ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回から新章突入

始めはシリアスから・・・・・

それでは本編どうぞ


第三章 幻術使いのターニングポイント
第72話


 

忘れない

 

忘れてはならない

 

許せない

 

許してはならない

 

奴らを決して許してはならない

 

母さんを殺した堕天使を許さない

 

父さんを殺した天使を許さない

 

そして・・・・・

 

―――を殺した悪魔を・・・・・・俺は許さない

 

だから俺は・・・・俺は願う

 

もう二度と・・・・もう二度と・・・・・

 

俺のような人間を生み出してはならないんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リアス部長、ソーナ生徒会長。俺は思うんですよ・・・・・それは本当に必要なのかって」

 

とある喫茶店で、テーブルを挟んで対面に座るリアス・グレモリーとソーナ・シトリーに俺は告げる。きっと、これまでの彼女達との付き合いの中でここまで真剣になったことはなかっただろう。

 

「ちゃんとした敬意、入念な協議の上でそれが決まったのだということは理解しているつもりです。俺のような一個人が口を出してどうなるものでもないということも理解しているつもりです。だけど、それでも俺は思わずにいられないんです。本当にそれは必要のあることなのかと。本当にそれは正しいものなのかと」

 

それは必要だと判断されたから定められたものなのかもしれない。でも、俺はそうは思えない。それは悪しき行い。場合によっては破滅さえもたらしかねない。そのことはこの二人も・・・・・この二人だからこそわかってくれるはずだ。

 

「それは決して起きてはならないものです。必ず数多の悲劇を巻き起こすでしょう。必ず多くの犠牲者を生むことでしょう。そんなの俺には耐えられない。今回ばかりは俺のためだけじゃない。俺は、多くのひとのためにそれを否定しなければならないんです。お二人なら俺の気持ち・・・・・わかってくれますよね?」

 

「朧・・・・・そうね。あなたの気持ちは痛いほどよくわかるわ」

 

「あなたの思いには強く共感します」

 

二人とも俺の気持ちは理解してくれているようだ。この二人を味方につけることができるのならあるいは・・・・

 

「けれど・・・・・残念ね朧」

 

「どれだけあなたの想いが正しくて尊くても・・・・・・」

 

「「授業参観は決して無くならないわ(無くなりません)」」

 

「チクショー!!」

 

リアスとソーナから告げられた無情な一言に、俺は思わずテーブルを殴りつけて嘆きをあらわにした。

 

「お、落ち着きなさい朧」

 

「これが落ち着いていられますか!いや、確かに知ってたよ!いくらリアス部長とソーナ生徒会長の権力を用いたとしてもあの悪しき行事が無くならないってのはわかってたことだよ!だけど実際に告げられると死ぬほど辛いんです!」

 

「そんなになんですね・・・・・」

 

「当然でしょう!だって授業参観ですよ?高校生にもなって授業参観とか普通やらないでしょう!難しい年頃の少年少女が親に見守られながら授業受けるとか恥辱以外何物でもないじゃないですか!下手すりゃトラウマものですよ!」

 

正直、高校生にもなってこんな行事で喜ぶのなんてよっぽど純粋な奴が重度のファミコン(ファミリーコンプレックスの略称)ぐらいなものである。マジふざけんな。

 

そして何より・・・・・俺にはほかの奴らよりもそれを忌嫌する重大な理由があった。

 

「あなたのその狼狽え様からしてもしかして・・・・・」

 

「ええ、来ますよ。冥界の歴史上最大の問題児。俺の保護者である最悪の悪魔・・・・・ミリアリッサ・メルゼスがね」

 

「「やっぱり・・・・・」」

 

ミリアの名を聞き、リアスとソーナは頭を抱えた。というか、ソーナにはミリアのこと言ってなかったと思うが・・・・・親友のよしみでリアスが伝えたのかもしれない。

 

「どう考えてもミリアだけは来ちゃダメでしょ・・・・・・歩く犯罪者ですよあれ?下手すると精神的且つ未来的に死ぬ人間が出てくるかもしれないんですよ?警察が出動するかもしれないんですよ?」

 

「そのあたりは朧くんがうまく制御するしかありませんね」

 

「そうね。もしもの時は幻術の使用を許可するわ」

 

「俺の精神がすり減りますよ!というかそのもしもの時ってほぼ確実に起こりますよ!」

 

幻術使い続けるのだって限度があるし、そうでなくても抑えるのは大変だっていうのに・・・・・マジ勘弁してくれよ。

 

「そもそも授業参観のこと隠しておけなかったの?」

 

「それ以前の問題ですよ。レイナーレのこともあって先日連絡を取りましたけどその時には授業参観のこと知ってましたもん。嬉々として行くって言って聞かなかったですもん。もう回避不可能じゃないですか」

