ONE-PUNCH-MAN 一撃男と愛娘のユメ物語   作:叶夢望

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はじめましての方ははじめまして叶夢望です。
今回はワンパンマンの二次創作です。
拙い文章でストーリー構成がダメダメなのかもしれませんが、感想をお待ちしておりますので気軽に感想お願いします。


プロローグ 一撃目 サイタマとその家族

日本のどこかにあるZ市と呼ばれる場所でとある新婚夫婦が仲睦まじく小さい木造建てのマイホームで過ごしていた。家は小さいけど大切な人達と暮らせるのであれば幸せそのものであるので彼らは気にしなかった。

ある男の妻である女性はお腹に女の子の赤ん坊を宿し、その命はもう少しで産まれそうなのだ。その様子を夫であるサイタマは満面の笑みを浮かべ、その誕生を今か今かと待ち望みそしてようやくその小さい命が誕生が誕生したのだ。そしてその三年後ある事件が起こったのだ。

夫であるサイタマはずっとフリーターだったのだが、夫として家庭を支えなければならないので、収入を増やす為に転職を目指し、スーツを身に纏い就職活動を行う為自宅の玄関へと移動し、愛する妻と三歳になる娘が満面の笑みを浮かべ愛する夫をそして愛する父を見送る事にした。

 

「あなた、いってらっしゃい。ほら、パパにいってらっしゃいは?」

「うんっ、パパ、いってらっしゃい!がんばって!」 

「ああ、行ってくるよ」

 

そんな他愛の無い日常はサイタマにとって、その日が悪夢となるとは知らず、我が家を出て行ったのであった。

そして、就職活動でようやく中小企業の面接日を決める事が出来たサイタマは鼻歌交じりで我が家へと戻ろうとした時、付近の公園で思わぬ光景を目にしたのだ。

 

「ーー!!?サクラ!ユメ!」

 

いつもの時間になったら我が家付近を散歩している愛する妻と愛する子をザリガニのような大きな怪人が攻撃したのか妻は血まみれになりつつ娘をかばいながら覆い被さっている姿にサイタマは戦慄した。

 

「うおおおおー!!!!」

 

サイタマは思わずその怪人に走り込み頭部を殴りこんだ。だけど、そのザリガニのような怪人はその見た目の通りに堅くて人の手では破壊出来なかったのだ。

そもそも怪人は最近地球に現れて地球で暴れているのでヒーローと呼ばれる人の手により成敗されるはずなのだ。それをヒーローでもないただの一般人の攻撃ではビクともしないのは当たり前だ。しかし、愛する者達が変わり果てている姿を見たのならば夫として、男として見過ごせる訳は無いのだ。

 

「邪魔だぁ!!」

 

ザリガニの怪人は大きな鋏のような手でサイタマを殴り、サイタマは吹き飛ぶ。だけど、何とか立ち上がり再度ザリガニの怪人に殴りかかる。しかし、殴られる前に怪人はサイタマを殴って吹き飛ばした。

 

「がはっ!くっ!ゆ、ゆ、許さんっ!ぜ、絶対にっ!う、うおおおー!」

 

サイタマはヘロヘロになりながら血反吐を吐き、ネクタイをシュルリと解き、ボロボロになったスーツを脱ぎ捨てそのスーツを怪人の目にめがけて投げて視界を奪い、サイタマは視界の外へとさっと移動し、ネクタイをザリガニの怪人の目に巻き付き、力強く引っ張ると怪人の全ての内蔵が出て怪人の命は尽きた。

 

「サクラ!ユメ!」

 

サイタマは愛する者達へと駆け寄り、サクラは傷だらけで身体の所々に穴が空きそこから大量の血が流れていた。しかし、ユメは傷一つついていないがサクラの血が身体中についていて気絶していたのだ。

 

「ぅぅぅ、あ、あなた、な、の?」

 

微かに息をしているサクラは途切れ途切れに言葉をサイタマに伝えていくが血が流れ過ぎて身体が徐々に冷たくなっていた妻に喋るなと説得するけど、妻は首を横に振った。

 

「さ、最後まで、き、聞いて、あなた・・けふっ!はあっ、はぁっ、さっきの見てた、わよ?」

「ああ、ああ!分かったから病院に行こう!だから!もういいだろ!」

 

