白雪「お疲れ様です、それでは来週も三話投稿宜しくお願いしますよ?」
え、ちょっ……流石に勘弁……いえ、まあ出来るだけ善処します。
「問題ないわよ〜。それじゃあ引き続き長門さんをよろしくね〜?」
『あ、ちょっ──』
ふぅ、こういう時はやっぱり彼を弄るに限るわね。ストレスが和らぐわぁ。
そうして私は向こうにいる現在進行形でストレスの原因となっている二人に視線を戻し彼女に進展を確認する。
「ザラさ〜ん、あっちはどうかしら〜?」
まあ、答えは分かりきっているけれどね〜?
「お姉様ぁ〜……何も変わりませんよぉ?あの二人撃って良いですかぁ?」
「だ〜め、我慢して頂戴ね〜?じゃないとご褒美は無しよぉ?」
「そ、そんなっ!?あんまりですよぉ……」
「じゃあ我慢出来るわね〜?」
「うぅ……はい、我慢します……」
「いい子ね〜」
でもその気持ち分かるわぁ。
折角二人きりの状況を用意出来たのに白雪ちゃんは意気地無しだし〜。
提督は提督で何故だか白雪ちゃんを恐がってるし。
…………はぁ、まだ計画は残ってるけど正直どうしたものかしらね〜。
「ねぇ、龍田……さん」
どうしようか思考を巡らせていると深雪ちゃんが声を掛けてきたので振り向いて聞き返す。
「龍田でいいわよ〜、どうしたの深雪ちゃん?」
「あ、うん。それでさ龍田、実は白雪って弱点が有るんだけどさ。それを使えば二人をくっつけられるんじゃないかな〜?って」
「弱点?」
ふ〜ん、あの子にそんな物があるなんてねぇ?
後々にも使えそうだし聞いておこうかしら〜。
「聞かせてもらえるかしら〜?」
「う、うん。実は前に……」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
うぅ……どうしてこんな状況に……。
べ、別に司令官と居るのが嫌と言うわけではありません!ただ…………
コップに口を付けながら司令官に視線を移す。
「ど、どうした?」
「……っ!」
すると不安そうにこちらを見られている司令官と目が合ってしまい私は慌てて俯く。
大丈夫です問題ないですそもそも皆さんが好き勝手に何処かへ行ってしまうから私が司令官と二人きりになってしまっただけで……二人きり…………あぅぅ……。
「しっ、司令官!」
「はいぃっ!?」
うぅ……駄目です、顔が見れません……。
ですが何時までもこのままと言うわけには行きません!
誰にも臆病者なんて言わせませんから!
決意を固め私は自分から一歩踏み込みました。
「あ、あの……つ、次はどどど何処に向かいましゅ……か?」
「へっ?」
……消えてしまいたい。
こんなの私ではありません、私じゃないんです……本当に…………って誰に言い訳しているんですか私は。
「……いえ、何でもありません。それより何時までもここに居ても何ですしそろそろ出ましょう」
「あ、確かに。じゃあどこ行くかは歩きながら考えましょうか」
この微妙に丁寧語なのも距離を置かれてる気がして傷付くのでやめて欲しいのですがどうすれば良いのでしょうか……。
当然答えが直ぐに見つかる訳でもなく支払いを済ませると喫茶店を出て司令官と宛もなく再び歩き始める。
暫く歩いていると不意に背後から声を掛けられ私は咄嗟に振り向く。
「あら〜?こんな所で合流するなんて奇遇ねぇ」
「お、龍田達もこっち側に来てたのか?」
そこには私を今の状況にまで追い込んだ元凶が素知らぬ顔で手を振っていました。
奇遇?何か引っ掛かりますね。そもそも彼女達は反対方面に向かって行った筈では?
