東方変守録   作:ほのりん

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前書き~

前回からまた日が空きましたね。お久しぶりです
最近はバイトバイトと調べていて忙しかったのですが、皆さんはどうでしたか?
今日は平日ですが、一応ゴールデンウィークですけど、どこか行く予定はありますか?
私はあります。電車で片道1時間の場所に行きます。バイトで
えぇ仕事ですね。日給が良いんです
そのついでにポケモンの店に寄ってキテルグマをゲットしてきますね

さてさて、そんな本編に関係の無い話は置いといて、今回は榛奈side、最後side無し、フラグ確認ありでお送りいたします
ということで今回もゆっくりしていってね!


第28話『紅魔郷EX、完です!』

榛奈side

 

 

 厨房の扉を開けるとそこには先客がいた

 

榛「あれ?咲夜さん、もう戻っていたんですね」

 

咲「えぇ。雨が止んだということは計画は終了したのでしょう?ならそれ以上無人の神社にいる必要もないもの」

 

 咲夜さんはそう言いながら慣れた手つきで既に沸かしてあったお湯をティーポットに入れ、ポットを温めるとそのお湯を捨て、中に茶葉をティースプーン数杯分入れ、お湯を注いだ

 どうやら咲夜さんもお茶の準備をしていたみたいだ

 

咲「榛奈はどうして厨房へ?お茶の準備?」

 

榛「はい。フラン様と魔理沙姉、霊夢の分を入れに」

 

咲「なら大丈夫よ。お嬢様の分も含めて人数分を今やってるから」

 

榛「え?」

 

 そう言われて見てみるとトレイの上に乗っているカップの数は5つ、5人分だ

 ん?5つ......?

 フラン様に魔理沙姉に霊夢に私

 で、レミリア様で、それだけなら数はあってるけど......

 

――一つ足りないね。それともう一つ、私の分は無いの?――

 

 ...とりあえずお前の分はねぇ(無い)のは確かだな。いらないんだからよ

 

――ぶー......――

 

 そんな声を無視して私は棚からカップをもう一つ出してトレイに乗せた

 

咲「あら?一つ足りなかったかしら?」

 

榛「はい。6人いるのに5つしかありませんでしたよ」

 

咲「6人?でもパチュリー様は既にお茶は用意されていたわよ?」

 

榛「はい。知っていますよ。フラン様、魔理沙姉、霊夢、レミリア様、私、咲夜さんの6人分です」

 

咲「...別に私の分はいらないのだけれど?」

 

 え?あ、やばっ

 もしかして余計なお世話だったかな?

 でも声は怒っているような風には聞こえなかったけど......

 そう思い横にいた咲夜さんの横顔を見ると何だか表現しづらい顔......

 あ、これ、照れてるのと嬉しく思ってるのを顔に出さないようにしてるんだ

 よかった...... 余計なお世話じゃなかった......

 にしても咲夜さんのこの顔、レアだなぁ

 うん。咲夜さんはいつもはかっこよくて美しいけど時々可愛くなるね

 いやいつも可愛くないって意味ではなくて、いつも可愛いけどそれよりかっこよさとか美しさとかが表に出てて...その......

 

――君は何を言っているの?――

 

 ...結論、咲夜さんは完璧で瀟洒なメイド長

 

――完璧が別の意味になってるね......――

 

 咲夜さんは完璧、それでよし

 

 なんて会話してる間、咲夜さんはティーポットの中身を、別の氷の入ったポットに茶漉しで茶葉を取り除きながら注ぎ、かき混ぜる

 あ、これアイスティーか

 確かに茶葉はいつもより多めに入れてたし、体感だけど蒸らす時間が短かった

 匂いは......アールグレイかな?

 うん、いい匂いだなぁ......

 

――よく銘柄が分かるねぇ......――

 

 匂いに特徴があるからね

 それに元は紅茶が有名なとこに住んでたんだ。有名な銘柄の匂いを嗅ぎ分けることぐらい出来るよ

 

――あぁ、そういえばそうだっけ――

 

咲「ねぇ、霊夢が左肩に怪我していたのだけれど、何か知ってるかしら」

 

榛「えっ...... 肩の...怪我......っ!」

 

 それって弾幕ごっこの最中、掠った時に出来た怪我だよな......!

 

――あぁ、後で治さないとって言ってたやつだね――

 

 そうだよ!その“後で”がこの後だったのに先に咲夜さんに見られたってことは......

 説教......?説教されるかも......?

 私がやったわけじゃないのに私が怒られるのは嫌だぁぁ!

 うにゃああぁぁ...... 説教はいやぁぁ......

