ナルト機神咆吼伝   作:ナガレール

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第4話 演習鈴取り合戦

鳥が鳴き出す頃、アシュラは朝飯を作っていた

米を炊いて、おにぎりの具材を用意していく

おかかと梅のおにぎりを3つずつと、自身の朝食にカップラーメンと塩おにぎりを3つと油揚げを1枚、どうせ遅刻してくるだろうから間食用に塩おにぎりをもう2つ

お湯が沸いたところでカップラーメンに注ぎ、待つこと3分

 

「いただきます!」

 

ズルズルズルハフハフズルズルズル

 

と言う音が静かな部屋に響き渡り、5分ほどで完食

九喇痲と味覚をリンクして、最後に油揚げをいただく

 

「ごちそうさまでした」

 

『まぁまぁだな』

 

毒の入っていないご飯に感謝を込めてのいただきますとごちそうさまでした、両親に引き取られしばらくして食べるようになってから始めた、父より教えられた食事の作法の1つで、以来欠かすことなく続けている

幼少時には毒入りの食物を幾度と無く食べさせられた、だから毒のない食事はアシュラにとって何よりも大切な時間である

 

「九喇痲たまには美味いって言えってばよ!」

 

『ふんまぁまぁなものはまぁまぁなのだ』

 

「じゃあ明日から油揚げ無しだ」

 

『・・・・・・チッ、あぁウマカッタウマカッタ、明日も頼むぞ』

 

素直じゃねぇなぁ、とぼやきながらも準備を済まして

 

「行ってきます!」

 

いざ演習場へ!

 

「おはようってばよ」

 

挨拶するも先に着いていた2人からは返事がない

 

「嫌いでも何でもいいけど、挨拶くらいするもんだってばよ」

 

「・・・・・・フン」

 

「私嫌いなヤツに挨拶しない主義なの」

 

「・・・・・・あっそ」

 

それから4時間が過ぎ、もうすぐお天道様が真上に上る頃だ

 

「まだこなさそうだな」

 

そう言ってアシュラは、これ見よがしに2人の前でおにぎりを食べる

やっぱり朝を抜いてきたのか、物欲しそうにこっちを見てくるが、嫌いでも挨拶しない相手にやるものはない

残りの梅とおかかのおにぎりは後で食べるってばよと、2人に聞こえるような声で言ってみた

 

すると

 

「・・・・・・お、おはよう」

 

サクラが折れた

 

「もう昼前だけどおはよう、梅のおにぎり食うか?同じ吐くなら、何か食って吐いた方が楽だってばよ」

 

「あ、ありがとう・・・・・・」

 

嫌いで嫌いで話したことも無かったけど、こいつって意外と良い奴?と思いながら食べた

アシュラに胃袋を掴まれた瞬間である

 

そしてついに

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・何か用か?」

 

「っ!・・・・・・お、お、お」

 

「お?」

 

「お、おは、よう・・・・・・」

 

サスケも折れた

 

「おはよう!おかかのおにぎりしかないけど食うか?」

 

「お、おう」

 

くそ!見せびらかしやがってと内心毒づきながら食べた

サスケもまたアシュラに胃袋を掴まれた

 

そんな様子を見ていたのか、サスケが食べ終わると同時にカカシがやぁやぁスマンスマン、家を出たら黒猫に追い回されてね~と、嘘にもならない嘘を吐く

 

「早速だが始めようか」

 

演習の説明をするカカシ、鈴は2つでこれを奪えれば合格、奪えなければアカデミーに逆戻りとなる

そして鈴は2つしかないと言うことは、必然的に1人がアカデミーに戻ることとなる

制限時間はカカシの持つ時計が鳴るまで、忍具忍術何でもありの演習だ

 

「それじゃ始め!」

 

カカシの合図と同時にサスケ、サクラは散開

アシュラは煙玉を取り出し、発火させる

辺り一面煙だらけになり、気配を消して行動を開始する

 

(ほう、この前も思ったがやはり隠行が上手いな。だが!!今日はそうはさせない)

 

右の死角からアシュラの一撃が迫る、それをギリギリで回避

反撃に移るも手応えが無く空を切る、気を抜く暇もなく追撃、一瞬だけ手が見える、その手には乱回転しつつ圧縮されたチャクラがあった

 

(あれは螺旋丸!あいつどこであの術を、また聞くことが増えたな)

 

煙玉の煙は晴れることなく辺りを覆い尽くす、埒があかないと判断したカカシはほんの一瞬だけ写輪眼を使い風遁・大突破を発動させ煙を払った

 

「げっ、さすがカカシ上忍、風遁も使ってくるか」

 

『一瞬だが写輪眼を使ったようだ、一旦離れるか?』

 

(そうするってばよ)

 

そう言ってアシュラは木々の中へと消えた

 

「ふぅ、まさかだった。さてどう出るアシュラ」

 

その頃のサスケとサクラは

 

「何だあいつ、あんなに強かったってのか・・・・・・糞!アカデミーで実力を隠してやがったのか

最後の方でかろうじて見えたあの術も気になるが

煙玉をうまく使った攻撃、上忍相手によくやる!」

 

サスケは焦っていた、アカデミーの成績ワースト1のアシュラの実力を垣間見てしまった

だがアシュラは別段強いわけではない、ただ忍びらしく戦っただけなのだった

 

