魔法少年リリカル良太!?   作:高町 優希

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2話

 

 

 

ギンガ「ただいま戻りました」

 

 

ゲンヤ「おう、遅かったな?」

 

 

ギンガ「隊長、お話しがあります」

 

 

ゲンヤ「…どうやらそのちっこいのと関係がありそうだな。わかった。会議室に行くか」

 

 

ゲンヤとギンガは会議室に向かった。

 

 

ギンガ「…と言う訳です」

 

 

ゲンヤ「なるほどな、そうなると…執務官がいた方が良いな」

 

 

ゲンヤは端末を操作した。

 

 

はやて『こんにちは。そちらから連絡くれるなんて珍しいですね』

 

 

ゲンヤ「ちょっと頼みがあるんだ」

 

 

はやて『…何でしょう?』

 

 

ゲンヤの雰囲気にはやても真剣になった。

 

 

ゲンヤ「ハラオウン執務官を借りたい」

 

 

はやて『執務官を?』

 

 

ゲンヤ「あぁ。違法な施設の摘発をしたい」

 

 

はやて『わかりました。明日そちらに向かわせればいいですか?』

 

 

ゲンヤ「頼む」

 

 

はやて『わかりました』

 

 

ゲンヤは通信を切った。

 

 

ゲンヤ「さてこの子をどうするかだな…」

 

 

ギンガ「とりあえず一旦何処かの施設に…」

 

 

良太「帰る」

 

 

ギンガ「えぇ!?何で!?」

 

 

ギンガは突如良太が帰ると言い出したので困惑した。

 

 

良太「お姉さんが保護するって言ったから付いてきた。何処かの施設に預けられるなら、自分は帰る」

 

 

ギンガ「あ…」

 

 

確かに自分が保護すると言った。

 

 

ゲンヤ「仕方ねぇ。家で預かるか」

 

 

ギンガ「いいの?お父さん?」

 

 

ゲンヤ「そうしねぇと証言してくれそうにないからな」

 

 

ギンガ「…そうだね」

 

 

ゲンヤ「今日は定時で上がれ。残りの仕事はやっといてやるから」

 

 

ギンガ「ありがとう、お父さん」

 

 

ギンガは定時で上がり良太と一緒に帰宅した。

 

 

ギンガ「さぁ、上がって」

 

 

良太「お邪魔します」

 

 

ギンガ「さて、まずは…」

 

 

くぅ~…

 

 

良太「お腹減った」

 

 

ギンガ「ご飯にしようか?」

 

 

ギンガはエプロンを着けるとキッチンに向かった。

 

 

ギンガ「良太君、座っててね」

 

 

良太「了解」

 

 

ギンガは手早く有るもので晩御飯を作った。

 

 

ギンガ「良太君、ご飯だよ~」

 

 

良太「?自分のご飯は惣菜がある」

 

 

ギンガ「あ…腐っちゃうもんね」

 

 

良太「それは大丈夫。異空間に入れておけば腐らない」

 

 

ギンガ「なら、温かいご飯食べよ?」

 

 

良太「了解」

 

 

ギンガ、良太「いただきます」

 

 

良太は美味しそうにギンガの手料理を食べていた。

 

 

ギンガ「美味しい?」

 

 

良太「惣菜より美味しい」

 

 

ギンガ「よかった♪」

 

 

良太「ご馳走さま」

 

 

ギンガ「お粗末さま」

 

 

ギンガは食器を片付けた。

 

 

ギンガ「よし、お風呂に入ろうか」

 

 

良太「わかった」

 

 

良太はギンガに洗われてお風呂を満喫した。

 

 

ギンガ「さて、どうしようか?」

 

 

ゲンヤ「今帰ったぞ~」

 

 

ギンガ「お父さん、お帰りなさい」

 

 

ゲンヤ「飯くれるか?流石に腹へった」

 

 

ギンガ「温め直すね」

 

 

ギンガは料理を温め直した。

 

 

ギンガ「あれ?良太君は?」

 

 

ギンガが料理を運んで来ると良太の姿が無かった。

 

 

ゲンヤ「今までそこに…何処に行った?」

 

 

ギンガ「良太く~ん?」

 

 

良太「呼んだ?」

 

 

ギンガ「何してたの?」

 

 

良太「アレを見てた」

 

 

良太は居間に置いてある囲碁を指差した。

 

 

ギンガ「あ~…アレはお父さんのだよ」

 

 

ゲンヤ「何だ?興味有るのか?」

 

 

良太「少し打てる」

 

 

ゲンヤ「何!?後でやるか?」

 

 

良太「やる」

 

 

ゲンヤは食事をすると風呂に入り囲碁の準備をした。

 

 

ゲンヤ「先行をやっていいぞ」

 

 

良太「了解」パチッ

 

 

ゲンヤ「……」パチッ

 

 

しばらく打ち合いが行われ、結果は…

 

 

ゲンヤ「俺の勝ちだな」

 

 

良太「負けた」

 

 

ギンガ「大人げない」

 

 

