ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回は球技大会です

前半はギャグというか・・・・朧がめちゃくちゃしてます

まあ、後半はちょっとシリアスですが

それでは本編どうぞ!


第43話

今日は球技大会。天気は快晴で、まさに絶好の日和といっていいだろう。私、兵藤一誠が所属するオカルト研究部は優勝を狙って意気揚々とドッジボールに挑んでいるのだが・・・・・断言しよう。一番活躍しているのは朧だと。

 

「ふははははははは!脆弱脆弱脆弱ぅ!そんなヒョロ球でこの俺を仕留めようなど笑止!もっとマシなの投げてこいや!てめぇらそれでも野球部か!」

 

「くそっ、現世の野郎すばしっこい・・・・皆、このまま現世を狙っていても埒があかない!心苦しいが狙いを変えて・・・・」

 

「おやぁ?俺を狙うのやめちゃうの?なに逃げんの?俺相手に逃げるの?こんだけ散々挑発されておいて、一矢報いることもなく逃げるの?うわダッサ・・・・・あ、失礼。しょうがないか~。君たちみたいなモブじゃ俺を仕留めるなんて出来るわけないもんねぇ?諦めるしかないもんねぇ?」

 

「・・・・なんだと?」

 

「あれぇ?気に障っちゃった?ごめんねー。もういいよ。俺のことは諦めてほかの人狙いなよ。そうすれば晴れて君達は『現世朧を避けてほかの美女美少女とおまけのイケメンを当てにいきました』って記憶が頭に残ることになるんだからね。いやぁ・・・・一生忘れられそうにない良い思い出じゃないか。そんな思い出が残せるなんて羨ましい限りだぞ♪」

 

「・・・・・前言撤回!総員、現世を狙えぇぇぇぇぇ!!」

 

「「「現世ぶっ潰す!!」」」

 

「やれるもんならやってみろや三下モブどもが!ハハハハハハ!!」

 

・・・・・試合が始まってからずっと、朧は相手チームを煽りに煽りまくりヘイトを稼ぎ、わざと自分を狙わせてきているのだ。だが、当然朧にボールが当たることはない。流石に学校行事で幻術を使うなどという反則はしていないものの、それを差し引いても朧は悪魔である私たちをはるかに超える回避力を有するのだ。ボールを躱しまくり、甘い球が来たらキャッチして反撃している。正直当たる気がしない。

 

「部長・・・・・朧の奴、絶好調ですね」

 

「ええ・・・・・そうね。ふふふっ・・・・」

 

部長はどこか遠くを見つめながら乾いた笑みを浮かべている。おそらく朧の所業に頭が痛くなるのを通り過ぎるほどに呆れ返っているのだろう。朱乃先輩や小猫ちゃんの方を見ても、何やら呆れたような表情をしている。アーシアは相手チームに同情して何やら申し訳なさそうにしているが。

 

正直、これは酷いと私でも思うが、結果としては朧の煽りが功を奏して戦局はオカ研の絶対的有利となっている。部長もそのことが分かっているがために、呆れてはいるが朧のことを止めないのだろう。というかまあ、今更止めたところで朧が狙われることは変わらないだろうが。

 

「はははっ!どこを狙っているのかね?さっきよりは鋭い球を投げるようだが当たらなければどうということはないのだよ?野球部でこれでは他の部活もたかが知れてるだろうねぇ・・・・この勝負俺の独壇場ではないか!」

 

あ、とうとう試合相手の野球部以外も煽りに行きやがった。試合を見てた他の部活の連中がこめかみに青筋浮かべているのがはっきり見える。

 

「くくくくくっ・・・・・このまま一度も当たらずにいれば、リアス部長や朱乃先輩、アーシアや小猫ちゃんから俺は・・・・にゃは!これは楽しみですな!」

 

「「「「現世をぶっ殺せぇぇぇぇぇ!!お姉様達の貞操を守るんだぁぁぁぁぁ!!」」」」

 

ああ、部長達の名前を出したことにより学園の7割以上の生徒の怒りが頂点に達してしまった。これはもう、以後の試合全てで朧は集中狙いされるだろうなぁ・・・・朧の言ってることが嘘だと思わず踊らされてしまうなんて可哀想な人達だ。これ絶対に朧の作戦なのに。

 

実際、部長達となにか約束があるわけでもないし、さっきの言動だって具体的に何をしてもらうとか言ってないから後でいくらでも言い訳やら誤魔化しがきく言い回しだ。

 

「イッセー・・・・・勝てればなんでもいいような気がしてきたわ」

 

