笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》   作:バスクランサー

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なんか思いのほか長くなり
中編で一区切りつけました、ご了承ください。

鳳翔さんが本当に母だったら…と考えてしまう今日このごろ。
まずは連日寝落ちで寝不足の筆者の生活習慣を正してほしい…

というわけで本編どうぞどうぞ。


温もりの大作戦 中編

「皆さん、お待たせいたしました!お弁当できました!」

 港で本番直前の演習をしていた彼女達に、間宮と大淀がお弁当を持って駆けてくる。

「ありがとうございます。」

 そう言って加賀が風呂敷に包まれた重箱弁当を受け取り、彼女達があらかじめ用意していたバスケットへと入れる。

「皆さん、後はお願いします。申し訳ないんですが、私はほかの娘の昼食を作らなければなりませんし、大淀さんも事務の仕事が残っていますので…」

「大丈夫です間宮さん。私たちにお任せください。」

 翔鶴が強く微笑み、間宮さんに返す。

「わかりました、頑張ってください!」

 2人はそれぞれの本来の持ち場へと戻っていった。

「それでは作戦内容を確認します。瑞鶴と翔鶴、あなた達はこのバスケットに入った弁当を、3階の鳳翔さんの部屋に届ける役割。この作戦の要です。正確なコントロールが求められます。できますね?」

 加賀の問に、2人の答えはひとつ。

「ええ、もちろんです!」

「五航戦の力、見せてあげる!」

「ふふ、大丈夫そうですね。私も後ろから援護します。赤城さん、あなたは目視による観測及び調整指示をお願いします。」

「了解です、加賀さん」

 赤城は車椅子を自ら動かし、窓に面した、鳳翔の部屋の真下へと移動する。鳳翔は今第六駆逐隊の4人と過ごしているので、もちろん全く気づかない。

「では。現在時刻ヒトサンサンマル、作戦開始します!」

「了解!スカイホエール、発艦!」

「コンドル1号、発艦!」

 加賀の一声が響き。翔鶴、瑞鶴がそれぞれ一本ずつ、同時に放った矢が水色の戦闘機へと変化する。かつての防衛チームZATの戦闘機、2つの水平尾翼が特徴のスカイホエールと、重力制御コイルと呼ばれる、リング状の穴あき主翼が目立つコンドル1号だ。

 ちなみに、ZATは歴代防衛チームの中でも、奇抜な作戦を多用し、その多くが怪獣撃破に大きく貢献したことで有名である。それに伴い、スカイホエールとコンドル1号の攻撃力、さらには輸送力はかなりのものだ。作戦の例としては、怪獣に突き刺した電線より電流を流したり、鉄球で直接攻撃したりなど。さらにユニークなものとしては、怪獣に上からトリモチを投下して動きを封じさせたり、大量の胡椒をぶちまけて、怪獣の体内に飲み込まれた人をくしゃみで吐き出させたり、卑劣な宇宙人の攻撃で一時的に盲目となった、当時地球を護っていたウルトラマンタロウに宇宙人の場所を知らせるべく、その首に巨大な鈴を取り付けたり…数えだしたらキリがない程だ。

 そしてそんなZATの戦闘機を使って、翔鶴と瑞鶴が地面に置かれたバスケットに慎重に近づく。

「並行飛行隊列への変形成功!」

「目標地点にて、ワイヤーでバスケットを掴みます!」

 翔鶴と瑞鶴、一糸乱れず並行に飛行し、そしてバスケットの真上で、機体下部からワイヤーを射出。正確に持ち手の部分を掴む。

「2人とも、建物、両機間ともにその距離を保ってゆっくりと上昇してください!」

 赤城からの指示で、2機が前へと進みつつ、ゆっくり上昇していく。ところが、二階部分の中腹辺りで、突然突風が2機を襲った。

「やばい翔鶴姉!」

「瑞鶴落ち着いて!あっ!」

 2人は必死に体制を立て直そうとするが、ついに揺れたバスケットから弁当がーーー

「任せてください!」

 加賀は素早く矢を取って放つ。空中で変化したそれは、地球防衛チームでもあり、怪獣保護チームでもあったチームEYESの、テックスピナー2号。すかさず地面へと落ちる弁当の真上で、怪獣保護チームならではの装備、怪獣保護電磁ネットを展開した。間一髪、ネットにかかる弁当。

「よかったです。さあ、運び続けましょう」

 胸をなで下ろす五航戦姉妹と赤城。加賀もポーカーフェイスだったが、内心間に合うか五分五分だったので、とてもほっとしていた。

 テックスピナー2号によって弁当はバスケットに入れられた。再びワイヤーでバスケットを吊り下げつつ上昇するスカイホエールとコンドル1号。加賀のテックスピナー2号も護衛でついている。赤城も気を引き締め直し、しっかり位置を確認して指示を出す。今度は、無事に鳳翔の部屋まで到達することが出来た。

「あ、鳳翔さん!」

 部屋の中の暁が、窓越しにバスケットの存在に気づく。

「あら、これは…?」

「鳳翔さんと、私達のお弁当なのです」

「え…!?」

「ねー鳳翔さん、みんなで一緒にお弁当食べよう!」

「…そうね、食べましょうか!」

 響が窓を開け、バスケットから弁当を取り出して部屋に入れる。気になってのぞき込む鳳翔。するとそこには、下から自分を見上げる、加賀、赤城、翔鶴、瑞鶴の姿。

 ーーーすごい…翔鶴さんや加賀さんが、立派に立ち直ってる…新しい艦載機もついてるみたいね…

「鳳翔さん」

 不意に響が鳳翔に声をかける。

「何?響ちゃん」

「翔鶴さんも加賀さんも、みんな提督が立ち直らせてくれたんだよ。工廠の明石さんもね。」

「まぁ…」

「少しここまで黙ってたんだけど…実は、お弁当食べたら、提督も挟んで鳳翔さんとお話したいな、って考えていたんだ。鳳翔さんが色々大変なのは、僕も知ってる、けど…よかったら…」

「ありがとう、響ちゃん」

 響が言い終わらないうちに、鳳翔はその頭を優しく撫でる。

「提督は本当に優しいっていうことは、あの時もうわかっているわ。大丈夫、それにいつかは話をしなきゃいけなくなるもの、ね」

「…鳳翔さん…!」

「ええ。お昼を食べたら、ゆっくりお話させてもらおうかしら。」

「鳳翔さん、よかった…」

 窓の外を見つつ、話し合う2人。そこへ、雷が声をかける。

「響、鳳翔さん!お弁当すごい豪華だよ、一緒に食べよー!」

「ハラショー」

「そうね、いただこうかしら」

 




というわけで少し短めかもしれなかったですが。

後編もできるだけ早く出します!

ここまで今回も読んでくれてありがとうございました!
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それではまた!

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