サイタマは愛する者達を心配し、携帯電話で救急車を呼び、ずっと愛する者達に声をかけていた。頑張れ、生きろ、死ぬな、まだ頑張れる、だけどその声を遮るようにサクラは続けて伝えようとした。

 

「わ、私の、私達のヒーロー、さ、サイタマ」

「俺はヒーローじゃねぇ!サクラを守れなかった!ユメも守れなかった!だから!」

「い、いいえ、あ、あなたは、た、大切な者の為に、お、怒ってくれたのよ?た、戦ってくれたのよ?だ、だから、ヒーローなの」

「ーーっ!!俺は、ヒーロー、なのか?」

 

サイタマの問いにサクラはコクリと弱々しく頷き、やがては「あなたとユメと会えてよかった。二人共愛している」という言葉をサイタマに伝え、サクラは力尽きて帰らぬ人となってしまった。

 

「サクラぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

サイタマは叫んだ。喉が潰れそうな声量で叫んだ。公園付近にある住宅地に届くであろう大声で愛する妻を、愛するサクラの名を叫んだ。そして、また叫んだ。

 

「俺も愛してるぞぉぉぉぉぉ!!!!」

 

その声は、その想いはもう二度とサクラには届かない、届くはずはないが、それでも伝えなければならない。サイタマの想いは届いたのかサクラの顔がニッコリと笑みを浮かべた気がしていたのだ。

 

最愛の妻であるサクラが天国へと旅だったその日からサイタマはヒーローになる為、修行を行う事にした。もう二度と大切な者を失わない為にサイタマはヒーローになる事を決意した。まず修行内容として腕立て伏せ・上体起こし・スクワット各100回とランニング10キロを体調を一切考慮せず全力で毎日やる事と毎日三食欠かさずしっかりと食べてスタミナや栄養を補った。精神面を強くする為に夏場ではエアコンや扇風機等の冷房器具の使用を我慢し、冬場ではコタツやヒーター等の暖房器具の使用を我慢した。

筋肉トレーニングをしている際、身体に変な音がしても、ランニング途中に怪人に襲われても、身体がどんなに疲れようが傷が大きかろうが一日たりとも修行を止める事は無かったのだ。

そしてそのトレーニングに一人の小さな子供もそれになんとかくらいついていたのだ。その人物はサイタマの愛娘であるユメであった。

 

「おいおい、俺のマネすんなユメ。俺は絶対命を賭けてお前を助けるから、な?」

 

サイタマの言葉にユメは涙目になりながら首を左右に振って嫌がっていた。大好きな父親が今は亡き母親が見守っているのだ。だからユメは自分だけ甘える訳にはいかないのだ。父親がどれだけ過酷なトレーニングをしようとも娘であるユメが、大好きな父親の心安まる存在となるならば頑張らずにはいられなかった。

 

「パパがいっぱい頑張ってるからわたしもいっぱい頑張るもん!ママも頑張りなさいって言ってるもん!」

「そうか・・・なら遅れるなよ!俺達は今からヒーローになるんだ!大切な人を!大事な場所を!大切な時間を絶対に守るんだ!分かったな!ユメ!」

「うん!パパ!」

 

二人の修行は身体中がボロボロになっても三年間続け、二人は人としてのリミッターが外れた。サイタマはツルツルのハゲ頭になるくらい頑張り、ユメは六歳となり数多くの弱点を持ってしまうがその代わりにサイタマほどではないが強さを手に入れたのだ。ちなみにユメの頭はハゲておらず、マッシュボブと呼ばれるショートカットである。そんな事はさておき彼らは今日も大切な何かを護る為、我が家から出ようとし、愛するサクラの仏壇の前に手を合わせ二人は微笑み、そこに居るのであろうサクラに挨拶を交わした。

 

「いってきますサクラ」「いってきますママ」

 

赤い手袋とブーツに白いマントのついた黄色のバトルスーツを着用したサイタマと黄色の手袋にブーツと白いマントのついた桜色のバトルスーツを着用したユメは玄関の扉を開き、街へとパトロールへと向かっていった。その彼らを見送るように笑みを浮かべるサクラの遺影と線香の煙が伝えた。がんばれ、愛する人達よくじけるなと、そして大好きで愛している彼らに一言を伝えたのだ。

 

(いってらっしゃい、サイタマ、ユメ)

 

