ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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久しぶりの投稿だけどスランプだから短い・・・・・

ともかく本編どうぞ


第63話

 

「さて、レイナーレに関する処遇は一旦置いておくとして、次の話に移ってもいいかしら朧?」

 

「いちいち聞かなくてもいいですよ。お好きにどうぞ」

 

別の話に切り替えようとするリアスに、俺のそう返す。やましいことがあるのは俺の方なのにいちいち聞いてくるなんて律儀だな。まあ、俺は俺で嘘つくこともあるから自分でもタチが悪いと思うが。

 

「わかったわ。なら聞かせてもらいましょう。あなたとコカビエルの間に何があったのかを」

 

リアスが尋ねると、その場にいた一同の表情が険しくなった。まあ、あんな拷問みたいな仕打ちを目の前で見せられれば表情の一つも険しくなるに決まっているか。ただ、レイナーレと朱乃の二人は険しいというより悲しげな表情だが。レイナーレは事情を説明知っているからともかくとして朱乃はやはり察してしまったようだな。だったらどうせなら言ってくれた方が俺としても良かったんだが・・・・・自分で言って気分のいいものではないからな。

 

「朧・・・・・復讐って言ってたよな?どういうことだ?」

 

「どうもこうもないさイッセー。文字通りだよ。あれは復讐だったんだ。コカビエルは俺の母さんを殺したんだからな」

 

「「「・・・・・え?」」」

 

ほぼ全員に表情が驚愕に染まった。当然といえば当然だが。

 

「10年前・・・・・俺は母さんと一緒にコカビエルに捕まってしまった。そしてコカビエルは毎日のように俺の目の前で母さんを陵辱したんだ。母さんは絶世の美女といっても差し支えないほど綺麗な人だったし、コカビエルだって堕天使の幹部。先の戦いでは戦闘狂の面が強く見られたがそういうことにも関心が高かったようだ」

 

俺は当時のことを思い出しながら語る。母さんがコカビエルに犯される光景が脳裏によぎるが、以前ほど黒く、重たい感情は湧き上がってこなかった。おそらくコカビエルが死んだことで多少は溜飲が下りたからだろう。

 

「そんな日々が1年ほど続いて、ある日母さんは隙を見て俺を連れてコカビエルの下から脱走しようした。だけどそれは失敗した。コカビエルは罰と見せしめのために俺を殺そうと槍を放ってきたんだが母さんは俺をかばって槍に貫かれて死んだんだ」

 

コカビエルに対する憎しみはそれほどでもないが、自分に対する憎しみは溢れ出しそうなほど湧いてきた。実質俺のせいで母さんは死んだようなものだからな・・・・・自分が自分で憎らしい。

 

「そのあと母さんの勇敢さに免じてコカビエルは俺を見逃してくれたんだが・・・・・・俺はその時誓ったよ。次に会ったとき、コカビエルを殺そうとね。その結果がアレだよ。まあ直接手を下すことはできなかったが」

 

「・・・・君はそれで満足なのかい?」

 

一通り説明し終えると、木場が神妙な面持ちで尋ねてきた。

 

「どう言う意味だそれは?」

 

「君のコカビエルを憎む気持ちは僕にはわかる。だからこそ、君を絶望の底に追いやったコカビエルが自分以外の手で殺されることは本当に復讐と呼べるのかどうか、君が満足することができたかどうか気になってね」

 

なるほど、いかにも同じ復讐者らしい考えだ。そういえば、木場も自分の復讐の大元となったバルパーを直接手にかけることはできなかったんだっけか。コカビエルが殺しちゃったから。あの戦いで聖剣を超えることはできたがバルパーを手にかけられなかったことは木場にとって消化不良なのかもしれないな。

 

ただまあ、俺は木場とは考え方が違うがな。

 

「確かに自分の手でケリをつけたいとは思っていたが別にあれはあれで構わないさ。俺にとって大事なのは俺の目の届くところでコカビエルが死ぬことだ。コカビエルの死を認識できさえすれば俺の復讐は完遂される。憎い相手が死んだという事実だけで俺は満足なんだよ。たとえそれが誰の手で、どんな目的であったとしてもだ」

 

まあ実際はレイナーレがやってくれたってのは嬉しく思うんだがな。俺のためなんかじゃないんだろうが、それでもレイナーレは俺にとって愛する存在だから。

 

