ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回、とうとう朧とレイナーレが邂逅します

どうなるかは・・・・読んでのお楽しみです

それでは本編どうぞ


第9話

『とうとうこの時が来たわね』

 

「ああ・・・・そうだな」

 

今夜・・・・レイナーレはとうとうシスターから神器を抜き出す儀式を始める。しかも、イッセーはそれを知って止めようとしている。

 

グレモリーも眷属を一人連れてレイナーレ以外の堕天使と話をしようとしている。堕天使達は独自に動いてるフシがあるから、おそらく消される。それが終わればレイナーレのいるところに姿を現すだろう。

 

・・・・・俺にとってはこの上ない絶好の機会だ。残念なことにシスターが神器を抜き取られ、死ぬのはほぼ確定してしまったが・・・・・やはりそこはグレモリーに悪魔に転生してもらおう。

 

はあ・・・・こうして色々と考えているとやはり俺はこういった暗躍が向いているらしい。性格的にも能力的にも・・・・呆れるぐらいに。

 

だが、まあいいだろう。そのおかげで・・・・もう間もなく理想の女性を手に入れることができるのだから。

 

『さあ、行きなさい朧。行って・・・・あの堕天使をものにしなさい』

 

「・・・・前から思っていたがラムって俺のしようとすること反対しないよな。結構ゲスなことやろうとしてるんだけど?」

 

『反対?するわけないでしょ?だって面白そうだもの』

 

ああ、そうか。そうだよな。お前は自分が面白ければそれでいいもんな。

 

『それに・・・』

 

「それに?」

 

『・・・・・あなたはこれまで十分すぎるほどに苦しい思いをして生きてきた。だったら、少しぐらいいい思いしたっていいと思ったのよ』

 

ラム・・・・・

 

「・・・・ありがとう」

 

『うふふっ・・・・馬鹿ね。お礼なんていらないわよ。私とあなたの仲なんだから』

 

どうやら俺は最高の相棒を持ったらしい・・・・・本当にいい女だよお前は。神器でなければハーレムに勧誘していた。

 

さて、それじゃあ・・・・

 

「行くぜ・・・・相棒」

 

『ええ』

 

俺はレイナーレのいる廃教会へ向かう。

 

全てはレイナーレをこの手につかむために・・・・・レイナーレを愛するために

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、嫌だ・・・・死にたくない!やめろ!やめろ!」

 

ボロボロの身体で倒れ、上半身だけ起こして必死に命乞いをするレイナーレ。その目の前には破滅の力を今に放とうとしている部長の姿があった。

 

アーシアを奪還しようと私は木場と小猫ちゃんと共に廃教会に乗り込んだ。

 

だが・・・・結局アーシアを救うことはできなかった。私が到着した時にはアーシアは既に神器を抜き取られたあとだったのだ。

 

目の前でアーシアが死に、激しい激情に駆られた私はアーシアから神器を抜き取った張本人、以前私を殺すために近づいてきた夕麻ちゃん・・・いや、レイナーレに戦いを挑んだ。

 

初めは私が新米悪魔であったということもあり、レイナーレに圧倒されていたけれど・・・・・それでも私は神器の力を解放すること勝利を手にすることができた。

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』・・・・・レイナーレ以外の堕天使達を消し去った後に私達に合流してきた部長が私の神器のことをそう呼んだ。それは神器の中でもレア中のレアであり、『神滅具(ロンギヌス)』と呼ばれる神をも屠る力を得ることができる神器であるらしい。

 

その力を使って私はレイナーレを倒すことができた。そして、今そのレイナーレは部長の手によって滅ぼされようとしている。

 

レイナーレの仲間であったイカれた神父のフリードはレイナーレを見捨てて逃げ出した。先程まで私の彼女だった頃の夕麻ちゃんの声でレイナーレは私に命乞いをしていた。

 

だけど・・・・許すつもりはない。こいつはアーシアを殺したのだから。

 

私は部長にレイナーレを滅ぼすように頼んだ。

 

そして、部長が破滅の力の篭った魔力をレイナーレに放とうとする。

 

その瞬間・・・・

 

「おお、髪だけでなく下着も中々俺好みじゃないか」

 

「「「!?」」」

 

聞こえてくるはずのない声が聞こえてきた。

 

突然のその声に驚いた私達が声のする方へ・・・・レイナーレのすぐ後ろへと視線を向けるとそこには・・・・

 

「やあイッセー。それにグレモリー先輩もこんばんは」

 

そこには・・・・朧がいた。

 

音もなく、気配もなく・・・・まるで先程からずっとそこにいたと言わんばかりの表情で、朧は倒れるレイナーレのすぐ後ろでスカートを摘み上げその中の下着を覗いていた。

 

朧め・・・・なんて羨ましいことを!

