月と正義の魔法使い   作:ユーリ・クラウディア

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お待たせしました。
今回は大分難産でした。


それでは、本編どうぞ


26話

森の中に走る二つの線

 

シロウと少年だ

 

少年が射出する石の槍を悉くいなし、隙あらば反撃を仕掛ける。

 

そして、お互いが前ぶれもなく止まる。

 

「まさかこれ程とは…、予想していたより遥かに手ごわい…」

 

「おほめ頂き光栄だね。そちらも大したものじゃないか。」

 

「君は一体何者だい?」

 

「他人の事を聞く時はまず自分からと教わらなかったかね?」

 

少年は少し考えてから言う。

 

「私の名はフェイト・アーウェルンクルス、そうだね…、世界の平和を切願するものと言ったところか。」

 

少年、フェイトの言葉に少々面食らう

 

「世界の平和…ね、しかも名がフェイトと来たか…、皮肉も此処まで来るといっそ清々しものだな」

 

シロウはくつくつと笑い始める。

 

「いや、済まない、決して馬鹿にした訳では無いのだよ。ただ少々自分の運命…、いや、此処まで来ると最早宿命だな、その宿命に呆れ果ててしまったのだよ。さて、そちらが名乗ったのだ、此方も名乗らなくてわな。」

 

シロウが一呼吸おいて自身の事を告げる。

 

「エミヤシロウ、かつて運命に翻弄され、抗い続け、目指した理想に溺死した、ただの愚か者だよ。」

 

しばしの静寂、そして再び激突する二人

 

鶴翼(しんぎ)欠落ヲ不ラズ(むけつにしてばんじゃく)

 

シロウは干将・莫邪を投擲する。

 

凍結(フリーズ)解除(アウト)

 

フェイトは石の槍で弾く

そしてシロウを見ると、シロウの手にはさきほど弾いた剣が握られていた。

シロウは更にそれを投擲してくる

 

心技(ちから)泰山ニ至リ(やまをぬき)

 

驚いたものの冷静に弾きくフェイト

 

「それはもう見たよ。」

 

しかし更に同じ剣を出し投擲するシロウ

 

心技(つるぎ)黄河ヲ渡ル(みずをわかつ)

 

フェイトはこれに訝しむが先程と同じく弾く

 

 

  唯名(せいめい)別天ニ納メ(りきゅうにとどき)

 

 

そして、再び握られる剣

だが今度は投げずに此方に走って来るシロウ

フェイトは石の槍を投擲しようとするがその時、先ほど弾いた6刀の剣が全方向から飛んできた。

 

 

  両雄(われら)共ニ命ヲ別ツ(ともにてんをいだかず)……!

 

 

フェイトは驚愕したが剣が障壁に弾かれたのを見て気にせずにシロウの迎撃に意識を向ける。

 

 

 

「鶴翼三連!!」

 

 

しかしその時、全ての剣が一斉に爆発した。

四方からの爆発にフェイトは吹き飛ぶ事も出来ずに爆風に押しつぶされる。

流石の障壁も防ぎきれなかったようで若干ふらつくフェイト

シロウが迫っている事を思い出し障壁を張り直し回避行動に移るが間に合わない。

 

投影・重装(トレース・フルクタル)!!」

 

背に隠すように持ったシロウの剣が大きな翼のような形に変化している。

 

 

干将・莫邪オーバーエッジ!!

 

 

シロウの剣が障壁を突破してフェイトを切りつける。

 

 

「…ッ!!」

 

 

「チッ!浅いか…!」

 

しかしフェイトは致命傷を避けて最小限のダメージに留める。

そして、転移で一気に距離をとる。

 

そして空に巨大な岩の塊を生成する

 

「な…!」

 

シロウはこの事に動揺する。

 

「流石にこのサイズはかわせまい。このダメージで貴方とやりあうのは御免だ。僕はこの辺で失礼するよ。」

 

そう言ってフェイトは何処かに消えていった。

 

 

「全く…」

 

シロウは意識を切り替えてとある剣を投影する。

 

同調・開始(トレース・オン)

 

そして、身体を強化して岩に向け跳躍する。

 

 

 

絶世の名剣(デュランダル)!!」

 

 

岩が真っ二つになる。

 

割れた岩は魔力に還り消えてなくなる。

 

「全く、日に何度宝具を使わせられるのだ…」

 

シロウはぼやきながら巨大な魔力を感じる方向へ移動し始めた。

 

 

 

 

***********

 

 

 

side.ネギ

 

 

 

山道を疾走する三人

 

「この魔力は…、もう封印解除の儀式が始まってるみたいです!」

 

刹那の声に他の面々は焦り始める。

 

「急がないと!」

 

足に力を込めて更に速度を上げようとしたその時

ネギが殴り飛ばされた。

 

「ちょっとまちぃや…、此処でワイと戦ってもらうで!」

 

小太郎が配下を引き連れて来た。

 

「ネギ!」

 

「クッ!こんな時に…」

 

ネギは起き上がり小太郎を説得しようと試みる。

 

「小太郎君!今はそれどころじゃないんだ!戦いなら後でもできるじゃないですか!そこをどいて下さい!」

 

「ワイは今戦いたいんや、それにこっちも雇われでな、仕事せなあかんねん。」

 

そう言って小太郎はネギに向かって駆ける

配下達は明日菜と刹那を襲い完全に足を止められた。

 

 

 

 

そして戦闘を初めて既に20分が経過している。

 

明日菜が引きつけ刹那の剣技、中でも奥義級の技で一掃しているため配下達とは、あと少しで決着がつくが、ネギと小太郎は経験と相性の問題でネギが押されている。

 

「ク!!」

 

「ほらほら!あの嬢ちゃんがいんとこんなもんか!?」

 

「時間が無いのに!」

 

そして、奇しくも先程と同じく焦りで致命的な隙を作ってしまう。

 

「これで終いや!」

 

しかし、その時巨大な手裏剣が小太郎の攻撃を防ぐ。

 

「大丈夫でござるか?ネギ坊主」

 

楓と夕映が居た。

 

「楓さん!夕映さんまで如何して!?」

 

「ふむ、拙者は綾瀬殿に呼ばれたでござるよ、クーと龍宮殿も来ているでござるよ。龍宮殿は元々エミヤ先生に此方に来るように言われていたそうでござるが。」

 

夕映は朝倉に庇われクラスの中で唯一石化を免れていた。

そして、パニックを起こしながらも腕の立つ楓に連絡を取ったのだ。

 

「急いでいるのでござろう?ここは、引き受けるでござるよ。早く行くと良いでござる」

 

楓の言葉を聞いたネギは悔しさに歯を食いしばる。

 

しかし、今は自分の悔しさより今は木乃香を助ける事が優先だと割り切る。

 

「お願いします!」

 

ネギは杖を取り配下を倒し終えた明日菜と刹那を乗せ空を飛んで行った。

 

「さて、張り切って引き受けたからには、負けられないでござるな。」

 

「女の相手はしない主義なんやけどな…」

 

「そう固い事は言いっこなしでござるよ。」

 

そう言って楓は構えを取り分身を出現させる。

 

「甲賀中忍、長瀬楓、いざ参る!」

 




シロウが若干不完全燃焼なのは勘弁してください。

ネギは今回覚悟を決めたからこそ助けられ続けている事を悔しく思っているようです。
今回楓にカッコよく締めて頂きましたが、原作より更にこの戦闘には触れないでしょう。

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