ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回は朧と零華の話がメインとなります

それでは本編どうぞ


第71話

 

「・・・・・・」

 

「レイナーレ・・・・・いつまでむっすりしてるんだよ」

 

「は?別にむっすりなんてしてないわよ」

 

珍しく私に声を掛けてきたイッセーちゃんに、私はそう返した。口ではこういっているけれど、正直機嫌は悪い。その理由は当然朧がいないからだ。

 

「まったく・・・・そんなに朧が連れて行かれたのが気に食わないのか?」

 

「当然よ。おかげでこんな悪魔しかいない空間に朧のいない状態で居なきゃいけないんだから」

 

「お前・・・・少しは言葉を選べないのか?」

 

「お生憎様。選べるほど語彙量豊富じゃないのよ」

 

私の発言にイッセーちゃんはイラついたような呆れたような表情を浮かべるが知ったこっちゃない。自分の性格の悪さは自覚しているが、変えるつもりはないし。

 

「イ、イッセーさん。レイナーレさんは純粋に朧さんのことを心配しているんですよ。だから・・・・」

 

「あ~もう・・・・わかったよ。アーシアに免じてこれ以上はなんにも言わないでやるからありがたく思うんだな」

 

「そうね。アーシアには感謝するわ。アーシアには」

 

「この・・・・・」

 

ギリっと歯を食いしばって怒りを表現するイッセーちゃん。それでも特に言い返してこないのはアーシアの顔を立てたということでしょうね。まあ、そのアーシアは苦笑いを浮かべているけれど。

 

「ですが私も早く朧先輩に来て欲しいです・・・・・朧先輩がいないと今日のお茶請けがいつまでたっても出てきませんし」

 

「そうね。私も朧に処理してもらいたい書類があるから早く来て欲しいわ」

 

搭城小猫とリアス・グレモリーも朧が早く来ることを望んでいるようだ。もっとも、二人共朧がどうこうじゃないくお茶請けと仕事のためのようだけれど。ただまあ、二人の言うとおり早く来て欲しいものだわ。

 

それと朧を連れ出した風紀委員長・・・・・どんなやつかは知らないけれど、いつか泣かせてやりたいわね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朧くん、君は随分と熱心にコカビエルを殺そうとしていたようだけど、それはどうしてだい?」

 

零華が俺に尋ねてきたのは、俺にとって忌々しくて仕方ないコカビエルのことについてだった。

 

「よりにもよってそれかよ・・・・・」

 

「聞かれたくないことだったかな?それはすまなかった。だけど気になって気になってしょうがないんだよ。あの日の戦いは初めから最後まで見ていたけれど、なんで君がコカビエルをあそこまで追い詰め、痛めつけて殺そうとしていたのかは結局解らずじまいだからね」

 

零華のやつ、やっぱりあの戦いをどこかで見てやがったのか。もしかしたらいあという時は自分がコカビエルを殺そうとかも考えていたのかもしれないな。いくらなんでもこの街が滅ぶのはこいつも嫌だったろうし。ただ、俺がコカビエルを殺した理由を知らないということは、その後日のオカ研の部室での話は聞いていなかったようだな。

 

「まあ、報酬を前払いで貰ってしまっているし手短に答えてやる。俺は昔、母親と一緒にコカビエルに捕まったことがあってな。母さんは一年間コカビエルに陵辱された挙句に俺をかばって殺された。つまりあれは復讐さ」

 

「・・・・それはまた随分と重たい理由だね。お得意の嘘だったりするのかな?」

 

理由を聞いた途端、顔色が変わったな。まあ、そうなるのも仕方がないが。

 

「俺も嘘をつくなら時と場合を考えるさ。今回のは本当だ」

 

時と場合のとこは嘘だけどな。

 

「ああ、うん嘘だね。時と場合のところは。理由については本当か」

 

簡単に見破られたか。最近嘘の精度が落ちてきたか?幻術使いとして情けない。まあ、あるいは零華が鋭いかだが。

 

「ごめんね。話したくないことを話させてしまったようだ」

 

「別にいいよ。復讐はもう終わった。コカビエルのことはまだ忌々しく思ってはいるが、憎悪はほとんど消えているからな」

 

「復讐は終わったって・・・・手を下したのはレイナーレだろう?それでも君は復讐をなしたと思えるのかい?」

 

「確かに俺の手で殺したいとは思っていたさ。それでも、俺にとっては目の前でコカビエルが死んでくれさえすればそれで復讐はなされたも同義だ」

 

「ふうん・・・・まあ、君がそう思っているならそれでいいけど」

 

どこか腑に落ちないといった様子だが、零華はそれ以上追求してはこなかった。

 

「さて、コカビエルのことは話したが、他に聞きたいことはあるか?」

 

「いいや。他にはないよ」

 

「え?」

 

「何その反応?」

 

「いや、早く部室に行きたいから俺としてはそれで構わないんだが・・・・・白龍皇のこととかは聞かなくてもいいのか?」

 

正直零華のことだからそのあたりのことも聞いてくるかと思ったんだが・・・・

 

「それについても確かに聞きたいとは思っていたけれど今はいいよ。いっぺんに聞いてしまったら君との楽しいお話の機会が減ってしまうからね」

 

「楽しみは分けて堪能したいというわけか・・・・まあ気持ちはわからないでもないけどな。というか、そんなに俺と話をするのは楽しいのか?」

 

「ああ、そりゃうもうね。だってボク・・・・・君のハーレムに入りたいと思うぐらいには。君のことが好きなんだからね」

 

零華は俺の首に手を回し誘惑するように俺の耳元で囁きながら言う。

 

俺のハーレムに入りたいと思うぐらいに俺に好意を抱いてくれているか・・・・・零華は俺好みの太ももを持っているし、性格も気に入っている。ハーレムに入れるのも悪くはないかもしれないが・・・・・

 

『ダメよ朧。彼女をハーレムに入れるのは許容できないわ』

 

なんで俺のハーレムに入れるかどうかにお前の許可を取らないといけないんだよ。というか、なんでダメなんだよ?

