リリカル異世界決闘録   作:鹿島 雄太郎

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turn6「幕間」

─「こっちだ!刃!」

 

─「あいつらは?まだ合流してないのか?」

 

─「…られた」

 

─「なに?」

 

─「ヴェルズ・ゴーレムにやられたって言ったんだ!」

 

─「なん…くそ…こんな…」

 

─「残念だが…俺たち二人でやるしかないな」

 

─「そうだな…なに、俺たちなら大丈夫だ。」

 

─「その通りだ…!危ない!」

 

─「ぐぅ…いきなりなにを…ぇ?」

 

─「ぐ…ごヴ…!」

 

─「お前…!」

 

─「あぐ…ガドムズ!ナイドメアをゴウゲキ…!」

 

─「そんな…━━━…お前!なんでそんな無茶を…!」

 

─「がふっ…お前には…生きていて欲しかったからな…」

 

─「━━━…」

 

─「刃…お前は…私の…」

 

 

─Side刃

 

「…夢を、見ていたような気がした…」

 

俺はジェイルが用意した個室で目が覚めた。ホテルの小さな部屋位の広さだが、贅沢は言わなかった。

 

「確かあの後…ガラクタのデバイスを使って…魔力を引き出す練習を…ウーノに付き添ってもらいながら…」

「そしてなれないことに無茶しすぎて倒れた。」

 

声がした方に顔を向けると女がいるの間にか入口の近くの壁に寄りかかって立っていた。

 

「ところで…」

「セッテ」

「セッテ、お前はなんでそこに?」

「監視」

「それはドクターに言われたのか?」

 

その質問に対しセッテは、ただ頷く。

 

「肯定」

「…」

「起きたら呼ぶように言われてる。」

「そうか…」

 

その言葉を聞いてか聞かずか、セッテが退室した

 

(口数の少ないやつだな…)

 

俺が体の動きを確かめていると、ドクターが入ってきた。

 

「目が覚めたか…それはよかった。」

「ドクター、デバイスは?」

「ん?あぁ、試作は出来たさ。後は起動テストするだけなんだが…まぁ、休んでいてくれ。」

「…俺はどのくらい寝てたんだ?」

「半日以上1日未満ってところだね。」

「そんなでもないか」

 

ドクターの会話が途切れた。

不思議な途切れ方だった。

不意に俺がドクターの方へ目を向ける。ドクターが顎に手を当てて、なにか考え込んでいた。

 

「どうかしたか?」

「ん?あー、いや。なんでもない。とにかく今は体を休めてくれ。」

「そうか…分かった。」

 

そう言って俺は横になる。

あいつら…どうしているか…。

そんなことを思っている間に、俺の意識はだんだんと沈んでいった。

 

─Sideジェイル

 

彼の部屋から出た私はまた思考を始めた。

 

正直信じられなかった。

あんな化け物魔力を消費して倒れ、それなのにあんなに早く戻るとは…。

常人でも考えられない。

 

しばらく考えていると頭のなかにある仮定が浮かんだ。

 

(もしや…あの左胸部のマークが関係している…?)

 

正体こそ分からなかったが、そのマークが関係している。そう考えた。

 

(見間違いでなければ…)

 

─私は見た。

 

彼が倒れた後、検査のために上半身の服を脱がせた際に見た。

 

左胸部の黒色のマークが光を薄く光らせて光っていた。

 

一度だけ見たことがあった…。

 

あれは確か…洗脳装置を応用してデュエルのルールを記憶させながら彼の持ってきたデュエルディスクを複製したミッドチルダ製デュエルディスク2号機を作成している最中だったか…。

バックの中身を一度だけ見せてもらったことがあった。

バックのなかには、カメラや財布、カードボックス─彼はストレージと呼んでいたな─があった。

そしてあのカードの絵を見た。

 

あのカードのモンスターに描かれていたマークが、彼の左胸部のマークと一致していた。

 

となれば…間違いない。あのマークは…、やはり─

 

「─【ヴェルズ・バハムート】のマーク…。まさか、【ヴェルズの力】が関係している…?」

 

─ヴェルズの力

いつロストロギアとして発見されてもおかしくない。

 

一度彼から聞いた話だったのだが彼は崩壊しかけた世界を救おうとしたことがある。

 

─ヴェルズウイルスに感染されたモンスター、ヴェルズ。

 

─それの元である侵略者、インヴェルズ。

 

─風の力の上位部族、ガスタ。

 

─氷の力の使い手、氷結界

 

─そこから離反した者達の部族、リチュア。

 

─それらが存在する世界、精霊(ターミナル)世界

 

─そこへ転移する為のカード、端末世界

 

他の世界が存在すると言うことは知っていたが…

 

「ドクター。」

 

後ろから呼び声がしたので思考を中止し、振り向く。

 

「ウーノか、どうしたんだ?」

「レリック関連で少しお話が…」

 

さて、そろそろ動こうか。




彼は初めて、異世界の戦場に立つ
初のミッションを、遂行できるのか
turn7「初動」

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