ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

53 / 78
今回は朧視点です

まあそこまで原作と差異はありませんが・・・・・

それでは本編どうぞ


第50話

「うまい!日本の食事はうまいぞ!」

 

「これよ!これが故郷の味よ!」

 

「厳密にはファミレスは日本の食事と呼ぶかどうか微妙なんだが・・・それとファミレスが故郷の味ってどうよ?」

 

目の前で女性とは思えぬ勢いで食事しているクァルタと紫藤に、俺は思わず呆れながらツッコミを入れてしまった。

 

俺達は今ファミレスに来ている。どうにもこの二人は空腹だったようで・・・・二人と話をするいいきっかけになると思い連れてきたのだ。

 

「まあ、ここの料金は俺が持つから好きに食べてくれ。先日恥をかかせた侘びとでも思ってな」

 

「では次はこれを・・・・」

 

「それじゃあ私は・・・・」

 

好きに食べろとは言ったけど容赦ないなおい。まあ別にいいんだけど。

 

問題があるとすれば・・・・

 

「朧先輩、パフェをおかわりしてもいいですか?」

 

「私はパンケーキね」

 

「なんでお前らまで頼んでんだよ」

 

俺はとなりでスウィーツを食べている小猫とイッセーに突っ込んだ。

 

「だってここの料金は朧が持ってくれるんだろ?」

 

「だったら食べておかないと損です」

 

いや、それはクァルタと紫藤に対してでお前たちは違うんだが・・・・・まあいいか。特に金には困ってないし。

 

『ミリアと一緒に旅をしていたときに色々稼いでいたものね』

 

まあな。おかげであと10年は遊んで暮らせるぐらいの金はあるもんな。そこまで生きてられないだろうけど。

 

「俺もなんだか小腹がすいてきたな・・・・・何か頼むか」

 

「頼むのは勝手だけど匙は自腹な」

 

「なんで俺だけ!?」

 

「俺の財布の紐は女のために緩めるものだ。野郎のために払う金は基本持ち合わせていない」

 

「どんだけ自分に正直なんだよ・・・・・」

 

別に男なら普通だろそれぐらい。

 

『そういえばあなたは何も食べないの?』

 

目の前のクァルタと紫藤の食べっぷり見てたらそれだけで食欲失せるからな。

 

というか・・・・食べるのはいいけど、あんまり長引くのは勘弁して欲しい。こっちは早く本題に入りたいんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、ようやく飢えが満たされた。まさか悪魔とそれに与する人間に救われることになるとは思わなかった」

 

「奢ってもらってその言い草はないだろう・・・・・まあ別に気にしやしないけど」

 

「満腹だわ。主よ、心優しき悪魔達に祝福を・・・・」

 

「「「うっ」」」

 

紫藤が十字を切った瞬間、イッセー、小猫、匙がうめき声をあげる。目の前で十字を切られたのだから悪魔にとっては苦痛でしかないのだろう。こういう時不便だよな悪魔って。

 

「紫藤・・・・俺以外の3人は悪魔だから十字を切るのは勘弁してやれよ」

 

「ごめんなさいつい・・・・・というか、本当にあなた悪魔じゃないのね」

 

「どう言う意味だそれは?」

 

「なに、あの決闘を通じて一番悪魔らしく卑劣だったのは君だと判断したまでだ」

 

「君たち本当に奢ってもらったって自覚ある?」

 

いくらなんでもこの言い草はあんまりではないだろうか?訴えたら勝てるレベルじゃね?

 

『でも実際一番所業は酷かったわよ』

 

自覚はしてますけども。

 

「さて、食事も終えたことだ。君たちが接触してきた理由を聞かせてもらおう」

 

話を切り出してくるクァルタ。こちらから切り出す手間が省ける上、余計な言い回しもする必要がなくて助かるな。

 

「率直に言わせてもらおう・・・・・エクスカリバーの破壊に加担させてもらいたい」

 

俺が言うと、クァルタと紫藤は驚きをあらわにして互いの顔を見合わせていた。まあ、彼女たちからすればこの提案は予想外だったのかもしれない。

 

普通に考えれば許可なんて降りないだろう。向こうは悪魔にこの一件に関わって欲しくないだろうし、そもそも下手に手を出そうものなら三種族間の争いに発展しかねない。なにより、聖剣を下級悪魔とそれに与する人間が破壊しようだなんて侮辱とも取られかねない。

