今回は回答編です、自分の技量で書き表せるか不安ですが頑張ります。
では本編どうぞ?
皆さんにとって幸せとは何でしょうか?
それは人によって違って、例えば恋人と過ごす日々が幸せとか、友達との何気ない日常とか、勉強や仕事を終えた後の自分へのご褒美とか、色々あると思います。
そして僕にとっての幸せとは不幸でないことなのです。
本来は幸せでない事を不幸と言う物だと思うのですが、僕は生まれてから不思議な程に不幸に巻き込まれて来たので幸せの感覚がよく分かりません。
では僕にとっての不幸とは何か、それは巻き込まれる事です。
散々僕が不幸だと言っているのは見た事でしょうが、例えば、米田さんが部活に僕を巻き込んだんで掃除当番をやらされたり、大吾との勝負の為に笹原先生に貸しを作ったり、この様な事が僕にとっての不幸なのです。
しかし不幸とはいつ何処でも襲いかかって来るもの、ならばその襲いかかって来たものからは早く逃げなければなりません。
と言う訳で今回のこの『消えた死体事件』とやらも早めに解決しなければいけないのですが……。
「まったくもってわからない」
「まったく、我が相棒がこんな状態とは情けない……」
「でも、野村さんも分かってませんよね?」
「いや、我はあれだ……近接戦闘型なのだ。この様な事件は頭脳派の祐太に任せてるのだ」
「僕は別に頭脳派じゃない、ただ動く事と考える事を比べると考える事の方が好きなだけだ。後僕は君の相棒じゃない」
「そんな事は置いといて堺さんは早く謎を解いてください」
いや、解けと言われてもな……やっぱり普通に考えてこれって警察の仕事じゃないの?
僕がどう足掻いても名探偵コナン君には到底及ばないし、なんなら毛利小五郎にも及ばないのだ。
「やっぱり僕達にはこの依頼は重すぎたんだよ、素直に警察に任せよう」
「だが折角宇佐野の家に行ったのだ、可愛い妹も見れたしもう少し頑張って考えてみようじゃないか」
「そうですよ、もう一回状況を整理してみましょう」
「状況を整理ね……」
状況を整理しても対して変化は無いと思うけどな。
それによく漫画なんかで見る『そうか、そう言う事だったのか!!』って言ういわゆるヒラメキと言うやつは運が絡んでくる、主人公はそう言う運が元から備わってるからいいけど、僕はな……。
「まぁでも、やれるだけやってみるか」
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「まず、今回の事件は宇佐野の行方がわからないから探すと言う内容だ」
「はい、そうですね」
「具体的にいつ居なくなったかは先生からは聞いて無いけど、一ヶ月や二ヶ月ではなくニュースなんかになってないから大体一週間か二週間とかそんなぐらいに居なくなったのだろう」
「そうだな、我と宇佐野が会わなくなったのもそのぐらいだ」
「……そう言えばお前は宇佐野と仲が良かったんだな、どんな事を話したりしてたんだ?」
そうだ、なんで今まで大吾に聞かなかったのだろう。
宇佐野と一番一緒居たのは大吾だ、一番有力な情報を持っているはずだ。
「宇佐野との会話か……最近のゲームやラノベの評価や甘い物は好きかとか、後はエロは世界を救うとかだな」
……最後のに関しては絶対に触れないようにしよう。
「最近で変わった事は無かったか?」
「うーむ、これと言って無いな。強いて言うなら宇佐野は最近やけに忙しそうだったくらいだ」
「忙しそうって、具体的には」
「バイトを初めたのだ」
「バイトか……」
ダメだな、やっぱりその程度だったら何処に行ったかなんて何処かに金を貯めて何処かに遠出したぐらいしか思い付かない。
「他には?」
「他は特にないな。」
「そう……。まぁいいやとりあえず整理を続けよう。どうやら宇佐野は虐めにあっていたようだな」
「え、虐めですか!?宇佐野さんは大丈夫なんですか?」
「あぁ、何でも宇佐野を虐めたら反応が気味悪くてすぐに無くなったらしい」
「そうですか、良かった。野村さんはその事を知ってましたか?」
「あぁ、まぁ一応は……な」
「知ってて止めなかったんですか!!どうして助けなかったんですか!!」
「米田さん、落ち着きなよ」
「でも……」
「大吾だって思う所はあるよ」
「じゃあなおさら……」
「すまん、我だって止めたかった。けど我では止めれないのだ、あいつらは止めれないのだ」
「そんな……」
大吾もきっと色々思ってて止めなかったのだろう、大吾は僕と米田さんを省けばその宇佐野しか友達がいなかったのだろう。
