ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
最近は話を引き延ばしてるみたいで申し訳ない・・・・・
それでは本編どうぞ
「授業サボってこんなところで何してるの朧?」
屋上で寝っ転がっていると、イッセーが声をかけてきた。
ちなみに今教室で授業は普通に行われている。つまり、イッセーの言う通り俺は授業をサボっているということになる。
「いやぁ、今日か聖剣破壊の計画を進めるんだと思ったら昨日寝れなくってな。だから授業サボって仮眠とっておこうかなって思って」
まあ半分嘘だけどな。昨日寝れなかったのは本当だけど・・・・・・コカビエルに勝つための算段をひとりで集中して考えたかったから屋上にいたんだ。まあ、結局向こうの出方がわからないから考えても無駄って結論に至ったけどな。
『当然よ。そもそもあなた、元々は相手の出方に合わせて戦うタイプなんだし』
ははっ、そうだったな。
「気持ちはわからなくはないけど・・・・それなら教室で寝ててもいいんじゃないか?幻術使えば誤魔化せるだろ?」
「いやいや、さすがに寝ながら幻術は使えないっての」
本当は時間制限とかつければ簡単な幻術は使えるんだけど・・・・・一応隠しておこう。
「というか、サボリ云々はお前もそうだろうが」
「あー・・・・・まあそうだけどさ。たまにはいいって。となり座っていいか?」
「どうぞ、レディ」
「レディはやめて。寒気がする」
苦笑いを浮かべながら、イッセーは俺のとなりに腰掛ける。
「・・・・・こうしてると、あの時のこと思い出すな」
「あの時?」
「私が悪魔になったばかりの頃・・・・・一緒に授業サボったことあったでしょ?」
「ああ、あの時か・・・・・」
あの時のことはよく覚えている。なにせ、レイナーレを手中に収めようと思った日なんだからさ。
「悪魔になったばかりでまだ日の光が辛くて・・・・朧はあの時私が悪魔だって気がついたのか?」
「ああ・・・・お前の話を聞いて、日の光を浴びて辛そうにしてるのを見てわかったんだよ。ああ、イッセーは悪魔になったんだなって」
「朧はその時どう思った?」
「・・・・オブラートに包んで答えて欲しいか?それともはっきり答えて欲しいか?」
「・・・・・はっきり答えて欲しい」
一瞬答えに詰まったな・・・・・・つまり、正直な答えを聞くのが怖いってことか。
悪いなイッセー・・・・・その怖いの、多分的中だ。
「ショックだったよ。それと同時に悲しくもなったし・・・・・ちょっと憎しみも抱いた」
「・・・・・どうして?」
「前に言ったと思うが、俺ははぐれ悪魔に何度も襲われている。奴らは間違いなく俺を殺そうとしていた。俺にとって悪魔ってのは基本的に忌むべき存在なんだ」
今でも容易に思い出せる。俺を襲ってきた悪魔共の事を・・・・・・大半は返り討ちにして殺したけどな。
「そんな種族に親友であるお前がなってしまった・・・・・ショックを受けないわけ無いし、憎しみだって抱くさ」
これは嘘偽りのない正直な気持ちだ。悪魔になってしまったが故に・・・・・俺はイッセーに僅かな憎しみを抱いてしまった。悪魔への憎しみが消えることは永劫ないから。
「今も・・・・・憎い?」
「ああ、憎いよ」
「・・・・・そっか」
俺の返答を聞き、イッセーはわかりやすく落ち込んでみせる。まあ、親友に憎いなんて言われれば落ち込むに決まってるが。かく言う俺だって、親友に憎しみを抱くのは辛いがな。
けど・・・・・
「イッセー・・・・・憎いだけの奴を、いまだに親友だと思っていられるほど俺はお人好しじゃない」
「え?」
「悪魔は憎い。けど、それは種族としての括りでの話だ。兵藤一誠という個人に対してはこれ以上ない友愛を抱いてる。それはお前が人間だったとしても悪魔だったとしても変わらないさ。お前は今でも・・・・そしてこれからも、俺にとっては最高の親友だよ」
「・・・・・本当?嘘じゃない?」
「嘘つきだけど・・・・・これは本当だよ」
何があってもイッセーは俺にとって親友だ。そうたとえ何があっても・・・・敵になったとしても、殺すべき相手になったとしても俺はイッセーを親友だと思い続けよう。
『残酷ね。それは言い換えれば親友でも殺すときは殺すって言ってるようなものじゃない』
・・・・・否定はしないさ。
「あと・・・・・オカ研の皆もそうだな。リアス部長も朱乃先輩もアーシアも小猫ちゃんも・・・・・あとついでに木場もか。好きか嫌いかって言われてば好きだ。同じ部活に所属してるんだから情の一つも抱くさ」
実際問題あいつらって結構面白いからなぁ・・・・・ラム譲りの愉悦感覚で言えば、一緒に居たほうが得なのは間違いない。
『それは。私も同意見ね』
だろ?