 

まあ、向こうが断ることができないように手段は考えてはあるが・・・・・さて、どう出るか・・・・

 

「そうだな。破壊できるのなら一本ぐらいは任せてもいいだろう。ただし、こちらもそちらと関わりを持っていると知られたくないから身バレしないようにしてもらうが」

 

意外なことに、クァルタによってすんなりと許可は取れた。紫藤の方は難色を示していたが、さすがにコカビエルを相手にして尚且つ聖剣を3本奪取するのは辛いとクァルタに言われて納得しかけている。

 

「けれど悪魔の手を借りるだなんて・・・・」

 

「ならば人間の力を借りるということにすればいい。上は現地の人間の力を借りるなとは言っていないからな」

 

そう言いながら、クァルタは俺の方を見やる。確かに俺は悪魔と協力関係にあるが種族的には人間だ。教会の言に反することにはならないのだろう・・・・だいぶ屁理屈ではあるが。

 

だがまあ、そういう臨機応変な考え方ができるのは好ましい。どれ、俺も後押ししてやるか。

 

「そこについでにドラゴンのても借りるってのも付け加えておくといい。イッセーは神滅具(ロンギヌス)・・・・赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の所有者。今代の赤龍帝なんだからな」

 

『更に言うならヴリトラの神器(セイクリッド・ギア)所持者である匙くんとあなたもドラゴンだけれどね』

 

まあそうだけど・・・・匙の神器のヴリトラについては俺が本来知る由もない事なんだから言うわけにはいかないだろ・・・・・あと、俺ドラゴン扱いされるのあんまり好きじゃないんだが。まあ今はそんなことどうでもいいが。

 

「・・・・驚いたわ。イッセーちゃんが赤龍帝の籠手の持ち主だなんて」

 

「まさかこんな極東の島国で出会えるとは思わなかった。ドラゴンの力が健在ならば、力を最大まで高めることで聖剣の破壊も可能となるだろう。これも主の導きか」

 

イッセーが今代の赤龍帝だと知り、紫藤もクァルタも驚きを隠せないようだ。

 

「確かに人間とドラゴンの力を借りるなとは言われてないけれど・・・・・いくらなんでも屁理屈がすぎるわ。あなたの信仰心は変よゼノヴィア」

 

「変で結構だ。とにかく信じてみようじゃないか。ドラゴンの力を」

 

よし、ひとまずは交渉完了だな。これでこいつらのことを()()できる。

 

「それじゃあ木場を呼ばないと。事情説明しないとだし」

 

イッセー木場を電話でこの場に呼び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーの呼び出しに素直に応じた木場は、程なくしてファミレスに訪れた。さすがにエクスカリバー関連となると無視できないということか。エクスカリバー使いに破壊を承認されるのは遺憾のようだが。

 

ちなみに話の流れで、聖剣計画を企てた首謀者の名前も割れた。その人物の名はバルパー・ガリレイ。聖剣計画の一件から信仰に問題があるとされ、異端の烙印を押されて現在は堕天使側の人間らしい。果たして問題があったのはガリレイの信仰か、あるいはそんな奴を受け入れていた教会か・・・・ガリレイの聖剣計画を利用しているのだから、教会は教会でゲスだとは俺は思うが。

 

なお、ガリレイは今回の件に噛んでる可能性も十分にあるらしい。エクスカリバー破壊を目的とするなら邂逅する可能性もあるかもしれないな。

 

「こうなったからには僕からも情報提供したほうがよさそうだね。先日、エクスカリバーを持ったものに襲撃されたよ。その際神父が一人殺害されていたが・・・・やられたのはそちら側だろうね」

 

どうやら、クァルタ達よりも先に木場が接触していたようだ。皆はそれを聞いて驚いている。というか接触してたなら言えよ・・・・事情があるのはわかるけど。

 

「相手の名前はフリード・セルゼン。この名前に覚えは?」

 

「フリード・セルゼン!?」

 

木場が襲撃者の名前を口にすると、イッセーは大きくリアクションをとった。

 

「なんだイッセー?そのフリードって奴のこと知ってるのか?」

 

「・・・・え?朧それ本気で言ってる?」

 

俺がフリードヤラのことを尋ねると、イッセーは意外そうにそう返してきた。どう言う意味だ?