 

咲「...?榛奈?」

 

榛「あ、あの...説教はやめてください...... れ、霊夢に怪我をさせたのはこ、故意でわ、私がやったような感じですけどわ、私がやったわけではな、なくてそ、その...か、身体が勝手にと言いますか威力が加減出来なかったと言いますかなんと言いますか...... と、とにかく説教はやめて......!」

 

咲「...ふぅん。そういうことだったのね」

 

榛「...ん?え、あ......も、もしかして自爆?」

 

――綺麗な自爆ご苦労様――

 

 いや綺麗な自爆ってどんな自爆だよ!

 

――よくある自爆の仕方で自爆したこと?――

 

 自爆はしたけどよくある形ではない...はず......

 

咲「えぇ、自爆ね。霊夢は何も言わなかったわよ。「自分の不注意で負っただけ」って」

 

榛「霊夢が......?」

 

 私が...... 正確にはこいつだけど、あんなに酷いこと言ったのに、何も言わなかったの......?

 私が怪我をさせてしまったことも?

 ...霊夢...... ごめんなさい......

 

――それは本人を前に口に出して言った方がいいよ――

 

 ...分かってるよ

 というかお前が怪我させたんだけどな!?

 

――あっはは~――

 

咲「手当はしておいたけど、これからは気をつけなさいよ?」

 

榛「はい...... これからは気をつけます......」

 

咲「ん、よろしい」

 

 咲夜さんはそう言いながら粗熱が取れたと思われる紅茶をまた別のポットに氷を取り除きながら移す

 これらは濁らないアイスティーを作る時の手順だね

 ちなみに飲む時はコップの方に氷を入れ、保存する時は常温が良い

 と考えていたところで、ふと机の上を見る

 そこには使い終わったポットが置いてあった

 

榛「...っとポットを洗わなきゃ」

 

咲「それは私が後でやっておくから貴女は先に客室行って」

 

榛「は、はい。では先に行ってますね」

 

 あ、クッキーを用意しておかないと霊夢が怒りますよー

 なんて言おうと出口の方に向いていた身体を後ろの咲夜がいる方向に向けると、既にトレーの上にはクッキーの乗った皿が置いてあった

 はい、仕事早いですね

 さすがメイド長、その肩書きに恥じない仕事ぶりだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

[紅魔館 客室前]

 

 

 ...ふぅ......

 さて、ノックしなきゃな......

 ぅわぁぁ......緊張してきたぁぁ......

 

――何を緊張する必要があるの?君にとっては自分の家の客室だよ?――

 

 確かに私が住んでる家の客室だから、そこは今更緊張しないよ?

 でも中にいるであろう人が問題なんだよ

 

――確か吸血鬼と巫女が中にいるんだよね。うーん、緊張する要素は無いように思えるけど......――

 

 お前、私の考えが読めるんだろ?

 それなら分かるはずだ

 

――ああ、あれね。嘘だよ――

 

 はぁっ!?

 嘘って......

 じゃあなんであの時私の考えが分かったんだよ!

 

――だから君は私って言ったじゃない。ようは考えが読めたんだよ。そのまんま心を読んだんじゃなくて「あぁ、この状況なら君はこう考えるんだろうな」って――

 

 あぁそういう......

 

――で、なんで緊張するの?――

 

 そりゃ入って何されるか分からないからだ

 暴言吐かれるならまだしも、もしかしたら殴られるかもしれないじゃないか

 

――うーん。霊夢ってそういう娘だっけ?――

 

 いや多分人間相手ならそういう娘じゃない

 でも緊張するもんはするんだよ!

 

――でもここにいても埒が明かないよ?早く入りなよ――

 

 埒が明かないのは分かってるよ......

 というかこの状況作り出したのお前だからな!

 

――なんのことだっけねー――

 

 お前に実体があったら今すぐ殴り飛ばしたいよ......

 

 とにかく緊張をほぐすために深呼吸

 ...すぅ......はぁ......すぅ......はぁ......

 何時も通りに......普段通りに......

 ...よし!

 

コンコンコンコン

レ「だれー?」

 

榛「榛奈です。入ってもよろしいでしょうか?」

 

レ「いいわよー」

 

ガチャ

榛「失礼します」

 

 レミリア様の許しを得て、私は扉を開き、中に入る

 きちんと扉の方に身体を向けて扉を閉めるのも忘れずに

 そして視線を中央へ向ける

 そこには椅子に座り、手に中身の入ったカップを持っているレミリア様と、その斜め後ろに立つ咲夜さん、机の上に置かれているお菓子を次々に口へ運ぶ霊夢、その3人がいた

 ...咲夜さん、いつの間に来たんだ?

