ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
それでは本編どうぞ
日曜日、俺はイッセー、アーシア、木場、小猫、桐生の5人と共にカラオケに来ていた。歌ったり飲み食いしたりとそれなりに騒がしく楽しんでいた。まあ、何を歌おうか迷った挙句聖書の暗唱をはじめようとしたアーシアを俺と桐生以外の三人が必死に止めるという事態が起こっていたが。桐生はわけがわからないと首をかしげていたが、正直悪魔じゃない俺からしたらただただその光景は面白かった。
「ねえ朧、ちょっといい?」
イッセーが歌っているときに、桐生が俺の服の裾を引っ張り、声を掛けてきた。
「・・・・なんだ?」
「そんなにあからさまに嫌そうな顔しなくたっていいでしょ・・・・話があるの。ちょっと付き合いなさい」
「わかった」
仕方なしに、俺は桐生と共に部屋の外に出た。
「で?話ってなんだ?」
「あんた、イッセーと何かあったの?ギクシャクしてるように見えるんだけど・・・・」
よりによってそれか・・・・・まあ、こいつ結構周りのこと見てるから気づかれてもある意味当然だとは思うけど。
「まあ色々あってな。ギクシャクしてるのは否定しない。ただ、親友やめたわけじゃないし時間が経てば普段通りに戻ると思うから桐生が気にすることはないさ」
レイナーレのことは一緒にいる時間が増えればたぶんそのうち打ち解けてくれるだろう。だからそこまで心配する必要はないと思い、俺は桐生にそう答えた。
『さて、それはどうかしらね?』
は?どう言う意味だよラム?
『はあ・・・・その歳にしてはそれなりに女性経験豊富なのにどうしてこうも肝心なところで鈍いのかしら。まあ、見てる方は楽しいからいいけれど』
マジで何を言ってるんだこいつは・・・・・まるで意味がわからん。
「まあそれならいいんだけど・・・・・喧嘩したって言うなら早めに仲直りしなさいよ?私はともかくアーシアは必要以上に気にしてるみたいだから」
「・・・・それを言われると心が痛むな」
アーシアは優しい子だからなぁ・・・・・あまり気にしないで欲しいが、アーシアの性格上それも無理か。本当にに申し訳ないな。
「一応聞くけど・・・・イッセーとギクシャクしてるのって男女の仲的な意味じゃないでしょうね?」
「それは天地神明にかけて違うと断言する。あくまでも俺とイッセーの関係は親友だ。それ以外のものになることはありえない」
「・・・・そう思ってるのはあんただけだと思うんだけど。傍から見たらあんたら二人はいつ付き合ってもおかしくないってぐらい距離が近いから」
「俺とイッセーが付き合う?ないわー・・・・・それだけは絶対にないわー。確かにイッセーはちょっとおっぱいに執着しすぎてレズっ気が強いのに目をつぶれば可愛い良い子だけど、付き合うとかマジないわー」
「・・・・はあ」
なぜか呆れたような表情でため息を吐く桐生。俺変なこと言ってないよな?なんでため息吐かれなきゃならないんだよ・・・・・
『自分の胸に手を当てて考えてみなさい』
おう。それで分かるならいくらでもやってやるよ。
「もういいわ。話はここまでにしましょう。これ以上は頭が痛くなりそうだし」
「まあせっかく遊びに来たんだから楽しまないと損だもんな」
「そういうこと。朧、部屋に戻ったら何か歌いなさいよ。結構上手いんだし」
「ああ。言われなくても」
ひとまず桐生との話を終え、部屋に戻る。
さて、何を歌おうかな・・・・?
朧がイッセーちゃん達と遊びに出かけ、家で留守番していた私はリアス・グレモリーに呼び出されて駒王学園のオカ研の部室に来ていた。部屋の中にはリアス・グレモリーと姫島朱乃がいる。
「わざわざ朧がいないタイミングで呼び出すなんて・・・・なんの用かしら?」
「ちょっとあなたに聞きたいことがあったのよ」
「聞きたいことね・・・・別にいいけれど、話をするなら側近に殺気を沈めるように言ってくれないかしら?気分が悪いわ」
私は姫島朱乃に視線を向けながら言う。姫島朱乃は殺さんばかりに私のことを睨んでいた。よほど堕天使が憎いようだが・・・・正直理解に苦しむわ。あの事件でバラキエル様はご自分のことを責めていた。バラキエル様だって散々苦しんだというのにまるでバラキエル様を加害者のように扱うだなんて・・・・どうかしているわ。
そもそも、私に下手なことしようものなら朧に殺されかねないのだけれど・・・・・そのあたりのことわかっているのかしら?