 

「フリードはアーシア件でレイナーレ達に協力してたはぐれ神父だ。お前、レイナーレ達のこと調べてたからてっきり知ってると思ったんだが・・・・」

 

「そうなのか?ちょっと待ってくれ、記憶を遡ってみる。えっと、フリードフリードフリード・・・・・ダメだ、レイナーレ以外に女の堕天使が居たってことは覚えてるけどそれ以外は全く記憶にない」

 

「朧先輩・・・・どういう記憶力しているんですか?」

 

いやいや小猫よ、そんなこと言われても仕方がないじゃないか。あの時の俺は良くも悪くもレイナーレのことで頭いっぱいだったんだから。あと、アーシアのことにも意識は向けてたけど・・・・・その上で女の堕天使がいたことを覚えてるだけでも俺としては十分なんだが。

 

『もはやさすがの一言ね』

 

褒めるなよ。照れる。

 

ちなみにフリードって奴は元々は優秀なエクソシストだったそうだが、信仰心はなく、性格やらなんやらが異常だったため異端となったらしい。うん、どうでもいいな。10分で忘れる自信がある。

 

「ともかく、エクスカリバー破壊の共同戦線といこう。何かあったらそこに連絡してくれ」

 

クァルタはメモに連絡先を書いてこちらによこした。

 

『合法的に女の子の連絡先をゲットできたわね』

 

あー・・・・・これってそういうことにもなるんだな。まあ別に私的な活用はする気は一切ないんだけれども。

 

ちなみにこっちの連絡先については教える必要はなかった。イッセーの母親が紫藤にイッセーの携帯番号を教えていたらしい・・・・・おばさん、それ流石にまずいのでは?おばさんは知らないでしょうけどイッセーと指導は組織的に本来敵対してるんですから。

 

「では、これで失礼させてもらおう。食事の礼はいつかさせてもらう」

 

「私としてはこの間の件があるからこれでようやくチャラなんだけど・・・・」

 

そう告げた後、その場をあとにするクァルタと紫藤を俺達は見送った。

 

「さて、俺もこれで失礼するぞ」

 

「え?もう行っちゃうのか?」

 

「ああ。人間の俺が混じってると話しにくいこともあったりなかたりするだろうし、あとの話は悪魔の皆様でどうぞごゆっくり。あ、ここの食事料金はここに多めに置いておくから追加で何か頼みたいなら好きにしな・・・・・ただし匙と木場の分は含んでないから」

 

「お前・・・・そこ頑ななんだな」

 

「本当にブレないね」

 

匙と木場が呆れたように言うが、何があっても俺は男に奢る気はないので気にしない。

 

「それじゃあまた・・・・・と、その前に木場」

 

「なんだい?」

 

「復讐にこだわるのはいいけど、それで冷静さを失えば本末転倒だ。それがお前が致命的に復讐に向いてない理由だよ。復讐を果たしたいなら・・・・・・激情は心の奥底に押しとどめることだな」

 

木場にちょっとしたアドバイスを送り、俺はファミレスをあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふふっ・・・・・うふふふふふ。ほんっとうにあなたは悪い子ね~』

 

相手はコカビエルなんだ。古の大戦から生き残ってるその強さは本物・・・・俺ひとりで戦っても確実に勝てるとは限らない

 

『だから利用できるものはなんでも利用しようっていう腹積もりなんでしょう?教会の戦士も、贔屓にしている悪魔達も・・・・そして親友でさえ。いいわねぇ・・・・そういうエゴは私大好きよ?』

 

別にラムに好かれるためにやっているわけじゃない。ただ・・・・・コカビエルを確実に殺したいんだ。俺の手で殺せればそれが一番だが・・・・・・最悪、コカビエルが死んでさえくれれば・・・・

 

『自分で手を下すことにこだわらないのもまた、あなたの良さとも言えるかもしれないわね・・・・せいぜい頑張りなさい。この私を楽しませるためにも』

 

ああ。俺の復讐劇・・・・せいぜい楽しみやがれ

 

 

 




コカビエルを殺すためなら利用できるものはなんでも利用しようとする朧

コカビエルが復讐相手でなくても普通に協力はするので・・・・意識の違いってだけかもしれませんがね

それでは次回もまたお楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。