そんなぼっちがいきなり虐めをしてる奴らに対して止めろと言うものなら、標的は大吾に変わるかもしれない。
それに大吾に標的が行かなくても水を差されたせいで、もっと虐めがヒートアップするかもしれない。
それなら何もしないでいつも通り側にいてやった方が良いと考えたのだろう。
それは間違ってないし、むしろ正しい。
「まぁでも、とりあえずは本題に戻ろう」
「……えぇそうですね。すいません野原さん、野村さんの気持ちも考えずに」
「いや、いいのだ。我も実際に止めなかったしな」
「よし、じゃあ話を戻すよ。そして宇佐野の家に行くと家族は門前払い、妹さんはノートをくれたけど中身はまったくもって役に立たない」
一応あの後のページを調べても何も書いて無かった。
あの程度の内容を数日間で飽きるとは、やはり宇佐野は変わり者らしい。
「そして妹さんによると自殺に使ったような縄が部屋にあったと。そして笹原先生の話によればとにかく変わり者で昼休みの弁当はたい焼きのみを観光の雑誌を読みながら食べてたとかなんとか……」
「……やっぱりこれだけじゃ何もわかりませんね」
「……やっぱり僕達には重いよね」
仲が良かった大吾には悪いけど今回の依頼は本当に重いのだ、そろそろ諦めてもいい頃だろう。
そんな期待を込めて大吾のいる方を見ると、俯いた顔で落ち込んでいて自分の顔をさらに酷い顔に変えていた。
「……まぁそう言う事もあるだろう」
「大吾……」
「それに宇佐野の事だ、その内ひょっこり帰って来るかもしれないな。そうだ折角部室があるのだ、このポットでお湯を沸かして茶でも飲もうじゃないか」
……きっと大吾はこんな結果に納得してないだろう。
あたりまえだ、友達が行方不明なのだから。
これがあたりまえだなのだ、僕みたいにすぐに諦めれるのは宇佐野と大して思い出がないからだろう。
それでも僕の、一応は仲間にしてもらってる友人に、こんな悲しそうな酷い顔をされたら僕も情が働くと言うものだ。
そうだ僕がおかしいのだ、例え他人でも行方不明になったら心配する物なのだ。
それなのに僕はそれをすぐに諦めようとしてる。
……クソ、こうなったら絶対に見つけてやる。
僕もここまで来て謎が解けないのは腹立たしいし、米田さんが宇佐野の件で落ち込むのは見たくないし大吾にこんな酷い顔をされるぐらいなら謎を解かなくては。
と、いき込んで言っても何もわからないんだよな……。
「野村さん、何をしてるんですか?」
「む?ビーカーで水の量を計ってるのだぞ?」
「わざわざそんな事しなくてもそのポットにメモリが書いてますよ?」
「やや!?本当だな。いやー失敗失敗」
おいおい、いくら何でもそれぐらい気づけよ。
ていうかなんでビーカーなんて持ち歩いてるんだよ。
それにメモリが見えない位置にいてももう少し見る所を変えれば……
ん?見る所を変える?
「あ!!」
「ん?どうしたのだ祐太よ」
「ひょっとして堺さん、宇佐野さんの居場所が分かったんですか?」
「いや、わからない」
「じゃあどうしたんですか?」
……どうしよう、話してしまおうか。
「米田さん、大吾この話を誰にも喋らないって約束するか?」
「はい、喋るなと言われれば喋りません」
「我も右に同じ」
「分かった、絶対に話すなよ。実は……」
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翌日、僕はこの前あった宇佐野 美月を宇佐野家の近くにあった公園に呼び出した。
とは言っても別に火曜日サスペンスにならって犯人の謝罪会がある訳では無い。
美月さんに最後の確認にきたのだ。
「それで、何の用ですか?」
「まぁ、君のお兄さんがいる場所が分かったから報告にね」
「え!!本当ですか!?」
「うん、まあね」
「そうなんですか……」
「で、それを言う前に君に確認をしようと思ってね」
「……確認って、場所が分かったんじゃないですか?」
「いや、君に確認をしたら確率が100%になるんだよ」
「はあ、そうですか……それで、何を聞きたいんですか?」
「君のお兄さんって何処に居るの?」
「……は?」
「いや、君ならお兄さんのいる場所を知ってると思ってね」
「……今更なにを、私は何も知りません」
「本当に?」
「……何が言いたいんですか?」
「いやごめん君を攻めてるつもりは無いんだよ。これはただの確認だからね、知らないなら知らないで良い」
「そうですか」
「うん、いきなり呼び足してごめんね。流石に気を悪くさせてしまったかな?」