「朱乃」
「・・・・はい。すみません部長」
姫島朱乃はリアス・グレモリーに謝罪しながら殺気を解いた。これで落ち着いて話ができるわ。
「それで?聞きたいことってなにかしら?」
「あなたは自分やアザゼルを侮辱したからという理由でコカビエルを殺したけれど・・・・それは本当かしら?」
いやに神妙な面持ちで尋ねてくるリアス・グレモリー。何を聞いてくるかと身構えていたけれど・・・・まさかこんなわかりきったことを聞いてくるなんて。
「何かと思えば・・・・そんなの嘘に決まっているでしょう?私がコカビエルを殺したのは朧と私のためよ」
アザゼル様はコカビエルを生きて連れてくるように白龍皇に命じていた。そのアザゼル様の意思を無下にしているのだから・・・・そんなの朧のために決まっている。
「朧はコカビエルに母親を殺された。だからコカビエルを強く憎んでいた。そしてそれは私も同じ。愛する朧の母親を殺し、朧を絶望に淵に追いやったコカビエルが憎かった。だから殺したのよ」
「・・・・あなたは朧のことを愛しているの?心酔していたアザゼルの意思に反してまで?」
「ええ、そうよ。私は朧を愛している。誰よりも何よりも・・・・最愛といっても過言でないほどに」
まあ、癪だから朧には当分言ってやらないけれど。まだしばらくは私に愛されるためにご機嫌取りさせてやりたいし。
「・・・朧くんは人間ですわよ?」
今度は姫島朱乃が聞いてくる。自身が堕天使と人間の間に生まれたから聞かずにはいられなかったというところでしょうね。
「関係ないわ。確かに以前は人間なんて私たち堕天使と比べるまでもない低俗な存在だと思っていた。今だって人間は別に好きではないけれど・・・・関係ない。私はただ『現世朧』という男を愛しているだけ。朧の種族なんてどうでもいいわ」
別に朧が人間だろうが悪魔だろうが天使だろうが鬼だろうが妖怪だろうがなんだって構わない。それを些細な問題だと切り捨てられる程度には朧を愛してしまっているのだから。
「そういえば、以前私の愛は薄汚れていると言割れたわね。今もそう見える?私の愛は薄汚れているかしら?醜いかしら?」
別にリアス・グレモリーにどう思われようと構わないが一応聞いてみる。
「・・・・いいえ。あなたの朧への愛は醜くなんてないわ。むしろ・・・そこまで一人の男を愛せるだなんて羨ましいぐらいよ」
「それに関しては・・・・私も同感ですわ」
「そう・・・・・それはなによりだわ。羨ましいのならあなたたちもせいぜい愛しがいのある相手を見つけることね」
二人共イッセーちゃんに対して愛情を抱いているのかもしれないから言うまでもないかもしれないけれど煽り目的で一応言ってみた。私も朧に似てきたかしらね。
「話は終わりかしら?だったらもう帰らせてもらうわよ。あなた達の相手を長々していられるほど、私も暇じゃないの」
まあ本当は家にいてもやることはないから今回の呼び出しはいい暇つぶしになったと思っているのだけれど・・・・絶対に言ってやらないわ。
というか、わざわざこんなことを聞くために私を呼び出すだなんて・・・・私が思っている以上にリアス・グレモリーは朧に情が移ってしまっているのかしらね。朧の方もなんだかんだ彼女たちのことを気に入っているようだ案外上手くやれているようね。
・・・・なんだかそれはそれでムカつくわね。ちょっとちょっかい出してやろう。
「帰る前に、あなた達に忠告しておいてあげる。朧のことを仲間として扱っているようだけれど信用しすぎない方が身のためかもしれないわよ?」
「どういうことかしら?」
「朧はコカビエルの件以外にもいくつも秘密を抱えている・・・・隠している秘密次第では、朧はあなた達の信用や信頼を裏切りかねないわ。せいぜい気をつけることね」
わざと朧への不信感を強めるようなことを言った後、私は部屋をあとにした。
せいぜい朧への信用を落とすがいいわ
醜い独占欲だと罵られても構わない
朧を一番信用しているのは私だ
朧を一番大切に思っているのは私だ
私が・・・・朧を一番愛しているんだ
ちょっと朧とイッセーの仲がギクシャクしたり、レイナーレが朧への愛情がちょっとだけあらわにしたり・・・・この章は楽しかった。他に言うこともあるとは思うが
次回はまた章終わり恒例の現時点での設定公開になります・・・・おそらく
それでは次回もまたお楽しみに!