ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
今回はまだ・・・・・ね
それでは本編どうぞ
「くくくっ・・・・完成だ。4本の聖剣はここに一つになり、術式も完成した。あと20分もしないうちにこの町は崩壊するだろう。術式を解除するにはコカビエルを倒すしかない」
バルパーが4本の聖剣の統合と校庭に描かれていた術式の完成を告げる。この術式・・・・・エクスカリバーの統合以外にも意味があるかもしれないとは思っていたが、まさか町を崩壊させるほどものだったか。それも20分もしないうちに発動か・・・・・魔王ルシファーが来るのは1時間後。余裕で間に合わないな。いざとなればコカビエルを殺すのは魔王に任せようと思っていたが・・・・まあいい。
実際にコカビエルに会ってみてわかった・・・・・あれなら・・・・・
「フリード、最後の余興に4本に統合された聖剣を使って奴らと戦ってみろ」
「はいなボス。人使いは荒いけど、ちょー素敵仕様になったエクスカリバーちゃんを使えるなんて光栄の極みみたいな?」
統合されたエクスカリバーを手にし、好戦的な笑みを浮かべるフリード・・・・・一応確認しておくか。
ラム、統合されたエクスカリバー、お前の目にはどう映る?
『そうねぇ・・・・・一本一本はナマクラだったけれど、流石は4本を統合したといったところね。そこそこのナマクラになってるわ』
そうか。まあやはりオリジナルを知っているお前としてはそう判断せざるを得ないか。
「・・・・共同戦線が生きているのなら、あの聖剣をともに破壊しようじゃないか。最悪私はあの聖剣の核となっているかけらさえ回収できればそれでいいからな」
「ああ・・・・わかったよ」
統合されたエクスカリバーを前にして、クァルタは共闘を進言し、木場はそれを了承した。クァルタとしては破壊してでもかけらを回収できれば問題なく、木場は聖剣を破壊したい・・・・まあ利害は一致しているな。
問題は・・・・
「レイナーレ、エクスカリバーは興味ないだろうが奴はお前を見捨てた元部下だ。お前も戦いに参加するか?」
「・・・・・やめておくわ。さっきみったけれどあいつのことなんてどうでもいいもの。それよりも、コカビエルとの戦いに備えて力を温存しておきたいわ」
どうやらレイナーレはフリードと戦う気はないらしい。そしてそれは俺も同じだ。レイナーレといざこざがあったようなのでフリードのことは嫌いだが・・・・あまりコカビエルの前で幻術を使いすぎるわけにはいかないからな。ここは木場とクァルタに任せよう。そもそもが聖剣に用があるのはこの二人なわけだしな。
「バルパー・ガリレイ、僕は『聖剣計画』の生き残り・・・・いや、正確には、あなたに殺され、悪魔に転生した頃で生きながらえている。あなたに聞きたいことがある・・・・なぜあんなことをした?」
木場は戦いを始める前に、バルパーに問う。
「ほう、あの計画の生き残りか。いいだろう、教えてやる」
木場の申し出に答え、バルパーは聖剣計画を企てた理由を話し始めた。
幼い頃から聖剣を好いていたバルパーは、いつか自分も聖剣使いになりたいと思っていたようだ。しかし、バルパー自身に聖剣を扱う素養はなかったようで、使える者に強く憧れていた。その憧れが高じて、聖剣使いを人工的に生み出す研究にのめり込み・・・・『聖剣計画』を企てた。
聖剣を扱うためには特有の因子を必要とする・・・・『聖剣計画』のために集められた被験者たちは皆その因子を有してはいたそうだが、聖剣を扱えるほどではなかったらしい。ゆえにバルパーはその因子のみを抽出することはできないのかと考え、それを実行した。その結果・・・・バルパーは因子を抜き取って結晶化することに成功させ・・・・・聖剣計画の被験者たちを全員殺したのだ。
「・・・・ちっ、クソが」
俺はバルパーの話を聞き、思わず悪態をついてしまった。バルパーのしたことはもちろん最低だ。だが・・・・・バルパーを追放し、断罪しておきながらそのバルパーの計画を利用し、聖剣使いを生み出している教会はそれと同じぐらいか、見方によってはそれ以上のクズだ。