 

って、そうじゃなくて!

 

「朧!?どうしてここに!?」

 

「いやぁ、どうしてと言われてもねぇ・・・・話すとそこそこ長くなるんだけど実は・・・・・およ?」

 

朧はレイナーレのスカートの中から視線を逸らさずに事情を説明しようとしたが・・・・それは阻まれてしまった。

 

私達が呆気にとられていた隙にレイナーレはアーシアから奪った神器で自身の傷を治癒し、立ち上がると同時に朧の背後に回り込んで拘束して、首筋に光の槍を突き立てたのだ。

 

「ふふふっ・・・・・あはははははは!愉快だわ!どうやらまだ私はツキに見放されていないみたいね!」

 

形成は一気に逆転してしまった。レイナーレに朧を人質に取られてしまったのだ。

 

「あなたのことは知っているわ現世朧!イッセーくんがデートの時に最高の親友がいるって自慢げに話してくれていたもの!」

 

「へえ、イッセーがそんなことを・・・・嬉しいこと言ってくれるじゃないか」

 

「言ってる場合じゃないだろ!お前今やばい状況だってわかってるのか!?」

 

レイナーレが手にしている光の槍はいつ朧の身体を貫いてもおかしくない。だというのに、朧は何でもないといった様子で慌てる素振りさえ見せなかった。

 

「堕天使レイナーレ!彼を開放しなさい!」

 

「開放?何を馬鹿なこと言ってるのよ!そんなことするわけないでしょ?どうしてここにいるのかは知らないけれど、彼は私がここから逃げ出すための人質なんだから!」

 

部長が朧を放すようにレイナーレに促すが、レイナーレはそれを拒否する。当然だ。今のレイナーレにとって朧の存在は命綱なのだから。

 

「あなた達、一歩もこっちに近づいてきては駄目よ?もちろん魔力で攻撃するのもダメ・・・・って、そんなこと出来るわけないわよね?だってそんなことしたらこの子を傷付けることになっちゃうものね!」

 

構えを取るもののその場から一歩も動けず、手も出せずにいる私達にレイナーレは愉快そうに笑みを浮かべながら言い放つ。

 

くそっ・・・・最悪だ。どうしてこんなことになったんだ。というか本当になんで朧がこんなところにいるんだよ!

 

当の本人はというと何故かニコニコ笑顔だし・・・・本当にお前は状況わかってるのかよ!

 

「ふふふっ、本当にありがとうね現世朧。あなたのおかげで私はこの場から逃げられそうだわ・・・・・しかも奴らを八つ裂きにするチャンスも得られた」

 

レイナーレは朧に突き立てていた槍を私達の方に向けてくる。

 

ちくしょう・・・・朧を人質にして私達を始末しようっていうのか!

 

どうする・・・?一体どうすれば・・・・?

 

「くくく・・・・・あははははははっ!」

 

私がこの状況をどうやって打破しようかと考えていると、朧は突然大声で笑い出した。

 

「何を笑っているの?この状況に危機感を覚えて気が変になっちゃったのかしら?」

 

「いや、違う違う。俺が笑ったのは・・・・あまりにも君の考えがお粗末だったからだよ」

 

「なんですって?」

 

先程までのニコニコ顔とは打って変わって、朧はニヤリと冷酷な笑みを浮かべてそんなことをレイナーレに言い出した。

 

「俺を人質にすればこの場を切り抜けられると思ったかい?でもそれはあまりにも君にとって都合の良すぎる考えだ。君、そもそも俺がどうしてここにいるのかわかっていないだろう?」

 

「・・・・・何が言いたいの?」

 

あまりにも余裕そうに振舞う朧を不愉快に感じたのか?表情を歪めながらレイナーレは朧に尋ねる。

 

「俺はねレイナーレ・・・・美少女が好きだ。美女が好きだし美老女も好きだ。そして美悪魔も好きだし美天使も好きだし美堕天使も好きだ。そして何より俺は・・・・君のような美しい黒髪を持った女性が大好きなんだ」

 

朧はレイナーレの方へ振り返り、レイナーレの黒い長髪に目を向けながらそう言う。

 

「つまり、君は俺にとって理想の女性と言ってもいい。君のような女性を俺は探し求めていた」

 

「そう。だったらこの場を逃れたら少しは遊んであげるわよ?光栄でしょ」

 

「ああ、至極光栄だね。だけど・・・・・残念だけどそうなることはないよ」

 

ッ!?なんだ・・・・これ?

