転生これくしょん~転これ~ 【一時休止中】   作:上新粉

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リアルがピンチで今後更に投稿ペースが遅くなりそうorz


任務報酬は直ぐには到着しない。

んむぅ……眩しい…………。

俺はまだ視界がぼやける中手探りで頭上の時計を掴み目の前に持ってきた。

もう七時か……今日は長門も来たから鎮守府正面海域を攻略するんだったか、なら流石に起きないとな。

ゆっくりと身体を起こし左を見る。

すると電が安らかな顔ですやすやと寝息を立てている。

 

「〜〜〜ッッ!」

 

可愛いっ!やっぱ可愛いよ電ちゃん!!

そのあまりの可愛さに俺は枕に顔を埋めて悶える。

こうして目覚める事が俺の爽やかなる1日の始まりを告げるのである。

 

「スゥー…ハァー……よし、そろそろ起きぃっ!?」

 

落ち着きを取り戻してから漸く起き上がろうとした時、突然足の自由を奪われると同時に暖かい何かが()の腹部へ押し付けられていた。

思わず上げそうになった声を何とか抑えて掛け布団を持ちあげてみると……。

 

「う〜ん……すべすべ……ハァ……ハァ」

 

黒髪の……いや、うんまぁ長門(七世)が顔を埋めていた……

 

「はあぁぁぁああぁっ!!?」

 

「ひゃわっ!?」

 

「ん〜?あ……おはよう響、電」

 

「へ?え、えと……おはよう……ござい……ます?」

 

「おはようじゃないっ!!なななななんでここにいるんだお前は!」

 

「なんでって………………一緒に寝たかったから?」

 

「正直に言ったって駄目だっ!出ていけ!」

 

「え〜、体は同性なんだからいいじゃないかぁ」

 

「そ、それは……」

 

確かに事実だし俺がやっている事もこいつと変わらないんだよな……。

だがしかし!こんな初対面で抱きついてくるような変態を電ちゃんに近づけさせる訳にはいかんのだ!

 

「やっぱり駄目だ、出ていけ長門!」

 

「まあまあ、俺は二人を起こしに来ただけなんだ。そんなに威嚇しないでくれよ」

 

布団から離れ両手を肩の高さで振りながら弁明する長門(七世)を俺は軽蔑の念を込めて睨みつける。

 

「初対面で飛び付いたり、朝から人のお腹に顔を埋めている奴を信用しろと?」

 

「それは……ま、まあ役目は果たしたし先に作戦準備室で待ってるよ。それじゃ!」

 

そういって長門(七世)は視線を泳がせながら逃げる様に部屋を出ていった。

 

「はぁ、酷い目覚めだよ。ごめん電、びっくりさせちゃったね」

 

「いえ、私は大丈夫なのです。それより私達も支度を済ませて向かいましょうか」

 

「天使だ…………」

 

俺に微笑み掛ける電ちゃんは俺の思考力を奪い去るには充分過ぎる破壊力だった。

 

「?響ちゃん、どうしたの?」

 

「へ?ああうん何でもないよ!そうだね、支度して行こうか」

 

「なのですっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

支度を済ませ作戦準備室へ入ると既に長門と山本とそして……。

 

「二人共遅いですよ、明日からは六時には出撃出来るよう心掛けるように」

 

「えっと、はい」

 

「あの……あなたのお名前を教えて貰えませんか?」

 

真綱ちゃんは知っているかは分からないが俺は彼女を知っている……はず。

特一型駆逐艦だとは思うが茶髪でおさげの彼女……その名前が出てこない。

 

「あ、失礼致しました。私は特型駆逐艦二番艦白雪です。本日大本営新人育成課より第二鎮守府へ配属となりました。教導艦として鎮守府運営についてと艦娘の戦い方について指導させて頂きますので、よろしくお願い致します」

 

丁寧にお辞儀をする白雪につられ電ちゃんと俺はお辞儀を返した。

 

「電です。白雪ちゃん、よろしくなのです」

 

「響だよ。よろしくね白雪」

 

「(ごめん、名前が分からなかったんじゃ無くて顔と名前が一致しなかったんだ)」

 

同時に俺は心の中で白雪に謝罪していた。

 

「さて、これより鎮守府正面海域の攻略をされると伺っておりますが皆さんは戦闘はどれ位出来るのですか?」

 

「俺は昨日ここに来たばっかりだから手取り足取り教えてくれると有難いなぁ?」

 

長門(七世)が下心丸出しの緩んだ顔で白雪の肩を掴んだ瞬間。

 

「ぐふぉっ!?」

 

白雪の肘打ちが長門(七世)の鳩尾を正確に打ち抜いた。

そして肩から離れた腕を掴み一本背負いの様に長門(七世)を正面の床に叩きつけた。

 

「艤装持ちの艦娘に対して生身でセクハラとはいい度胸ですね。良いでしょう、その性根から叩き直してやります」

 

「お……お手柔らかにお願いします」

 

「それでお二人の戦闘経験は?」

 

一部始終を見届け惚けていた俺達は白雪に訊ねられて漸く正気を取り戻した。

 

「ええと……私達は一度だけ正面海域を、その時イ級を倒したけど私が大破してしまって撤退する事になっちゃったんだ……」

 

俺はあの日以降あんな愚を二度と起こさぬよう、電ちゃんは俺が守り続けるんだと心に誓ったんだ。

 

「なんだとっ!?山本てめぇ響を大破させただとぉ!?」

 

「あなたは黙っててくださいっ」

 

「うぐぇっ!」

 

白雪の下段突きが再び長門(七世)の鳩尾を襲った。

 

「あ、あの……私はまだ、深海棲艦が怖くて……」

 

「……分かりました。それでは今回の所は私と響ちゃんで攻略しましょう」

 

「え?二人で大丈夫なのか白雪」

 

心配する山本に白雪は考える素振りも見せず即答する。

 

「当然です。近い内に正面海域位一人で攻略出来るようになってもらわなければ困ります」

 

もっとも過ぎる意見に山本も言葉を詰まらせる。

 

「それでは行ってまいります司令官。さあ行きますよ響ちゃん」

 

「あ、うん。それじゃあ行ってくるね」

 

「気を付けてね響ちゃん」

 

「無理はするなよぉー!」

 

「ま、まってぇ…………ガクッ」

 

皆に見送られながら俺は艤装を着けるため工廠へ向かったのだった。

 




一ヶ月の時を経て任務報酬の白雪ちゃんが来て下さいました!
報酬は迅速に支払われた(大本営発表)

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