ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回はレイナーレが中心となります

はたしてどうなるか・・・・・

それでは本編どうぞ


第57話

「レイナーレ・・・・・お前、どうしてここに?」

 

突然戦場に乱入してきたレイナーレに俺は問う。

 

「・・・・それに答えるのはあとよ。まずは・・・・・この五月蝿い犬を片付けるわ」

 

レイナーレはケルベロスの方を睨見ながら言う。ケルベロスの方も、自分の頭を一つ串刺しにしたレイナーレに殺気を向けていた。

 

「はっ。犬風情ががいっちょ前に私を殺そうっていうの?残念だけれど無理よ。だって、あなたと私とでは戯れにさえならないもの」

 

レイナーレの挑発に怒ったのか、ケルベロスはレイナーレに向かって口から火炎を吐き出そうとする。

 

その瞬間・・・・・ケルベロスの心臓を、光の槍が貫いた。ケルベロスは短くうめき声を漏らした後、地面に倒れふし動かなくなった。ケルベロスは魔物・・・・それ故に光の攻撃に弱い。その上心臓を貫かれたとあっては死は免れないだろう。

 

ただ、ひとつ気がかりなのは・・・・・ケルベロスの心臓を貫いたあの槍。あれは一体いつ放たれたものだ?俺が見ている限りではレイナーレは槍を放つどころか出現させてさえいなかったはずなのに・・・・

 

「ふんっ、他愛ないわね。さて・・・・」

 

自分が倒したケルベロスに一瞥するレイナーレ。その後・・・・イッセーとアーシアの方へと視線を移した。

 

「レ、レイナーレ・・・・・様」

 

「レイナーレ『様』?ふふっ・・・・この期に及んで私のことを様付けするの?愚かな子ね」

 

「レイナーレッ・・・・!」

 

一度は自分を殺したレイナーレを怯えたように見るアーシア。イッセーはそんなアーシアを庇うように前に出る。

 

「なんで・・・・・なんでお前が生きてるんだ!どうして!」

 

「それはあとで朧にでも聞きなさい」

 

「朧・・・・に?」

 

俺の方を見てくるイッセー。俺は思わずイッセーから目を逸らしてしまった。

 

「それよりも・・・・・イッセーちゃん。もしも私が来なかったら、あなたアーシアもろともケルベロスに殺されていたかもしれなわよ?」

 

「ッ!?それ・・・は・・・・」

 

「情けないわね・・・・アーシアのことを守ると言っていたのは誰かしら?今の自分はアーシアのこと守れてるて胸を張って言える?守りたいのならもっとしっかりしなさい・・・・でなければまた失うことになるわ」

 

「・・・・・」

 

レイナーレの言うことに、何も反論できずに俯いてしまった。

 

「あなたもあなたよアーシア」

 

「え・・・?」

 

「警戒心も危機感も薄い・・・・何かあったらイッセーちゃんが守ってくれるからって安心しているの?だから自分から危険に首を突っ込んでもいいと思っているの?」

 

「そ、そんなことは・・・・・」

 

「たとえ思っていないとしても、私からすればそう見えるのよ。あなたはもっと自分の身を案じることを覚えなさい。あなたの回復の力は貴重なのよ?自分が死んだら仲間は全滅するぐらいの心構えを持ちなさい。特にこういう戦いではね」

 

「・・・・・」

 

イッセーと同じく、反論できずに黙り込むアーシア。

 

なんというか・・・・・言い方は辛辣だけど、これってアドバイスだよな?気遣ってるからこそああいうこと言ってるんだよな?二人を殺したこと・・・・・レイナーレなりに結構気にしてるんだろうな。

 

「ツンデレレイナーレカワユス」

 

「あなたは何を馬鹿なこと言ってるのよ・・・・今一応戦闘中よ?」

 

レイナーレが呆れたように突っ込んでくる。どうやら思ったことをつい口に出してしまっていたようだ。

 

「と、そうだ。レイナーレ、お前どうしてここに居るんだよ?来なくていいって言っただろ?」

 

「そうね。だけど来るなとは言わなかったじゃない。来て欲しくなかったらちゃんとそう言ってくれないとわからないわ」

 

「うぐっ・・・・」

 

レイナーレの言ってることは屁理屈であるが、それでも間違ったはいないので言い返すことはできない。レイナーレ・・・・・なんか会ったときと比べて口が達者になってる気がする。

 

『それについては同感ね。というより、うちを出る前にレイナーレちゃんが『私も行くって言ったらどうする?』って尋ねてきた時点でこうなることをどうして予測できなかったのかしら?』

 

返す言葉もない・・・・だけど、その言い方からしてお前は察してたんだよな?なんで言わなかったんだよ?

