ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
理由は朧視点よりもやりやすいから・・・・・まあそれだけですよ
それでは本編どうぞ
「嫌だァァァァ!俺を巻き込むな!俺は帰るぞ!」
必死に抵抗する匙を、私を小猫ちゃんは両腕を掴んで引きずっていた。
先日、イリナとゼノヴィアが帰ってから私はずっと木場のために何か出来ることはないかと考えていた。今の木場は復讐のためならなんでもしてしまいそうな危うさがある。木場一人で復讐なんてさせたら木場の命に関わるかもしれない。同じ部長の眷属として私はそれが嫌だった。部長は絶対に悲しむし・・・・・何より私も仲間を失いたくない。
ゆえに、私はエクスカリバーを破壊しようと思った。正確には木場に聖剣に打ち勝ってもらうって感じだが。その為に、まずはイリナとゼノヴィアにその許可を取ろうと考え、協力してくれそうな匙を伴って二人を探しているのだ。
まあ、匙と待ち合わせをしているところを小猫ちゃんに見つかって、成り行きで小猫ちゃんにも協力してもらうことになっちゃったけど。小猫ちゃんは小猫ちゃんで木場のことが心配だったようだ。
「兵藤!なんで俺を巻き込むんだよ!俺はシトリー眷属なんだからそっちの眷属の問題とは無関係だろ!」
私と小猫ちゃんを振りほどこうともがきながら匙は言う。私の方は抑えるのはギリギリだけど、小猫ちゃんの方はびくともしてない。私より小柄なのに・・・・・さすがはうちの
「そう言ってくれるなよ。仕える主は違っても私達同期の悪魔じゃないか。協力してくれ」
「嫌だ!こんなことが会長にバレたらどうなると思ってるんだ!お前のところのリアス先輩は厳しいながら優しくもあるんだろうけど、俺のところの会長は厳しくて厳しいんだぞ!ただひたすらに厳しいんだぞ!」
匙はよほど会長にバレるのが恐ろしいのか、体を震わせている。
「まあ確かに会長って厳しそうだもんな・・・・・」
「いやいや、会長あれで結構可愛らしいところもあると俺は思うぞ?匙はそうは思わないのか?」
「いや、そりゃちょっとは思うけど・・・・・って、え?」
「「・・・・ん?」」
なぜかこの場にいるはずのない人物の声が聞こえてきた。声のする方へ視線を向けると・・・・・
「やっほー。こんなところで奇遇だねお三人」
そこには朧がいた。
「・・・・・なんでこんなところにいるんですか朧先輩?」
「ちょっと小猫ちゃん、その言い方は辛辣すぎやしません?」
ジト目を向けて言う小猫ちゃんに、朧は苦笑いを浮かべながらそう返す。
「いや、でも本当に何してるんだよ朧?」
「何って、多分お前たちと同じだよ。紫藤さんとクァルタさんを探してた。エクスカリバーの破壊許可をもらうためにな」
・・・・え?
「ど、どうして・・・・?」
「一応、俺だって木場と同じオカ研のメンバーなんだ。少しぐらい協力してやりたいって思うさ。なにより俺はあいつの復讐の応援してるからな」
淡々と当たり前のように言う朧。朧は朧で木場の事を気遣っているのか・・・・・
「というかイッセー。小猫ちゃんと匙を誘っておいて親友である俺の事を誘わないってどういうことかな?かな?」
ニコリと微笑みを浮かべながら私に尋ねてくる朧。だが、その微笑みからはなにか黒いものを感じる。
「いや、その・・・・朧には色々と協力してもらってるけど部長の眷属じゃない朧を誘うのは気が引けるというか筋違いというか・・・・」
「あの・・・・・さっきも言ったけど俺もリアス先輩の眷属じゃないんだが?」
「匙は同じ悪魔だからいいだろ?」
「よくねえよ!?」
まったく、男のくせにうだうだうだうだと・・・・・いい加減腹を決めて欲しいものである。
「とりあえずイッセー・・・・・俺とお前の仲でそんなこと言われたら泣くよ?泣いちゃうよ?よよよ・・・・」
「ごめん、謝るからそのわざとらしい嘘泣きやめて」
目を手で覆って、誰が見ても芝居だとわかる泣き真似をしている朧に私は言う。
「・・・・まあ、親友であるお前に隠し事たくさんしてる俺の事信用しきれないのはしょうがないことか。実際はそこまで気にしてないからお前も気に病むな」
「・・・・別に信用してないわけじゃないし。ただ・・・・親友である私が知らないこと、木場や朱乃先輩が知ってたみたいで・・・・・ちょっと嫌だっただけ」
自分でも子供みたいな拗ね方してるっていうのはわかってる。それでも嫌なものは嫌なのだ。親友である私が知らないことを、他のひとが知ってるなんて・・・・・
「あ~・・・・それに関しては悪かったよ。木場や朱乃先輩に話したことは成り行きで話す必要があったから話したんだ。だけど、あれは俺にとってはあまり話したくはないことでな・・・・正直思い出すのでもきっついんだ」
あれというのは復讐云々のことだろう。話してしまえば復讐を志すきっかけになった事を思い出してしまうから話したくないってことか・・・・一体朧の過去に何があったんだろうか?
それと・・・・・木場はエクスカリバーの件で復讐の話になるっていうのはわかるけど、朱乃先輩は一体・・・?
