ぼっちな僕と彼女   作:諍 歌油

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どうも、今回は知恵比べではなく謎解きです。

では本編どうぞ。


何処でも誰でも青春が素晴らしいとは限らない

 

 皆さん、部活とはどう言う物かわかりますか?

 

 部活とは中学校や高校などでバスケや野球、サッカーなどの運動、あるいは囲碁や習字、マイナーなのだと百人一首などの文系で学校内の生徒間で絆などを深めたり、その競技の技術を深めたりするものです。

 

 そして部活とは青春の象徴の一種として世間からは捉えられているのか、よく小説や漫画やアニメなどの題材としてあり、その部活の中で登場人物達がどの様に成長するのかと言う姿が見られます。

 

 まぁそんな青春の象徴たる部活と言う物に高校二年生になった僕も遂に参加したのですがここで一つ問題が生まれてしまったのです。

 

「ねえ米田さん」

 

「なんですか堺さん」

 

「この部活って何部だっけ」

 

「『人助け部』ですよ」

 

「だよね……」

 

「はい……」

 

「ちっとも人が来ないね」

 

「……ですね」

 

 そうなんです、ちっとも助けて欲しい人が来ないんです。

 

「で、でも誰も助けを求めに来ないと言うのはとても平和でいい事ですよ」

 

「まぁそれはそうなんだけどね……」

 

 前回どうにか詐欺まがいの事をして大吾を部活に参加させて、笹原先生の大吾を見た時のまるでヤバイ奴を見てしまった的な反応を乗り越え無事に『人助け部』を作る事が出来たんだけど、いかんせん人が来ない。

 

 まぁ米田さんの言う通り、人が来ないと言うのは平和として受ける事も出来るけど、これだと部活を作った意味は無いので出来れば何かしらの事件が起こって欲しい物だ

 

「何か面白い事は起きないかなー。なんなら血まみれの人が来てくれたら楽しいのだけど」

 

「そんな人聞きの悪い事を言ったらいけませんよ」

 

「それより、大吾はどうしたか知ってる?」

 

「野村さんなら……『すまない、今我はヤツらとの決戦に行かなければ行けないのだ……まってろよ今波動拳を決めてやるからなー!!』と言って何処かに走って行きましたよ」

 

「……あいつ今度ブチノメス」

 

 部活よりもストリートファイターをやりに行くとか、あいつどうかしてるのか?

 

 コンコン

 

「どうぞー」

 

 どうやら遂に待ちに待った依頼人が来てくれたらしい、米田さんが返事をした。

 

 ガラガラ

 

「えっと、ここが人助けをしてくれる所で良いのか?」

 

「え?はい、そうですけど……」

 

 中に入って来た人は髪を短く揃えていて、制服ではなくスーツを着ていた。

 

「あの、高橋先生が何の用ですか?」

 

「ああ、その笹原先生の紹介できたんだけど」

 

 ……これは絶対に面倒臭い依頼だ間違いなく面倒臭い、早く断らなければ。

 

「あと笹原先生の伝言で『理科室の鍵』って言われたんだけど、なんかあったのか?」

 

 ……まさかこのタイミングで仮を返せと言われるとは。

 

「不幸だ」

 

 ……………………………………………………………………………………………………………………………………

 

「それで、依頼の内容は何でしょうか?」

 

「その前に、本当にこの部活はどんな願いを叶えてくれるのか?」

 

「はい!!どんな願いもかなえますよ」

 

 おいおい、良いのかよ自分ができない事を言われたら気まずくなるでしょうに。

 

「実はな、行方不明の生徒を探して欲しいんだ」

 

「……は?」

 

「やっぱり無理か?」

 

「いえ、大丈夫です!!」

 

「ちょ、米田さん!?」

 

「ここにいる堺さんがズバっと解決してくれますよ」

 

「本当か!!」

 

 先生が、身を乗り出してきた。

 

「ちょっとまって下さい、そう言うのは警察とか探偵とかそう言う所に頼ればいいじゃないですか」

 

「いや、それが警察を操作には出して欲しく無いって親が言ってるんだ。一応担任としてはこう言うのはな……」

 

「なんで警察に頼まないんですか?」

 

「親の意見はどうせただの家出だからと言って警察には頼らないって……」

 

「だからって警察に頼らないのはどうかと……」

 

「まぁ一旦それは置いとくとして、どうして僕が解決するのさ、こんな重大なことなんて手に負えないよ」

 

「でも、堺さんはいつも謎を解いてくれたじゃないですか」

 

「いやいや、行方不明の人の行方なんてそれこそホームズやコナン君なら解るだろうけど僕なんてそこら辺の一般人だよ?わかるわけないよ」

 

「そうか……まぁそれもそうだよな」

 

「……はぁ分かりましたよ、一応その人の特徴とか名前とか教えて下さい。それに当てはまる人を見つけたら教えますから」

 

「あぁ、そうしてくれると助かる」

 

「それで、どんな人なんですか?」

 

「そいつの写真がこれだ」

 

