最新話、投稿です。
カードは長く愛用すると意思をもつということをご存じだろうか。これはオカルトでもなんでもなく、事実である。質量を持ったソリッドヴィジョン、リアリックソリッドヴィジョンによって証明されている。身近な話だとサイバー・エンド・ドラゴンが使い手の指示に従い、救助を行ったというエピソードがある。意思をもつカードは使い手に正直である。カードを信じればそれに応え、その逆もまたしかり。カードは人の心となり、モンスターは使い手を支える。モンスターとデュエリストとモンスターは、互いに支えあう存在なのである
─デュエルスクール高等部教科書『カード学』4ページ『カードが持つ意思』より抜粋
早朝、俺はティアナとともにデッキの調整をしていた。
「えっと…こうしてこうして…ここで効果を…」
目の前ではデッキ調整の一環としてソロソリティアをしている。
実際、一人で回すのは大事だ。
どのカード出たらこう回す、と考える事ができるのと抜けたカードが無いかの確認ができる。
…思慮なき言い方をするなら、ボッチにお誂え向きだ。
「よし…外でも歩くか。」
デッキの調整があらかた終わった俺は、外をぶらつこうと立ち上がる。
─ラボから離れた森林
夜も真っ盛りで、ふくろうが鳴いている。
月明かりが木々の葉の隙間から木漏れ日のように降り注ぐ。
「これが風情ってやつか…ん?」
俺はいく道の先に人影を見つけた。
赤い結わえられた髪、
赤いバリアジャケット、
剣を背負って、
こっちを見据える鋭い眼光。
俺はそれにそぐうやつを一人だけ知っている。
「ここまで来るとは大層な暇人だな、シグナム。」
俺はシグナムにそう投げ掛けるが、帰ってきた言葉は意表を突くものだった。
「ほう…この体の持ち主はシグナムというのか…。」
「この体の…!?お前は誰だ。」
「我が名はカペラ、星の戦士セイクリッドの後釜であるテラナイトの1人だ。」
「セイクリッド!?ヴェルズとの戦いで散った戦士の衆軍!なぜそれを…」
「お前達の話は聞いた。異界より現れ、侵攻を阻止した誇り高き集団。プレアデスはそう言っていた。だがなぜだ、なぜ戦おうとする。お前達の世界は平和であり、こちらに手を貸す義理は無かった筈だ。」
「…あいつは、読んでいたんだ。ヴェルズの集団をほっておけば、俺たちの世界まで侵攻するってな。だから戦った。俺は自分の国の政府は嫌いだ。正義を盾に非道を正当化し、心を蹂躙する。メディアによる印象操作は数多くあり、都合の悪いことは報道しない。だが俺は…俺がいる世界を嫌いにはなれなかった。破綻してると思うか?勝手に思え、俺の思想は俺の思想だ。」
「ならばその意志、私に見せるがいい」
そう言ってシグナム─の体を使っているカペラは右腕を掲げる。
光の粒が集まり星を意識したようなものがあらわれて腕につき、銀色の目でこっちを見据えていた。
「あぁ…そうかよ!」
そう言って俺はデュエルディスクを構える。
それを見て相手も、かかってこいと言わんばかりに構える。
「「デュエル!!」」
─精霊世界の戦士との戦いが、始まろうとしていた。
マスタールール4を許すな
次回予告(by刃)
精霊世界の戦士、星因子とのデュエルを始める。
俺の知らない戦士…
3体の素材でエクシーズだと!?
面白い、その壁を越えさせてもらう!
次回「輝星」
カードを信じて、次もデュエルだ!