「まあともかくだ・・・・・変に心配かけて悪かったなイッセー」
「・・・・ん」
朧が私の頭を撫でながら言う。そんな風に言われてしまえば、もう許すしかない・・・・仕方ないからこの件はここで終わりにしてあげよう。
「・・・・なあ、お前ら」
「ん?どうした匙?」
「いや、どうしたっていうか・・・・・お前ら実は付き合ってるとか・・・」
「「もぐぞ?」」
「ごめんなさいなんでもないです」
何やら匙がトチ狂ったことを言いだしたので脅しを掛けた。とりあえずわかってくれたようなので一安心だが・・・・・私が朧と付き合ってるとか冗談じゃない。
「あの・・・・その思われても仕方がないと思います。先程のは私から見ても付き合っている男女に見えましたから」
「え?そんな風に見えた?」
「はい」
う~む・・・・・小猫ちゃんは冗談でこんなことをいう子じゃないから、本当にそう見えたってことか?私としては今のやりたとりは普通の親友同士のそれだと思っていたのだが・・・・
「というより、普段の二人の接し方を見ていると付き合っていてもおかしくないように見えます。付き合ってないのに普通胸を触らせるだなんて事しません」
「胸を触らせるって・・・・・兵藤、お前そんなことさせてるのか?」
「おい匙、なんでイッセーの名前を出してるのに視線は俺の方に向ける?」
朧の言うとおり、匙の視線は朧に向けられていた。しかも蔑むような視線だ。
「いや、だってなぁ・・・・それ普通にセクハラだろ」
「セクハラじゃない。イッセーの方から触らせてきてるんだから」
「あれはただ胸が大きくなってるの確認してもらうために触らせてるだけだから下心はないんだけど・・・・なぜか変な目で見られることが多いんだよなぁ」
「不思議だよな」
「それを本気で言ってるなら先輩たちの頭の方が不思議です」
「お前らの友情はどうなってるんだよ・・・・」
なんか納得いかないって目で小猫ちゃんと匙に見られている。どうして理解してもらえないのだろうか?私としては朧とは健全な親友関係を築けていると思っているんだけど・・・・
「まあ話は戻すが、生徒会長は確かに厳しそうだが、個人的には可愛らしさとかもあると思うぞ。慣れればからかいがいもあると思うし」
「ごめん、話を脱線させた要因が私にもあるってわかってるけど言わせて・・・・・戻すってそっち?」
確かに朧が来たときは会長の話ししてたけど戻すべきはそっちではないはずである。
「そんなこと言えるのはお前ぐらいだぞ現世・・・・・というか、会長に変なちょっかいかけるなよ」
「いや、ちょっかい云々に関しては俺はむしろかけられてる方だぞ?なに?もしかして匙妬いてるの?お前の嫉妬はこの前球技大会のドッジボールで当てられたんんだからチャラだろ」
「お前その言い方からしてあれわざとかよ」
「エ~?ワザト?何言ッテルカ俺ワカラナイ~」
だったら棒読みやめろよ朧。
「まあ、お前に対する怒り云々はあの時ボールに込めたから一応はいいけど・・・・・」
あの時ボールにやけに勢いがあったのはそれが原因か。朧地味に痛がってたぞ。
「・・・・もう会長にちょっかいかけるなよ?」
「いや、だから俺はちょっかいかけられてる側なんだけど・・・・まあいいか。約束しまーす」
朧を睨みながら言い聞かせる匙と、おどけたふうに了解の意を示す朧。一体朧と会長の間に何があったのだろうか・・・・まああまり詮索はしないでおこう。
「さて、いい加減本当に本題に戻るが、紫藤さんとクァルタさんを探すとして・・・・お前たち二人がどこにいるのか心当たりはあるか?」
ようやく話が本題に戻った・・・・・私が言うのもなんだけど脱線しすぎだ。
「逆に聞くが朧・・・・・お前の方に心当たりはあるのか?」
「ふっ、イッセー・・・・心当たりがあったら聞くと思うか?」
「二人共何を無駄にかっこつけてるんですか?」
いやいや小猫ちゃん。それぐらいの遊び心は許してよ。まあ実際問題心当たりが一切ないのは問題かもしれないけどさ。
「まあ、心当たりがないのなら仕方がない。地道に探すとしよう。町の教会にでもいけばなにかわかるかもしれんが・・・・・俺はともかくとしてお前たち3人は無理だし」
朧の言うとおりだ。悪魔である私、小猫ちゃん、匙が教会になんて行けるわけがない。自殺行為にも等しい。
「とはいえ、極秘任務にあたっている白いローブ姿の女性二人なんて探しても聞き込みしてもそう簡単に見つかったりは・・・・・あ」
突然、朧は何かに気がついたかのように声を上げた。
「朧?どうした?」
「・・・・・前言撤回だ。探す必要も聞き込みする必要もない」
そう言いながら、朧はある一点を指差す。私達がその方向に視線を向けるとそこには・・・・・
「迷える子羊にお恵みを・・・・・」
「天の父に変わって哀れな私達に慈悲をぉぉぉぉ・・・・」
・・・・路頭で祈りを捧げ、募金活動をしているイリナとゼノヴィアがいた。よほど困っているのか、表情が悲しげだ。
「・・・・・彼女たちの名誉のために見なかったことにするか、木場のためにあれに声をかけるかどっちがいい?」
可哀想なものを見る目二人を見る朧が私に尋ねてくる。
実質一択なのに、私はその選択肢で頭を悩ませることとなった。
朧が協力しようとしてる理由は木場のこともありますが、自分一人でコカビエルとことを構えるのは分が悪いと思ってるからです
つまり、協力にかこつけて利用するためです。おお、クズい
ちなみにこのときレイナーレは朧に内緒でコカビエルを捜索していたり
それでは次回もまたお楽しみに!