 そう言うと高橋先生が胸元のポケットから写真を取り出した。

 

 その写真には特に特徴が無いがニッコリと言う笑顔と言うよりはヘラヘラと言う方が合ってる男子生徒が写っていた。

 

「名前は宇佐野 新太«うさの あらた»って言うだけど、見かけたら教えてくれ」

 

「分かりました」

 

「こんな依頼を頼んですまんな、じゃあまたな」

 

 そう言うと高橋先生はこちらを振り返らずにかえって行った

 

 ……………………………………………………………………………………………………………………………………

 

「断って良かったのでしょうか……」

 

「あんな依頼、僕達の手に負えないよ」

 

「でも……」

 

「まぁ写真はあるんだから、それでいいでしょ」

 

 ガラガラ

 

「今、帰ったぞ!!」

 

「……少しは空気を読んだらどうだい」

 

「む、どうしたのだ?」

 

「実は先程、依頼がありまして」

 

「ほう、どんな依頼だ?」

 

「行方不明の人を探せだって」

 

「なんと!!そんな重大な事があったのになぜそんなに余裕なのだ!!」

 

「依頼を断ったからだよ」

 

「なに!?なぜ断ったのだ!?」

 

「こんな依頼、僕達の手に負えないだろ」

 

「まぁ、それもそうか」

 

「一応写真を貰いました、これです」

 

「むむ、これは宇佐野ではないか!!」

 

「お前、この人の事しってるのか!?」

 

「知ってるも何も、宇佐野は我の仲間候補だ。今日は最近会わないから様子を見に奴の家に行ったのだ」

 

 ……大吾の仲間候補とか、どんなヤバイ奴なんだよ。

 

 ……ん?宇佐野の家に行った?

 

「あれ?お前、今日はストリートファイターをやりに行ったんじゃないのか?」

 

「なに!?お前どうして帰りにストリートファイターをやりに行ったと分かったのだ?」

 

「……まぁそれは一旦置いといて、そいつの家に案内してくれないか?」

 

 まぁ謎が解けるとは思わないけど出来る事はやった方が良いよね。

 

「うむ、よかろう。付いてくるが良い」

 

 大吾の態度にちょっとイラつくけどまぁ気にしないで行こう。

 

 ……………………………………………………………………………………………………………………………………

 

「それで、家に来たわけだけど……」

 

「見事に追い出されてしまいましたね」

 

「うむ、実は先程来た時もこのように追い出されたのだ」

 

「そう言うのは先に言えよ……」

 

 そう、大吾の案内で家に来たのは良いものの親に事情を説明して中を探させてくれと頼むと、

 

『子供の遊びには付き合わない』

 

 と言われ追い出されたのだ。

 

「さてどうするか、全部振り出しに戻ったぞ」

 

「あの……」

 

「はい?」

 

 振り返ると、僕達の後ろには見た目的に性格がキツそうな子がこちらを睨んでた。

 

「家に何か用ですか?」

 

 家に、という事はこの家の人だろう。そしてここら辺の中学校の制服を来てるという事は、宇佐野の妹だろう。

 

「君のお兄さんに用があるんだよ」

 

「へ!?なんで私に兄がいるってしってるんですか?」

 

「なんでって、僕達は宇佐君と同じ学校に通ってるからね」

 

「はぁ、そうですか。それで兄に何の用ですか?」

 

「実は、宇佐野さんが行方不明と聞いて探してるんです」

 

「そうだ、我と宇佐野は親友と言っても間違いない間柄。しかし宇佐野め、こんなに可愛い妹がいるなんて聞いた事ないぞ!!」

 

「は、はぁそうですか……」

 

 大吾はもう少し空気を読んだ方がいいと思う。読まないせいでこの子が驚いていいのか喜んで良いのか分からなさそうじゃないか。

 

「ごめんね、こいつらこう言うヤツらなんだよ」

 

「そうですか」

 

「まぁと言う訳で、何かお兄さんが何処に行ったか分かるような物は無い?」

 

「知りません、兄とはあまり関わらないので」

 

「でもなんか無いの?些細な物でも良いんだ、例えば日記とか」

 

「……まぁその程度なら持ってきてもいいですけど」

 

「そう、ありがとう」

 

 そう言って妹さんは家の中に入って行った。

 

 ……………………………………………………………………………………………………………………………………

 

「これが日記です」

 

「ん、ありがとう」

 

 僕は試しに一番上のページをめくってみた。

 

 

 

 5月1日 今日も変わらない退屈な日だった

 

 5月4日 今日も晴れ異常なし

 

 5月9日 特になし

 

 5月13日 たい焼き食べたい

 

 

「……なんだこれ?」

 

「何かのメッセージですか?」

 

「いや、奴はそんな洒落た事をするような奴ではない」

 

 これは日記と呼べるのか?最後に関しては日記じゃなくて感情とかそう言うのだぞ。

 

「これが日記なの?」

 

「えぇ多分」

 

「あの、これ以外何かないですか」

 