サクラはもう彼らの前に現れないのだろう。死んだからだとか二度と会えないからだとかそんな事は関係無い。彼らはサクラの死を乗り越え、己の道へと向かっていく強い人となったから親として天国で見届けなければならない。信じろ自分の道を。信じろ自分の力を。信じろ隣に居る人を。信じろ自分がヒーローで誰が相手でも諦めるな。信じろ、信じろ、信じろ・・・そうしたら輝く未来が貴方達の前に現れるのだろう。サクラの想いは愛する者達に託し、天へと旅立つのだろう。

 

「任せろサクラ・・・俺は絶対に諦めない!」

「そうだねパパ。わたしは絶対に負けたくない!」

 

サクラの想いが通じたのか外に居たはずのサイタマとユメは強く頷いてやる気をみせていく。しかし、そのやる気は一瞬で無くなってしまうのだ。

 

「俺様はワクチンマ・・ぐばぁぁあ!!」

 

目の前に居た黒くて大きなバイキンみたいな怪人が急に現れたと思ったら、サイタマによる右拳の一撃で怪人は木っ端みじんとなり葬り去れたのだ。サイタマは強くなりすぎたのだ。怪人の強さは災害レベル竜と呼ばれるいくつもの街の壊滅危機とされてS級ヒーローと呼ばれる強者が挑んでも返り討ちにされる危機があるという危なくて強い怪人であった。そんな怪人をサイタマは一撃で葬り去ったのだ。

 

「ぎゃあー!!またワンパンで終わった!んだよ、弱いじゃねぇか!くそぉ!嘘つきと思われるじゃねぇか!」

 

サイタマとユメはまだプロのヒーローではなかったが、強くなりすぎたのだ。サイタマはどんな敵でも本気を出せば一撃で葬り去る威力を持つ力を身につけたのだ。

 

「もぉ、パパったら・・・いいじゃないの?悪さをする前に倒しちゃったもん。仕方無いよ」

 

ユメはサイタマほどではないが、強くなったのだ。しかし六歳児とは思えない力を持つ事は確定的であるのだ。何故ならばユメは敵を二撃ほど叩くと敵は無力化もしくは破壊されるほどの力だったのだ。

 

「ママとパパの想いをこの小さな二つの拳で護ってあげるの。見ててね?ママ、パパ」

 

ユメは空を見上げ切なそうな表情を浮かべていた。ユメの力は単純な意味での力ではなく想いの力によりその力は本領発揮されるのである。大切な人の為に、大切な場所の為に彼らは戦い続けるのだろう。

 

「なんか俺死んでね?ねぇ、ユメ止めてくれる?そーゆーのやられたらどう反応したらいいの?俺」

「でへへ、冗談だよ?パパ。だーい好き!」

 

ユメは満面の笑みを浮かべサイタマの身体に飛びつき、サイタマはユメを抱きながら頭を撫でて微笑みを浮かべていた。

 

「おう、俺も大好きだぞ?ユメ」

「だけどハゲたパパは娘的にどーかなー?なんて思ったりしてて」

「んだとー!?人が気にしている事をー!お仕置きだー!このー!」

 

サイタマはユメの脇や横腹それに足の裏を器用に擽り、ユメはそれが大の弱点であるので大爆笑した。目には涙を浮かべ頬は赤くしその姿はかつてのサクラの面影が見えていた。

 

(俺達の子供だし似てて当然、か)

 

ユメのくりくりとした目とすっと通った鼻筋にチェリー色の薄い唇に丸い頬とあどけない表情がサクラにソックリであり、サイタマに似たパーツが見当たらなかった。

 

(俺に似てなくて良かったな。何せ今の俺は無気力顔だし、そんなにイケメンじゃないし、ハゲだし・・・はっ!?どうしよう!?なんか俺泣けてきたんだけど!誰か慰めて!)

 

サイタマの嘆きは誰にも届かず、ユメは泣いているサイタマを心配して頭を撫でたが、サイタマはまたハゲだとバカにされたと思い、ユメへの擽り地獄は続いたのであった。




ユメのヒーロースーツの色の理由として手袋がサイタマのヒーロースーツと同じ色なのはサイタマのように力強くなりたいというユメの願望の表れ
服が桜色なのは母親のサクラの桜にちなんで母親のようにどんなものでも受け止める力が欲しいという願望の表れです。


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