

「陸奥、落ち着け。まずは状況を話してくれーーー」

 

 陸奥によると、掃除が終わったら一緒に自室で話そう、という約束だったのだが、約束したはずの長門がいつまでたっても現れないことに少し心配を覚え、寮などを探したのだという。しかし、どこを探しても見当たらなくて、聞き込みでも何も得られなかったのだという。

「なるほど…大淀には言ったか?」

「一応執務室来る前に…大淀さんにも言った…。どうしよう…もし長門に何かあったら…!」

 心配で目を真っ赤にする陸奥。なんとか俺も対処法を考えなければならない。

「とりあえず、大淀に伝えたってことは、彼女も色々動いているってことだ。こっちも出来ることをやろう。響、これから大淀に招集をかけるから、事務室に先回りして後で俺が伝えるメンバーを招集してくれ。その後は、一応時間的にもやばいから、夕立と一緒にそろそろ厨房でボルシチ作りを頼む。俺は長門の捜索にいく。一応他のメンバー誘っていくから」

「了解した、司令官。任せて」

 響は執務室を出て行った。と、そこへ執務室に内線での通信が入る。

「こちら執務室」

「司令官、こちら大淀、大変です!」

「どうした!?」

「たった今、工廠妖精さんから長門さんの目撃証言、二十分ほど前に、街へ通ずる道へと向かう長門さんを目撃したとのこと…!」

「街!?」

「え!?」

 パニック寸前の陸奥。しかし、とにかくこれで大方、長門の今の居場所が掴めた。となればーーー

「大淀、これから街の方へ長門の捜索に出発する。申しわけないが執務を代わりに頼めるか?」

「はい、おまかせください!」

「ありがとう大淀。それと、これから言うメンバーを、鎮守府の正面玄関に招集してほしい。」

「わかりました。誰、ですか?」

「そうだな…明石、瑞鶴、それから、吹雪に頼む。明石には救護セットを持つように言ってくれ」

「わかりました!」

「あと大淀、もうひとつ頼む」

「はい、なんでしょう」

「…ジオアラミス、それからジオマスケッティの出撃準備を頼む」

「了解しました!」

 俺は大淀との通信を切り、陸奥にも玄関に向かうように指示した。そして俺は提督帽子を脱いで、ヘルメットをとり、地下の車庫へと向かった。ふと執務室を出る時、窓の外を見つめる。

「やばいな、こりゃ…。」

 空には暗い雨雲が一面に立ち込めて、そしてそれはこれから向かおうとする、街の方へと流れていたーーー

 

 その頃ーーー

 割烹着、バンダナ着用の長門は、街の商店街の入り口に来ていた。そう、先程、食堂での一部始終を見聞きしていた長門は、単身街に買い出しに来ていた。食堂に置いてあった間宮さんの買い物予定表を見て、メモもとってある。ついでに、自分勝手かもしれないが、吹雪にお詫びの品でも買っておいてあげようかとも思っていた。

「ふう…」

 長門は商店街の中へと足を進めて行った。しかし、すぐに異変に気づく。

 どの店にもシャッターが降りていて、営業している所がないのだ。これはおかしいと感じる長門。いつも週に一、二度は間宮が買い物するこの商店街は、いつも賑やかだと聞いていたのだが…と、長門はあるものに目をとめた。シャッターに貼られた紙だった。何か書いてある。

「本日夕方より予想される嵐のため、本日は午後15時閉店とします。ご迷惑をおかけして申し訳ございません」

「くそっ…!」

 長門はどの店のシャッターにもそれが貼られているのを見て、言いようのない悔しさを覚えた。このまま何も出来ずに終わるのか。自分が来たことは無意味だったのか。

「こうなったら…!」

 長門はなんとしてでも空いている店を探そうと、狭い路地裏の道へと入った。しかし、しばらく進んで見えてきたのはーーー

「くそっ、行き止まりか…」

 引き返そうと踵を返す長門。ところがその瞬間ーーー

「うっ…!」

 フラッシュバック症状、要するに発作が長門を襲った。身体を襲う強烈な痛み。薬など、持っていない。

「こんな…ところで…!うあぁっ…!」

 続く激痛に悶え、うずくまる長門。目立たない路地裏のため、気づく人影もない。

「うぅっ…はぁ、はぁ…はぅっ!」

 苦しむ長門。そして無情にも、その体、そして街に雨粒が降り始め、そして強くなっていた…

 