ゲンヤ「仕方ねぇだろ?手加減出来る弱さじゃねぇんだから」

 

 

ギンガ「そうなの?」

 

 

ゲンヤ「その内俺より強くなるぞ」

 

 

良太「頑張る」

 

 

ゲンヤ「さて、子供には遅い時間だ。そろそろ寝な」

 

 

良太「わかった」

 

 

良太は居間のソファーに寝転んだ。

 

 

ギンガ「ちょっと良太君!?そこで寝るき?」

 

 

良太「何か違った?」

 

 

ギンガ「それはソファーだよ?」

 

 

良太「施設ではこれに寝てた」

 

 

ゲンヤ「…明日余程詳しく聞かなきゃいけねぇみたいだな」

 

 

ギンガ「そうだね。ほら、良太君。おいで、一緒に寝よう」

 

 

ギンガに手を引かれて良太はギンガと共に寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギンガ「ん?ん~」

 

 

翌日ギンガが起きると…

 

 

良太「すぅ~…」

 

 

ギンガ「さて、朝ごはん作らなきゃ」

 

 

良太を寝かせたまま、着替えをしてキッチンに向かった。

 

 

ゲンヤ「おはよう」

 

 

ギンガ「お父さん、おはよう」

 

 

ゲンヤ「ちっこいのはどうした?」

 

 

ギンガ「気持ち良さそうに寝てるよ」

 

 

ゲンヤ「余程酷い環境だったんだな」

 

 

ギンガ「多分…そろそろ起こしてくるね」

 

 

ギンガは自分の部屋に行くと良太を起こした。

 

 

良太「モグモグ」

 

 

ゲンヤ「昨日メールが来てたぞ。朝一でフェイトの嬢ちゃんが来てくれるそうだ」

 

 

ギンガ「わかった。良太君、一緒に来てくれる?」

 

 

良太「了解」

 

 

ギンガは良太を連れてゲンヤと共に出勤した。

 

 

ゲンヤ「よう、執務官」

 

 

フェイト「ナカジマ隊長」

 

 

ゲンヤ「早速打ち合わせしたいんだがいいか?」

 

 

フェイト「はい」

 

 

ゲンヤはフェイトと二人で会議室に入った。

 

 

フェイト「それで?違法な施設を摘発したいとか」

 

 

ゲンヤ「○○って施設だ」

 

 

フェイト「それは児童施設ですよね?…確か査察の対象になっていて証拠が無くて泳がせてる…」

 

 

フェイトは苦虫を噛んだような表情になった。

 

 

ゲンヤ「実は昨日な?ウチのギンガがその施設を抜け出したらしい子供を保護した」

 

 

フェイト「本当ですか?」

 

 

ゲンヤ「あぁ。しかも相当ひでぇみたいだ」

 

 

フェイト「どういう事ですか?」

 

 

ゲンヤ「ソファーで寝るのが当たり前みたいにしてらぁ。それにろくな飯も食わせて貰って無かったらしい」

 

 

フェイト「そんな…許せない」

 

 

ゲンヤ「それでな?その子が証言してくれる事になった」

 

 

フェイト「なるほど。それで自分が呼ばれたんですね?調書を取るために」

 

 

ゲンヤ「頼めるか?」

 

 

フェイト「はい」

 

 

ゲンヤ「なら、ギンガ達を呼ぶな」

 

 

ギンガ『はい?』

 

 

ゲンヤ「話が纏まった。連れてきてくれるか?」

 

 

ギンガ『わかりました』

 

 

ゲンヤ「すぐに来る」

 

 

フェイト「はい」

 

 

コンコン

 

 

ゲンヤ「入れ」

 

 

ギンガ「失礼します」

 

 

ギンガが良太の手を引いてやって来た。

 

 

フェイト「…ゲンヤさん。この小さな子が?」

 

 

ゲンヤ「あぁ。だからお前さんを呼んだのさ。他の執務官じゃ警戒すると思ってな」

 

 

ギンガ「良太君おいで」

 

 

ギンガが椅子に座ると良太が近寄り膝の上に座らされた。

 

 

ゲンヤ「ちっこいの、今からこのお姉さんが質問する。素直に答えてくれるか?」

 

 

良太「了解。ご飯の恩義を返す」

 

 

ギンガ「そんなこと気にしてたの!?」

 

 

良太「ご飯はお金が有る時にしか食べられない。タダでご飯を貰って恩返しをしないのは流儀に反する」

 

 

ゲンヤ「こんな調子でな。結構苦労してるみたいなんだ」

 

 

フェイト「わかりました。えっと、はじめまして。私はフェイト・T・ハラオウンって言うの宜しく」

 

 

良太「良太、名字はない」

 

 

フェイト「良太君か。これで私達はお友達だね?」

 

 

良太「なぜ?」

 

 

フェイト「私の友達がね?名前を呼びあったらお友達って教えてくれたの」

 

 

良太「拒否する」

 

 

フェイト「え?どうしてかな?」

 

 

良太「友達と言って近付いて来た人にご飯盗られたりお金を盗られたりした。だから信じない」

 

