それでも俺は負けない!!
山本の部屋に戻り暇を潰すこと五時間、妖精さんより建造が完了した報告が入ったので今度は電も一緒に工廠へ向かうことにした。
「どんな娘が建造されたのか楽しみなのです」
「五時間は確か長門型だったっけな」
建造した時の秘書官が
後は転生者か、そうでないかは会ってみないことには分らないか。
「さーて今週の艦娘はぁ~?ピッピカチュウッ」
工廠に着いた山本が建造する機械に付けられたレバーを下げると空気を噴出しながらゆっくりとカプセルが開いていった。
勢いよく噴出する空気を前にスカートを抑えながら待っていると中から黒いストレートヘアーにカチューシャを付けた女性が出てきた。
「む、私は長門だ。殴り合いなら…………」
だが、彼女は自己紹介の途中でこっちを見たまま固まってしまっていた。
「な、長門さん?どうしたんだい?」
俺の呼びかけにぴくりと反応を示したかと思うと次の瞬間には俺の足元から床が無くなっていた。
「ひゃっふぅーい!!!本物だぁ!本物の駆逐艦だぁ!!良いにほひがするぅ……すーはー……すーはー」
「ひぅっ!?」
「…………は?」
そう、なぜか突然建造されたばかりの鼻息の荒い長門によって電諸共だき抱えられていたのだ。
訳も分からず長門にお腹を頬擦りされたまま俺は状況を整理しようと努めた。
…………つまり、この長門は十中八九転生者だと言う事は分かった。
間違ってもここまで駆逐艦に対して
「な、なあ。先に聞いて置くけど、あんたは転生者……だよな?」
「あ”?誰だお前は……ああ、ここの提督か」
「そうそう、俺は山本徹。ここの提督で更には転生者なんだ、よろしくな」
「ふんっ。私、いや僕は
「そ、そうか......」
なら早く俺を解放して欲しいんだけどな............
「あ、あのっ!私、真綱郁美と言います。よろしくお願いしますね七世さん」
「うん、よろし――ってええっ!電ちゃんじゃないの!?」
「その通りだ、そして私────は記憶がなくて分からないから響と呼ぶのは構わないが君の知っている響とは別人と考えた方が良いかもしれない」
「えぇ~………………ま、可愛いから何でもいっか!」
いいのかよっ!?つか俺が良くねぇよ!!
「それじゃ、二人ともこれからよろしくね?」
その瞬間、俺は強烈な寒気に襲われた。
それは長門がウィンクをするという想像できない事態に遭遇したからか、それとも今後こいつに付きまとわれる嫌な未来を想像してしまったからなのか。
…………多分どっちもだろうな。
未来は限りなく暗いが、それでも電ちゃんという一筋の光を目指して頑張ろう。
そう心に誓い、長門に抱えられたまま俺らは工廠を後にした。
くっ......だれだ「長門=駆逐艦好き」なんてイメージを俺に植え付けたのは!!
済まない長門、そして長門を純粋に好きな皆様ごめんなさい。私はどうやらこの呪縛から逃れることは出来ないみたいです。
だけどわかって欲しい!!長門の事は好きなんだと言う事を!嫌いな艦娘を三作品全てに出すなんて私には出来ないんです!
......ただ、そういう扱いの長門に不快感を覚える方はこの作品の閲覧は控える事を推奨致します。(今更かもしれない……)