今、俺はキリトの部屋の隅に立っている。
そして俺の前には、頬に真っ赤な紅葉を作り土下座をしているキリト。
キリトの前に、仁王立ちになり真っ赤になりながら説教をしている赤マント。キリトに聞いたところアスナというらしい。
そしてベットに胡坐をかいてニャハハハッと笑い転げているアルゴ。
カオスだな。
ついでに言うと俺はアスナに一度も気づかれなかったため、隅っこでおとなしくしているということだ。なにそれ寂しい。
しばらくして話が止まったので俺は話しかける。
「おい、話は終わったか?俺、キリトに用があるんだが。」
「ヒャゥ」
ビクッっとアスナの肩が震える。というか反応が懐かしい。材木座が奉仕部に来た時も同じようなことがあったな。
「い、いつからそこにいたのよ‼」
「アルゴと一緒に入った。お前がいつまで経っても気づかないから隅でおとなしくしてたんだよ。」
「え、じゃあ、あれ、見た?」
アスナは顔を赤らめ聞いて来る。何それ可愛い。まあ答えは決まってるんだがな。
「何が?」
その何かとは、アルゴがアスナに気づかずにキリトの家の風呂場に入りちょうどバスタイルを巻いたアスナに鉢合わせした。そこまではいい。
驚いたアスナがそのまま飛び出してきて、それを見たキリトを平手打ちしたのだ。うん。理不尽。
え、俺?もちろん見ちゃったよ。怖いから言わないけど。
というか、アルゴはにやにやしながらこっち見るんじゃねえ。嘘がばれる。
「正確に言うと、キリトとアルゴの話に俺が混ざるんだがな。お前は用が無いなら帰ってもいいぞ。」
俺はアスナの方を見てそう言う。
「か、帰らないわよ。話してちょうだい。」
「だ、そうだ。アルゴ、頼む。」
「分かったヨ。率直にキー坊の剣に、3万8千コル出すそうダ。」
「「なっ‼」」
キリトとアスナが声を上げる。
約4万か…4万ともなると俺の財布にも結構痛い額だ。
「アルゴ。そのクライアントの情報を買う。」
「千五百コルダ。」
アルゴがキバオウにメッセージを送っている。
俺は少し目をつぶって考え込む。
キバオウが4万も持っているとは思えない。複数または、あの中でも一番攻略を行っていたパーティー…
あのナイトか? だったら納得がいく。
どっちにしろ誰かが手を汚さずに人を落としいれているんだ。
「教えて言いそうダ。キバオウだヨ。で、今回も剣の商談は不成立でいいのカ?」
普通なら前日に自分の武器を手放したりしないだろう。しかし、
「あぁそうしてk「ちょっと待ってくれ。」なんだ?」
「相手の真意も気になるところだし、ちょうど金も入る話題だ。」
「キリトは自分の剣を商談の通りに三万九千で売ってくれないか。その代り俺は三万五千でお前と同じ強化6のアニールブレードをお前に売る。勿論後払いでいい。」
「でもそうするとハチの武器が、」
「俺は強化6のアニールブレードを3本持ってる。そのうちの一つだ。だから問題はない。それに異常な額を使う相手の真意を確かめられる。第一二人とも儲かる。俺の案だし俺がいないと成り立たないから多くもらうが。 どうする?」
「人を騙すようで嫌だけど、自分が危険になるよりはいいか。分かった。その案に乗る。」
「じゃあこれが+6のアニールブレード。これはボス部屋に行くまで使うな。」
「じゃあキー坊の剣は俺っちが売っとくヨ。だけどハッチ。俺っちに一万。」
「千だ。」
「七千だナ。」
「五千。それ以上はやらん。」
「分かったヨ。つまり分け前は、キー坊四千。俺っち五千。ハッチが三万か。ハッチが近くにいると儲からないナ。」
「オーケー。じゃあアルゴは今日中に売りさばいといてくれ。俺は帰る。」
アルゴと俺は外に出た。アスナはもう少しキリトからレクチャーを受けるらしい。
「ハッチ。」
「なんだ?」
「死ぬなヨ。」
「当たり前だろ。現実世界に忘れてきたものがあるからな。じゃあな。」
「あぁまたナ。」
俺たちは手も振らず背を向けて別れる。普通なら薄情とでも思われるかもしれない。それでも俺にはアルゴの対応や気遣いが…
心地よかった。