 いや咲夜さんお得意の時間停止だろうけど

 

霊「...遅かったわね」

 

榛「2人を呼びに言ってたからね。私が行った頃には既に終わってて会話をしていたから、師匠に伝言を残して私だけ戻ってきたんだよ」

 

霊「ふぅん......」

 

レ「どうせなら一緒に来ればよかったじゃない」

 

榛「微かに聞こえた声での判断なのですが、なんだかは入れるような雰囲気ではなかったので......」

 

――実際にはバッチシ盗聴して、自分が入れなかったから先に戻ってきただけだけどね――

 

 うるせぇ、黙っとれ

 

――はーい――

 

レ「そうだったのね。で、聞いたのだけれど霊夢と弾幕ごっこをしたそうじゃない」

 

榛「ふぇっ!?い、一体誰から......」

 

レ「咲夜」

 

咲「ふふふ......ごめんなさいね」

 

 涙目で見ると、まるで悪戯が成功したかのような顔の咲夜さんがいた

 いや言わないでくださいよぉ......

 まぁ口止めはしてないですけど......

 

レ「で、勝負の結果は聞いていないのだけれど、どちらが勝ったの?やっぱり霊夢?」

 

 ...“やっぱり”...ですか......

 

榛「...なんか......すみません......」

 

霊「はぁ......」

 

レ「えっ?なんで榛奈は謝るの?霊夢はなんで溜息を吐いたの?」

 

霊「察しなさいよ。レプリカ」

 

レ「レミリアよ!誰が複製品よ!」

 

 前の方でなんか騒いでるが、私はそれどころではない......

 というより本当にすみません。レミリア様

 期待に添えそうにないです......

 

榛「いや、ホント...すみません......」

 

レ「いやだからなんでまた貴女が謝るのよ!?」

 

榛「期待に添えそうにないので......」

 

レ「え?」

 

咲「つまり、榛奈が勝ったってこと?」

 

榛「はい......」

 

レ「えっ?うそ...... 榛奈が勝ったの!?あの霊夢に!?」

 

霊「だからそう言ってるじゃない。ホント鈍いわね......」

 

レ「いやでも!あの霊夢によ!?私でも負けたあの霊夢に勝つって...... 一体何したのよ!?」

 

榛「ホントにすみませんホントにすみません!ある意味あれはルール違反でした!色々と言い過ぎました!罰でもなんでも受けます!お望みとあらばこの口も縫います!舌も抜きます!むしろ一層の事私を殺せぇ!」

 

 もう土下座をする勢いで頭を下げて言う

 むしろ既に土下座してます

 額も床に擦り付けてます

 でも絨毯が敷いてあるので柔らかいので罰になってないです。流石です

 

レ「いや何があったのよ!?」

 

霊「ふぇふにふぃふぃふぁふぉ。ふぁなふぁふぁふぁっふぁふぉふぉふぁふぃふぃふふぁんふぁふぁふぁ」モグモグ

 

咲「喋るか食べるかのどっちかにしなさい」

 

霊「(モグモグ...ゴクッ)...だから別にいいわよ。貴女が勝ったことは事実なんだから」

 

榛「霊夢......」

 

 少しジーンときたよ......

 さっきのも合わせて目から汗が零れそうだよ.....

 

霊「それにあれ、貴女じゃないでしょ」

 

榛「えっ...?な、何のことかな?」

 

 ま、まさか......バレたんじゃ......

 いや流石に勘のいい霊夢でもこれはバレないはず......

 

霊「...いえ、私の思い過ごしならいいわ」

 

榛「え?あ、そうだね!霊夢が何を思ったのか分からないけど多分、いや絶対思い過ごしだよ!」

 

レ「いきなり大声出してどうしたのよ」

 

霊「何をそんなに必死なのよ...... もしかして本当に――」

 

榛「い、いやぁそれにしてもいい天気だなぁ!先ほどまでの雨が嘘のようだね!うん!これなら洗濯物もよく乾くよ!うん!」

 

 私は急いで立ち上がり一つだけ取り付けられている窓の外を見ながら言う

 ちなみに雨は既に上がったようで、外は雲が少しあるくらいで晴天と呼べる天気だ

 日光がダメな吸血鬼には悪い天気といえるが、人間にとってはいい天気だ

 植物は良く育つし、光合成により酸素も増える

 濡れたものはすぐ乾いて、冬は暖かい

 まぁ夏は暑いけどな

 でも記憶にある外の世界よりは涼しいから耐えれる

 ...その記憶が無かったら耐えれなかっただろうけど

 

