ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回は朧VSケルベロスとなります

なぜ朧にとってケルベロスが天敵なのかもわかります

それでは本編どうぞ


第56話

俺を睨む六つの眼光・・・・ケルベロスは俺にとって天的なため若干恐ろしい。俺ではケルベロスに勝つのは難しいかもしれない。

 

最悪なことにコカビエルと先程まで言葉を交わしていたせいか、ケルベロスの標的は俺に向けられている。面倒だな・・・・・とりあえず平静を装ってその程度余裕だって思わせたほうがいいかな。そうすりゃ狙いが俺に集中するのが避けられるかもしれない、

 

「ケルベロスか・・・・・確かに厄介な相手だがその程度なら十分に対処できる。いっちょ遊んでやりますか」

 

とりあえずこんなもんでいいかな・・・・・ヘタをすれば挑発とも取られかねないが、それでも相性が悪いってことを悟られずには済むかもしれない。あとはうまくリアスたちに押し付けて、俺はサポートに徹する方向で・・・

 

「朧・・・・そんなこと言って大丈夫か?犬苦手だろ?」

 

必死にケルベロスとの直接戦闘を回避しようと策を巡らせている中、イッセーは言ってはならないことを口にしてしまった。それも小声とかじゃなく、十分にコカビエルに聞こえる声量でだ。これはまずい・・・・一度でもその認識を相手に植え付けてしまったら撤回するのはまず無理だ。

 

「イッセー・・・・・この馬鹿!」

 

「えっ!?心配してるのに馬鹿はひどくない!?」

 

「うるせぇ!敵を目の前にしてなに俺の弱点堂々と晒してくれてるんだよ!バレないようにうまく立ち回れるように策を巡らせててたのに台無しじゃねえか!」

 

「あ・・・・・ごめん朧」

 

俺に言われて自分の失態に気づいたようで、イッセーは申し訳なさそうに俺に謝罪してくる。

 

まあ、言ってしまたものは仕方がない。問題はコカビエルがそれを聞いてどう対応してくるかだが・・・・

 

「くくくっ、そうか。貴様は犬が苦手なのか・・・・・ならば、その苦手を克服するためにもこいつと存分に触れ合うがいい!やれ!」

 

やっぱりそう来るか畜生め!

 

コカビエルがケルベロスに指示をだすと、ケルベロスは・・・・何もない空間へと突進していった。一見するとケルベロスが暴走しているように見えるが・・・・・俺は危機感を募らせていた。なぜならケルベロスが突っ込んだ先には・・・・幻術で姿をくらませていた俺がいるからだ。

 

「くっそ!やっぱり気づかれたか!」

 

俺を引き裂かんと振り下ろされた爪をかろうじて躱しながら、悪態をつく。

 

「嘘っ!?朧の幻術が見破られた!?」

 

易々と姿をくらましていた俺を見つけ出したケルベロスを見て、イッセーは驚きの声をあげる。

 

「ほんっとケルベロスとは相性が悪いな・・・・見ての通り、あいつには俺の幻術は効かない。俺が相手をするのは分が悪すぎます。なのでリアス部長たちの方でやつの相手をお願いしてもいいですか?」

 

「わかったわ。あなたはアーシアやイッセーと一緒に下がってサポートを・・・・朧、後ろ!」

 

「ッ!?」

 

リアスに言われ、俺は急いでサイドステップしてその場を退く。先程まで俺がいた場所にはケルベロスの頭の一つがあった。どうやら俺を噛み砕こうとしていたらしい。リアスが声を上げてくれなかったら少しやばかったな。

 

「もう一体・・・・厄介な」

 

先程俺を噛み砕こうとしたケルベロスは、最初に襲い掛かってきたやつとは違う個体だ。どうやらコカビエルが連れてきたケルベロスは一体だけではなかったようだ。

 

「地獄から二体も連れてくるとは、随分と犬が好きなようだなコカビエル」

 

「ああ、好きだぞ。だからこそ、しっかりと遊んでもらわなければな・・・・・人間というおもちゃで!」

 

二体のケルベロスが同時に俺に向かって襲いかかってくる。そのうち一体はリアスたちが押さえてくれたが、今のリアスたちでは一体の相手をするだけで精一杯らしく、残る一体は勢いそのままに俺の方へと向かってくる。

 

「くっそ・・・・こうなったら破れかぶれだ!」

 

俺は幻術で拳銃を二丁生み出し、ケルベロスに幻の銃弾を撃ち込む。銃弾はヒットし、視覚的にはケルベロスの体から血が流れているように見えるが、ケルベロスの勢いが止まることはない。おそらくほとんどダメージがないのだろう・・・・・やはりうまく幻術に嵌めることができないようだ。