「いいえ、別に大丈夫です」
「そう……じゃあ僕は帰るね」
僕は美月さんに後ろ姿を見せて帰り道に足を進めた。
「あぁそうそう、最後に一言……」
そして公園から出る前で少し立ち止まり、後ろを振り返って
「最初から少し勇気があれば良かったのにね」
と、満面の笑みで言った。
その時美月さんが少しこちらを睨んでいたような気がするのは、恐らく勘違いじゃない。
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前日、僕は二人に今回の事件の結末を話してた。
米田さんも大吾も誰にも話さないと言っているから大丈夫だろう
「先に言っておくと宇佐野はもう死んでいる可能性が高い」
「そんな……」
「おい祐太よ、貴様首吊りの縄の時には宇佐野が死んでいないと言っていたじゃないか」
「あぁ確かにな、けど居なくなった先で死んでいたとしたら?」
「……まぁ確かにありえなくは無いな」
「……まぁ実際に死んだかどうかは本人に会わないと分からない、もしかしたら生きてるかもしれない。元気を出せとは言えないけど余り深く考えるな、米田さんもね」
「……はい、わかりました」
「よし、じゃあ続きを話すよ」
「あぁ、頼むぞ」
「なんで僕がそう考えたというと、笹原先生の話がもとになった」
「笹原先生の?どんな話ですか?」
「何でも笹原先生が言うには宇佐野は夏でも学ランを来ていて学ラン姿じゃない瞬間を見た事がないと言っていたんだ」
「それがどうつながるのだ?」
「まぁ話を聞け。僕は最初変わった奴なんだな~程度しか思わなかったけど、いくら何でも真夏に学ランなんて来てたら熱中症になるし、暑くて拷問みたいになったら倒れてしまう。本人もいくら何でもそんな間抜けな倒れかたはしたくないだろ」
「それは確かにそうですね。温度を感じないと言うなら別でしょうけど、そんな人はまず居ないはずです」
「でしょ?そして考えて見て欲しいんだけど、どんな時に真夏でも長袖で熱の吸収の良い学ランなんかきる?」
「日焼けをしないためですか?」
「キャラ設定のため」
「大吾は無視するけど」
「おいまたれよ!!」
「米田さんはいい線行ってるね。まぁ学校生活で日焼けなんて部活をして無きゃほとんど無いだろうけど。でももし、もう日焼けをしていてその日焼けがかなり変な模様だったらどうする?」
「それは隠しますよ、そんな模様なら見られたくありませんし」
「そうだよね。じゃあそれと同じように、それがとても深くて大きい傷跡だったらどうする」
「それは同じように隠します。」
「うん、その通り。まぁ簡単に言えば宇佐野は自分の腕に付いた傷を隠すために学ランなんてきてるんだ」
「どうして腕に傷があるって分かったんですか?」
「実は先の笹原先生の話の時に他にも話を聞いていたんだ。何でも宇佐野の家族は妹と両親以外は交通事故で死んでいたらしい、そしてさらに父親の会社は倒産したんだ。会社は倒産して生活に困っていても助けてくれる親戚はいない。」
「生活が苦しい中で両親は子供を養わなければいけない、きっと共働きもしただろうね、それは相当なストレスになった筈だ。そしてそのストレスのはけ口は何処か、子供の頃の宇佐野に矛先が向いたんだろうね。よくある話、家庭内暴力って奴があったと考えたんだ」
「ついでに言うなら弁当でたい焼きしか食べなかったのは親からまともに弁当や小遣いを貰ってないからかもって考えもある」
まぁただ単にたい焼きが好きなだけだと思うけど。
「それでここからは正直推理って言うより妄想とか想像とかそういう物なんだけど」
「と言うとどう言う事だ?」
「そのまんま、これから先は自信が無いってこと」
「どうしてですか?」
「話を聞いたりした限りでは確信は持てなかったんだ」
「ほう、それでどのような事があったと考えるのだ?」
「あの妹さん、美月さんは恐らく宇佐野の行った場所が分かっている」
「え、じゃあなんで行方不明なんて嘘をついたんですか?」
「美月さんは宇佐野の兄妹だ。自分の兄が親から虐待を受けていたのは知っている筈だろう。でも助ける事は出来なかった、もしも助けたら今度は自分が標的になるかもしれないからね」
「そしてある日に兄が自殺をしようとしてるのを何かのタイミングで知ったんだろうね、例えば自殺の現場に鉢合わせたとか。そして流石に自殺は止めなきゃいけないと思った美月は宇佐野に家出をする事を勧めたんだ。だから宇佐野は家出の資金を稼ぐ為にバイトを初めて、昼休みの時は観光の雑誌なんか見てたんだと思う」