「いえ、これ以外は。すいません兄はこう言う人なんです」

 

 正直こんなんじゃ宇佐野が何処に行ったかなんてわからないぞ。

 

「あの、これは内緒なんですけど」

 

「なに?」

 

「実は、兄が居なくなった日に部屋に首吊りで使ったような縄があったんです」

 

「なんだと!!」

 

 大吾の声がちょっとうるさくて、耳にキーンと来てしまった。

 

「じゃ、じゃあ宇佐野さんは自殺を……」

 

「それはないよ」

 

「うむ、ないな」

 

「え、なんでですか!?」

 

「だって、自殺したなら死体がある筈だろ」

 

「あ、なるほど」

 

「ならば、自殺サイトの仲間と会いに行ったとかはどうだ?一昔前は集団自殺なんかが流行ったろ?」

 

 なるほど、日々ネットに入り浸ってるだろう大吾らしい意見だ、だけど……。

 

「無いな、集団自殺に行ったならわざわざ行った日に自殺の縄でわざわざ輪っ子を作らないでしょ」

 

「……なんで輪があったってわかるんですか?」

 

「ん?だって使われた様なって言ったろ?」

 

「……まぁ確かに」

 

「つまり、今の所自殺うんぬんは分からないね」

 

 だけど、この縄は何か関連してるかも知れないな。

 

 親がどうして僕達を追い返すのも気になるし。

 

「ねえ君、えっと……」

 

「宇佐野 美月«うさの みづき»です」

 

「美月さんから見てお兄さんってどんな人?」

 

「……あなたに似ています」

 

「……僕に?」

 

「はい、喋り方とか見た目とかは似てないんですけどなんか……雰囲気?とかが」

 

「そう、ありがとうねまた今度呼ぶかもしれないから」

 

「はい……」

 

 これといった収穫は無しか、さてどうしようかな。

 

 ……………………………………………………………………………………………………………………………………

 

「それで、何か分かったのか?」

 

「いいや、これと言って何にも」

 

「そんなぁ、じゃあ宇佐野さんは何処に?」

 

「まぁまだ情報が足りないから、それから考えよう」

 

 ……………………………………………………………………………………………………………………………………

 

「で、なんで俺の所に来たんだ?」

 

「いやー笹原先生ならなんか知ってるんじゃないかって」

 

「何も知らん」

 

 と言う訳であの宇佐野って人の情報を掴みに笹原先生に聞きに来ました堺です。ちなみに大吾や米田さんはいない。

 

「いや、ほら笹原先生ってなんか生徒の弱味とか握ってそうなんで。それに先生って生徒指導でしょ?なら厄介者ならお世話になってるかなって」

 

「お前、俺をなんだと思ってるんだ」

 

「世界一の紳士」

 

「よし、話してやろう」

 

 話してくれるのかよ。

 

「まぁとにかく変わった奴だったな。なんかやけにカッコつけた喋り方をしてるんだ。弁当はいつもたい焼きだけを観光スポットなんかが載ってる雑誌を見ながら食べてるし、真夏だってなのに何時も冬服のままであいつの学ラン姿じゃない姿を見たことないな」

 

「はぁ……」

 

 どんだけたい焼きが好きなんだよ。

 

「後、家族はあいつと妹と両親以外は事故死したみたいだな。それにあいつの親父の会社は一回倒産して相当生活が苦しいみたいだな」

 

「……一体何処からそんな情報を?」

 

「まぁそこは大人の事情ってやつよ」

 

「それに多分、いや絶対にあいつは虐められてたんだよ」

 

「虐め?」

 

 これは有力な情報なのでは?

 

「あぁ、だけどあいつは財布を取られようと誰かに殴られようと陰口を言われようと『どうでもいい』って言ってヘラヘラ笑っててな、途中からは虐めてた奴らは気味悪がって殴ったりはしなくなったな」

 

「そうですか」

 

「それに、最近は特に様子がおかしかったな。なんか何処かに行ってたようだ。」

 

「なるほど」

 

 虐められてるのに『どうでもいい』とか、しかもそれでヘラヘラ笑ってるなんて確かに気味悪いな。

 

 それに美月さん、そんな人と僕が似てるってどういう事だよ。

 

「ありがとうございます」

 

 ……………………………………………………………………………………………………………………………………

 

「それで、何か有力な情報はあったか?」

 

「うーん、まぁ確かに有力っちゃ有力だけど真相にはたどり着けそうにない」

 

 今の情報だけだと自殺の線を強めるだけだからな、自殺は先に無いって言ってしまってるからな。

 

「宇佐野さん、何処に行ったんでしょう……」

 

 よし、まぁ無理だとは思うけどコナン君やホームズよろしく考えて見ますか。

 

「この難解事件、名付けて『オールフィクション«消えた死体事件»』をどう解決する祐太よ」

 

 ……少しやる気が削がれたような気がした。




今回は結構難しくしたつもりです。

正直自分の技術でこれを表せれるか分かりませんが頑張ります。

ではまた次回。

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