今はコカビエルを殺すことに専念したいのに・・・・・すぐにでも教会を潰してやりたいとも思ってしまう。
「さて、これはどうせ余り物だ。これはくれてやろう。貴様の同志たちの成れの果てだ」
バルパーは手にしていた結晶を木場の足元に放り投げる。『聖剣計画』で抽出した聖剣因子の結晶を。
「皆・・・・ごめん」
結晶を拾い上げ、涙を流す木場・・・・・その時、決勝は淡い光を放ち始めた。まるで木場を祝福するように暖かく、優しさに満ちた光。その光は人の形をとる・・・・・それはおそらく『聖剣計画』の犠牲者たちだろう。
彼らは木場に何かを訴えかけていた。俺には聞こえないけれど・・・・・・その言葉はきっと木場を励ますものだろう。
やがて彼らの魂とも言える光はひとつに集まり・・・・・木場を包み込む。
「そうか・・・・木場、お前は至ったんだな」
「至った?何に?」
俺のつぶやきが聞こえたのか、レイナーレが尋ねてくる。
「神器の究極形態。想い、あるいは願いが劇的な展示方をした時に至る領域・・・・
圧倒的・・・・・まさにそんな言葉がふさわしい戦いであった。
木場の禁手は相反する力・・・・魔と聖を同時に兼ね備えた剣、聖魔剣を生み出す力だった。『
強力な剣に、以前のクァルタとの決闘の時とは違う冷静な、常の戦い方をする木場を前にして、統合された聖剣をもってしてもフリードは劣勢を強いられていた。
さらに、木場だけではない。クァルタもまた、フリードを追い詰めている。
「クソがっ!ここに来てそんなチョー展開アリですかぁぁぁぁ!?死ねよてめぇら!」
悪態をつきながらエクスカリバーを振るうフリード。だが、その剣閃が木場とゼノヴィアを捉えることはない。
武器の質もだが・・・・・剣士としての技量も、木場とクァルタの方がフリードを大きく上回っていた。
「はっ!」
クァルタのデュランダルによる一閃が、フリードのエクスカリバーを砕いた。
「マジで!?伝説のエクスカリバーちゃんがポッキリ逝っちまいやがった!やっぱり折れてるもん再利用しようってのがいけなかったんでしょうか!」
「チェックメイトだ」
エクスカリバーが折られたことを嘆くグリード。その隙をついて、木場は聖魔剣を振るう。フリードは折れたエクスカリバーでその剣閃を防ごうとするが・・・・受け止められたのは一瞬。剣はさらに折れ砕かれ、木場の聖魔剣はフリードの身を引き裂いた。
「見ていてくれたかい?僕たちの力はエクスカリバーに打ち勝ったよ」
倒れ伏すフリードを背に、木場は静かにつぶやく。その表情は決して晴れやかではなかったけれど・・・・・それでも木場は一つ成し遂げたのだ。
「次はあなただ。覚悟してもらおう」
エクスカリバーに打ち勝った木場は、次に『聖剣計画』の首謀者たるバルパーへと剣を向ける。
「馬鹿な・・・・聖魔剣だと?相反する二つの要素の融合など・・・・いや、まさか・・・・そうか、わかったぞ!聖と魔を司る存在のバランスが崩れているというのなら説明はつく!つまり魔王だけでなく神もまた・・・・」
そこから先の言葉が紡がれることはなかった。どうやらバルパーはあのことに気がついてしまったようだが・・・・・上空から降り注がれた光の槍に貫かれ、絶命する。
槍を放ったのは・・・・・コカビエルだった。
「ふんっ・・・・バルパー、貴様は優秀だったよ。その思考に至ったのが何よりの証拠だ。だが、貴様はもう必要ない。元々は俺ひとりでもやるつもりだったからな」
協力者であったバルパーへの凶行。それにはその場にいる者たち全員が不快感を抱き、コカビエルに対し臨戦態勢をとる。
そんな俺たちに・・・・・コカビエルは愉快そうに笑みを浮かべながら告げてくる。
「赤龍帝。限界まで高めた力を誰かに譲渡しろ」
「・・・・・それだけ余裕ってこと?舐めてくれる・・・・!」
「舐めているのは貴様たちの方だ。俺と貴様たちでは次元が違う。普通に戦えば俺を倒すことなど到底できやしない。だからこれが最後のチャンスだ・・・・存分に活かすがいい!」