そうですね部長。ここまで来たら・・・いや、私ははじめから吹っ切れてましたよ。だって、朧が参加してるんだもの。あいつが勝つためならえげつない手段を平気で選ぶだなんてわかりきってたもん。まあ、その手段で私達が狙わるるようになることが一切ないのはある意味朧らしくはあると思うけれど。朧って変に優しいところあるし。

 

ただ・・・・

 

(やっぱり・・・・あれって気を遣ってるからでもあるんだろうなぁ)

 

私は分かってしまった。朧が必要以上に煽って自分に注目を集めている理由を。朧が・・・・時々木場の方に視線を向け、その度にため息をついて相手を挑発するような言動をしていることに私は気がついている。

 

試合が始まってから・・・・いや、それよりも前から、木場はずっと上の空だ。球技大会などどうでもいいといったようにぼんやりとしている。きっと朧は今の木場では大した活躍はできないと・・・・狙われでもしたらいとも容易くやられてしまうと思い、それで木場に注意を向けさせないためにああして煽りまくっているのだろう。

 

あの朧が男にあそこまで気を遣うなんてな。もしかして木場の抱えてる問題のことなにかわかって朧は・・・・

 

「てかそれだけ投げといて一発も当てられないとか雑魚すぎワロタ(^Д^)ねえ、今どんな気持ち?ねえ、どんな気持ち?NDK?NDK?」

 

「「「現世ぉぉぉぉぉぉ!!」」」

 

・・・・うん、きっと木場のこと気遣ってなんだよな?それとオカ研を勝たせるためになんだよな?朧自身の愉しみとか愉悦とかそういうのじゃないよな・・・・朧?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・朧、言いたいことはないかしら?」

 

「ふっ、流石は上級悪魔、ソーナ・シトリー率いる生徒会チームだ。この俺にボールを当てるだなんてやるな。これはうかうかしてられませんよリアス部長?」

 

「転んだところを当てられて何をかっこつけてるのよ!」

 

球技大会が終わり、オカ研の部室にて朧は部長からお説教を受けていた。生徒会チームとの決勝戦、あれだけ煽りに煽っていた朧は見事に当てられた。調子に乗って動き回っていた朧は足元の小石に躓いて転び・・・・・その隙をついた生徒会の匙が朧にボールを当てた。その際、なんか妙に力が入っていたような気がする・・・・あれはさんざん煽られてイラついたのが原因だけじゃないように私は思う。

 

まあともかく、現在朧はあれだけ大口叩いたくせに情けなく当たってしまったというわけだ。

 

「あなたという子は本当に・・・・」

 

「いやぁ、当てられたことは申し訳ないと思ってますけどしょうがないじゃないですか。俺だって人間なんだからそれぐらいのミスしますよ?」

 

「つまらない嘘はやめなさい。当てられたのがわざとだっていうのはここに居る全員がわかっているのよ?」

 

「・・・・・・エ?何ヲ言ッテルンデスカリアス部長?ナンノコトヤラワカリマセンヨ?」

 

部長から視線を逸らし、明らかな片言で告げる朧。どう見ても図星だ・・・・まあ、誤魔化すのは無理だと判断してわざとわかるようにしているのだろうが。

 

「やっぱりそうなのね・・・・・あなたのことだから、最後の最後で当たって皆の怒りを収めて尚且つ球技大会を盛り上げようって魂胆だったのでしょう?」

 

「ドウデショウネー?」

 

カタコトでしらばっくれる朧。やっぱりそうだったのか。あのまま朧がボールに当たらずに終わっていたら、煽っていたのが朧だとはいえ、私達オカ研自体を良く思わない輩が出ていただろう。朧はそのことを理解しているがゆえにわざと当たって皆の怒りを沈め、同時に『朧にボールを当てる』という学園の生徒過半数以上のある種共通した目的を達成させることで球技大会そのものを盛り上げたのだ。もちろん、自分が当てられてもオカ研の勝ちがほぼ確定した状態を作った上でだ。

 

よくもまあ、こんなにも気を遣えるものだと思う。おそらく今回の球技大会、部活対抗戦においてはほとんど朧が思い浮かべたシナリオ通りにことが運んでいただろう。

 

「朧・・・・あなたが私達のことを気遣ってくれているということ自体は嬉しく思うわ。だけど、その為にあなたが進んで嫌われにいくのは嬉しくないわ。あなただってオカルト研究部のメンバー・・・・私の眷属でなくとも、大切な仲間だと私・・・いいえ、私だけではなくここに居る全員が思ってるのよ?」

 

「大切な仲間?ご冗談を。俺はただの同じ部に所属してるってだけの人間ですよ?部に所属してる理由はイッセーとアーシアの二人だけのためだ。あなたが俺のことを仲間だと思うのは筋違いでは?」

 

「またそんなことを言って・・・・・」

 

