ナルト機神咆吼伝   作:ナガレール

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第2話 卒業試験だってばよ!

卒業試験2日前の夜

 

「調子はどうかしら?アシュラ」

 

誰もいない場所から突然声がした、その場所にはアシュラが母より譲り受けた書物があるだけなのだが・・・・・・

 

「なんだミコか、魔力は大丈夫なのか?」

 

「えぇ、と言ってもあまり長時間はいられない」

 

朱い髪と青いの瞳を持ち、黄色を基調とした服装の少女がそこにいた、名はミコ

死霊秘法と呼ばれる魔導書、その写本の精霊である

 

『アシュラお前がさっさと契約して、チャクラなり魔力なり供給してやればいいだろうが』

 

「無茶言うなってばよ九喇痲、この変化の術でどれだけチャクラと魔力使ってると思ってんだ」

 

「いいのよ九喇痲、まだアシュラの本当の姿を見せるわけには行かないもの、少なくとも木の葉にいる限りは・・・・・・」

 

『滅ぼせばいいだろ、ゴミ溜めの里ではないか!』

 

「開発中の術が全部完成したら、それもいいかもな」

 

「この糞狐が、私のアシュラに何を吹き込んでんのよ!」

 

「でも俺ってば木の葉の連中嫌いだってばよ」

 

『まぁ気持ちは分かるがなアシュラ、その想いを何とかせんとアレはできんぞ』

 

「そうよ、アレは正しき怒りでなければ応えてくれない」

 

「わかってるけど、どうしようもないってばよ。

でも先生や三代目、それからあの子を護るためなら・・・・・・」

 

『それでいい、何も全てを護る必要はない、ま【あの2人】なら全てを護るのだろうがな』

 

その言葉に頷くアシュラだが、アシュラの育ての親である【あの2人】は何者なのだろうかと、時々思う事がある

 

「はぁやっぱり私のものにはできないのかしら」

 

「ミコ、何か言ったかってば?」

 

『まぁ小娘には無理だろうよ、ワシはずっと見ていたからな、あのオカッパに夢中何だよコイツは』

 

「何の話だってば?」

 

「『はぁ・・・・・・』」

 

鈍感すぎる男スp・・・アシュラであった

 

「そうだ忘れる所だった、母様からよ

断鎖術式は人間には無理、風遁を極めて模倣せよ!

だそうよ」

 

「う~ん・・・・・・そうだ!螺旋丸だってばよ!」

 

『何か思いついたのか?』

 

「明日のおたのしみだってばよ!ニシシシ」

 

「まぁ頑張りなさいな、じゃ私は戻るわ」

 

「おやすみミコ」

 

「えぇおやすみアシュラ」

 

翌日演習場

 

『それでどうするつもりだ?』

 

「まぁみてろって」

 

そう言って素早く印を組んで術を発動させる

 

「風遁、風圧拳!」

 

『ほう、螺旋丸をヒントに新しい術を開発したか』

 

風圧拳(ふうあつけん)、自身のチャクラを乱回転・圧縮させる螺旋丸と違い、風を掌に圧縮させ爆発的な威力を持つ球体を作り出す術である

使い方によっては自身の推進力や盾にする事もできる

術者によっては変幻自在にその形を変えることができる

 

『それでどうするつもりだ?』

 

「こうするんだってばよ!」

 

そう言って、風圧拳を手から離し、足で蹴った

結果は・・・・・・凄まじい推進力で遥か上空に跳ぶも、破裂した風圧拳が暴走、演習場の一角をその暴風で破壊した

 

「げっ!やっちまったってばよ!」

 

『課題その1だな』

 

「まずは暴走しないようにするか・・・・・・はぁ」

 

『暢気に構えているが・・・・・・』

 

「何だってば?」

 

『・・・・・・落ちてるぞ』

 

「・・・・・・早く言えってばよ!どうすんだよ!」

 

『課題その2だ』

 

「うっせえええええ」

 

1000mほどの上空からの自由落下、当然既に調査のため近くにいた暗部数名と上忍が1名赴いていた

 

「あぁあ、なぁにやってるのかねぇ」

 

「どうします?捕まえて吐かせますか?」

 

「いやいいよ、一度あいつと話してみたかったし、後で俺から火影様に報告しとくから」

 

「わかりました、ではお願いします」

 

「ん」

 

「・・・・・・ぅゎぁぁぁぁぁああああああ」

 

「よっと」

 

上忍に足を掴まれた、その上忍は銀髪で片目を額当てで隠し、マスクをした長身の男だった

 

(畑・・・・・・カカシ・・・・・・)

 

冷めた目で見るアシュラ、恩師の子を守ろうとも引き取ろうともしなかった、我が身がカワイイクソ野郎だ

と言うのがアシュラがもつ、カカシへの印象だった

 

「アカデミーの生徒が何をやっている?(何て目をしてるんだ、これがアカデミー生がする目か?)」

 

