ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
はたして修羅場となってしまうのか・・・・・?
それでは本編どうぞ
私はレイヴェル・フェニックスに旧校舎にある一室に連れてこられた。わざわざ部屋を移したのは、私と二人で話がしたいからだそうだ。
面倒くさい・・・・・とは思わなかった。私もこいつには話があるからだ。
「さて、部屋も移しましたことですし話をしましょうレイナーレさん」
「・・・・・その前に、私から言っておくことがあるのだけれどいいかしら?」
「あなたから・・・・・ですか?」
私が切り出すと、レイヴェル・フェニックスは意外そうにキョトンとした表情を浮かべる。
「ダメなら別にいいけれど」
「・・・・いえ、そちらからどうぞ」
僅かに悩んだ素振りを見せるが、了承してもらえた。
「なら言うけれど・・・・・・朧の本命は私よ」
「・・・・は?」
なぜか間の抜けた声を上げるレイヴェル・フェニックス。だが、それを特別意識することなく、私は言葉を紡ぐ。
「いえ、正確にはあなたのことも朧は本気で愛してるからあなたも本命ではあるのだけれど・・・・私はあなた以上に特別なの。朧は何よりも私の事を優先してくれているんだから」
「え、えっと・・・・レイナーレさん?」
「確かに朧とデートをしたのはあなたの方が先だけれど、キスは私のほうが先よ。いえ、そもそも私は朧と一緒に住んでるんだからその時点で特別だなわけだし」
「あ、あの・・・・」
「朧だって私に甘えてきたり弱いところを見せてきたりしてるから私にぞっこんなのは間違いないし。つまり私が言いたいのは・・・・正妻は私よ。それだけは覚えておいてちょうだい」
とりあえず言いたいことは言った。別にコイツが朧のハーレムに入ることに異論はない。だが、それでも序列というものははっきりさせておく必要がある。この女には是が非でもそれをきっちり理解してもらわなければ困るからこうして教えておいたわけだ。
さて、問題はこの女の反応だけれど・・・・・
「・・・・ぷっ。ふふふっ・・・・・」
・・・・なぜか声を出して笑われた。
「何笑ってるのよ?私そんなにおかしなこと言ったかしら」
「すみません。そういうわけではありません。ただ・・・・・あなたが朧様の事を本当に愛しているのだとわかって安心してしまって」
「どういうことよ?」
「はっきりと言ってしまいますと、私はあなたのことを疑っていました。あなたは朧様のことを利用しているのではないかと。だからこそ二人で話をしようと人間界に来たのですわ」
・・・・ああ、そういうことか。
「あなたは悪魔だものね。堕天使である私に疑念を抱いていたということかしら?」
「私も悪魔ですので・・・・正直に言ってしまいますと堕天使に対していい感情は持っていませんわ」
「そう。じゃあ、堕天使な私が朧の一番だってわかってさぞ残念なんでしょうね」
「いいえ。むしろその逆です」
は?逆?
「どういう意味かしら?」
「先程言ったでしょう?レイナーレさんが朧様の事を愛しているとわかって安心したと。先程のレイナーレさんは・・・・なんというか必死に見えました」
必死か・・・・・まさかそんな風に見えていたなんて。確かにまあ、私のほうがこの女よりも朧に愛されてるって何が何でも教えてやろうとは思っていたけれど・・・・・正直恥ずかしいわね。
「そんなあなたを見て思ったんです。あなたは・・・・私以上に朧様を愛しているのだと。私以上に朧様に愛されているのだと・・・・・悔しくなるほどに思い知らされましたわ」
「・・・・・そう。だから私の言うとおり、大人しく側室に身を置くということかしら?」
「ええ、今はその地位に落ち着きますわ。ただし・・・・私は隙あらば正妻の座を奪おうと常に狙うつもりなのでそれはお忘れなく」
不敵な笑みを浮かべながら告げる。レイヴェル・フェニックス。全く・・・・朧もとんでもない女に惚れ込んだものね。
「くくくっ・・・・あはははははは!さすがは悪魔といったところね!いいわ、隙あらば狙いなさい。もっとも、簡単に奪わせたりはしないからそのつもりでいなさいレイヴェル」
「ええ。望むところですわ」
したたかな女。朧はレイヴェルのこんな一面を知っているのかしら?これを朧が知らなかったとしたら・・・・・ああ、なるほど。これが愉悦ということかしらね?悪くないわ。