「そうか。それが君にとっての復讐なんだね。そう考えられるのは少し羨ましいよ」

 

そう言いながら木場は儚げな笑みを浮かべてみせた。やはり、こいつはバルパーを自分の手で殺したいと思っていたのか。その感情を否定するつもりも非難するつもりもない。むしろ当然のことだと思う。復讐の念なんてものは時として理性は理屈の外側にあるようなものだからな。

 

「まあともかく、コカビエルへの復讐は終わった。俺の中で最低な過去を一つ精算出来たってわけだ。それに関しては良かったかな?」

 

「良かった?本気で言ってるの?」

 

「イッセー?」

 

「なんで・・・・どうして私達に、私に何も言ってくれなかったんだ?」

 

イッセーは俺の肩を掴んでくる。

 

「なんでそんな大事なこと言ってくれなかったんだ?親友の私になんで何も言ってくれなかったんだ?レイナーレには話してたんだよな?なのにどうして私には・・・・?」

 

コカビエルのこと何も話さなかったのがそんなに不満なのか・・・・・いや、違うか。親友だからこそ頼って欲しいのに何も言ってくれなかったのが悔しいってところか?

 

気持ちはわからなくもないが・・・・・悪いな、イッセー。

 

「話して何か意味があったのか?」

 

「え?」

 

「話したところで何の意味があった?俺のためにお前がコカビエルを殺してくれたのか?俺の悲しみと苦しみを少しでも軽くしてくれたのか?お前にそれができたのか?」

 

「そ、それは・・・・」

 

俺に問われ、言い淀むイッセー。

 

「なあイッセー、コカビエルのことを話したとしてお前は俺に、俺のために何をしてくれたって言うんだ?」

 

「・・・・・」

 

「ほら、何もできないだろう?だったら話す意味なんてないじゃないか。話したところで何にもならなかった。むしろそれをお前に突きつけて、今みたいに無力感を味あわせてしまう。だから話さなかったんだよ」

 

話したところで何が変わるわけでもない。イッセーのことだから同情はしてくれるだろうがそれがなんだって言うんだ。同情じゃ悲しみは癒せないし、ましてや復讐を果たせるわけでもない。

 

「朧、いくらなんでも言いすぎじゃないかしら?イッセーはあなたのことを心配しているのよ?」

 

リアスが咎めるような声色で言ってくる。

 

「それ自体には感謝してますよ。ただそれだけです」

 

イッセーが心配してくれていることには感謝している。だけど感謝だけだ。それ以上ものは抱きようがない。だから話さなかったてのもあるんだがな。

 

「朧、私はそんなに頼りないのか?私じゃ朧の力になれないのか?」

 

「・・・・・時と場合による。ただ、コカビエルの件に関してイッセーが俺にできることはなかったというだけだ」

 

今の言葉には嘘があった。確かにコカビエルの件ではイッセーを頼ることはできなかったが、たとえイッセーにできることがあったとしても頼ることはなかっただろう。

 

親友といえども役に立ちそうなら、意味があるのならば多少良心がいたんだとしても利用することはある。だが、俺がイッセーに何かを頼るということはない。今までも、これからもだ。

 

『頑なね。どうしてそこまでイッセーちゃんを頼るのを嫌がるのかしら?』

 

どうして?決まってるだろ。あいつが俺の親友だからさ。親友だからこそ頼りたくないんだ。頼って俺の重荷を背負わせるなんてまっぴらゴメンだからな。

 

『あらお優しい。それを言葉にして伝えないところなんて私、感心しすぎて涙が出そうだわ♪』

 

涙が出そうならなら『♪』なんて付けるなよな・・・・・まあいいけど。

 

それよりも、コカビエルについての説明もおおよそ終わったし、そろそろお前のことについて説明することになるんだが・・・・

 

『私はいつでもいいわよ?今日はこれが楽しみだったんですもの♪』

 

やけに機嫌がいいな・・・・・・嫌な予感とまではいかないが、なんか面倒なことが起きそうな予感だ。

 

さて、いったいどうなることか・・・・・

 

 

 




親友を大事に思うけど頼ることはしない朧

にしても前回といい、朧とイッセーの絆に溝が・・・・・まあ仕方ないんだけど

それでは次回もまたお楽しみに

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