「でもそれじゃあ美月さんが宇佐野さんが行方不明なんて嘘をつく理由がありませんよ」
「いや、もしも親に宇佐野が何処に行ったかを伝えたら連れ戻されてまた宇佐野が虐待を受けるかもしれない。もしも家出が近所の人に広がってそのせいで虐待がバレたりしたらいけないから、そうさせない様に躾をするでしょ。多分僕達を追い返したのも同じような理由だね。それにもしも兄を自分が逃がした事を喋られたら今度はは自分が標的になるかもしれないからね」
「では、なんで自殺に使ったような縄があったなんて言ったのでしょう?」
「多分、捜査を撹乱させる為にとっさについた嘘だね。まぁ自殺に縄を使おうとしてたかとかは本当かどうか分からないけど」
「じゃあ既に死んでいると言うのはどうしてなのだ?家出が理由で行方不明になったならその先に親は居ないのだから死ぬ必要も無かろう」
「普通に考えて、たかが高校生が住所を持ったり仕事をして生活をするのは無理だろ?それに働くにしても自分が家出少年だとバレればまた親の元に帰らなくてはいけないからね。もっと言えば家出をしてそこに住むなら普通は観光雑誌なんかじゃなくて住むホテルの住所なんかを見てるべきだろう?宇佐野にとってはこの家出は死ぬ前の最後の旅行の様な感覚だと思ったからだよ」
この考えは宇佐野が何処に行ったかではなく、宇佐野は今までどんな所に居たのかを考えた正に『見る所を変えて』思い付いた考えだ。
今度気が向いたら大吾にお礼でも言おう。
「じゃあ宇佐野さんはもう帰って来ないのでしょうか……」
「……わからない」
「え?」
「もしかしたら宇佐野が家出をしてから心変わりして家に帰って来るかもしれない。」
「じゃあ宇佐野さんは家族を心から嫌っていた訳ではないんですか?」
「さあね、帰って来たらそうかもね。でもそれを決めるのは宇佐野自信だから」
そう言ったら米田さんは少し残念そうにしていたが、それと同時に何か希望を持ったような表情をしていた。
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美月さんとのやり取りを終えた帰り道、宇佐野は今何をしてるのだろう?と、そんな考えが頭をよぎった。
自分の中ではもう自殺をしてるだろうと考えつつも、やはり人が死んでいるかもしれないのは例え赤の他人だとしても気分が良いものではないらしい。
あの後は普通に解散になった。
米田さんは少し疲れたような落ち込んだような表情を見せた後僕達と別れた。
大吾はやはりショックだったのか凄く落ち込んでいたがそれでも無理矢理いつもの中二病スタイルを貫いて最後には大声で笑って帰っていった。……心做しかその笑い声に張りが無かった気がする。
もし宇佐野が自殺をしていたとしたら宇佐野の人生はそこで終了だ、これから先幸せになる事は無い。
だとしたら宇佐野はとても不幸と言うことになる。
ならまだ生きていた方が幸せなのだろうか?答えは否である。
生きていればいつか幸せなれるなんて有り得ない、生きていれば絶対に不幸が訪れるのだ。
人生楽ありゃ苦もあるさなんて言っているが大人になって社会に出れば九割方苦しかない。
宇佐野はきっと若くしてそれを知ったんだろう、だから人生に見切りをつけたのだ。
誰しもが幸せな青春時代や人生を歩んでいるとは限らない、いつも誰か不幸になってるし何か悩みを持っている。
少なくとも青春は素晴らしいと言う考えは、僕が居れば否定される。
当たり前の事だ、歩行の邪魔をするカップルも一人で帰り道を歩いてるぼっちさんも今目の前を通ろうとしているヤケにヘラヘラ笑っている人もきっと何か不幸を持ってるのだろう。
そう結論付けると、ヘラヘラ笑っている人とすれ違った時……
『僕の妹がお世話になったね』
……と声が聞こえた気がした。
「え?」
振り返ると曲がり角を曲ったのか姿はもう見えなくなっていた。
「………………まさかね」
宇佐野はまだ生きているのかもう死んでいるのか僕は知らないし、生きていたとして家族を許して帰って来たのか、家族に復讐でもしにきたのかも分からない。
まさかとは思うがすれ違ったのが宇佐野の幽霊か本人かなんて知る由もない。
ただ心の奥底から幽霊でない事を祈っていたのをとても良く覚えている。
今回はかなり長かったですね。
読み返して見ると、自分の文章力の無さがわかります。
まぁ徐々に上手くなる予定なので長い目で見てくれると幸いです。
ではまた次回