「くっ・・・・・イッセー!私に譲渡を!」
「はい!」
コカビエルの言うとおりにするのは尺だろうが、それでも確かにこれはチャンスではあった。リアスはイッセーに譲渡を命じ、イッセーは力をリアスに譲渡する。
『これは・・・・譲渡の力を鑑みても凄まじいわね。もう少しで魔王にも届きそうだわ』
かつての魔王を知るラムがそういうのだから、実際今のリアスの力は相当なのだろう。コカビエルもそれを感じ取っているためか歓喜している。
「消し飛べぇぇぇぇぇぇ!!」
リアスの滅びの魔力がコカビエルに向かって放たれる。強大な魔力を、両手を使って受け止めるコカビエル。流石にこの質量の魔力を受け止めようとすればコカビエルも無傷では済まないようで、着ているローブの端々は破れ、手からも血が流れている。
だが・・・・それでもコカビエルを倒すには足りない。放たれた魔力は少しずつコカビエルの手で押さえ込まれ始めている。
「雷よ!」
リアスの一撃で倒しきれないのならと、朱乃がコカビエルの背後から雷を放つが・・・それはコカビエルの黒い羽の羽ばたきによってかき消されてしまう。これが彼女本来の力、雷光であったのなら話は別だったかもしれないが・・・・
程なくして、リアスの放った魔力はコカビエルの手によって完全にかき消されてしまった。
「ハハハハハハ!全く愉快な眷属を持ったものだなリアス・グレモリー!赤龍帝に禁手に至った聖剣計画の生き残り、さらにバラキエルの娘とはな!貴様も兄に劣らぬゲテモノ好きなようだ!」
「我らの魔王を!何より私の眷属を侮辱することは許さないわ!あなたはここで必ず倒す!」
「ならばやってみろ!貴様らが対峙してるのは悪魔にとって長年の宿敵だ!これを好機と見なければ貴様の程度もたかが知れているというものだ!」
「あなたの敵は悪魔だけじゃないわ!喰らいなさい!」
コカビエルに向かって再び光の槍を放つレイナーレ。先程のこともあってか、今度はギリギリまで引きつけてから躱そうとするコカビエルだが・・・・・槍はコカビエルが回避行動をするのとほぼ同時に拡散し、無数の小型の槍となった。流石にそれを躱すことはかなわず、コカビエルに槍が何本も突き刺さるが・・・・
「・・・フハハハハ!なかなか面白い攻撃だが所詮は低級な堕天使の攻撃などこんなものか!全く効かんな!」
「ちっ・・・・」
ダメージをほとんど受けていないコカビエルを目にして、レイナーレは舌打ちをする。確実当てるために拡散させたようだが、やはり威力が不足してしまったようだ。
「だったらこれで!」
槍を幾本も作り出し、コカビエルに投擲するレイナーレ。槍はまっすぐにコカビエルに向かわず、軌道を変えながら迫っていくが・・・・それがコカビエルを捉えることはなかった。先程までは意表をつくことができたが、流石に3度目ともなると小細工は通用せず、コカビエルは槍を躱したり打ち消したりしてしまう。
「無駄だ!もう貴様の攻撃が俺を捉えることはない!」
「「コカビエル!」」
コカビエルに向かって剣を振るう木場とクァルタ。それに続いて小猫も攻撃を仕掛けようと迫っていく。
だが・・・・それでも敵わない。3人はうまく連携をとって攻撃を仕掛けるが、コカビエルは光の剣を両手にもち、木場たちの攻撃はことごとく防がれてしまっている。その上、攻撃の隙をついて反撃までしてくる。特に子猫はその反撃をまともに受けてしまい、後退せざるを得なくなってしまった。
それでも木場とクァルタはめげずに攻撃を続ける。一度だけ、連携がうまくはまってコカビエルの頬に剣先が掠めたが・・・・それでも大ダメージには至らない。
「くくくっ・・・・褒めてやろう。お前らはよく戦っている。拠り所となる主を失っていながらもな」
戦いの最中、コカビエルはそう口にする。俺以外の者達はその言葉の意味が理解できていない様子だ。
「フハハハハハハ!どうやらお前たち下々まで真相は語られてはいないようだな!ならば教えてやる!神は・・・・すでに死んでいる!先の三つどもえの戦争で四大魔王と同じように神も死んでいたのだ!」
