ナルト機神咆吼伝   作:ナガレール

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第3話 班を決めるってばよ?

卒業試験の翌日、アシュラは再び演習場へと来ていた

暴走の痕跡を探っていると、三代目が現れた

 

「風波アシュラじゃな?」

 

「ん?あぁ三代目のじっちゃんか」

 

「何をしておるんじゃ?」

 

「術の痕跡を調べてる、暴走の原因が分からないと、改良できないからね」

 

「昨日の暴風事件か、報告は聞いておる」

 

「じっちゃんは何が聞きたいんだってば?」

 

「うむ、昨日の鏡についてじゃ」

 

「企業秘密だってばよ、あの術はまぁ血継限界みたいなもんとだけ言っとく」

 

「そうか、お主はうずまきナルトを知っておるか?」

 

「・・・・・・」

 

バレてる?アシュラはそう思い焦りを感じ始めた

 

「・・・・・・ふむ、では木ノ葉は好きか?」

 

「里も住む人間も嫌いだ、だけど治安は他里より良いから」

 

「では最後にもう一つ、忍者になって何を成す?」

 

「別に、強くなって護りたいモノを護るだけだ」

 

「そうか」

 

それを聞いて嬉しかったのか、三代目火影猿飛ヒルゼンは顔をクシャクシャにして笑い、その場を後にした

その時の目は、まるで孫を見守るようなそんな優しい目をしていた、アシュラがまだ3歳の時に見た心に残る優しい目だった

 

「うぅっ、あの顔は反則だってばよじっちゃん・・・・・・」

 

『ナルト』

 

アシュラは泣いた、嬉しかったのだ、何一つ変わっちゃいないこの里で、変わってほしかったけど変わらなかったヒルゼンのあの優しい笑顔が

そんな気持ちのせいか本当の名を呼ばれても気付かなかった

 

「分かってる、俺が目指すのは三代目のような慈愛の心と父ちゃんのような正義だ、それがアレを成功させるのに必要な事も!」

 

『少しずつで良いんだぞ』

 

「あぁ!そうだ、九喇痲何か分かったか?」

 

『そうだな、原因の一つとしてだが、お前から離れると球体を維持できなくなるようだな

暴走時の痕跡と、一昨日の事を思い出した上での推測に過ぎんがな、論より証拠だやってみろ』

 

「おう、風圧拳!」

 

『威力を最小限にして投げて見ろ』

 

「わかった!」

 

上空に向かって投げて3秒後、術が暴走し猛烈な風がアシュラを襲ったのだ

なんとか踏ん張ったものの、普通の子供なら簡単に飛ばされていただろう

 

『あれで最小限か、思いつきでとんでもない術を編み出したな、意外性No.1だなお前は』

 

「照れるってばよ」

 

『ほめてないんだがなぁ』

 

「それよりさ、帰って改良案を考えようぜ」

 

『そうだな』

 

アシュラが帰った後、ヒルゼンは影分身で1人と一匹を見ていた、そばにいた小型の狐からは九尾のチャクラを感じ取り、やはりそうだったのかと、影分身を通じてこの会話を聞き、1人涙した

その後ヒルゼンが暗部や上忍の実力者に命じた、九尾捜索任務は全て打ち切られた

 

数日後

 

「九尾の捜索を打ち切るとはどう言う事だ!三代目」

 

声を荒げ火影執務室に入ってきた中老の男

額に油と書いた額当てをし、白髪で巻物を腰に付けている

 

「自来也か」

 

「見つかったのか?」

 

「そう言うわけではない」

 

「では何故です、あの子は四代目の忘れ形見だ」

 

「もうよいと思ったのだよ、真剣に探す者はお前とカカシの2人のみ、だからお前には別の任務をあたえる、ランクはS

入手した情報は全て特A級の機密情報となる」

 

自来也は思う、一体どのような任務なのか

特A級の機密情報・・・・・・

それよりも何故もうよいと三代目は思ったのか・・・・・・

何か独自に情報を得、その情報から考えている何かの確信が欲しい、そんな所なのだろう

 

「それでその任務と言うのは?」

 

「・・・・・・この少年に関すること全て。但し」

 

任務終了まで対象への接触を禁じる、任務期間は中忍試験1週間前まで

それまでに集められるだけ集めること

 

「この子がどうかしたのですか」

 

「名を風波アシュラと言う、3年前、木の葉に来る数ヶ月前より前の情報が一切無い」

 

「出身地、親兄弟全て不明ですか」

 

「そうだ、誕生日は13年前の10月10日、但し自己申告だ」

 

「他に情報は?」

 

「ここからは資料に書いておらんが、特殊な術で姿を変えていること、写輪眼・白眼共に見破れん。

関連しているかはわからんが砂隠れにて」

 

「守鶴と九尾の戦闘の噂有り」

 

「知っておったか」

 

「ですがこの噂・・・・・・2つある、9つの尾を持った何かが砂隠れで守鶴と争っていたこと。

もう一つは、巨人と共に9つの尾を持った黄色い何かが守鶴を圧倒していたと言う話だ」

 

「カカシより詳しい噂だな」

 

「噂は噂、実際に見たものが見つからんのです。砂に情報開示するよう頼めませんかのう」

 

「既にやっておる、だがこの件に関する情報開示はできないと、返事がきておる」

 

「・・・・・・同盟を結んでいても成らぬものは成りませぬか」

 

「で、やってくれるか?」

 

「一つだけ」

 