 

フェイト「……」

 

 

余りの人生にフェイトですら黙りこんだ。

 

 

ギンガ「でも施設の事は教えてくれるんでしょ?」

 

 

良太「うん」

 

 

フェイト「こほん。なら今から質問するね?」

 

 

良太「了解」

 

 

フェイト「ご飯はどのくらい食べてた?」

 

 

良太「一日一回。多くて二回」

 

 

フェイト「寝る場所は?」

 

 

良太「まちまち。早い者勝ち。早ければソファーで寝れる」

 

 

フェイト「お風呂は?」

 

 

良太「何時でも売られるように毎日入ってた」

 

 

フェイト「売られる?」

 

 

良太「院長が他の大人と話してたのを聞いた。△△って研究所って言ってた」

 

 

ギンガ「△△って捜査対象になってた…」

 

 

ゲンヤ「思わぬ所で繋がったな」

 

 

フェイト「他に何を話してたかわかる?」

 

 

良太「人体実験てのにすると聞いた」

 

 

フェイト「意味わかってる?」

 

 

良太「人体実験はわかる」

 

 

フェイト「そっか。施設を抜け出したのは何で?」

 

 

良太「彼処に居たら死ぬと思ったから」

 

 

フェイト「他の施設に行こうと思わなかったの?」

 

 

良太「信用出来ない」

 

 

フェイト「どうやって生計を立ててたの?」

 

 

良太「宝くじを買って当てたお金を貯めてちょっとずつご飯を食べてた」

 

 

フェイト「体罰みたいなのはあった?」

 

 

良太「ご飯抜きはあった。体に傷がつくと値打ちが下がるって言われた」

 

 

フェイト「他の子達は?」

 

 

良太「院長に脅されて言えないようにされてる」

 

 

フェイト「となるとその子達も保護する必要がある」

 

 

良太「無理」

 

 

フェイト「どうしてかな?」

 

 

良太「施設に爆弾?ってのが仕掛けられてる。局の魔導師が来たら証拠隠滅って言ってた」

 

 

フェイト「用意周到ですね…下手に手出しが出来ない…」

 

 

ゲンヤ「強行突入して爆破されたらこっちもあぶねぇ」

 

 

ギンガ「何とか出来れば…」

 

 

良太「お姉さん」

 

 

ギンガ「なに?」

 

 

良太「お絵かきしたい」

 

 

ギンガ「えっと、はい」

 

 

ギンガは手帳とペンを渡した。

 

 

フェイト「何とかして捕まえないと犠牲が増えるばかりですね…」

 

 

ゲンヤ「ここまで厳重だと手出しが難しいぞ?」

 

 

ギンガ「視察って名目で突入しますか?」

 

 

フェイト「中を見せてはくれないだろうね」

 

 

良太「書けた」

 

 

ギンガ「何を書いたのかな?」

 

 

良太「施設にあった爆弾って言うの」

 

 

フェイト「ちょっと見せてくれる?」

 

 

手帳には鮮明に書かれた爆弾の絵が書かれていた。

 

 

フェイト「これは…よく使われるマジック爆弾…」

 

 

フェイトは良太の絵で爆弾を解析していた。

 

 

良太「役に立つ?」

 

 

フェイト「うん。この爆弾なら配線さえ切れば対処出来る」

 

 

良太「大きな紙が有れば施設の何処に仕掛けてあるか書ける」

 

 

フェイト「本当?」

 

 

良太「変わってなければ」

 

 

フェイト「書いてくれる?」

 

 

ゲンヤ「ほら、紙だ」

 

 

良太はお絵かき感覚で書き始めた。

 

 

ギンガ「これなら突入出来ますね」

 

 

フェイト「先に爆弾の配線を切って院長室に突入。これがベストかな」

 

 

ギンガ「そうですね」

 

 

良太「書けた」

 

 

フェイト「見せてくれる?」

 

 

ギンガ「でも良太君?何でこんなの覚えたの?」

 

 

良太「いつか施設に復讐するために」

 

 

ギンガ「……」

 

 

余りの理由に押し黙る。

 

 

フェイト「正確だね。これだけわかれば…後は突入口だ」

 

 

ギンガ「やはり裏口ですか?」

 

 

良太「見張りの職員がいる。定時連絡ってのがある」

 

 

フェイト「厳重だ」 

 

 

ギンガ「どうしますか?」

 

 

良太「ようは中に入れればいい?」

 

 

フェイト「何か方法がある?」

 

 

良太「自分が使った抜け道がまだあると思う」

 

 

フェイト「何処かな?」

 

 

良太「説明が難しい」

 

 

ギンガ「困りましたね」

 

 

良太「入口までなら案内出来る」

 

 

フェイト「良太君を危険にはさらせないよ」

 

 

良太「足手まといなのは自覚してる。だから入口まで」

 

 

ゲンヤ「連れてこう。他に手がねぇ以上」

 

 

フェイト「…わかりました」

 

 

フェイトとギンガは直ぐに支度をすると良太を連れて○○施設に向かった。

 

 

 


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