 

朧から感じる気配・・・いや、空気?とにかく何か・・・・・凍えるように冷たいものを感じる。

 

「君は確かに俺の好みだ。だけど・・・・だけどね?君はイッセーを殺した」

 

・・・・え?

 

なんで?どうして朧が・・・・それを知っている?

 

「君は俺の大切な親友であるイッセーを殺した。そして今は、俺を人質にしてイッセーを追い詰めようとしている。君のそういうところ・・・・・俺は嫌いだ」

 

「ッ!?」

 

レイナーレも朧から何かを感じ取ったのか、表情がこわばっている・・・・まるで朧を恐るかのように。

 

「でもね・・・・好みの女の子を嫌うっていうのはそれなりの苦痛なんだ。だから俺は君への嫌いって感情を払拭しようと思う・・・・・君を殺すことによってね」

 

朧がレイナーレにそう言い放つと同時に・・・・・バン、という炸裂音が私達の耳に聞こえてきた。

 

「ッ!?あああぁぁぁぁ!!足がぁぁぁぁ!!」

 

炸裂音がしたあとに、レイナーレが絶叫をあげて足を手でおさえだした。レイナーレの足には傷ができており、そこから血が溢れ出ている。

 

朧はレイナーレが痛みで苦しんでいる隙に拘束を振りほどいて、レイナーレの前に躍り出る。

 

朧の両手には・・・・拳銃が握られていた。

 

「痛いかい?ゴメンネ。でも・・・・そうでもしないと拘束を振りほどけそうになかったから」

 

「貴様・・・・・!この程度の傷すぐに・・・!」

 

レイナーレは傷に手を当てて治癒しようとする。

 

だが・・・・

 

「・・・・え?なんで?どうして!?なんで治らないの!?」

 

レイナーレの傷は治らなかった。これまで数多の傷を治してきたにも関わらず・・・・・朧がつけた傷は治らなかった。

 

「残念ながらそれを治すことはできないよ。だって・・・・その傷も、痛みも、流れる血でさえも現実ではないからね」

 

現実では・・・・ない?一体何を言って・・・・?

 

「・・・・レイナーレ、イッセー、それにグレモリー先輩とその眷属の悪魔さん達にも説明してあげよう。俺の神器のことを」

 

「神・・・・器?神器!?朧が神器の所有者!?」

 

私は驚きを隠せなかった。一年以上一緒にいた親友である朧が神器使いだったなんて思わなかったからだ。

 

「・・・・それが、その銃があなたの神器なのかしら?」

 

部長が朧に尋ねる。

 

「いいや違う。この銃は神器で作り出したものではあるが、この銃自体が神器というわけではない。俺の神器はそもそも実体がない・・・・能力系の神器だ。これがまた凄いんだよねぇ・・・・我ながら引くほど」

 

「自分でも引くほど凄い神器かい?」

 

「・・・・もったいぶらずに早く教えてください」

 

「私、焦らされるのあまり好きじゃないのだけれど?」

 

木場、小猫ちゃん、朱乃先輩が急かすように朧に説明を促す。

 

「そう焦らないでよ・・・・今言うからさ。俺の神器の名は『現に寄り添う幻(ニア・リアル)』。幻を作り出し操る神器だ」

 

幻を作り出し・・・・操る神器?

 

「貴様・・・・幻術使いか」

 

苦々しげな表情で朧に対して言うレイナーレ。

 

「そうだよレイナーレ。この銃も、弾丸も、そしてその弾丸で作り出した傷、傷から流れる血、感じる痛み・・・・それさえもこの神器で作り出した幻だ」

 

「じゃあ傷が治らないのは・・・・」

 

「その傷が現実じゃないからだよ。実際にはお前は傷を負っているわけではないから神器では治せないんだ。もっと言えば、どのような方法であっても治せないといえるだろう」

 

傷が現実じゃないから治せない・・・・・か。なんだかややこしいな。けど、朧の神器はきっと凄いものなんだろう。

 

だって、部長や朱乃さん、小猫ちゃんも木場の表情も険しいんだから間違いないだろう。

 

「・・・・傷が治らない理由はわかったわ。だけど・・・・・そんな現実でもない幻風情で私を殺せるとでも本気で思っているのかしら?」

 

「どうやらレイナーレは幻術使いの恐ろしさを分かっていないようだな・・・・殺せるさ。あまりにも容易に、あっけなく殺すことができる・・・・・それをすぐに証明してやるよ」

 

好戦的な笑みを浮かべながら両手の銃をレイナーレへと向ける朧。

 

そんな朧が・・・・・今は何よりも頼もしく思えた。

 

 




とうとうレイナーレと邂逅した朧

次回は朧VSレイナーレとなります

まあ・・・・大分一方的ですがね

それでは自秋もまたお楽しみに!

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