 

『彼女は得体がしれなさすぎる。こういうイレギュラーは何をしでかすかわからないわ』

 

それこそお前からすれば望むところじゃないのか?イレギュラーなことは大好きだろう?

 

『好きよ。だけどこの女は・・・・この女だけだダメ』

 

頑なだな・・・・・けどまあ、こうなってしまってはラムは引かない。こいつ結構頑固だしな。

 

仕方ない。大切な相棒がへそを曲げるのは俺としても勘弁願いたい。今日のところは零華のハーレム入りは断念するか。

 

「ねえ、さっきからどうして黙っているんだい?いい女から告白されたっていうのにそれはないだろう?」

 

「すまないな。ちょっとラムと零華をハーレムに入れるかどうか審議していてね」

 

まあ、正確にはラムが一方的に反対してきたから審議とは言わないが。

 

「そうか。それで、審議の結果は?」

 

「今回は見送り・・・・ということになってしまった。いやはや残念だ」

 

「それは確かに残念だね。どうやら君のハーレムに入るにはまずはラムをどうにかしないといけないようだ」

 

あ、こいつラムが一方的に反対してきたことに気がついてやがるな。

 

『何があっても私が彼女を認めることはないけれどね』

 

ほんとに頑なだなお前は・・・・・

 

「まあ、ラムのことに関してはじっくり考えさせてもらうよ。ほら、朧くんは早く部室に行くといい。愛しのレイナーレが待っているだろうからね」

 

「そうさせてもらうよ」

 

零華に踵を返し、部屋から出ようとするが・・・・言い忘れたことがあったことを思い出し立ち止まった。

 

「と、そうだ。零華に一つ言っておくことがあった」

 

「なんだい?」

 

「俺との話を楽しみにしてくれているようだが・・・・・次の機会は訪れないかもしれない」

 

そう、もしかしたら零華と話すのはこれが最後になるかもしれない。なにせ俺は・・・・

 

「・・・・三種族会談でなにかするつもりなのかな?」

 

「はははっ、鋭いことで」

 

「そっか・・・・朧くんともう話ができなくなるのは残念だなぁ。というか、それってボクが君のハーレムに入る機会が失われたも同義じゃないかい?」

 

「それはまあ・・・・否定はしない」

 

正直話しどころか、三種族会談が終わったらもう会うこともないだろうからな。零華をハーレムに入れることはほぼ不可能だ。本当に残念でならない。

 

「君が何を企んでいるかは知らないし深くは詮索しないでおくけど、その企みが上手くいくことを祈っておいてあげるよ」

 

「ありがとう零華。それじゃあ・・・・さよなら」

 

零華に軽く手を振って、俺は部屋を出た。

 

『朧、あなたやっぱり・・・・・』

 

ああ。多分お前の考えてるとおりだよ。

 

『そう・・・・やっぱりあなた矛盾だらけの大馬鹿だわ』

 

そうだな。俺は・・・・・とんだ大馬鹿野郎だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅くなりましたー」

 

「ええ、全くね」

 

零華と別れ、一直線に部室に来た俺をどこか不機嫌そうなレイナーレが出迎えた。

 

「随分と機嫌が悪そうだな・・・・俺がいなくて寂しかったのか?」

 

「馬鹿言わないでちょうだい・・・・というか、結構長かったけれどどれだけ絞られたのよ?」

 

「それはもう結構厳重にな」

 

零華のことは話さないで置いた。零華自身、こっち側の事情に詳しいけど極力自分から関わろうとは思っていないようだからな。

 

「そう。ざまあないわね」

 

「レイナーレさんひどいっすね」

 

不敵な笑みを浮かべるレイナーレ。だが、さっきまでの不機嫌さがなりを潜めているあたり、もしかしたら俺がいなくて寂しかったのかもしれない。

 

『もしかしたら・・・・ねぇ』

 

なんだよラム?

 

『なんでもないわ。それよりも、レイナーレちゃん以外にもあなたに熱烈な視線を向けてる子がいるわよ』

 

レイナーレ以外にも?

 

「朧先輩。早くお茶請けを出してください」

 

「朧。お茶請けの準備が終わったら処理して欲しい書類があるのだけれど」

 

なるほど、小猫とリアスか。こってりと絞られたということになっている俺に対して随分とスパルタだこと。

 

「了解。すぐにお茶請けの準備をして書類に取り掛からせてもらいますよ。レイナーレ、手伝ってもらえるか」

 

「遅れたのは朧なんだから一人でやりなさい・・・・・と、言いたいところだけど暇だし仕方ないから手伝ってあげるわ」

 

わお。相変わらずのツンデレイナーレだねぇ・・・・・と、そうだ。

 

「レイナーレ」

 

「なによ?」

 

「愛してるぞ」

 

「ええ。知ってるわ」

 

「はははっ、そっか」

 

知ってるわ・・・・か。やっぱり『私も愛してる』だなんて言ってくれないか。

 

せめてその時が来るまでに一度でもいいから・・・・・言われてみたいものだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朧、部室内で急にイチャつくのはやめてくれ・・・・」

 

「ああ、居たのかイッセー」

 

「居るに決まってるだろ!」




三種族会談にて何かをやろうとしている朧。果たしてどうなるのか・・・・・

ともかく、これにて間幕は終わり・・・・・にはなりません。次回でもう一話、ちょっと毛色の違う話をして間幕は終了となります

それでは次回もまたお楽しみに!

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