「さて、話も終わりましたし朧様達の下へ戻りましょう。朧様ともお話したいですし」
「ちょっと待って」
話が終わったからと部室へと戻ろうとするレイヴェルを私は引き止める。
「なんですのレイナーレさん?」
「まだ、いくつか話しておきたいことがあるわ。朧に関わる大事な話よ」
「朧様の・・・・・わかりました。聞きますわ」
さすがに朧の名を出したら聞かざるを得ないようで、レイヴェルはその場にとどまった。
「・・・・朧は嘘つきよ。その上たくさんの秘密を抱えてる。愛しているという私やあなたにさえ告げていない秘密を。その秘密の内容次第では、朧は私達の想いを裏切ることになる可能性があるわ」
「朧様の抱えた秘密・・・・」
「あなたが朧を愛するというのならそのことはしっかりと覚えておきなさい。そして誓いなさい。その時が来ても絶対に朧を愛することをやめないと。誓えないのなら・・・・・」
「身を引け・・・・と言いたいんですか?」
「そうよ。さっきあんな話をしたあとに言うのもなんだけれど、大事なことなのよ」
朧がどんな秘密を抱えているのかと考えると不安になる。恐ろしくなる。その秘密を知ってしまったら、知る前の関係には戻れなくなってしまうのではないかと・・・・・そう思ってしまう。だから恐い。
だけど・・・・それでも、恐くても私は彼を愛さなければならない。今私が生きているのは朧のおかげ。だから私にとって朧を愛することは生きることと同義なんだ。
これは呪いにも等しい愛。朧を愛することをやめれば、私は生きていけない。そして私はそんな状況に身を置いていることに満足している。レイヴェルにそこまで求めるつもりはないが・・・・それでも、誓ってもらわなければならない。
ひとえに、朧の幸せのために・・・・・
「・・・・レイナーレさん。正直に言いますと朧様がどんな秘密を抱えているのか、その秘密が私の想いを砕くものだったらと考えると恐ろしいですわ」
どうやらレイヴェルも私と同じように恐ろしく感じているようだ。
「けれど、それでも私は朧様を愛し続けると誓います。私にはもう朧様しかいないのですから」
「朧しかいない?どういうことかしら?」
「私はどうしようもなく朧様に惹かれてしまいました。それこそ、朧様以外の男性にもう好意を寄せることができないと確信できるほどにです。だから私は恐くても朧様を愛し続けなくてはならないのです。朧様だけが私の最愛なのですから」
「・・・・そう。わかったわ」
ああ、レイヴェルも呪われてる。朧を愛さなければならないという呪いにかかってしまっている。こいつももう・・・・戻れない。
「誓ってくれて何よりだわ。その誓い、決して忘れないで頂戴」
「ええ。忘れませんわ」
最後に念押しをし、私とレイヴェルは部室へと戻っていった。
「おかえりレイナーレ、レイヴェル」
10分少々して、部室に戻ってきた二人を俺は出迎えた。
「なんの話をしていたんだ?」
「それは・・・・秘密よ」
「はい。これは朧様にも教えられない秘密ですわ」
「む・・・・そうか」
秘密と言われると余計に知りたくなるな。どうにか聞き出せないか?
『やめておきなさい。あなただって秘密を抱えまくってるんだから、あなただけ聞き出そうなんて野暮にも程があるわよ?』
そう言われると反論できないな・・・・
『それに、女は秘密を着飾って美しくなるものよ。二人の美しさに磨きがかかったと思えばいいじゃない』
それもそうか。まあ、二人が険悪になってたりはしないみたいだから問題もなかっただろうし気にしないでおくか。というか、険悪どころか仲良くなってるような気もするが。
「そんなことより朧様、せっかく来たのですから私、朧様とお話したいですわ」
「それは俺もだよ。色々と話しておきたいこともあるし」
「私のこととか?」
「まあそれもだな。リアス部長、ちょっと二人とイチャラブ話したいんでソファ借りてもいいですか?」
「その言い方どうにかならないの?まあいいわ・・・・好きにしなさい」
呆れ顔をしながらも、リアスは了承してくれた。
「ありがとうございます」
リアスからの許可を経て、部室に置かれたソファに座って俺とレイナーレ、レイヴェルの3人で会話を楽しむ。このひと時は、俺にとってはただただ至福だった。
修羅場にはならなかった模様。まあ、必死なレイナーレが見れたんだからよしとしてください
というか朧が愛されまくてって作者の私もイラっときますww
間幕はもうちょっと続きますのでお楽しみに
それではこれにて失礼