 

『言わないほうが楽しいかなと思ったからよ♪』

 

ああそうだな。お前はそういうやつだったよ。

 

「とりあえず、ここに来た理由を教えてくれ」

 

「単純なことよ。コカビエルはアザゼル様の意思に背いている。私はもうグリゴリには帰れないけれど、アザゼル様を慕う気持ちに変わりはないわ。だから・・・・」

 

「我慢できずに来ちゃったってわけか。まあ、気持ちはわからんでもないが・・・・・・」

 

おかげで少々面倒なことにはなった。

 

俺の視線の先には、レイナーレの登場によって表情を険しくしているリアス達の姿があった。すぐ近くには木場とクァルタもいる。どうやら加勢に駆けつけたようだ。

 

「・・・・ケルベロスの姿がないところを見ると、そちらも無事撃破できたんですね」

 

「ええ。祐斗たちが来てくれたおかげで倒せたわ。そんなことよりも・・・・・どういうことかしら朧?なぜその堕天使が・・・・レイナーレが生きているの?」

 

怒気を孕んだ声で俺に尋ねてくるリアス。まあ、リアスからすれば裏切り行為にも等しいんだ。怒るのも無理ないだろう。

 

だが、今はリアスたちと揉めてる場合じゃない・・・・・・倒すべき敵は別にいるのだから。

 

「レイナーレについては後ほど必ず事情を説明します。ですので今は戦いに集中しましょう」

 

「そういうわけにはいかないわ。彼女はコカビエルと同じ堕天使・・・・敵である可能性のあるものを放ってはおけないわ」

 

リアスの言うことはもっともだ。レイナーレはコカビエルと同じ堕天使・・・・・共謀していると思われても仕方がない。どうにか誤解を晴らさなければレイナーレが殺されかねない。

 

「・・・・確かに私はコカビエルと同じ堕天使。あなたたちにとっては敵にも等しい存在ね。私だってあなたたちと仲良くするつもりはないし」

 

俺がどうしたものかと考えていると、レイナーレはリアス達に言葉を発しはじめる。

 

「だけれど今この時において私たちの利害は一致しているわ」

 

「・・・・どういうことかしら?」

 

「リアス・グレモリー。あなたはこの地を納める悪魔として、コカビエルを倒したいと思っているのでしょう?私は敬愛するアザゼル様の意思に反し、この地に降り立ったコカビエルを倒したいと思っているわ。たとえ同じ堕天使だとしてもよ。互いの敵が同じならば、今は共闘すべきじゃないかしら?」

 

「・・・・あなたの言葉を信じろというの?その話に乗って背後から襲われたらたまったものではないわ」

 

レイナーレは共闘を持ちかけるが、リアスは取り合おうとしない。無理もないか・・・・・レイナーレはイッセーとアーシアを一度殺しておりのだから信じられないのも仕方がない。

 

となると・・・・俺が後押しする必要があるな。

 

「リアス部長、レイナーレはケルベロスからイッセーとアーシアを助けました。もしも本当にコカビエルと共謀しているのなら神滅具(ロンギヌス)所持者であるイッセーと回復の出来るアーシアを仕留めるチャンスを自ら潰すだなんてこと考えられません。レイナーレをの言ってることを信じるのにこれ以上の根拠はありません」

 

「それは・・・・」

 

俺の言葉に、リアスは反論してこなかった。もしもレイナーレがコカビエルと共謀しているのなら高いなサポート能力を持つ二人を助ける理由などないのだから反論のしようもないということだろう。

 

「リアス部長・・・・・あなたの眷属でもなく、悪魔でさえないない俺が言うべきではないかもしれませんが、レイナーレのことが信じられないというのなら・・・・・・レイナーレを信じる俺のことを信じてください。レイナーレはこの場においてあなた達に牙をむくことはありません。俺が保証します」

 

虫のいい話だということはわかっている。リアスたちのことを信用しきっていない俺がこんなことを言うのは愚かしいことだ。だけど今は・・・・口八丁でもこう言うしかない。

 

「・・・・・はあ、仕方がないわね。わかったわよ。今だけは・・・・彼女のことを敵と思わないでおくわ」

 

俺の説得を受け、リアスは折れてくれたようだ。少なくともこの先頭においてはレイナーレと敵対することはないだろう。

 

「ただし、少しでも怪しい動きをしようものなら・・・・・私があなたを消すわ」

 

「奇遇ね。私も同じことを思っていたわ」

 

敵対・・・・しないよね?大丈夫だよな?どっちも信じてるからな?