「サスケ君どこかな?アシュラも何だか煙玉使ってどこかに行ったみたいだし、ふふふ」

 

そしてサクラは何も見ていなかった

 

「おい春野、手貸してくんねぇか?」

 

「ギャアアアア!ってアシュラビックリさせないでよ」

 

「はいはいゴメンゴメン、じゃあ手貸してくれ」

 

「イヤよ、私はサスケ君と合格するの」

 

「・・・・・・わかったってばよ」

 

 

「おいうちは、手貸してくれ」

 

「黙れ、俺は1人で鈴を取る邪魔をするな」

 

「・・・・・・(どいつもこいつも、試験の意味分かってんのか)」

 

 

そしてアシュラは再びカカシの前へと進む

 

「で、何か分かったのか?」

 

「この試験の答えはわかった、けどあの2人は・・・・・・ね」

 

「まぁお前はもう合格でもいいだろう、一応聞くが答えとは?」

 

「チームワーク、これがなきゃ生き残れないし、任務を達成できない。

実際カカシ上忍、あんたが一番これの大切さを分かってるんだろ?」

 

「自力で答えにたどり着いたか」

 

「それにさ、そうでなきゃ最初から班分けなんて意味ないし、たかがチャクラと体術の基礎くらいで忍になれるかってばよ」

 

「良いだろう、お前は向こうで弁当食ってろ。

一つ言っておくが他の2人には食わすなよ」

 

「気分次第だってばよ(今度は本当にできるのか、試す気満々じゃねぇか)」

 

『全くだ、合格でもいいだろう、と言うことは。裏を返せばまだ合格ではないと言うことだ』

 

(忍びは裏の裏を読むべしか、くだらねぇ試験だってばよ)

 

それからカカシはサクラを幻術にはめ、弁当を食う間もなくアシュラがそれを解術し、サスケを埋めればアシュラが助け出す

にも関わらず二人はまだ気付かない、演習の目的に・・・・・・

そして時間がきた

 

「先ずは結果を言うぞ、アシュラ以外アカデミーに戻る必要はない」

 

「それじゃあ!」

 

サクラが喜ぼうとするもカカシが続ける

 

「お前ら二人は忍者になる資格もないガキだ、さっさと家に帰れ」

 

「なんだと!」

 

「言わなきゃ分からないか、この演習の目的はチームワークだよ。アシュラはまぁそれに気付いてある程度実践できていた。どこが、とは言わなくてもわかるな?」

 

カカシはチームワークの重要性を説き、さらに殉職者の石碑を見せる。この中に下忍時代の仲間だった2人と、当時の師の名が刻まれていることを伝えた

チームワークができない奴は、自分ではなく仲間を殺すのだと、だからできない奴は忍者には必要ないのだと締めくくる

 

「アシュラ、サクラ、サスケを丸太に縛れ。その後弁当食って午後に備えろ。午後はもっと厳しく行くからな」

 

そう言ってカカシは煙と共に消えた

 

「さてうちは、何か言うことは無いか?」

 

「くそ、今すぐ開放しろ!」

 

「縄抜けすればいいだろ?」

 

「ちょっとアシュラ、止めなさいよ!」

 

「黙ってろブス」

 

「なんですってぇ!!」

 

「名字呼ぶのもアレだし、名前で呼ぶぞ」

 

「その前にブスって言ったの取り消せ!」

 

(何て縛りかたしやがる、抜けられねぇ)

 

「ほいサスケ、あ~ん」

 

「何のつもりだ」

 

「サクラも早くしろ、遅刻魔が帰ってくるぞ!」

 

「そっかそう言うことか、じゃないブスを取り消せ!」

 

「くそ、早く口に入れろ!」

 

そんなやりとりを影分身のカカシは見ていた、そんなやり取りをする事1時間が経つと

 

「お前らあああああ!サスケに飯を食わせたな!縄を解いたな!どういうことだ!」

 

「飯食わさないと足手まといだってばよ」

 

「ちゃんと休憩しないと、力を出せないしね」

 

「・・・・・・ほう、その心は?」

 

「チームワーク・・・・・・だろ」

 

「よし、お前ら!ごうかっく!来週から任務だ、今日はしっかり休んどけ、明日下忍着任と忍者登録の書類が届くから、良く読んで登録しに行くこと」

 

怒りの表情から一転笑顔になったカカシは、三人に合格を申し渡した。明日以降の説明と最後に、アシュラだけ残るよう伝え解散となった

 

「さてアシュラ」

 

「説明ならしないよ、する必要がない」

 

「わかった、なら何の術を使おうとした?」

 

「う~ん・・・・・・それくらいなら。未完成だけどな、風圧拳って術」

 

「お前が作ったのか?」

 

「そうだってばよ、でも制御に失敗してあぁなった。あっ、術の詳細は秘密だってばよ。未完成だしね」

 

「もう一つ、その術で何をするつもりだ?少なくとも下忍の使う術じゃない」

 

「父ちゃんの必殺技の一つを模倣してるだけだ」

 

「大十字九郎と言う人物だな?」

 

「そっ、ちゃんと戸籍見てきたんだな」

 

「まぁな」

 

「じゃあ俺これから一楽に行くから」

 

「待てアシュラ・・・・・・行ってしまったか」

 

お前は本当に何者なんだとカカシは思った、そしていつか必ず過去を洗い出してやると決意した。そうこの里を守るために


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