朧の言動に、部長は呆れたように額に手を当てる。それが嘘だとわかっているからだ。確かにはじめは私やアーシアの二人だけのためだったかもしれない。けど、普段の行いやフェニックス家のことを思い返せば今はそうじゃないことが私にだってわかる。

 

私達はよく、朧に普段の行いが悪いみたいな言い方をしているが、実際はそう思ってなどいない。普段から朧は雑務等で私達のフォローをしてくれる。はぐれ悪魔の討伐の時だって幻術を使って協力してくれているし・・・・普段の行いは悪いどころか相当良いことは全員わかっている。

 

極めつけはフェニックス家との問題の時だ。レーティングゲームの際には朧なりに策を考えて私達にそれを伝えてくれたし、レイヴェルのついでとはいえ部長を助けに冥界にまで乗り込んだ。

 

そんな朧に対して、私達が悪感情を抱くはずがないし、朧自身私達のことを一定以上大切に思ってくれているだなんて明白だ。

 

それなのに朧はあんな言い方を・・・・・素直じゃないというか皮肉屋というか・・・・

 

「・・・・もういいわ。これ以上何を言っても無駄でしょうし・・・・朧、今日はお疲れ様」

 

「いえいえー。ただ自分が楽しみたかっただけなのでお気遣い無くー」

 

これ以上何を言っても無駄だと判断した部長は、朧を労って話を切り上げた。対する朧も、それに乗っかりこの話はここまでとなった。

 

「さて、次は・・・・・祐斗」

 

部長は木場の方に視線を向ける。その視線はいささか鋭く見える。

 

「・・・・なんですか部長?」

 

「なんですかって・・・・・本気で言っているの?」

 

部長の視線がさらに険しくなる。敢えて具体的なことを言わないのは、朧が木場のことを気遣っていたということを部長も気がついていたからだろう。朧の手前、頭ごなしに木場を叱りつけることができないのだろう。

 

かく言う私も・・・・木場に色々と言ってやりたいことはあるのだけれど、朧があそこまで気を遣っていたことを思うと何も言えなくなってしまっている。

 

「・・・・昼間はすみませんでした。どうにも調子が悪かったようです。少々疲れているみたいなので普段の部活は休ませてもらいます。夜の活動はちゃんとしますので」

 

そう言って、木場は私達に背を向けて部室を去っていった。

 

「木場・・・・・本当にどうしちゃったんだよ」

 

明らかに様子のおかしい木場・・・・今の木場を見ているとたまらなく不安に駆られる。基本的に男よりも女のほうが好きな私でも、心配してしまう。

 

「・・・・・よほど根は深いということか。まあ、聖剣計画に関わってしまってるんだから仕方がないだろうが」

 

「「聖剣計画?」」

 

なにかを知っているかのように呟く朧。私とアーシアは『聖剣計画』という聞いたことのない言葉に首を傾げ、部長と朱乃先輩、小猫ちゃんはそれを朧が知っていることに驚いている様子だった。

 

「朧・・・・どうしてあなたがそれを?」

 

部長がどうしてそれを知っているのかと朧に尋ねる。

 

「計画のこと自体はあのひと一緒にいた時に・・・・まあ話をちょっと聞いたことがあるぐらいですが。ただ、計画に木場が関わっているということは生徒会長に聞きました」

 

「ソーナに?」

 

「ええ。木場と聖剣の間に何かあるってことはイッセーに聞いたので、もしかしたらと思って彼女に確認してみたんですよ」

 

「なぜ私に聞かずにソーナに聞いたのかしら?」

 

「球技大会で張り切ってるリアス部長に聞くのは気が引けたので。あとはまあちょっとした流れでそうなったのですが・・・・・まあ、それは置いておいて、俺のことよりも、イッセーとアーシアに聖剣計画のこと教えてあげたらどうですか?二人共知りたがってるようなので」

 

ちらりと朧は私とアーシアの方を見やる。

 

「それじゃあ俺もこれで」

 

「え?朧帰っちゃうの?」

 

「帰るというかなんというか・・・・木場にちょっとな。今はリアス部長やイッセー達よりも、俺が行ったほうが良さそうだからお節介焼いてくるよ。あ、今日の分のお茶請けのお菓子は置いておくからそこは安心してくれ」

 

そう言って朧は鞄からお菓子の入った袋を取り出し机に置き、木場を追って部室から出て行った。

 

朧・・・・木場のこと頼んだぞ。

 

 




復讐心という親近感を抱いているせいか朧は木場を気遣いまくっています

こういうところが朧の人間らしい甘さなのでしょう

ちなみに球技大会での煽りは4割ぐらいは楽しんでやってました。残り6割は気遣いです

それでは次回もまたお楽しみに!

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