 

隠すために話題にも出さないようにしようと思ったのに・・・・・ちくしょうめ。

 

「一体どこから情報を得たのかしら・・・・?」

 

「どこからって・・・・・それ本気で言ってるんですかソーナ生徒会長?」

 

「どういうことかしら?」

 

「ミリア、授業参観のことあなたのお姉さんから聞いたって言ってましたよ。あとリアス部長のお兄さんからも聞いたそうです」

 

「「・・・・・・え?」」

 

俺の言葉を聞いた二人は、呆けた声を出すと同時に目を丸くした。

 

そして・・・・・

 

「「・・・・・・やっぱりこの世に神はいない」」

 

ものすっごい悲しそうな表情でテーブルに手をついて嘆き始めた。悪魔が言うセリフじゃないとか、確かに聖書の神はもういないとか、ほかの神ならいくらでもいるかとかいろいろ思ったけど気持ちはよくわかるからツッコミはなしにしておこう。

 

「どうして・・・・・授業参観のことは話してないのにどこから情報が・・・・?」

 

「学園からじゃないですか?スケジュールの関係やら何やらで学園の行事はグレモリー家に報告されてそれでルシファー様にも伝わってそこからレヴィアタン様にもって流れかと」

 

「ありえすぎるわ・・・・・」

 

「なんにせよ、朧くんだけじゃなくて私達にとっても授業参観は・・・・・地獄になりそうね」

 

そこまで言うかソーナ・・・・・いや、そこまでのレベルだよなぁこれ。

 

「でも、俺やソーナ生徒会長はともかくリアス部長はまだマシでしょう。ミリアやレヴィアタン様に比べてまだだいぶマシかと思いますよ?」

 

「そうね。なにせ私達のところは格好からして・・・・・って、あら?朧くん、お姉様のことを知っているのかしら?」

 

「ええ。レヴィアタン様って外交担当でしょう?それでミリアと旅をしてた時に外交の仕事だかなんだかで4年ほど前に一度だけあったことがあるんですよ」

 

正直あの時の衝撃は半端なかった。仕事出来る出来ないはともかくとして魔王としてあの格好は色々とアウトだろう。まあ個人的には面白かったからいいんだけども。

 

「そういえば、その時お姉様から面白い子と会ったと聞いたことがあるような・・・・」

 

「あ、それ多分俺です。幻術で色々やって欲しいってせがまれて・・・・面白そうなのでまあ付き合いました」

 

「なんてことしてくれるんですかあなたは!あの時以来お姉様はより一層あの趣味にどっぷり使ってしまったんですよ!」

 

「ごめんなさいはんせいしてます(メソラシ)」

 

「本当に反省しているのなら私の目を見て、棒読みじゃなくちゃんと言ってください!」

 

そんなこと言われても・・・・・実際反省してないんだから目も逸らすし棒読みにもなるに決まってるじゃないか。

 

「ともかく、授業参観は俺たちにとって間違いなく鬼門となります。授業参観をなくせないというのなら俺たちに出来ることは覚悟を決めることだけ・・・・・・気を確かに持って乗り越えましょう」

 

「ものすごく話を逸らされてしまった気がしますが・・・・・まあそうですね。今更ジタバタしても仕方がないのだから覚悟を決めましょう」

 

「はあ・・・・・三種族の会談も控えているというのに憂鬱で堪らないわ」

 

「ちなみにその会談、ミリアも出るそうですよ?授業参観のついでにって言ってました」

 

「「デスヨネー・・・・・」」

 

二人共眷属にお見せできない顔しちゃってるよ・・・・・気持ちはわかるけども。

 

というか、どう考えてもついでは逆だろミリア・・・・・・普通に考えて授業参観の方がついでだろうが。

 

「こうなったらヤケだ・・・・・ここは俺が奢りますから今日はとことんまで身内の愚痴を垂れ流しましょう。そうすれば多少は気が晴れるでしょうし」

 

「そうね・・・・・今のうちに発散しておきましょう」

 

「その発散すべき愚痴が大量にあるのがまた悲しいですが・・・・・」

 

「「それは言わないで(ください)」」

 

こうして、俺たち3人は身内の愚痴を延々と語り尽くすこととなった。

 

『普通にやってることは酷いわねぇ』

 

それ以上に迷惑被ってるんだからいいんだよ。お前だってわかってんだろうがラム。

 

 

 

 

 




どこがシリアスだって?やだなーちゃんと冒頭はシリアスだったじゃないですか

まあ、この章は後半でだいぶシリアスになるから今は・・・・・ね?

それでは次回もまたお楽しみに!

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