月と正義の魔法使い   作:ユーリ・クラウディア

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次の章に入る前にちょっと息抜き

ちょっと短いです。


それでは、本編どうぞ


幕間

シロウは教師をするついでに広域指導員の職にも付いている。

今はその巡回中だ。

 

「ふむ、今日も平和だ…」

 

此方の世界に来てから本気で戦闘する機会が一度もなかった。こんなにも平穏な日々が続いた事が過去に在っただろうか。

切嗣に拾われてから聖杯戦争まで、これが、過去最長の平穏だ。いや、切嗣の死はシロウの心から一時平穏を奪っている。これを加味すると実際の平穏は何時からだったか…、最早思い出せない。

 

藤ねえが居て、桜が居て、凛が居て、イリヤが居て、セイバーが居た。

脳裏に浮かぶ生前最も幸せだった時の記憶…、この時は聖杯戦争真っ只中だったと言うのに皆が皆呑気に笑って騒いで幸せそうにしている。

これは、聖杯戦争と言う激流の中にあっても、お構いなしと言わんばかりに、最も輝いていて眩しい記憶。

 

シロウは思考の底へ意識が沈み始める。

 

 

しかしその時

 

 

 

「いい加減にしてっ!!」

 

 

 

 

女性の声が聞こえた

 

急いで声のした方へ向かうとそこには見知った女の子が不良に絡まれていた。

 

「そっちがぶつかって来たんでしょ!」

 

「おいおい、お嬢ちゃん言いがかりだぜ。」

 

「そうそう、それにこっちは服が汚れちまったよ」

 

「これは、お詫びに今日は俺たちに付き合ってもらわないとなぁ」

 

シロウのクラスの女子だ。

 

「はぁ?いやよ、何でアンタ達みたいのに付き合わなきゃいけないのよ」

 

「裕奈、大丈夫?」

 

「う…うん」

 

大河内アキラ、佐々木まき絵、明石裕奈の三人である。

どうやら質の悪い、不良に難癖をつけられているようだ。

 

「良いから付き合えや!」

 

そして不良がアキラの腕を掴んで無理やり連れて行こうとする。

 

「ちょっと、放して!」

 

 

 

「そこまでにして貰おうか。」

 

 

 

ここでシロウが割り込む。

そして背負っていた竹刀袋から虎のストラップが付いた虎柄の竹刀を取り出す。

 

「シ、シロウ先生!」

 

「やあ、無事かい?遅れて済まないね」

 

「あぁん?先生だぁ~、悪いけど引っ込んどいてくれないかね、俺達はこの嬢ちゃん達にようがあるんだよ」

 

「一部始終、見させて貰ったが明らかに君達の要求は度が過ぎている、その上、聞くに君達がわざとぶつかったのだろう?」

 

「ゴチャゴチャうるせーんだよ!これでもくらいな!」

 

不良がナイフを取り出し此方に突き立ててくる。

 

「先生!」

 

アキラが声を上げるがその時には不良の手からナイフが無くなっていた。

 

「は?」

 

「握りが甘いし考えなしに突っ込んでくるだけで何とか成るとでも思っているのかい?」

 

シロウは続けざまに三人の頭を強打する。

 

「グハッ」「グヘ」「ウワ」

 

瞬く間に不良の意識を刈り取る。

 

「全く、最近の不良は根性もないのかね」

 

余りにもあっさりやられた不良たちに呆れかえる。

 

「さて、改めて遅れて済まない、大丈夫だったかね?」

 

「は、はい、大丈夫です。」

 

「先生!ありがとう!」

 

「あ、有難うございます!」

 

アキラ、まき絵、裕奈の順にお礼を言ってくる。

 

「ふむ、無事で何より。それでは私は巡回の続きをしなくてはならないからここらで失礼させてもらうよ。三人とも気を付けて、帰りたまえ。」

 

そう言ってシロウは去って行く。

 

「凄かったね~、あっという間に倒しちゃったよ。」

 

「うん、結構カッコ良かったよね!」

 

「…」

 

「アキラどうしたの?」

 

「い…いや、何でもない。」

 

「そう?変なの~」

 

アキラの趣味は他人を横から助けてあげる事だ、正義の味方を目指したシロウに何かシンパシーのような物を感じ取ったのだろう。

思考の大半が彼の事に付いてで埋まる。

 

「エミヤシロウ先生…か」

 

 

こうして、シロウの貴重な休日も仕事に費やされているのであった。

 

 




取り敢えずシロウメインでクラスの奴らと絡ませたかったので書きました。
同じお人好しの臭いを感じるアキラがやりやすいかと思い女子は彼女を中心にしてみました。未だ出番は少ないですが今後のフラグにはなったのでこんなもんかと。

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