霊「...まぁいいわ。それより話があるんだけど」

 

レ「話?」

 

霊「えぇ。でも魔理沙達が来てからでいいわ。いちいち話すのも面倒だから」

 

レ「そう、咲夜」

 

咲「なんでしょうか」

 

レ「ちょっと二人の様子を見てきてくれない?もし廊下にいればそのまま連れてきて構わないわ」

 

咲「畏まりました」

 

 その瞬間には咲夜さんはそこにおらず、数秒後廊下から話し声が聞こえた

 そしてノックと共に扉が開き、魔理沙姉とフラン様が来て、皆でお茶とお菓子を片手に会話に華を咲かせた

 会話の途中、「結局フランは何の異変を起こしたんだ?」と魔理沙姉が言い、フラン様が「私は異変を起こしてないよ?榛奈に異変を起こしたいとは言ったけど」と言った

 「え?じゃあどういうことだ?榛奈は嘘をついたってことか?」と魔理沙姉が私を見ながら言ったので「あはは、まぁ嘘かな。ごめんね、こうでもしないと2人を引き剥がせないし、まるで異変が起きてるって風には見せれなかったからさ」と言った

 そのことでも会話が進み、解散するまで会話が途切れることは無かった

 しかし私には終始気になっていることがあった

 大体の人は誰かと会話をする時、相手の顔を見て、もっといえば目を見て話すだろう

 私も相手の目を見ながら話す。何か手が離せない作業中であれば話は別だが

 そして今回のように複数の人と会話する時は相手方の顔を交互に見ながら話すだろう

 それでフラン様の顔を見た時、目が合ったのだがすぐに逸らされてしまった

 その後も同じことが続いたが原因は分からず、頭を悩ませた

 他の3人もフラン様の様子に気づいたみたいだがレミリア様は何でなのか分かっていないようで、咲夜さんは何故か微笑ましそうにしていた

 その顔を見て聖母のようだなんて思ったのは言うまでもないだろう

 そして霊夢は興味無さそうにしていたから原因を分かっていないと思う

 ただ魔理沙姉は苦笑いしていたから原因を知っていると思われる

 そのことに気づいて原因を訊こうと思ったが、結局聞きそびれてしまった

 今度会ったら聞いてみようかな

 それまで私が覚えてればの話だけど

 

 

 

 こうして紅魔郷EXは終わったのだった

 宴会?それはやらなかったな

 もしかしたらこの世界では異変後の宴会は普通はやらないのかもしれないな

 まぁ花見ぐらいはやるだろうからその時参加させてもらおうかな

 なんて思いを胸に抱きながら柔らかいベッドに潜り込み、意識を夢の世界へと沈めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「...やっと―が目覚めたか。一番時間がかかったのは―を目覚めさせることだったな。かれこれ500年は経ったのか...... 彼奴(あいつ)と関わる前は500年なんて一瞬だったのに今では長く感じるな。...とにかく彼奴を―にするための土台が出来た。後は彼奴自身の心を強くしなければならないが、それは―が勝手にやってくれそうだな。それにいざとなれば―に代わりになってもらえばいい。彼奴が最適だが―にも資格がある。ともかくまだまだ道のりは長い。幸い今までよりは時間が少なく済みそうだが、それでも年単位で時間がかかる。より早く彼奴を――にならせるためにも俺の方からも手を出した方が良さそうだ。さて、何をしようか...... そうだな、彼奴を彼処へ連れていくのも良いだろう。死んでしまえば元も子もないが、俺が陰で見張っていれば特に問題は無いはずだ。よし、近いうちに行動に移すとするか。勿論、手伝ってくれるよな?―。盗み聞きは良くないぞ」

 

?2「...私をあの娘から引き剥がしたのは君の仕業だよね?なら私にも聴く権利はあるでしょ?」

 

?「まったく、ちゃんと手伝ってくれさえすれば教えるぞ。手伝ってくれさえすればな」

 

?2「了解。やってあげるよ」




後書き~

前に異変の犯人(フランドール)のことを「小さな異変の犯人」と魔理沙が言っていましたが、これには2通りの意味に捉えることが出来ましてね......
皆さんは分かりますか?
正解は......





「“小さな異変”の犯人」と「小さな“異変の犯人”」
つまり小さいのは異変なのか犯人なのかということです
皆さんは最初見た時どう捉えましたか?

今回で紅魔郷EXは終わり、次回から次の異変までの間を書きますね
それでは次回もゆっくりしていってね!

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