「・・・・・・」

 

「黙秘か、風波アシュラ」

 

「・・・・・・」

 

「黙秘するなら構わんさ。だが、お前が里に害をなすと言うのなら容赦しない」

 

「ちょっと術の練習をしていただけだ、広い場所が必要だったから演習場を借りた」

 

「聞き方を変えようか、何をしようとしている」

 

「・・・・・・」

 

「また黙秘か」

 

「あんたには・・・・・・いや、この里の人間には関係ない!」

 

「どう言う意味なっ!」

 

バリンと言う音とともにアシュラが砕け散った

 

「何だこれは・・・・・・」

 

それは鏡だった、一体何をやったのか見当がつかない

確かにカカシはアシュラを捕まえていた、それは間違いない

ではいつ入れ代わった、鏡だとしたらあの感触はなんだ?

変化?分身?そんなハズはない、術を使った形跡すらなかった

隠行もカカシが見失うほどに完璧、さっきまであった気配も0

完全に逃げられてしまったようだ

 

 

「はぁはぁ、死ぬかと思った、ミコ持ってきて正解だった」

 

『相変わらず逃げ足だけは一級品だな』

 

「ふぅ着いた着いた、明日に備えて飯食って風呂入って寝るってばよ」

 

『試験は分身か変化だな、分身なら影分身でもしておどろかせてやれ』

 

「おう!」

 

試験当日・・・・・・

 

の前にタネ明かしをしよう

あの時落下しているとき、懐から死霊秘法の写本、ミコを取り出し、現実と虚構の狭間を映し出す鏡、ニトクリスの鏡を発動、鏡から自身を呼び出しそれをカカシに仕向ける

本体はニトクリスの鏡で見えないようにし、螺旋丸を作り出しそれを蹴って一気に逃亡

着地後走って家に戻ったと言うことだ

 

では試験を始めよう

 

「ようアシュラ、試験は分身だってよ。めんどくせぇなぁ」

 

「おはようアシュラくん」

 

「オハヨー、見てろよ、すっげぇ術で一発合格してやるってばよ!」

 

「うん、頑張ってね!」

 

ザワザワと騒ぎ出す教室内、少しだけアシュラに聞こえてくる言葉がある

 

「ドベが何か言ってら」「ヒナタちゃんもあんな奴の何がいいのかしら」「シカマルも何であんな奴と連んでるんだか」

 

そんな言葉を聞いてこう思う

これが三代目の言う家族なのかと、あの頃から少しも変わっちゃいない、きっといつか滅ぼされるんだろうなこの里は

こうも思う

もしその時になったら俺はどうするんだろう

放っておいて逃げるのか?

好きな人だけ守るのか?

それでいいんだろうか、それを実行したとして、2人の父ちゃん母ちゃんに顔向けできるだろうか

 

(悩めアシュラ、無垢なる刃は憎悪の空より正しき怒りの下に顕現するのだ。今のお前にその意味が分かるか?

そして両親と兄姉が喚ぶアレは・・・・・・そう言うものなのだ)

 

「アシュラくん、いこ?」

 

「アシュラこっちだ」

 

「おう!」

 

席に着くと扉が開き教諭が入ってくる、約3年世話になった海野イルカだ

 

「騒がしいぞ、今日は前から伝えていた通り、卒業試験だ。名前を呼ぶから、呼ばれた者は別室にて行う。

質問はあるか?無いなら始めるぞ!」

 

こうして1人また1人と試験に合格していく、中には数人不合格の者もいたが、卒業後は家業を継ぐらしい

そしてアシュラの番が来た

 

「風波アシュラ、さぁ来るんだ」

 

「おう!」

 

「頑張ってねアシュラくん!」

 

「まぁ頑張れや」

 

別室

 

「さてアシュラ、試験は聞いてると思うが分身の術だ、やってみてくれ」

 

「あまり気張らず、リラックスだよアシュラくん」

 

試験官は2人、そのうちの1人にただならぬ悪意を感じた

 

『ふんあいつか、何をしようがワシが無効化してやる、あれをやってやれ』

 

(おう)

 

影分身の印を組むアシュラ

 

(アシュラ、印が違うぞ!)

 

(何をするつもりか知らんが、ドベのお前を利用させてもらうぞ、金縛りの術!)

 

『無駄だ小童!』

 

「影分身の術!」

 

煙が立ち込めた、イルカが慌てて窓を開けると、外からの風で煙が消えていく、なんとそこには

 

「「「「「どうだ!すっげぇだろ!!」」」」」

 

10人以上のアシュラがいた、そしてそのどれもが実体をもっていた。

 

「うん、風波アシュラ合格!額当てだ、よく頑張ったな!」

 

(くそ、何であんなドベに俺の術が・・・・・・忍者辞めようかな)

 

アシュラは教室に戻るなり

 

「じゃじゃーんどうだ!一発合格だ!」

 

つづく


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