 

「あれれれれー?そこにおわすはレイナーレ様じゃありませんかー!」

 

俺がレイナーレとリアスたちが敵対しないかと心配していると、軽薄な声が聞こえてきた。俺もレイナーレも、リアスたちも声のする方へと視線を向ける。そこには銀髪の神父がいた。

 

「どうもレイナーレ様!俺の事覚えてらっしゃる?」

 

「ええ、覚えてるわよクズで外道でカスな私の元部下のフリード」

 

にやりと笑みを浮かべながら言う神父とレイナーレ。そうか・・・・奴がフリードか。

 

「ひっどいなー。俺ってばレイナーレ様が死んじゃった思って枕を涙で濡らしちゃってたんですよ?」

 

「見え透いた嘘はやめなさい。あなたにそんな殊勝な心があるわけないわ。ただまあ、あの時私を見捨てたことに関しては特別に許してあげるわ・・・・あなたのことなんて正直もうどうでもいいし。それよりも・・・・」

 

レイナーレの視線は上空にいるコカビエルへと向けられる。

 

「コカビエル・・・・・アザゼル様の御心を無視して、随分と勝手なことをしてくれているわね」

 

「低級堕天使風情が俺を呼び捨てにするか」

 

「残念ながらあなたに対して敬意を抱いていないの。あなたに抱いているのは・・・・・殺意だけよ」

 

光の槍を右手に出現させるレイナーレ。それをそのままコカビエルに向かって投擲した。

 

「ふんっ、くだらん。そんなもの・・・・・」

 

コカビエルは地震に向かってくる槍を止めようと左手を突き出す。間もなく槍が左手に触れようかというその瞬間・・・・・槍は軌道を変化させ、コカビエルの頭部へと向かっていく。

 

「なにっ!?くっ・・・・」

 

流石に正面から受けるわけにはいかないようで、コカビエルは顔をそらして槍を避ける。その顔からはわずかに焦りの色が見て取れた。

 

「ふふふっ・・・・低級な堕天使風情の私の攻撃で栄えあるグリゴリの幹部たるコカビエルにそんな顔をさせられるなんて光栄至極ね。今どんな気持ちなのかよければ教えてくれないかしら?」

 

「貴様・・・・・」

 

コカビエルの意表をつけたことがよほど愉快なのか、笑みを浮かべるレイナーレ。対するコカビエルは忌々しげに表情を歪ませていた。

 

『あらあら、誰かさんに似て随分と煽るのがうまくなったものね』

 

俺の煽りはお前譲りだから実質レイナーレのあれもお前似だろうが。そんなことよりも、さっきのレイナーレの攻撃・・・・・

 

『あらかじめ軌道を設定していたか、あるいは放ったあとに遠隔操作して軌道を変えたのか・・・・・どちらにしてもあれはあなたと戦った時には持っていなかった技術ね。あなたが学校に行ってる間ただ留守番していたわけではなさそうよ?』

 

まったく、随分と器用なことができるようになったものだな・・・・・正直レイナーレを戦力として考えていなかったんだが、撤回せざるをえない。

 

『そうね。現状ケルベロスに苦戦していたあなたよりよっぽど優秀よ?』

 

・・・・戦いはまだ始まったばかりだ。コカビエルを殺すためにも一層気を引き締めないとな。

 

『あらスルー?余計に惨めよ?』

 

せっかくいい感じに締めたのに・・・・・覚えてろよ畜生め。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さすがに原作のままでは戦力的に足手まといになりかねなかったのでレイナーレを若干強化しました

槍の軌道を変えたのは遠隔操作によるものです。ケルベロスの心臓を貫いたのも槍を遠隔操作して空中で留めておき、ここぞというときに心臓めがけて放ったからです。留守番中よほど暇だったからひそかに修行していた模様

それでは次回もまたお楽しみに!

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