「さっきは自分で否定してたけど、朧ってなんだかんだでお人好しだよな」
「あほか。俺みたいなのがお人好しなら人類の6割8分がお人好しだっての」
「また中途半端且つリアルな数字を・・・・」
だけどまあ、実際そんなもんだろ・・・・・多分。
「さて、この話はここまでだ。それよりもほかに話しておかなければならないことがあるからな」
「それって・・・・やっぱり聖剣の破壊に関することか?」
「そうだ。まあ、正確には首謀者であるコカビエルのことだけどな」
コカビエルの名を聞いた瞬間、イッセーの表情が引き締まり、目つきが変わった。
「コカビエルってやっぱり強いのか?」
「当然だ。大昔の大戦を生き残った堕天使の幹部なんだからな。その力は間違いなく本物・・・・・以前お前は代償を支払って
ライザーは確かに強い。能力は厄介だし、戦闘センスもあるといっていい。だが・・・・コカビエルはそのはるか上を行くだろう。ライザーとは比較にならないほどに強いはずだ。
「私が
「勝つどころか、手も足も出ない可能性が高いと思ったほうがいいだろう」
もしも勝てるとしたら、多大な代償を支払って限界を超える力を手にするか・・・・・覇の力に飲まれるかだろうが、そうなったときはさすがに止めさせてもらおう。
「だったらもしもコカビエルと戦闘になったら・・・・・」
「・・・・・まあ、死ぬ気で戦わないとだな」
たとえ死ぬ気で戦ったとしても、イッセー達じゃコカビエルに勝てる可能性は低い。だが、少しでも消耗させてくれれば・・・・・俺の幻術で殺す。最悪消耗させることができなくても・・・・・可能ならば殺すつもりだがな。
『微妙に自信なさげね。正直私の力をうまく使えば苦もなく殺せると思うのだけれど?』
相手は堕天使の幹部だぞ?一定以上の強敵との戦闘の経験はそんなにないんだからそう簡単にいくかっての。
『へえ・・・・・あなた、随分と見くびってるのね』
お前の力をか?
『いいえ、違うわよ。あなたが見くびっているのは・・・・うふふっ♪』
こいつ・・・・話すつもりがないなら途中まで言いかけるなっての。面倒なやつだ。
「コカビエルと戦うとしたら・・・・・命懸けになるってことか」
苦々しげに表情を歪めながらイッセーは言う。
・・・・・命懸け、か。
「イッセー・・・・・前に言ってたボーリングとカラオケだけどさ、やっぱ俺もいくよ」
「へ?」
突然の話題転換に、イッセーはわけがわからないといったふうに首をかしげた。
「桐生も来るっていうからどうしようか悩んでたけどさ・・・・コカビエルとやりあう可能性がある以上、俺も参加を予定しておこうと思ってな」
「どういうこと?」
「先の予定決めておけば、死んでたまるかって思っていざというとき気合が入るだろ?だからだよ」
「・・・・珍しいな。朧がそんな精神論口にするなんて」
まあ、イッセーがそういうのも無理はないか。基本的に俺はリアリストだから。
「でもまあ・・・・・朧の言ってることももっともか。皆とのボーリングとカラオケ楽しみだ・・・・・これは簡単には死ねないな」
「だろ?だから・・・・・命なんて掛けんじゃねえよ。死力を尽くすことと命を掛けることは別物だ。死ぬ気で戦うのは大いに結構だが・・・・・命を掛けるだなんてつまらないことはするな」
「わかった。朧も、自分で言ったからには命掛けはダメだからな?」
「当然だよ。ハーレム築く前に死んでたまるかっての」
コカビエルは憎い。何があっても必ず死なせてやるつもりだ。だけど・・・・・そこに命を掛けるつもりは毛頭ない。
こんなところで死ねない・・・・・俺はまだ、幸せになってないんだ。死ぬときは・・・・・愛する女に笑って看取られるって決めてるんだからな。
「お互い・・・・・絶対生きて乗り切ろうぜ」
「ああ・・・・そうだな」
互いに拳を突き合わせ、生き残る決意を固める俺とイッセー。
絶対に・・・・・・死んでやるものか。
朧とイッセーのこの関係性が好きな作者
ただ、親友であっても割り切るところは割り切る朧の気持ちは正直わからなかったりする・・・・・作者なのに
それでは次回もまたお楽しみに!