「なんじゃ」

 

「この子が最初に目撃された場所は?」

 

「現段階では・・・・・・」

 

「・・・・・・やはり・・・・・・この噂ただの噂ではなさそうだ。

ワシが行くしかないようだ」

 

「頼んだぞ自来也」

 

風波アシュラの出生と、経歴を探る調査が本格的に開始された

 

卒業試験から1週間後

 

担任だったイルカがクラス全員に説明していた

担当となる上忍のついて、班分けの方法などだ

そして班が発表されていく

アシュラは第7班となり、メンバーは風波アシュラ、うちはサスケ、春野サクラの3人である

発表から1時間、2時間と経過していくが未だに担当が来ない

アシュラは暇だった、そう暇だった

あまりに暇だったため元来の性格が疼き出した

そう、イタズラ小僧である

罠はシンプルにドアに挟んだ黒板消し、もちろんチョークの粉タップリのやつだ

 

それからさらに数時間後・・・・・・

 

「7班おまた」ボフッ

 

黒板消しが白髪に落ちた

畑カカシだ、先週演習場を借りた時に捕まったあの上忍だった

 

「お前ら嫌いだ・・・・・・」

 

内心大爆笑のアシュラはどうやっておちょくるか、脳内会議が始まっていた

 

「・・・・・・屋上に行くぞ」

 

「おいウスラトンカチ、屋上だぞ」

 

「さっさと着なさいよね」

 

「wwwwwww」

 

堪えきれない笑いを堪えながら手で返事をする

 

『アシュラ、マダオがGJだとよ。ヤレヤレ何が楽しいのやら』

 

「はぁはぁふぅふぅ、おk把握。じゃあ屋上に行くってばよ!!」

 

ようやく落ち着いたアシュラは、呼吸を整え屋上へと向かった

 

「ようやく来たか、それじゃ自己紹介をするぞ」

 

「じゃあ先生からお願いします」

 

そう催促するサクラ、それに続くサスケ、当然だろと冷ややかな視線を送るアシュラ

カカシは、仕方なく自己紹介を始める

 

「名前は畑カカシ、好き嫌いをお前等に教えるつもりはない、趣味はまぁ色々だ、将来の夢って言われてもねぇ」

 

「畑カカシ、木の葉の里の上忍、下忍時代の担当上忍は後の四代目火影波風ミナト、班員はうちはオビト、野原リン。3名とも戦死。サンマの塩焼きとなすの味噌汁が好物、天ぷらと甘いものが苦手

趣味は木葉の三忍自来也著のイチャイチャシリーズ読むこと

後悔していること、ある少年を守れなかったこと」

 

と言い切ったアシュラ、それを無言でみる3人

 

「どこで調べた?」

 

「マダオから聞いた」

 

「・・・・・・マダオとは何者だ?」

 

「言うと思うのか?忍びが情報源を漏らすと思うのか?」

 

「・・・・・・じゃあ次は赤髪のお前だ」

 

「わかった、風波アシュラ、趣味はある技術を忍術で再現するための技術開発、好きなものはラーメン、嫌いなものはこの里とここに住む連中、ここで住むのは治安が良く技術開発の時間を取れるから

この里嫌いだけど任務中に私情ははさまねぇ

まっすぐ自分の言葉は曲げねぇ、それが俺の信念だ」

 

「(こいつは一体何を見ているんだ・・・・・・)じゃあ順番にやって」

 

サクラもサスケも普通の自己紹介だった、ただサスケは復讐に取り付かれているようだった

アシュラにはその気持ちがよくわかった、アシュラ自身も復讐を考えていた時期があった

木の葉を滅ぼし、住民を皆殺しにするのだと、九喇痲と友になるまではそんな事をずっと考えていた

何故考えを変えたのか、それは養父と実父との対話だった

養父と主に暴力言語で語り合い、実父とは主に肉体言語で語り合った

 

「なるほどね、じゃあ明日は演習するから、このプリント読んでおいて。朝は抜いてくること、さもなければ・・・・・・」

 

「「「・・・・・・」」」

 

ゴクリと唾を飲み込む3人、カカシから次の言葉を待つ

 

「吐くぞ」

 

はぁっとアシュラは溜息をついた。吐くだけなら大したこと無いと感じた。

しかし疑問が残る、演習ならアカデミーで散々やってきた、今更ではないかと

 

「お前等の疑問に答えてやる、この演習に合格できない場合は、下忍資格を取り消しアカデミーに戻って貰う。合格率33%。死ぬ気で臨めいいな?」

 

アシュラはそれを聞いて考えを巡らせ、サスケはフン!と余裕の表情を崩さない、サクラは緊張した面持ちだがはい!としっかりと応える

 

「じゃ、今日は解散だ」

 

サスケは復讐者、サクラは今時の女の子、アシュラは今年の下忍候補で最も危険な奴だ

と言うのがカカシの評価、サスケもサクラもカカシからすれば蟻と象というレベルだ

だが問題はアシュラ。一週間ほど前、いつの間にか鏡とすり替わり、その見事なまでの隠行に舌を巻いたほど

考えてもまともな対処法が思いつくわけでもなく、演習で確かめるしかなかった

気になるのはあの目と、里が嫌いだと言い切ったこと

少なくとも過去にこの里で何かをされた、それが原因で強く憎むようになった、そのくらいしかアシュラについて判明しなかった

 

そして夜は更け、新しい日へと進んでいく・・・・・・

 

つづく


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