 ーーー第35鎮守府 演習場

「…というわけなんです」

「わかりました、すぐに発艦させます。」

「私も提督から貰ったDVDのおかげで、発艦が可能になりましたからね…!久しぶりの出番、頑張ります!」

「私たちも、できる限り援護します!」

 演習場で響が、空母勢の艦娘たちに事情を説明した。そしてそれを受け、加賀はウルトラ警備隊の多用途機ウルトラホーク3号、翔鶴はGUTSの万能機ガッツウイング1号、そして提督から貰ったパラリンピックの車椅子アーチェリーのDVDでしっかり学習した赤城が、XIGの救助チーム、シーガルの救助機、シーガルフローターを発艦させた。響は、そのそれぞれに、陸奥から預かった薬をカプセルに詰めて搭載させたーーー

 

 一方、正面玄関にてーーー

 集まった瑞鶴、明石、陸奥、吹雪の4人の目の前に、俺は愛車のうちの1台、ワンボックスカーのジオアラミスを止めた。

「よしみんな、乗れ!」

「はい!」

 俺はみんなが乗ったことを確かめ、ジオアラミスを鎮守府近くの山へ、そしてそのトンネルへと走らせる。

「提督!?そっちじゃないわよ!?」

 叫ぶ陸奥。俺は冷静に説明する。

「いや、街へ通ずる一番近い道は車はいま工事中で通れない。」

「そんな…でもどうするの?」

「陸がダメなら…空から、だ」

「空!?」

「ああ。よし、少し揺れるぞ」

「え!?」

 その時、トンネルが開け、機械的な巨大ドッグが見えた。

「ジオアラミス・ジョイン・トゥ・ジオマスケッティ!」

 俺はコールし、そしてジオアラミスがガシャン、と音を立てて何かーーー俺の祖父の最後の遺品、ジオマスケッティと合体した。そして機械音を立て、それが変形する。

「大淀、準備は出来てるか?」

「はい!いつでも出撃できますよ!」

「よし!スペースマスケッティ、出動!」

 すると、ジオアラミスはスペースマスケッティごとリフトで上昇していく。地上の山の一部が開け、雨雲の立ち込めている空が見える。

「みんな、シートベルトはしたな!」

「は、はい!」

「よし、スペースマスケッティ、発進!」

 機体後部のエンジンが点火され、スペースマスケッティが鎮守府を離陸した。

「す、凄い…!」

 感嘆の声を漏らす陸奥。

「ふふ、私の方で若干チューニングしましたからね…!」

 ドヤ顔の明石。彼女にはこのメカの整備を極秘で頼んでいたので、当然といえば当然である。

「まさか…!空母の私が空を飛ぶ側になるなんて!」

 興奮する瑞鶴。しかしそんな中、吹雪だけは冷静に、そして固く心に誓っていた。

「絶対に、長門さんを助けるんだ…!」

 スペースマスケッティは一分足らずで、街の上空へと到達した。俺は各自に作戦を伝える。

「これから一旦着陸して、陸奥、瑞鶴、吹雪は商店街などを、加賀と翔鶴、赤城が飛ばした艦載機とともに捜索。明石はここに残って、俺と一緒に上空から捜索だ。尚長門を発見したら、すぐに連絡をくれ。よし、解散だ!」

 スペースマスケッティを商店街の広場へと着陸させ、3人を降ろす。

「よし、捜索開始!」

 大雨が降る中、各自が、鎮守府から合流したウルトラホーク3号、ガッツウイング1号、シーガルフローターとともに捜索を開始したーーー

 




疲れてたせいかいつもより駄文だったかもしれませんが(言い訳すんなこら)

ここまで今回も読んでくれてありがとうございました!

評価などお待ちしております!
また次回!

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