「「「「ッ!?」」」」
コカビエルは告げる。神の不在を・・・・・神の死を。それを聞き、一同は驚きを隠せずにいた。
「人間に依存せざるを得なくなったほど疲弊した三大勢力は、それを人間に知られるのは都合が悪いと判断し、神の死を秘匿した。故にこのことを知っているのは各勢力の一部のトップだけだ。もっとも、バルパーは気づいたようだがな」
そのことなら俺も知っているけどな・・・・正確にはあの時にお前に教えられたんだが。
「神がいない・・・・?なら僕らは何を信じてあの施設で過ごしたっていうんだ・・・?」
「そん・・・な・・・」
「主は・・・死んでいる?私たちに与えられる愛は・・・・?」
神の死は、かつて神を信仰していた木場・・・・そして、今でも神を敬愛しているアーシアやクァルタにはショックが大きかったようで呆然としている。特にアーシアとクァルタはひどい有様であった。地面に膝を付き、完全に意気消沈しきってしまっている。
「情けない・・・・・まったくもって情けない!争いの大元である神や魔王が死んだからこれ以上戦争を続けることに意味がない?その上人間に依存せざるを得ないなど・・・・我ら堕天使が勝利すれば人間に頼る必要もないというのに!アザゼルの野郎・・・・・何が二度目の戦争はないだ!あの臆病者が!」
「アザゼル様を侮辱するな!あなたのような戦闘狂とは比べ物にならないほどにアザゼル様の堕天使を思う心は崇高なのよ!」
「やかましい!何も知らなかった低級堕天使風情が!」
「ッ!?」
アザゼルを侮辱されたことに腹を立てたレイナーレはコカビエルに叫ぶが、コカビエルの怒号に気圧され言葉を詰まらせてしまった。
「俺は戦争を始める!貴様らの首を手土産にし、俺だけでもあの時の続きをしてやる!堕天使こそが最強だとサーゼクスやミカエルに思い知らせてやる!」
そこまでした奴は・・・・・コカビエルは戦争を求めるのか。天使や悪魔を滅ぼし尽くし、堕天使こそが至高であると証明しようというのか。
ああ・・・・・反吐が出る。やっぱりコイツは・・・・・クズだ。この手で殺してやる
だが、その前に・・・・
「・・・・・神はいる」
「なに?」
俺が呟くと、コカビエルは眉をひそめて俺の方へと視線を向けてくる。他の物たちの注目も俺の方へと集まってきた。
「神はいる。たとえ聖書の神が死に絶えようと・・・・・神はここにいる」
俺は自分の胸に手を当てながら言う。
「会ったことも見たこともない神を信じて祈りを捧げる・・・・それは、自らの心に神を生み出し、祈りを捧げるのと同義だと
それは・・・・・俺の言葉ではない。それはかつて俺の母さんの言葉・・・・どんな陵辱に対しても気丈に振舞っていあ母さんを絶望させるために神の死を告げたコカビエルに対して・・・・母さんが言った言葉だった。その言葉は・・・・・神に祈りを捧げていた当時の俺の心を支えたものでもある。
「くだらん・・・・実にくだらん!自らの心に神がいる限り折れないだと?馬鹿馬鹿しいにも程がある!所詮は脆弱な人間の戯言だ!」
どうやら、今の言葉を聞いてもコカビエルは何も思い出さないようだ。せっかく口調や一人称を母さんに真似たというのに・・・・・コカビエルはその言葉を覚えてさえいなかった。
もともと許すつもりなど毛頭なかったが・・・・・余計に許せなくなった。
先の戦いでコカビエルの戦いは存分に見させてもらった。十分だ。
コカビエルは俺ごときでも・・・・・・十分に殺せる。
「・・・・・戦争は起きないよコカビエル。お前が戦争を起こす前に・・・・・ここで俺がお前を殺すからな」
俺は幻術で銃を作り、コカビエルに向けながらそう告げた。
実はそこそこ信仰心の強い朧。もっとも、朧が信仰しているのは自分の心の中にいる神様だけなのである意味では自分への信仰ですが
次回、とうとう朧の復讐が始動します。どうなるかはその目でお確かめを・・・・
それでは次回もまたお楽しみに!