「ちょっとこっちの方に面白そうなものがあったから行ってみようと思ってぇ〜」
何かとても嫌な予感がする……関わってはいけないと私の勘が告げている。
「そうですか、私達は昼食を終えて次の場所に向かう所ですのでこれで」
「あれ?」
司令官が余計な事を言い出す前に私は司令官の手を掴みその場を立ち去ろうとする。
しかし空いた左腕を龍田がしっかりと掴んでいた。
「何ですか?私達は急いでるので失礼致します」
「まあそれでも良いかなぁとは思うけど〜。やっぱり皆で遊ぶのも良いな〜ってね?」
一体何を企んでいるんですか!行きませんよ、私の勘がいま確信に変わりましたからっ!
掴まれた左腕を引き抜こうと踏ん張るが抜ける気配が一切無い。
「っ!ばかなっ!?」
「艤装を付けた艦娘相手に生身で抗おうなんていい度胸ね〜?」
何ですかその何処かで聞いた様なセリフは……って貴女まさか!?
そう言えば先程何処から薙刀を出したのかと思ったら……!
「龍田!民間の生活圏に艤装を着けたまま立ち入るのは禁止されて居るのを知ってるでしょう!?」
「えぇ、でも提督の外出に護衛も無しでは危ないじゃな〜い?」
確かに言っていることは間違いではありませんが……。
「そ、その場合だって申請が必要です!」
「申請は取ってるわよぉ?ねぇ、山本提督〜?」
「ん?ああそういや申請を承認したな」
「なっ……!?」
先に伝えて頂きたかった……いえ、そもそも今は秘書艦でもありませんし私に報告する必要はありませんでしたか……迂闊でした、薙刀を出した時点で冷静に思考が出来ていれば。
「という訳で皆で行きましょうね〜?」
今回は完敗です龍田。ですが次は負けませんよ?
龍田に引き摺られた先にあったのはこの辺りではかなり大きめの百貨店でした。
たっている場所が住宅街から少し離れた所にあるお陰で商店街も廃れずに続けられているという事らしいですね。
まあ百貨店なら大変な事にはならないでしょう。
そう考えていた自身とこの施設を作りやがったオーナーを呪ってやりたい。
────戦慄の宮────
百貨店の屋上一つ下の六階フロア全体を使ったレジャーランドに引けを取らない大型のお化け屋敷である。
「…………」
「し、白雪。大丈夫……か?」
わわわたしは一体ど、どんな顔をしているんでしょうか……ハ、ハハハ。
「ふ〜ん……?もしかしてぇ、怖いのかしら〜?」
そんな私の様子を見た龍田は煽り立てる。
ここで退けば龍田に確信を持たれてしまう。
けれど例え進んでも龍田に気付かれずにやり過ごす事が果たして出来るのでしょうか……。
私の内なる葛藤を他所に龍田は深雪とザラさんを連れて入口へと歩き出した。
「それじゃあ私達は先に言ってるわね〜?」
「きゃあ、怖いですお姉様〜」
「おおう……な、なんだか緊張するなぁ」
間もなくして龍田達は扉の向こうへ消えていきました。
「し、白雪……さん?もしあれなら此処で待ってても……」
「だ、駄目ですっ!…………行きましょう」
「本当に大丈夫か?」
そう、これはチャンスなんです。
龍田達は先に行った、これであの二人に気付かれる心配は無くなりました。深雪にはしっかりと口止めしてありますし……後は私が此処を乗り越えるだけ。
「……ええ。但し中で見聞きしたものは他言無用です、良いですね?」
「は、はいっ!」
この緊張、重巡棲姫と相対した時以上です……しかし、ここは自分自身の為にも耐えねばなりません。
震える身体を抑え込みゆっくりと扉の奥へ足を踏み出して行きました。
響夜「あれ?この話で休日編終わる予定じゃなかったか?」
それはまあ色々と理由はありますが……力尽きました。
響夜「はぁ……ま、とりまお疲れさん」
一応来週中にどちらかの作品で一話は投稿しようとは考えております。