 

俺の幻術は相手の脳に干渉し、五感を欺くことに長けているが・・・・・そこには優劣がある。視覚、痛覚、聴覚、味覚、嗅覚の順で支配するのが得意であり、このうち戦闘で活用できるのは聴覚までだ。だからこそ、俺が一番苦手としている嗅覚が発達している犬とは相性が悪く、うまく欺けないのだ。先程姿をくらませていた俺が容易く発見されたのもそれが原因だろう。姿がなくとも匂いまでは誤魔化すこどができないので、匂いで俺の居場所がバレてしまったのだ。

 

さらに悪いことにケルベロスは頭が三つもある・・・・・つまり、脳が三つもあるのだ。ケルベロスに幻術をかけようとするならば、その三つの脳に同時に、同一の幻術を施さなければならないのだが、それが非常に難しい。多人数に幻術を掛けること自体は難しくはないのだが、それは全員に同時に幻術をかけているわけではない。どうしても個人ごとにラグができてしまう。普段ならそれで問題ないのだが・・・・・ケルベロスの場合は同時でなければならないため難易度が跳ね上がる。それでも、極限まで集中すればできなくもないのだが・・・・・

 

『昔、犬に噛まれてから犬が大の苦手になっちゃって・・・・・おかげで犬を前にすると集中が乱れちゃうのよね』

 

ラムの言うとおりだった。俺は幼い頃に犬に噛まれて大怪我を負った事があり、それ以来犬が大の苦手だ。

 

以上のことからケルベロスは俺の苦手をこれでもかというほどに詰め込んだ存在・・・・・最悪な天敵なのだ。

 

『まあ、誰にだって相性っていうものはあるのだから仕方ないけれど・・・・相性が悪いからってやられっぱなしも良くないわ。どうにかしなければ・・・・死ぬことはなくとも、コカビエルと戦う余力はなくなるわよ?』

 

わかってるさラム。だから今必死に対処法を考えてるんだろうが。

 

ケルベロスの牙が、爪が俺に襲いかかる。時に三つの口から火炎が吐き出され、俺の身を焼き尽くそうとしてくる。

 

その全てを俺は躱す・・・・いや、躱せているだけだ。状況を打破する手段は思いつけていないし。ダメージはないとはいえ、躱すだけでも体力は減っていく。このままではジリ貧だ。

 

どうする・・・・どうすればいい?あれを使うか?だがあれをここで使えば・・・・・

 

『朧!気を抜かないで!』

 

「ぐっ!?」

 

珍しく声を荒げるラム。一瞬の油断だった・・・・その油断を突かれ、俺の体にケルベロスの爪がかすめてしまった。そこまで深くはないが、左の肩から右の腰のあたりまで爪痕が刻まれ血が流れる。

 

失態だ・・・・浅いとは言え、処置しないと血が流れて体力が減る。

 

「朧さん!」

 

「朧!」

 

俺が爪で引き裂かれたのを見たためか、サポートに徹していたイッセーとアーシアがこちらに駆け寄ってくる。だが、それは悪手だ。

 

「二人共くるな!下がってろ!」

 

二人に向かって叫ぶが、すでに手遅れだった。ケルベロスは俺から二人へと標的を変え、牙で噛み砕こうと口を大きく開く。助けようにも俺では何もできない。

 

また・・・・失うのか?俺が弱いから・・・・仲間を・・・・親友を・・・・

 

「くっそぉぉぉぉ!!」

 

俺は自分の無力さを嘆き、叫ぶことしかできない。今まさにケルベロスの牙はイッセーーとアーシアを噛み砕こうとしていた。

 

その時・・・・・・・ケルベロスの頭めがけて、光の槍が落ちてきた。

 

槍はケルベロスの脳天から顎を貫通し、地面にまで突き刺さっている。この頭は完全に活動を停止しただろう。

 

いや、そんなことよりも・・・・・今の槍はまさか・・・

 

「まったく・・・・・無様ね。まさかあなたがこんな犬に苦戦するだなんて思わなかったわ」

 

ケルベロスの頭上には黒い翼を広げる黒い長髪の女がひとりいた。それが誰なのかは知っている。見間違うはずがない・・・・・俺の最愛の女だ。

 

「レイ・・・・ナーレ」

 

「ふふふっ・・・・・来てあげたわよ朧」

 

クスリと微笑みを浮かべながら、レイナーレは俺に視線を向けながら言い放った。




まさかのレイナーレ参戦・・・・・いや、まあフラグは盛大に建てていましたが

それにしても超久しぶりなまともな戦闘描写なのに苦戦するとか・・・・・うちの主人公大丈夫だろうか?

それでは次回もまたお楽しみに!

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